2024年11月07日

カーソンシティ系/ジェイドロバリー系/フサイチペガサス系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023

「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第百九十八弾はカーソンシティ系ジェイドロバリー系、およびフサイチペガサス系をまとめて紹介します。Carson City はGIIまでの勝ち星しかなかったのですが、種牡馬としては複数のGI馬を出しており、それほど大きな広がりは見せていないものの今でもしぶとく生き残っています。日本に輸入された種牡馬はおらず、京王杯3歳Sの*ダイワカーソンが目立つ程度でしょうか。*ジェイドロバリーは初期の日本を代表するミスプロ系種牡馬の1頭で、多数の活躍馬を送り出して最高で総合リーディング3位にランクインした成功種牡馬ですが、クラシックや王道路線には縁がなく、ダート・短距離のイメージを植え付けた張本人の1頭と言えるでしょう。Fusaichi Pegasus は関口房朗氏がアジア人オーナーとして、さらにはミスプロ直仔として初めてケンタッキーダービーを制した馬で、巨額トレードで種牡馬入りしましたが、父としては今一つといったところでしょうか。
<カーソンシティ系父系図> ⇒前回はこちら

Polynesian 1942
 Native Dancer 1950
  Raise a Native 1961
   Mr. Prospector 1970
    Carson City (USA) 1987
    | ・1989年 サプリングS(USA-II)
    | ・1990年 フォールハイウェイトH(USA-II)
    |Boone's Mill (USA) 1992
    || ・1994年 サプリングS(USA-II)
    ||*エイシンワーランド(USA) 1997
    |  ・中央で1勝
    |Lord Carson (USA) 1992
    || ・1996年 ブージャムH(USA-II)
    ||*ゴーストタウン(USA) 1999
    |  ・中央で1勝
    |Five Star Day (USA) 1996
    || ・2000年 フィーニクスブリーダーズCS(USA-III)
    || ・2001年 アルフレッド・G.ヴァンダービルトH(USA-II)
    ||*エイシンダンベリー(USA) 2003
    |  ・中央で2勝
    |*ダイワカーソン(USA) 1997
    | ・1999年 京王杯3歳S(GII)
    |City Zip (USA) 1998
    || ・2000年 ホープフルS(USA-I)
    || ・2000年 サンフォードS(USA-II)
    ||Run Away and Hide (USA) 2006
    ||| ・2008年 サラトガスペシャルS(USA-II)
    ||| ・2008年 ケンタッキーS(USA-III)
    |||*アポロテネシー(USA) 2015
    ||  ・2020年 (3着)仁川S(OP)
    ||*シティトゥシティ City to City (USA) 2007
    || ・2012年 ブエナヴィスタH(USA-II)
    || ・2012年 ジョン・C.メイビーS(USA-II)
    ||Palace (USA) 2009
    ||| ・2014年 アルフレッド・G.ヴァンダービルトS(USA-I)
    ||| ・2014年 フォアゴーS(USA-I)
    |||*ユウアメリカン(USA) 2017
    ||  ・地方で12勝
    ||*レニーズゴットジップ Reneesgotzip (USA) 2009
    || ・2012年 サンタイネスS(USA-II)
    || ・2013年 ランチョベルナルドH(USA-III)
    ||*パーソナルダイアリー Personal Diary (USA) 2011
    || ・2014年 デルマーオークス(USA-I)
    || ・パーソナルハイの母。牝系残存
    ||*ジペッサ Zipessa (USA) 2012
    || ・2016年 ドクタージェイムズペニーメモリアルS(USA-III)
    || ・2017年 ファーストレイディS(USA-I)
    ||*ファイネストシティ Finest City (USA) 2012
    || ・2016年 ブリーダーズCフィリー&メアスプリント(USA-I)
    || ・2017年 サンタモニカS(USA-II)
    ||Collected (USA) 2013
    ||| ・2017年 パシフィッククラシック(USA-I)
    ||| ・2017年 カリフォルニアンS(USA-II)
    |||*コレクテイニア(USA) 2020 ★現役
    ||  ・中央で1勝
    ||*キャッチアグリムス Catch a Glimpse (USA) 2013
    || ・2015年 ブリーダーズCジュヴェナイルフィリーズターフ(USA-I)
    || ・2016年 ベルモントオークス(USA-I)
    ||Improbable (USA) 2016
    || ・2018年 ロスアラミトスキャッシュコールフューチュリティ(USA-I)
    || ・2020年 ハリウッドゴールドC(USA-I)
    || ・2020年 ホイットニーS(USA-I)
    || ・2020年 オーサムアゲインS(USA-I)
    ||*ジッピーレーサー(USA) 2017 ★現役
    |  ・中央で2勝
    |ゼンノストライカー 2000
    | ・2007年 KBC杯(OP)
    | ・2007年 (2着)オアシスS(OP)
    |Cuvee (USA) 2001
    || ・2003年 米フューチュリティS(USA-I)
    || ・2003年 サラトガスペシャルS(USA-II)
    ||*エーシンシークルー(USA) 2006
    |  ・中央で3勝
    |Pollard's Vision (USA) 2001
     | ・2004年 イリノイダービー(USA-II)
     | ・2004年 ローンスターダービー(USA-III)
     |*ブラインドラック Blind Luck (USA) 2007
       ・2009年 ハリウッドスターレットS(USA-I)
       ・2009年 オークリーフS(USA-I)
       ・2010年 ケンタッキーオークス(USA-I)
       ・2010年 アラバマS(USA-I)
       ・2010年 ラスヴィルヘネスS(USA-I)
       ・2011年 ヴァニティH(USA-I)


