2023年01月30日

ロジャーバローズ - 新種牡馬辞典'23

新種牡馬辞典、第十二弾はロジャーバローズ。同馬を生産したのは年間の生産頭数が20頭に満たない飛野牧場で、海外の繁殖セールにてジェンティルドンナの母*ドナブリーニの半妹にあたる*リトルブックを落札、ジェンティルドンナを再現すべくディープインパクトが種付けされて誕生したのがこのロジャーバローズでした。トライアルで何とか2着に入り、辛うじてダービー出走をつかみ取るも本番では12番人気と低評価でしたが、ここで完勝してしまうのがディープインパクトの血といったところでしょうか。その後は残念ながら故障に見舞われ現役を続行することはできませんでしたが、初年度から100頭近い牝馬を集めるなど種牡馬としてはなかなか高い評価を受けているといえるでしょう。
ロジャーバローズ

飛野牧場産 2016年生 鹿毛 父系:ディープインパクト系

<血統構成> Lyphard 4×4 Northern Dancer 5×4×5

ディープインパクト

鹿毛 2002
*サンデーサイレンスHalo
Wishing Well
*ウインドインハーヘアAlzao
Burghclere
*リトルブック

鹿毛 2008 GB
LibrettistDanzig
Mysterial
Cal Norma's Lady*リファーズスペシャル
June Darling

父はディープインパクト。生産牧場の飛野牧場にとって初めて中央GIを制したのがこのロジャーバローズであった。初年度の種付け数は97頭であったが、これは非社台系ディープインパクト産駒としてはキズナ、ディープブリランテに続く数字で、いかに同産駒のダービー馬が重宝されているかという証拠だろう。

*リトルブックは英国未勝利。母としてこれまで4頭の産駒がデビューしているが、ほかに目立った産駒は出していない。その父 Librettist はジャックルマロワ賞やムーランドロンシャン賞を制した活躍馬だったが、種牡馬としては短距離重賞5勝をあげた Libranno を出すにとどまった。

祖母 Cal Norma's Lady は英愛3勝。母として英GIチェヴァリーパークSを制した*ドナブリーニ、米芝GIIIウィルロジャーズHを制した Magical などを出している。*ドナブリーニは後に繁殖牝馬として輸入され、三冠牝馬ジェンティルドンナ、重賞2勝のドナウブルーなどの母となった。*ドナブリーニの父 Bertolini も Danzig 産駒であるため、ロジャーバローズとジェンティルドンナは血統表上は7/8同血ということになる。

<競走成績>

年 (歳)主な実績
2018年 (2歳)211着 新馬 T2000
2019年 (3歳)421着 東京優駿(GI) T2400
1着 福寿草特別(500) T2000
2着 京都新聞杯(GII) T2200
63

デビュー戦となる8月の新馬戦を快勝。続く500万下の紫菊賞は後のホープフルS2着馬アドマイヤジャスタの2着に終わり、2歳シーズンを終えた。3歳初戦の福寿草特別を2馬身差で完勝してオープン入りを果たしたが、続くスプリングSは上位人気ながら7着に敗れ、皐月賞への出走を断念した。ダービーに向けて出走した京都新聞杯はこれまでと違って逃げの戦法で2着に入りダービーへの切符をつかむと、本番は単勝93倍の12番人気と低評価だったが、単独2番手でレースを進め早め先頭から最後はクビ差押し切り、見事第86代のダービー馬に上り詰めた。その後は凱旋門賞に向かうプランが立てられたが、屈腱炎を発症し長期休養を余儀なくされたため、結局このダービーが最後のレースとなった。

<供用実績>

年度種付料種付数生産数登録数供用場所
2020120万円976161アロースタッド
2021120万円876461
2022120万円68イーストスタッド
2023120万円

引退後はアロースタッドとイーストスタッドを2年おきに移動する国内シャトルスタリオンとして種牡馬入りすると、120万円の種付け料で初年度は100頭近い牝馬を集めた。翌年は10頭減らして87頭、イーストスタッドに移動しての昨シーズンはさらに20頭近く減って68頭と徐々に種付け頭数を減らしているのが若干の気がかりだ。ただ両スタッドで繋養されること自体需要の高さの証だろうし、近親のジェンティルドンナからGIウイナーが出たということで、今シーズンは種付け数が盛り返す可能性も十分あるだろう。

