2022年07月13日

サイアーラインで辿る世界ダービー史 - 1992年

サイアーラインで辿る世界ダービー史」シリーズ第二十九弾は1992年。この年の英ダービー馬はトウルビヨン系の*ドクターデヴィアスで、ここまで遡ってようやく非エクリプス系のダービー馬の登場となりました。しかし父 Ahonoora が短距離向きサイアーだったためか種牡馬としては不人気で、引退後は日本で種牡馬となりましたが、4年間の供用の後買い戻されたのは同父 Indian Ridge などの活躍のおかげでしょうか。日本ダービーはミホノブルボンが勝利。本質は短距離馬と言われながらもスパルタ調教によって二冠を制すまでに鍛え上げられた馬でしたが、父が未勝利馬*マグニテュード、母父*シャレーも完全な失敗種牡馬という平凡な血統もあり、種牡馬としては結果を残すことはできませんでした。
<1992年度 世界ダービー馬一覧>

国名勝ち馬
アイルランドSt. Jovite (USA)Pleasant Colony
アメリカLil E. Tee (USA)At the Threshold
アルゼンチンPriest (ARG)Portlaw
イギリスDr. Devious (IRE)Ahonoora
イタリアIn a Tiff (IRE)Caerleon
インドAstonish (IND)Malvado
ウルグアイCleon (URU)Clericy
オーストラリアRedding (NZ)Nassipour
オーストリアRubico (USA)Big Spruce
カナダAlydeed (CAN)Shadeed
カリブLeonardo (PAN)Donzel
韓国Race Not Run
ジャマイカMilligram (JAM)Exotic Traveler
ジンバブエRed Warning (SAF)Nissr
スイスMon Domino (GB)Dominion
スウェーデンCosmos Streak (SWE)Music Streak
スペインToba (IRE)Soughaan
スロヴァキアRace Not Run
チェコBarbakan (POL)Czubaryk
チリFalling (ARG)Halpern Bay
デンマークVeduwa (DEN)Viking
ドイツPik Konig (GER)Konigsstuhl
トリニダードトバゴGlorious Music (TRI)Bandsman
トルコPrestige (TUR)Plevne
日本Mihono Bourbon (JPN)Magnitude
ニュージーランドThe Phantom Chance (NZ)Noble Bijou
ノルウェーReflection (DEN)Starry Night
バルバドスWinsome Lass (BAR)Happy Boy
ハンガリーAlfonz (HUN)Odenat
プエルトリコCarva Jal (PR)Full Day
ブラジルApril Trip (BRZ)Halpern Bay
フランスPolytain (FR)Bikala
ベネズエラCatire Bello (VEN)Inland Voyager
ペルーStash (PER)Stack
ポーランドMokosz (POL)Unoaprile
南アフリカLaunching Pad (SAF)Great Brother
メキシコHarry (MEX)Foreign Secretary
ロシアGlavk (RUS)Whitstead


<1992年度 世界ダービー馬父系図>

Pharos 1920
 Nearco 1935
  Nasrullah 1940 ━━━ ナスルーラ系
  |Grey Sovereign 1948
  | *ゼダーン Zeddaan 1965
  |  Kalamoun 1970
  |  |Unoaprile 1977
  |  | Mokosz (POL) 1989
  |  |  ・Nagroda Derby (POL)
  |  |Bikala 1978
  |    Polytain (FR) 1989
  |     ・Prix du Jockey Club (FR)
  |Bold Ruler 1954
  ||Raja Baba 1968
  || Exotic Traveler 1976
  ||  Milligram (JAM) 1989
  ||   ・Jamaica Derby (JAM)
  ||Secretariat 1970
  |  Foreign Secretary 1976
  |   Harry (MEX) 1989
  |    ・Derby Mexicano (MEX)
  |Red God 1954
  | Blushing Groom 1974
  |  Nassipour 1980
  |   Redding (NZ) 1989
  |    ・VRC Victoria Derby (AUS)
  |Never Bend 1960
   |Mill Reef 1968
   | *マグニテュード Magnitude 1975
   |  Mihono Bourbon (JPN) 1989
   |   ・Tokyo Yushun (JPN)
   |Riverman 1969
   | Soughaan 1983
   |  Toba (IRE) 1989
   |   ・Gran Premio Villapadierna (SPA)
   |Happy Boy 1972
     Winsome Lass (BAR) 1989
      ・Barbados Derby (BAR)