Carson City はGIIまでの勝ち星しかなかったが、種牡馬としてはホープフルSの City Zip など複数のGIウイナーを送り出すことに成功した。ただ基本的には牝馬優勢の系統で、牡馬の大物はハリウッドゴールドCなどGI4勝をあげた Improbable くらいのものであったが、同馬が今年わずか8歳の若さで早世したこともあり、今後の父系の存続は不透明となっている。日本に輸入された種牡馬はおらず、マル外として*ダイワカーソンが京王杯3歳Sを勝ったのが目立つ程度だが、ケンタッキーオークスなどGI6勝をあげた*ブラインドラック、BCジュヴェナイルフィリーズターフなどGI2勝をあげた*キャッチアグリムスらを筆頭に多数のGI牝馬が繁殖馬として輸入されており、今後母系で存在感を増す系統かもしれない。


<ジェイドロバリー系父系図> ⇒前回はこちら

Polynesian 1942
 Native Dancer 1950
  Raise a Native 1961
   Mr. Prospector 1970
    *ジェイドロバリー Jade Robbery (USA) 1987 1991-2014
    | ・1989年 仏グランクリテリウム(FR-I)
    | ・オーストラリアやUAEでリース供用
    |イブキインターハイ 1992
    | ・1995年 京都4歳特別(GIII)
    |タイキシャーロック 1992 2000-2012
    || ・1997年 南部杯(GI)
    || ・1998年 浦和記念(GII)
    || ・1998年 エルムS(GIII)
    ||リュウヨウ 2001
    |  ・2007年 読売レディス杯(金沢)
    |テセウスフリーゼ 1992
    | ・1996年 アンタレスS(GIII)
    | ・1998年 さきたま杯(GIII)
    | ・1999年 黒船賞(GIII)
    |ネーハイジャパン 1992
    | ・1996年 東京障害特別(秋)
    | ・1997年 京都大障害(春)
    |オールフォーゲラン 1993
    | ・ウインブライト、ウインファビラスの祖母。牝系残存
    |テンパイ(GIII) 1993
    | ・1998年 プロキオンS
    |ナイキジャガー 1993 2000-2011
    || ・1996年 羽田盃(大井)
    || ・1996年 黒潮盃(大井)
    ||フクノカミ 2003
    |  ・地方で12勝
    |ファンドリロバリー 1993
    | ・1998年 (2着)朝日チャレンジC(GIII)
    | ・2000年 阪神スプリングジャンプ(JGII)
    |ロバリーハート 1993
    | ・1998年 群馬記念(GIII)
    | ・1998年 東北サラブレッド大賞典(上山)
    |オースミジェット Osumi Jet 1994 2001-2011
    || ・1999年 アンタレスS(GIII)
    || ・1999年 マーキュリーC(GIII)
    || ・1999年 平安S(GIII)
    || ・1999年 名古屋大賞典(GIII)
    || ・2000年 マーキュリーC(GIII)
    || ・2000年 平安S(GIII)
    || ・2000年 名古屋大賞典(GIII)
    || ・韓国で種牡馬入り
    ||ゴールドジェット 2004
    || ・地方で8勝
    ||Super Rich (KOR) 2007
    |  ・2011年 (3着)日刊スポーツ杯(KOR-L)
    |メイショウアヤメ 1995
    | ・1998年 (2着)4歳牝馬特別(西)(GII)
    | ・メイショウマンボの祖母。牝系残存
    |ヤマカツスズラン 1997
    | ・1999年 阪神3歳牝馬S(GI)
    | ・2001年 クイーンS(GIII)
    | ・2002年 マーメイドS(GIII)
    | ・2002年 全日本サラブレッドC(GIII)
    | ・ヤマカツブライアン、ヤマカツライデンの牝祖。牝系残存
    |ルネッサンス 1997
    | ・2000年 ラジオたんぱ賞(GIII)
    |リキセレナード 1998
    | ・2000年 小倉3歳S(GIII)
    | ・キングスレガリアの母。牝系残存
    |Phantom Thief (AUS) 2001
    | ・2005年 タスマニアンダービー(AUS-III)
    |Valkyrie Diva (AUS) 2001
    | ・2006年 MVRCテシオS(AUS-III)
    |ピカレスクコート 2002
    | ・2006年 (2着)ダニエルヴィルデンシュタイン賞(FR-II)
    | ・2007年 ダービー卿チャレンジT(GIII)
    |*ダガーズアラベスク(UAE) 2003
    | ・2005年 東京2歳優駿牝馬(大井)
    | ・2005年 ローレル賞(川崎)
    |Alvarita (IND) 2004
    | ・2007年 バンガロールフィリーズチャンピオンシップ(IND-1)
    | ・2007年 フィリーズトライアルS(IND-1)
    |Kirklees (IRE) 2004
    | ・2006年 伊グランクリテリウム(ITY-I)
    | ・2009年 ヨークS(GB-II)
    |キクノサリーレ 2005
      ・2008年 武蔵野S(GIII)


