2021年06月12日

アリバイ系 - サイアーラインで辿る日本競馬

続いてはアリバイ系。Alibhai は不出走馬でしたが、米国で種牡馬として供用され、ケンタッキーダービー馬 Determine らを出すなど成功しました。父系もそれなりに発展しましたが、1970年代の活躍を最後に表舞台からは姿を消し、おそらく父系自体もすでに断絶してしまったものと思われます。日本にも何頭か種牡馬が輸入されましたが、結果を残したのはマル外として輸入されるも平凡な実績に終わった*セイカンなる馬で、同馬は*カバーラップ二世と名を変えて吉田牧場の専属種牡馬として供用され、数々の八大競走勝ち馬を送り出しました。また*ソシアルバターフライや*ファンシミンといった名牝系の祖もここから出ています。
<アリバイ系父系図>

HyperionHyperion - Alibhai

Bay Ronald 1893
 Bayardo 1906
  Gainsborough 1915
   Hyperion 1930
    Alibhai 1938
    |Cover Up 1943
    || ・1947年 ハリウッドゴールドC
    || ・1949年 ビングクロスビーH
    ||*セイカン 1952 種牡馬名:*カバーラップ二世
    | |チトセハーバー 1959
    | | ・1961年 阪神3歳S
    | |ジーゲリン 1961
    | | ・エスポワールシチー、ゴールドシチー、クラウンシチーの牝祖。牝系残存
    | |リュウゲキ 1962
    | | ・1964年 朝日杯3歳S
    | |ワカクモ 1963
    | | ・1966年 桜花賞
    | | ・1966年 小倉記念
    | | ・テンポイント、フジヤマケンザン、ワカオライデンの牝祖。牝系残存
    | |リュウズキ 1964
    | || ・1966年 北海道3歳S
    | || ・1967年 皐月賞
    | || ・1967年 函館記念
    | || ・1968年 函館記念
    | || ・1968年 有馬記念
    | ||リュウフブキ 1972
    | || ・1976年 カブトヤマ記念
    | ||オデイオラ
    | |  ・ガルダンサーの母
    | |タチクモオー 1968
    | | ・1974年 日本海賞
    | | ・1975年 日本海賞
    | |フクリュウヒカリ 1969
    | | ・1971年 デイリー杯3歳S
    | |アグネスビューチー 1971
    | | ・1976年 東京新聞杯
    | |カシュウチカラ 1973
    | | ・1977年 京王杯オータムH
    | | ・1977年 目黒記念(春)
    | | ・1978年 アメリカジョッキークラブC
    | | ・1978年 目黒記念(春)
    | | ・1979年 天皇賞(春)
    | |アグネスキング 1974
    | |プリテイキャスト 1975
    |   ・1980年 ダイヤモンドS
    |   ・1980年 天皇賞(秋)
    |   ・デルマギャンブラーの牝祖
    |Solidarity 1945
    | ・1949年 ハリウッドゴールドC
    |Your Host 1947
    ||Windy Sands 1957
    ||| ・1962年 サンディエゴH
    ||| ・1962年 ニューポートH
    |||*フジノダイヘイゲン 1976
    ||*ソシアルバターフライ Social Butterfly 1957
    |  ・トウショウボーイ、トウショウペガサス、マザートウショウの牝祖。牝系残存
    |My Host 1948
    | Fleet Host 1963
    |  ・1966年 ハリウッドダービー
    |  ・1967年 サンルイスレイH
    |Determine 1951
    ||Warfare 1957
    || ・1959年 ガーデンステートS
    || ・1959年 米シャンペンS
    ||Donut King 1959
    || ・1961年 米シャンペンS
    ||*ファンシミン Fancimine 1967
    |  ・ラインクラフト、アドマイヤマックス、ルヴァンスレーヴの牝祖。牝系残存
    |Honeys Alibi 1952
    | ・1955年 マリブS
    | ・1956年 サンディエゴH
    |Traffic Judge 1952
     | ・1955年 ウィザーズS
     | ・1955年 ウッドワードS
     |Delta Judge 1960
     ||Judgable 1967
     || ・1970年 ドワイヤーH
     || ・1971年 ドンH
     ||*ザポテコ Zapoteco 1970
     ||| ・1972年 サラマンドル賞
     |||マツヤマイナリ 1983
     ||  ・1986年 (3着)ジュニアC
     ||*サワーオレンジ Sour Orange 1973
     |  ・シャダイアイバー、エアジハード、プレシャスカフェの牝祖。牝系残存
     |*トラフィック Traffic 1961
      | ・1963年 ホープフルS
      |Rheffic 1968
      | Dom Pasquini 1980
      | | ・1983年 グレフュール賞
      | |ドンリファール Dom Lyphard 1995
      |   ・2002年 (8着)中山グランドジャンプ
      |   ・2002年 (10着)ペガサスジャンプS
      |ハーディープリンス 1976
      | ・1980年 (2着)目黒記念(春)
      | ・1980年 (2着)ダイヤモンドS
      |コンパルシチー 1978
      | ・エスポワールシチー、リンカーンシチー、ミヤジコクオウの牝祖。牝系残存
      |スズユウ 1978
      || ・1984年 帝王賞
      || ・1985年 東京大賞典
      ||スズタカオー 1987
      |  ・1995年 (3着)開設記念
      |マツノセイザン 1980
        ・1984年 東海菊花賞
        ・1985年 東海ゴールドC