<産駒一覧>

母名母父名生産者馬主価格
アースフライトドリームジャーニー静内フジカワ牧場
アートオブビーンアグネスデジタル岡田牧場(株)レックス1350
アイラブリリストラヴィンスキー飛野牧場
アグネスフィーバーVindication高松牧場廣松光成150
アルジェントShamardal飛野牧場鈴木美江子450
アルポルトルーラーシップ桑田牧場友駿ホースC1200
アンヌタイキシャトル中島牧場ターファイトC1200
エーシンセノーテフレンチデピュティ松本牧場
エーシンミモザキングカメハメハ城地牧場石川県馬主協会350
エキナシアスニッツェルミルファーム
エスカレートバイオアルデバランII中館牧場
エリモプリンセスキングカメハメハ山際セントラルスタッド(有)キタジョファーム400
オールフラッグズフライングWar Front飛野牧場千葉正人
ガウラミディフリオーソ岡田牧場
カラヴィンカBernardini小島牧場
カルナヴァレローエングリン岡田牧場
キャッスルブラウンSilver Hawkレジェンドファーム
キュルミナンシンボリクリスエスディアレストクラブ石井輝昭400
クローバーリーフタニノギムレットノーザンファーム
グローバルソングブライアンズタイム藤原牧場齊藤雅志850
ケイティーズミストPosse富田牧場
ゲラウトマイウエイスキャターザゴールドキヨタケ牧場田中成奉440
サーリセルカウォーエンブレム太陽牧場
サブノプリンセスローエングリン藤沢牧場
サブラタウォーエンブレム清水牧場
シーヴァージアクロフネ高橋ファーム
シーカーマExchange Rate静内フジカワ牧場 猪熊広次
シャンロッサGalileo三嶋牧場石川達絵
シンフォニアサクラバクシンオー辻牧場
スイートエルドールフレンチデピュティシンボリ牧場幅田昌伸340
スターギャルヨハネスブルグ林博道乙訓史樹200
スペランツァーレシングスピール小倉光博岩崎充利620
スマートグレイスヤマニンセラフィム飛野牧場
チェルカクロフネ白井牧場猪熊広次
ツボミスペシャルウィークレイクヴィラファーム石川達絵
ティアランドールAction This Day前田ファーム
トロピカルスパートフリオーソ宮内牧場
ネーベルホルンHenrythenavigator田中スタッド兵庫県馬主協会長橋賢吾310
ノーブルストーンHussonet石郷岡松太郎福地トレーニングファーム100
バルスピュールチーフベアハートディアレストクラブ石井輝昭500
ビジータイムマンハッタンカフェグランド牧場
ビューティテソーロCamelotリョーケンファーム了徳寺健二ホールディングス
プラリネアドマイヤムーン富菜牧場ユニオンオーナーズC1000
プリティキャサリンVindication川島牧場
プリンセスミユキスウェプトオーヴァーボードヴェルサイユファームディアレストクラブ(株)300
プレザントケイプCape Cross友田牧場R Unicorn ステーブル3100
ヘーザフレンチデピュティ岡田牧場千葉県馬主会(株)M'sカンパニー400
ポワティエLe Havre畠山牧場
マレンカヤファンタスティックライト大狩部牧場猪熊広次200
ミカルベウススウェプトオーヴァーボード野坂牧場酒井孝敏540
ミスシューケットルーラーシップ大島牧場
メイショウマイカゼメイショウボーラー多田善弘
メディナロードカナロア松本牧場石瀬浩三300
ラダームブランシェチチカステナンゴ服部牧場
ルヴァンクレールDanehill Dancer市川ファーム了寺健二ホールディングス(株)1650
ルプスキングズベストバンブー牧場中辻明
レインオンザデューンFrankel飛野牧場(株)B.B レーシング1300
レッドルンバRed Ransom岡田スタッド
ロックLawman三嶋牧場猪熊広次
ロックザボートFastnet Rock三嶋牧場猪熊広次
ワンダースキーストラヴィンスキー米田牧場

セールでの最高落札額はプレザントケイプの3100万円で、ガイアフォースやダークペイジを所有するKRジャパン名義で中央登録されている。それ以外には目立って高額で落札された産駒はいないが、20頭以上セリに出されて主取りはわずか3頭と売れ行き自体は悪くなかった。生産者としてはやはりロジャーバローズを生産した飛野牧場が最も多く、オープン馬の仔アイラブリリ、母父 Frankel のレインオンザデューンなど、選りすぐりの牝馬に種付けされている。当然バローズの猪熊氏も多数の産駒を所有している。ノーザンファーム産も1頭おり、クローバーリーフは2代連続でダービー馬が種付けされている。個人的な注目はキャッスルブラウン。この時代に母父 Silver Hawk というのがすごいが、ジェラルディーナが出たように相性は悪くないはず。