Nearco 1935
 Royal Charger 1942
  Turn-To 1951 ━━━ ターントゥ系
   Hail to Reason 1958
    Roberto 1969
     Inland Voyager 1977
      Catire Bello (VEN) 1989
       ・Clasico Republica Bolivariana de Venezuela (VEN)

Nearco 1935
 Nearctic 1954
  Northern Dancer 1961 ━━━ ノーザンダンサー系
  |Nijinsky 1967
  ||Halpern Bay 1977
  |||April Trip (BRZ) 1988
  ||| ・Gran Premio Cruzeiro do Sul (BRZ)
  |||Falling (ARG) 1988
  ||  ・El Derby (CHI)
  ||Nissr 1977
  || Red Warning (SAF) 1988
  ||  ・Zimbabwe Derby (ZIM)
  ||Caerleon 1980
  || In a Tiff (IRE) 1989
  ||  ・Derby Italiano (ITY)
  ||Shadeed 1982
  || Alydeed (CAN) 1989
  ||  ・Queen's Plate (CAN)
  ||Stack 1982
  |  Stash (PER) 1989
  |   ・Clasico Derby Nacional (PER)
  |Lyphard 1969
  ||Clericy 1977
  || Cleon (URU) 1989
  ||  ・Gran Premio Nacional (URU)
  ||Donzel 1981
  |  Leonardo (PAN) 1989
  |   ・Clasico del Caribe (Carib)
  |Viking 1977
  | Veduwa (DEN) 1989
  |  ・Dansk Derby (DEN)
  |Bandsman 1979
  | Glorious Music (TRI) 1989
  |  ・Trinidad Derby (TRI)
  |Starry Night 1983
    Reflection (DEN) 1989
     ・Norsk Derby (NOR)

Unbreakable 1935
 Polynesian 1942
  Native Dancer 1950 ━━━ ネイティヴダンサー系
   Raise a Native 1961
    Mr. Prospector 1970
     Portlaw 1981
      Priest (ARG) 1989
       ・Gran Premio Nacional (ARG)

Vedette 1854
 Galopin 1872
  St. Simon 1881 ━━━ セントサイモン系
   Rabelais 1900
    Havresac 1915
     Cavaliere D'Arpino 1926
      Bellini 1937
      |Tenerani 1944
      | Ribot 1952
      | |Ragusa 1960
      | | Morston 1970
      | |  Whitshead 1975
      | |   Glavk (RUS) 1989
      | |    ・Bolszoj Vserossijskij Priz (RUS)
      | |His Majesty 1968
      |   Pleasant Colony 1978
      |    St. Jovite (USA) 1989
      |     ・Irish Derby (IRE)
      |Turysta 1944
        Erotyk 1965
         Czubaryk 1976
          Barbakan (POL) 1989
           ・Ceske Derby (CZE)

Cyllene 1895
 Polymelus 1902
  Phalaris 1913 ━━━ ファラリス系
  |Pharos 1920
  | Nearco 1935
  | |Dante 1942
  | | Darius 1951
  | |  Derring-Do 1961
  | |   Dominion 1972
  | |    Mon Domino (GB) 1989
  | |     ・Swiss Derby (SWI)
  | |Nearctic 1954
  |   Malvado 1972
  |    Astonish (IND) 1988
  |     ・Indian Derby (IND)
  |Fairway 1925
  | Honeyway 1941
  |  Great Nephew 1963
  |   Great Brother 1972
  |    Launching Pad (SAF) 1988
  |     ・South African Derby (SAF)
  |Pharamond 1925
    Menow 1935
     Tom Fool 1949
      Buckpasser 1963
       Norcliff 1973
        At the Threshold 1981
         Lil E. Tee (USA) 1989
          ・Kentucky Derby (USA)