Alibhai は故障のためレースに出走することはできなかったが、北米で種牡馬入りし、芦毛馬として初めてケンタッキーダービーを制した Determine など多数の活躍馬を輩出することに成功した。父系は孫にあたる*トラフィックが仏リーディングに輝くなど1970年代まではそれなりに栄えていたものの、現在では途絶えてしまった可能性が高い。日本にも複数の種牡馬が輸入されたが、父系としては発展しなかった。ただ*ファンシミン*ソシアルバターフライなど歴史上重要な繁殖牝馬がこの系統から出ており、影響力は今なお高いと言える。

Cover Up 産駒の*セイカンは平凡な競走馬だったが、*カバーラップ二世の名で種牡馬入りすると、桜花賞馬ワカクモ、皐月賞馬リュウズキ、天皇賞(春)のカシュウチカラ、そして天皇賞(秋)のプリテイキャストなどそれほど多くない産駒から極めて質の高い産駒を送り出した。後継種牡馬としてはリュウズキがカブトヤマ記念のリュウフブキを出した程度に終わったが、ワカクモがテンポイントの母となったほか、エスポワールシチーなどの母系に今なおその名がみられる。

*トラフィックはホープフルSの勝ち馬で、フランスで種牡馬入りし、仏ダービー馬 Rheffic などを出して1971年には仏リーディングサイアーにも輝いた。日本にやってきたのはその直後のことだったが、日本では南関の名馬スズユウ、目黒記念で2着に入ったハーディープリンスを出した程度と振るわなかった。2000年代に入ってその末裔にあたるドンリファールが中山グランドジャンプに来日したが、結果を残すことはできなかった。




この記事へのコメント

1. Posted by ダコタはどこだ 2021年06月13日 01:12
故山野浩一氏はアメリカで成功したハイペリオン系として、ヘリオポリス、ケーレッド、そしてアリバイを挙げておられました。TTGのうちTTは母系を通じてアリバイの血が流れていますし、アリバイ系からはケルソや少し落ちますがスズユウといった万能型の名馬が出ました。カバーラップ二世は既に珍しくなっていた馬柱に漢字が混じるケースでしたね。
2. Posted by Organa 2021年06月13日 19:54
フォアゴーを出したフォルリもなかなかの成功を収めたと言えると思います。アメリカではサイアーラインは伸びませんでしたが。

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