<傾向予想>

ダート距離2歳3歳古馬
マイル〜中

ディープインパクト産駒で、母系にも特にダート向きの強い影響を与える血は見当たらず、やはり実績通りに芝向きということになるのではないだろうか。自身はダービーで一世一代の大金星をあげたが、このレースの2着馬もマイラー傾向の強いダノンキングリーだったこと、また母父 Librettist の影響もあり、基本はマイルから2000mくらいを得意とする産駒が多くなりそうだ。仕上がりは早く、3歳春には完成するだろう。古馬になってからの成長力は不明だが、ジェンティルドンナやジェラルディーナの活躍を見る限り、単なる早枯れとは考えにくく、ある程度息長く走れるのではないだろうか。

10戦無敗の成績を残したトキノミノル、逃げて二冠を達成したサニーブライアン、NHKマイルCからのローテでダービーを制したタニノギムレットなど、ダービー勝利がラストランとなった馬は意外に多く、ロジャーバローズで11頭目ということになる。晩年が今一つで、ダービーを勝った直後に引退していれば…といわれる馬は過去多くいたが、過去10頭の該当馬を見ても、破傷風で死亡したトキノミノルは別としても種牡馬として結果を残したと言えるのはウオッカを出したタニノギムレットと、半世紀以上前に2頭のダービー馬を出したミナミホマレくらいのものであり、かなり苦戦が続いている。ディープインパクト産駒の同馬がこの流れを変えることができるだろうか。




この記事へのコメント

1. Posted by 柴田 2023年01月30日 23:55
ワンアンドオンリーもダービー直後に引退してたら種付数が3桁に行っていたか考えさせられます。
2. Posted by こすも 2023年01月31日 00:11
京都新聞杯組は先行勢を狙うのがセオリー(だからキズナは未だに意味わからない)で押さえたけど、まさか勝つとは😳!
3. Posted by あ 2023年01月31日 00:29
数が減るの自体はまあそこまで悲観しなくてもいいとは思いますね、ある程度は仕方ないと割り切っていける数の変動には見えます
去年は日高にシルステフィーバーが吹き荒れたりした部分もあるでしょうし、ディープ後継争いはどのニッチも過酷苛烈なのは自明ですから

ジェンティルドンナは姉ドナウブルーみたいなちんまい子ばかりを出してなかなか当たりが来ませんでしたが、モーリスの成長力に託したのが良かったと見えるジェラルディーナはG気泙念豕い貌佑抜けましたから
そこそこ体重あって軽快に先行出来る子が出て来たらいい線行けるでしょうかね
4. Posted by ようよう 2023年01月31日 00:59
ディープインパクト種馬も飽和状態なので、いささか厳しい状況でしょうね。
この種付け価格というのが微妙というか、中途半端な
芝馬狙いの母が多い印象を感じます。

やはり今のご時世、ダート父ならダート系母。
完全芝馬なら芝系母と、ゼネラリストを貫かない、
「何とか売れる馬を!」
の配合がディープ系の衰退を招くと思います。


了徳寺Hの高額2頭は完全にクラシックディスタンスの配合です。
たとえハズレでも「ここしかない!」という配合が、育成・調教に結び付き、結果に一番近いと思うのですが。
5. Posted by vx 2023年01月31日 03:39
母父の顔ぶれが多様で、割と相手を選ばない血統構成になってるのかなと思いました。
6. Posted by よし 2023年01月31日 07:05
ダート狙いなのかな?という血統がたまにいますね。
7. Posted by 喜高善 2023年01月31日 12:43
ロジユニヴァースも現役に拘らなければもっと産駒を出せたと思ってます。
8. Posted by Organa 2023年01月31日 22:51
バローズとか飛野牧場あたりのバックアップが強力な内に何とか活躍馬を出しておきたいところですね。
9. Posted by ウマ 2023年02月01日 01:25
ノーザン1頭は厳しいと思うが、こういう狙った配合から活躍馬が出て牧場を支えるのはロマンあるので応援したい
10. Posted by ワシ 2023年02月01日 21:31
サートゥルナーリアとかいう駄馬を沈めた2019世代最強馬
11. Posted by acuo 2023年02月02日 11:47
ジェラルディーナとで
ディープの2X3!!
その他多数!!

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