Bruleur 1910
 Ksar 1918
  Tourbillon 1928 ━━━ トウルビヨン系
   Djebel 1937
    Clarion 1944
     Klairon 1952
      Lorenzaccio 1965
       Ahonoora 1975
        Dr. Devious (IRE) 1989
         ・Epsom Derby (GB)

Newminster 1848
 Lord Clifden 1860
  Hampton 1872 ━━━ ハンプトン系
   Bay Ronald 1893
    Dark Ronald 1905
     Son-in-Law 1911
      Bosworth 1926
       Plassy 1932
        Vandale 1943
         Herbager 1956
          Big Spruce 1969
           Rubico (USA) 1989
            ・Oesterreichisches Derby (AUT)

Bayardo 1906
 Gainsborough 1915
  Hyperion 1930 ━━━ ハイペリオン系
  |Owen Tudor 1938
  | Tudor Minstrel 1944
  | |King of the Tudors 1950
  | | Prince Tudor 1958
  | |  Plevne 1967
  | |   Prestige (TUR) 1989
  | |    ・Gazi Kosusu (TUR)
  | |Sing Sing 1957
  |   Jukebox 1966
  |    Music Boy 1973
  |     Music Streak 1978
  |      Cosmos Streak (SWE) 1989
  |       ・Svenskt Derby (SWE)
  |Aureole 1950
    *ヴィエナ Vienna 1957
     Vaguely Noble 1965
      Noble Bijou 1971
       The Phantom Chance (NZ) 1988
        ・New Zealand Derby (NZ)

John o'Gaunt 1901
 Swynford 1907
  Blandford 1919 ━━━ ブランドフォード系
  |Brantome 1931
  | Vieux Manoir 1947
  |  Le Haar 1954
  |   Frontal 1964
  |    Odenat 1981
  |     Alfonz (HUN) 1989
  |      ・Magyar Derby (HUN)
  |Bahram 1932
    Persian Gulf 1940
     Tamerlane 1952
      Dschingis Khan 1961
       Konigsstuhl 1976
        Pik Konig (GER) 1989
         ・Deutsches Derby (GER)

Hastings 1893
 Fair Play 1905
  Man O' War 1919 ━━━ マンノウォー系
   War Relic 1938
    Relic 1945
     Olden Times 1958
      Full Pocket 1969
       Full Day 1980
        Carva Jal (PR) 1989
         ・Derby Puertorriqueno (PR)


ナスルーラ系からは日本ダービーを制したミホノブルボン、仏ダービーの Polytain など多数のダービー馬が出た。ミホノブルボンは雑草血統と言われるようにあまり見栄えのしない配合だったが、ハードトレーニングにより鍛えられ、無敗のクラシック二冠を達成した。しかし種牡馬としてはその血統があだになったか、活躍馬を出すことはできなかった。Polytain は仏ダービー後はさっぱりで、晩年はリステッドですら惨敗しており、引退後はイタリアにて種牡馬入りした。ジャマイカの Milligram は三冠を達成している。

ノーザンダンサー系からは伊ダービーの*インナティフ、クイーンズプレートの Alydeed などが出ている。*インナティフは後に日本で種牡馬入りしたが、あまり牝馬が集まらずわずか2年で再輸出された。しかしこの年は*トニービン産駒がデビューを迎えた年で、イタリア競馬に注目が行くのは当然のことだろう。Alydeed は後に北米GIも制し、種牡馬としても何頭かのGI馬を出したものの、父系を繋ぐには至らなかった。Leonardo はパナマで三冠を達成するなど20戦18勝の成績を残したようだ。