*ジェイドロバリーは仏グランクリテリウムの勝ち馬で、4歳時より日本で種牡馬入り。初年度から南部杯など重賞3勝のタイキシャーロック、アンタレスSなど重賞3勝のテセウスフリーゼなど4頭のJRA重賞勝ち馬を送り出すと、その後もアンタレスSなどダート重賞7勝をあげたオースミジェット、阪神3歳牝馬Sなど重賞4勝をあげたヤマカツスズランなどコンスタントに重賞ウイナーを送り出し、日本に輸入された Mr. Prospector 直仔としては*フォーティナイナー、*アフリートらに肩を並べる成功を収めた。晩年には当時まだ馬産が行われていたUAEなどでも供用されており、UAE産馬*ダガーズアラベスクがマル外として走って南関で活躍した。

中央ダートでは3年連続でリーディングサイアーに輝き、総合リーディングでも合計8回トップ10位以内にランクインしたが、短距離・ダート向きという従来のイメージを覆すことはできず、種牡馬入りした産駒は多くなかった。それでもタイキシャーロックが初年度80頭を超える牝馬を集めると、オースミジェットも初年度40頭近い牝馬に種付けを行うなどそれなりには期待されていたが、前者は何頭かの地方重賞の勝ち馬を出しただけと振るわず、後者もすぐに牝馬が集まらなくなって韓国に輸出された。母系ではウインブライトやメイショウマンボなどを出しており、今後どこまで残るかといったところ。


