2024年11月29日
その他の純血アラブ父系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第二百十七弾はその他のアラブ父系をまとめて紹介して完全にこのシリーズ終了となります。ここに紹介する以外にも数えきれないほどの純血アラブを祖とする種牡馬が輸入されてきたのですが、そのほとんどの直系が途絶えており、2000年代以降にまで父系を繋いだ系統はそれほど多くはありませんでした。サラブレッド父系出身のタカクラヤマや*バラッケー、*ライジングフレームのように大父系を築き上げた馬はおらず、やはり父方と母方では明確に遺伝力に差ができるのかと思う一方、中には競走馬としてのアングロアラブ生産ではなく、数十キロメートルもの距離を数時間かけて争うエンデュランス競技のために輸入された馬もいて、非常にバラエティに富んだ存在となっています。もはや平地競走に供される馬と血統的な交流を持つことは永遠にあり得ないように思いますが、逆に世界的規模で見ればサラブレッドという種のほうが少数派ということになりますね。
＜サクラウィ系父系図＞
Arab lines：Saklawi I
この系統からはハンガリー産の*イブンギャラルニノニ、オーストラリア産の*サブタシャロム、そしてフランス産の*デザートショットと3頭の種牡馬をはじめ、複数の繁殖牝馬が輸入されているが、いずれも競走用ではなく、エンデュランス競技用に供用されているようだ。純血アラブを維持するためにかなりの近親配合になっている馬も多く見受けられる。ここには軽種(アラブ・アングロアラブ)のみ記載しているが、他の品種に種付けされて産駒を残している馬もいるかもしれない。なお100％アラブのファルハーンニセイは今年9年ぶりに軽種馬相手に種付けを行ったようだ。
＜バルク系父系図＞
Arab line：Barq
*ジゴロは100％アラブで、50％アラブ生産のために最大で年間40頭を超える牝馬を集めた。後継種牡馬も何頭かいたが、父系を伸ばしたバーディーはエンデュランス用に供用された。同じく100％アラブの*ケーモベイプリはあのムツゴロウ王国で供用されていた。アメリカ産の100％アラブ、*ゴールデンフューチャファイアは50％アラブ生産のために30頭ほどの産駒を残し、後継種牡馬も残している。
＜ラティフ系父系図＞
Arab line：Latif
*エロティシモは農業省賞などの重賞競走を勝った活躍馬で、60％ほどのアラブ血量を持つためサラブレッド相手に最大で年間40頭を超える牝馬を集めたが、活躍馬を出すことはできなかった。*クリスチアノフは競走馬としては平凡だったが、種牡馬としては南関の活躍馬ホクトスズハタなど複数の重賞馬を送り出すことに成功している。
＜クハイランアファス系父系図＞
Arab line：Kuhailan Afas
*フォーモサボーイと*インフォーマルはマル外として南関で走り、特に前者は重賞勝ちはなかったもののレコード勝ちを連発したことから種牡馬としてまずまずの牝馬を集め、アラブダービーを含む7戦全勝の成績を残したナイスフレンド、アラブダービーなどを制したフォーモサカウントなど複数の重賞馬を送り出すことに成功した。ナイスフレンドも園田最後の名馬ミスターサックスを出すなど気を吐いたが、これが最後の輝きだった。なお血統書を調べてみたが、日本にマル外として輸入されたアングロアラブはこの2頭だけであるようだ。
＜バンゴ系父系図＞
Arab line：Bango
*サルタモンテスは母 Farida IV と父父母 Callista が全姉妹という強烈な近親交配の馬だったが、兄が歴史的名種牡馬*エルシドという血統から最高で年間130頭を超える牝馬を集め、アラブ王冠連覇など道営で大活躍したイワミボーイーなど多数の重賞馬を送り出すことに成功した。*ベナも*エルシドや*サルタモンテスのおいにあたる血統ということもあって多くの牝馬を集め、複数の重賞馬を送り出した。
＜イルデリム系父系図＞
Arab line：Ilderim
オーストラリア産の*ラルヴォンジェイは父母・母父が全兄妹という近親交配で生まれた100％アラブで、やはりエンデュランス用に輸入されたようで競走馬デビューした産駒はいない。50％アラブの*アルボシカはサラ牝馬相手に30頭足らずの産駒を残したが、これといった産駒は出なかった。
＜ミラージュ系父系図＞
