2021年01月18日

サトノアラジン - 新種牡馬辞典'21

新種牡馬辞典、第十弾はサトノアラジン。ディープインパクトと完全なるニックスを形成している母父 Storm Cat 配合で、GIは安田記念のみとディープインパクト産駒としてはそれほど飛び抜けた成績を残したわけではありませんが、社台スタリオンステーションにて種牡馬入りし、さらにニュージーランドにもシャトル供用される人気種牡馬となっています。晩年はマイルがメインだったのでマイラーのイメージが強いですが、3歳時まではむしろ2000m以上のレースに積極的に使われていた馬で、配合次第ではクラシックも意識できそうなところも魅力の一つでしょうか。
サトノアラジン Satono Aladdin

ノーザンファーム産 2011年生 鹿毛 父系:サンデーサイレンス系

<血統構成> Northern Dancer 5×4×5

ディープインパクト

鹿毛 2002
*サンデーサイレンスHalo
Wishing Well
*ウインドインハーヘアAlzao
Burghclere
*マジックストーム
Magic Storm
USA 黒鹿毛 1999
Storm CatStorm Bird
Terlingua
Foppy DancerFappiano
Water Dance

ディープインパクトについてはシルバーステートの記事を参照。

*マジックストームは米国3勝。GIIモンマスオークス(D9F)を制したほか、GIスピナウェイS(D7F)で3着があった。母としてほかに全姉にあたるラキシスがエリザベス女王杯など重賞2勝をあげ、全妹にあたるフローレスマジックがアルテミスSや福島牝馬Sで2着に入っている。母父 Storm Cat はディープインパクトとは鉄板の配合で、これまでに8頭のGI馬を出している。

祖母 Foppy Dancer は米国産馬で、米国1勝。重賞実績はない。母としてほかに目立った産駒は出していないが、孫の代に米GIデルマーフューチュリティを制した Drill を出している。

<競走成績>

年 (歳)主な実績
2013年 (2歳)311着 2歳新馬 T1600 T1600
3着 ラジオNIKKEI杯2歳S(GIII) T2000
2014年 (3歳)721着 九州スポーツ杯(1000) T2000
1着 茶臼山高原特別(500) T2000
3着 共同通信杯(GIII) T1800
2015年 (4歳)721着 モンゴル大統領賞(OP) T1800
1着 春興S(1600) T1600
2着 エプソムC(GIII) T1800
2着 富士S(GIII) T1600
2016年 (5歳)621着 京王杯スプリングC(GII) T1400
1着 スワンS(GII) T1400
3着 ダービー卿チャレンジT(GIII) T1600
2017年 (6歳)611着 安田記念(GI) T1600
2着 毎日王冠(GII) T1800
298

2歳8月の新馬戦を快勝、春のクラシック出走を目指したが、重賞をあと一歩で勝てず出走を逃した。夏の条件戦で2連勝を飾り、最後の一冠には間に合ったが、トーホウジャッカルの6着に終わっている。古馬になってからは主にマイル路線を進み、5歳時の京王杯スプリングCで重賞初勝利を飾ると、同年のスワンSで重賞2勝目。さらに6歳時の安田記念は7番人気ながら川田Jの剛腕が炸裂し、GIウイナーにまで登りつめた。全姉ラキシスと同じように早熟傾向のあるディープインパクト産駒としては遅咲きの競走馬であった。

<供用実績>

年度種付料種付数生産数登録数供用場所
2018100万円1187777社台スタリオンステーション
2019100万円9054
2020100万円95
2021100万円

<海外での供用実績>

年度種付料種付数生産数登録数供用場所
201812500新ドル9164新/リッチヒルスタッド
201912500新ドル58
202012500新ドル

引退後は社台スタリオンステーションにて種牡馬入りしており、同時にニュージーランドのリッチヒルスタッドにシャトル供用されている。実績的にはディープインパクト産駒のGI馬の中でも特に目立つものはなかったが、それでも社台入りを果たしたのは相性のいいディープインパクト× Storm Cat 配合だったからに他ならないだろう。キズナが今年1000万円、同配合の2番手リアルスティールも250万円なので、その代替種牡馬として今年100頭を超える可能性は十分あるだろう。

<注目の産駒>

母名備考
アコースティクスノーザンファームの生産馬。母は Cape Cross 産駒の持込馬で、不出走馬。半兄にダービー馬ロジユニヴァース、おじに交流重賞で活躍したランフォルセやノーザンリバー、いとこにGI2勝のディアドラなどがいる。GIレーシングにて1600万円で募集されている。
*ヴァケアシンボリ牧場の生産馬。母は Lear Fan 産駒の米国産馬で、米国8勝。GIクイーンエリザベスIIチャレンジCS(T9F)など芝重賞を5勝した。半兄にカタールGIIIホール・アル・アデイドC(T14F)3着の Otwo がいる。「タムロ」の谷口屯氏が1800万円で落札。
シースプレイ社台ファームの生産馬。母はハーツクライ産駒で、中央未勝利。半姉にフラワーC2着のシーズララバイ、いとこにエリザベス女王杯など重賞4勝のクイーンズリング、英GIIIローズオブランカスターC(T10.5F)の Intilaaq などがいる。サトミHCが5600万円で落札。
デュアルストーリーノーザンファームの生産馬。母は*エンドスウィープ産駒で、中央4勝。OPマリーゴールド賞3着などがある。半兄に兵庫ジュニアグランプリのデュアリスト、OP京葉Sのデュアルスウォード、中央4勝のデターミネーション、いとこにクイーン賞のレッドクラウディアなどがいる。
*ミスティークIIノーザンファームの生産馬。母は Monsun 産駒の独国産馬で、不出走馬。半姉にフローラS3着馬で米GIベルモントオークスでも4着に入ったジョディー、おじに豪GIドゥームベンC(T2000)の Mawingo などがいる。大塚亮一氏が6000万円で落札。