<フサイチペガサス系父系図>

Polynesian 1942
 Native Dancer 1950
  Raise a Native 1961
   Mr. Prospector 1970
    Fusaichi Pegasus (USA) 1997
    | ・2000年 ケンタッキーダービー(USA-I)
    | ・2000年 ウッドメモリアルS(USA-II)
    |Bandini (USA) 2002
    || ・2005年 ブルーグラスS(USA-I)
    || ・2006年 スキップアウェイH(USA-III)
    ||*カフェヒミコ(USA) 2008
    |  ・中央で3勝
    |Roman Ruler (USA) 2002
    || ・2004年 ノーフォークS(USA-II)
    || ・2005年 ハスケル招待H(USA-I)
    || ・亜リーディングサイアー
    ||*カルディーン Caldine (ARG) 2009
    || ・2012年 エストレジャス大賞ジュヴェナイルフィリーズ(ARG-I)
    || ・2012年 亜オークス(ARG-I)
    ||*サウンドガガ(USA) 2009
    || ・2014年 スパーキングレディーC(JpnIII)
    ||Bichui Wangja ビチェワンジャ(USA) 2010
    || ・2013年 (3着)KRAカップクラシック(KOR-3)
    || ・2016年 (12着)インタラクションC(大井)
    ||*ティロレスカ Tirolesca (ARG) 2011
    || ・2015年 マイプ大賞(ARG-I)
    || ・2015年 フェリックス・デ・アルサガ・ウンスエ大賞(ARG-I)
    ||*マスクゾロ(USA) 2011 2018-
    | | ・2016年 シリウスS(GIII)
    | |キョウエイゾロ 2019
    |   ・中央で1勝
    |*フィフティーワナー(USA) 2002
    | ・2006年 アンタレスS(GIII)
    |リバースモード 2002 2011-2023
    || ・中央で3勝
    ||ホクソウラン 2013
    |  ・地方で2勝
    |*セイウンヒーロー Seiun Hero (USA) 2004
    | ・中央で1勝。アイルランドで種牡馬入り
    |*ピサノデイラニ(USA) 2004 2011-2019
    || ・2007年 (2着)ヒヤシンスS(OP)
    ||リコーエンツォ 2012
    |  ・地方で9勝
    |*インバルコ(USA) 2006
    | ・2010年 ブラジルC(OP)
    | ・2011年 ブラジルC(OP)
    |フサイチセブン 2006 2014-
    || ・2010年 ダイオライト記念(JpnII)
    ||ロンコーネ 2018 ★現役
    |  ・中央で3勝
    |*マイジェン My Jen (USA) 2007
    | ・2010年 ギャラントブルームH(USA-II)
    | ・プルパレイ、サトノゴールドの母。牝系残存
    |*テーオーヘリオス(USA) 2012 2022-
      ・2018年 北海道スプリントC(JpnIII)


Fusaichi Pegasus は関口オーナーの所有馬として米国で走り、Mr. Prospector 直仔として、およびアジア人オーナーとして初めてケンタッキーダービーを制した。当然種牡馬として巨額のシンジケートが組まれたものの、ハスケル招待Hの Roman Ruler など何頭かのGI馬を出した程度に終わり、父としては大きなインパクトを残すことはできなかった。現在ではシャトル先のアルゼンチンでリーディングとなった Roman Ruler の系統が生き残っている程度である。日本でも多数の産駒が輸入され、ダイオライト記念のフサイチセブンやアンタレスSの*フィフティーワナーなど複数の重賞馬が出ており、複数の産駒が種牡馬入りしたが、今のところ父系として大きな広がりは見せていない。




この記事へのコメント

1. Posted by     2024年11月08日 00:03
結局サンデーと交配できたかどうかなんでしょうね
ジェイドロバリー(翡翠泥棒)はもっと違ってたハズです
でもそんなのどうしようもないです
2. Posted by - 2024年11月08日 07:53
ジェイドロバリーは2歳G1勝ち・Sadler's WellsやNureyevの近親・ダート得意と日欧両面から見ても産まれた時代間違えた感が凄いと思います
3. Posted by よし 2024年11月08日 08:57
サンデーやブライアンズタイムがいる時代にダートリーディングは凄いですね。>ジェイドロバリー
この2頭産駒はダート進出してなかった頃なのでしょうか。
ダビスタしてた頃好んで付けていた記憶があります。
4. Posted by い 2024年11月08日 12:47
ジェイドロバリーはヘクタープロテクター同様に明らかに芝狙いで買い付けたのにダート寄りに出ちゃいましたからね
結果こそ出しましたが社台スタリオンとしては頭が痛いところはあったでしょう
そしてキンカメが来るまで早逝に種付けしないとミスプロ系で躓き続けるという…
5. Posted by さ 2024年11月08日 19:51
キンカメは偉大でしたな、マンボ系も日本独自のガラパゴス系統になりつつある
6. Posted by vx 2024年11月08日 23:23
社台はジェイドの血統的ポテンシャルを高く評価してバックアップしてましたけど、芝で突き抜けられずに父系が伸びなかったのもったいなかったですねを
7. Posted by Organa 2024年11月08日 23:51
>>3
ブライアンズタイムがダートリーディングを取った後にジェイドロバリーが3連覇していますから価値がありますね。ブライアンズタイムは当初それほど産駒数が多くなかったので、質より量という見方もあるかもしれませんが。
8. Posted by こすも 2024年11月09日 10:01
そっか、ミスプロ3巨頭でジェイドロバリーだけ個別ページ貰えないのは現地での産駒がいないからか。
9. Posted by ろい 2024年11月10日 22:00
フサイチペガサス産駒といえばボクシングのファイティング原田(オーストラリアで語り草の試合をしたそうです)が由来のハラダサンがオーストラリアとイギリスで活躍しましたが種牡馬としては大失敗で本邦への産駒輸入もないみたいですね。

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