ターントゥ系はベネズエラの Catire Bello のみ、ネイティヴダンサー系もアルゼンチンの Priest がダービーを制すにとどまった。

セントサイモン系St. Jovite は愛ダービーを12馬身差で、キングジョージを6馬身差で制した活躍馬で、まさにリボー系の大物といった馬だったが、種牡馬としては結果を残すことができなかった。チェコの Barbakan は Ribot を経ない Bellini の系統ということで、かなりレアな印象だ。

ファラリス系の Tom Fool の末裔からケンタッキーダービー馬 Lil E. Tee が出た。父 At the Threshold はGI馬とはいえ種牡馬としては結果を残せず、血統的にも目立ったところがなかったが、ペンシルベニア州産馬として初のケンタッキーダービー馬となった。Astonish はインドの三冠馬となった。

トウルビヨン系*ドクターデヴィアスは今のところ最後の非エクリプス系の英ダービー馬で、ほかに愛チャンピオンSなど計GI3勝をあげた。ジャパンCにも出走し、そのまま引退後は日本で種牡馬入り。4年間の供用で複数の重賞馬を出した後イタリアに渡り、現地でリーディングサイアーとなった。直系は日本ではは繋がらなかったが、母系ではダイワエルシエーロやキセキなどを出しており、母系では残っていきそうだ。




この記事へのコメント

1. Posted by 鈴鹿越え 2022年07月13日 23:56
短距離で実績出した種牡馬からクラシックディスタンスの産駒ってケープクロスみたいですね。今の時代だったらもう少し評価もされたんでしょうか。
2. Posted by vx 2022年07月14日 00:04
この先Turn-Toは結構減りそうですね。ミスプロもまだ欧州に広がってない時代なのでナスルーラとノーザンダンサーが二分する時代でしょうか。
3. Posted by 成瀬朋 2022年07月14日 06:58
リルイーティーの母エイリーンズモーメントはのちに日本に輸入されてるみたいだけど日本ではサンデーサイレンスばかり付けられてた所から何としても軌道に乗りだしたサンデーサイレンスを更に成功させたいという当時の社台の執念が見て取れる気がする。
まあエイリーンズモーメント✕サンデーサイレンスの配合がそこまで成功したとは言い難い結果ではあったが。
4. Posted by 774 2022年07月14日 08:23
短距離ってのはエルプス、マサラッキ、コガネ兄弟辺りのイメージでしょうが、マグニテュード自体は欧州三冠馬×英愛オークス馬のバリバリのクラシック血統なので不思議でもない、ブルボン以外にもユウトウセイなんかも出てますし。
5. Posted by 鈴鹿越え 2022年07月14日 08:29
>>4
私に対してのコメントと思います。
わかりにくく恐縮ですが、ミホノブルボンではなくドクターデヴィアスについてのコメントです。
6. Posted by ジローサブロー 2022年07月14日 09:01
スプリンターを意図して生産していく時代であれば、種牡馬ミホノブルボンにもチャンスはあったのかな
7. Posted by mケー 2022年07月14日 09:27
タラレバになるけど、ミホノブルボンが3冠取れてかつ引退が早ければ集まった牝馬もまた違ったんだろうなー。
8. Posted by Organa 2022年07月14日 22:39
まだまだ外国産種牡馬が幅を利かせていた時代なので、三冠を取っていたとしてもそれほど牝馬は集まらなかったのではないでしょうか。

この記事にコメントする ※常識的なハンドルネームでお願いします。

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
記事検索
サラブレッド血統入門
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

一から始める! サラブレッド血統入門 [ 平出 貴昭 ]
価格:1728円(税込、送料無料) (2019/4/1時点)

当ブログ「父系馬鹿」が
紹介されています。
最新コメント
QRコード
QRコード