アコースティクスはダービー馬ロジユニヴァースの下。きょうだいの中央勝ち馬率も高く、またダートでも面白そう。*ヴァケアの母は米芝GI馬。芝のマイルに向きそうだ。シースプレイはサンデーの3×3持ち。ロードブレスやメイケイエールなどディープ系のサンデークロスが結果を出しつつある中で、里見氏が大物を引き当てるだろうか。デュアルストーリーはデュアリストの妹で、兄と同じくダート路線で活躍を期待したい。*ミスティークIIはサトノアラジン産駒の最高価格で落札。ドイツ母系でワールドプレミアを引き当てた大塚氏の所有だけに、期待が高まる。

<傾向> 芝: ダ: 距離:短〜中 2歳: 3歳: 古馬:

生産牧場生産数母父産駒数
1ノーザンファーム131ジャングルポケット7
2サンバマウンテンF22*フレンチデピュティ6
ゼットステーブル23*クロフネ5
下河辺牧場2
橋本牧場2
社台ファーム2

自身は芝のレースにしか出走しておらず、もちろん種牡馬としても芝向きの産駒を多く出すだろうが、500キロを軽く超す馬体に Storm Cat 、Fappiano などのダート向きの血が多数含まれており、ダートが得意な産駒も多数出てくるはずだ。距離はやはりマイル前後がベストだろうが、自身ももともとクラシックを意識していた馬であり、配合次第では2400mくらいまでは十分こなせるだろう。仕上りはディープインパクト産駒としては遅めで、完成するのは古馬になってからだろう。

前述のとおり、キズナやリアルスティール、Study of Man など8頭のGIウイナーを送り出しているディープインパクト× Storm Cat 配合だが、サトノアラジンのようなマイラータイプは非常に少なく、マイル重賞を制しているのは同馬と桜花賞馬アユサンのみ。マイル未満の重賞ウイナーに至ってはこのサトノアラジンただ1頭である。ディープインパクト産駒としては比較的地味な存在の同馬が社台SS入りし、さらにニュージーランドにシャトル供用されるに至った理由はその辺にあるのかもしれない。




この記事へのコメント

1. Posted by 鹿 2021年01月18日 23:18
無礼を承知で言うと、この馬が社台でフィエールマンが入れなかったのが不思議です。勿論サトノアラジンが大成功する可能性もありますが。
2. Posted by けびんず 2021年01月19日 00:34
いつも見てます。
勝手なお願いなのですが、スマホで見ると注目の産駒のところが文字が詰まって見にくいので
出来れば母馬ごとに段落を空けてもらえないでしょうか?
3. Posted by ダービー卿 2021年01月19日 11:36
自分も鹿さんの意見に賛成です
種付け料や実績だけ見たらフィエールマンが社台でサトノアラジンがブリーダーズの方が合ってると思います
それが逆になったのはやはりマイルと長距離の差でしょうか
4. Posted by ひょうが 2021年01月19日 14:08
血統とノーザンの好みじゃないでしょうか。
母父嵐猫の黄金配合は競合が多い反面、相互互換の関係にもあります。
キズナの大活躍に加えリアルスティールも非常に高い期待をかけられてますしノーザンとしてはこの配合を外に出したくなかったのかも。
本馬は嵐猫に加えファピアノ、ニジンスキーと代々名種牡馬が交配された名血ですし全兄妹が活躍しているのも大きいでしょう。
対してフィエールマンは現役時から冷遇され珍しい欧州の零細血統が詰まってる分、実績も少ないですし仕方がないのかも。
5. Posted by 成瀬朋 2021年01月19日 14:18
どちらかといえばディープもストームキャットもややマイル寄りの万能種牡馬という認識があったが(特に後者)、このニックスでむしろそこそこ距離が伸びた方がいい傾向にあるというのはなかなか面白いかも。

キズナもかなりいいスタートが切れてるからこの馬もそこそこいけるかも。
6. Posted by りきお 2021年01月19日 21:03
ディープ産駒としては晩成傾向なのも、社台に入れた要因なのかもしれません。
あと、ここのところ、里見氏の馬が好待遇を受けているように思うのですが、社台が走ってほしい血統の馬をよく買われているから、とかもあるのでしょうか。
7. Posted by 荷花 2021年01月19日 21:52
2歳から6歳から走って馬格と血統からダートで潰しも利きそうと小粒でも欠点のない種馬ですね。
フィエールマンは逆にG1・3勝の実績はともかくケチのつけ所が多い印象で社台として生産者に対してどちらを自信を持って薦められるかといえばまあ前者なのかなと。
8. Posted by Organa 2021年01月19日 22:12
社台SSの種牡馬は基本的にシンジケートが組まれているでしょうから、社台の一存だけで簡単に動かすことはできないでしょう。ましてや次年度の種付け料が発表された後ならなおさら。動きがあるとすれば今年の繁殖シーズンが終わってからだと思います。

>けびんずさん
「PCモード」で閲覧してもダメでしょうか?基本的に「スマホモード」には対応していないので、申し訳ありません。

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