Arab line：Mirage
*エスシーダイヤモンドジムは2歳時にJRAが購入し、3歳時より宮内庁御料牧場の牝馬への種付けを行ったが、3年間で受胎ゼロで5歳時に廃用となった。なお種牡馬引退後は去勢されて乗馬に転向し、エンデュランス競技で入着を果たしているようだ。
Arab lines：Saklawi I
この系統からはハンガリー産の*イブンギャラルニノニ、オーストラリア産の*サブタシャロム、そしてフランス産の*デザートショットと3頭の種牡馬をはじめ、複数の繁殖牝馬が輸入されているが、いずれも競走用ではなく、エンデュランス競技用に供用されているようだ。純血アラブを維持するためにかなりの近親配合になっている馬も多く見受けられる。ここには軽種(アラブ・アングロアラブ)のみ記載しているが、他の品種に種付けされて産駒を残している馬もいるかもしれない。なお100％アラブのファルハーンニセイは今年9年ぶりに軽種馬相手に種付けを行ったようだ。
＜バルク系父系図＞
Arab line：Barq
*ジゴロは100％アラブで、50％アラブ生産のために最大で年間40頭を超える牝馬を集めた。後継種牡馬も何頭かいたが、父系を伸ばしたバーディーはエンデュランス用に供用された。同じく100％アラブの*ケーモベイプリはあのムツゴロウ王国で供用されていた。アメリカ産の100％アラブ、*ゴールデンフューチャファイアは50％アラブ生産のために30頭ほどの産駒を残し、後継種牡馬も残している。
＜ラティフ系父系図＞
Arab line：Latif
*エロティシモは農業省賞などの重賞競走を勝った活躍馬で、60％ほどのアラブ血量を持つためサラブレッド相手に最大で年間40頭を超える牝馬を集めたが、活躍馬を出すことはできなかった。*クリスチアノフは競走馬としては平凡だったが、種牡馬としては南関の活躍馬ホクトスズハタなど複数の重賞馬を送り出すことに成功している。
＜クハイランアファス系父系図＞
Arab line：Kuhailan Afas
*フォーモサボーイと*インフォーマルはマル外として南関で走り、特に前者は重賞勝ちはなかったもののレコード勝ちを連発したことから種牡馬としてまずまずの牝馬を集め、アラブダービーを含む7戦全勝の成績を残したナイスフレンド、アラブダービーなどを制したフォーモサカウントなど複数の重賞馬を送り出すことに成功した。ナイスフレンドも園田最後の名馬ミスターサックスを出すなど気を吐いたが、これが最後の輝きだった。なお血統書を調べてみたが、日本にマル外として輸入されたアングロアラブはこの2頭だけであるようだ。
＜バンゴ系父系図＞
Arab line：Bango
*サルタモンテスは母 Farida IV と父父母 Callista が全姉妹という強烈な近親交配の馬だったが、兄が歴史的名種牡馬*エルシドという血統から最高で年間130頭を超える牝馬を集め、アラブ王冠連覇など道営で大活躍したイワミボーイーなど多数の重賞馬を送り出すことに成功した。*ベナも*エルシドや*サルタモンテスのおいにあたる血統ということもあって多くの牝馬を集め、複数の重賞馬を送り出した。
＜イルデリム系父系図＞
Arab line：Ilderim
オーストラリア産の*ラルヴォンジェイは父母・母父が全兄妹という近親交配で生まれた100％アラブで、やはりエンデュランス用に輸入されたようで競走馬デビューした産駒はいない。50％アラブの*アルボシカはサラ牝馬相手に30頭足らずの産駒を残したが、これといった産駒は出なかった。
＜ミラージュ系父系図＞
Arab line：Mirage
*エスシーダイヤモンドジムは2歳時にJRAが購入し、3歳時より宮内庁御料牧場の牝馬への種付けを行ったが、3年間で受胎ゼロで5歳時に廃用となった。なお種牡馬引退後は去勢されて乗馬に転向し、エンデュランス競技で入着を果たしているようだ。
Organa at 23:11｜コメント(7)｜サイアーラインで辿る日本競馬2023
この記事へのコメント
1. Posted by あああ 2024年11月29日 23:39
アラブの血の入ったサラ系繁殖牝馬ってどれぐらい残っているんですかね？ラピッドリーランの子孫とか残っていたら嬉しいけど、、、
2. Posted by 昭パ 2024年11月30日 00:15
シメがこのジャンル･･･
ええーそんなー！いえ失礼しました
初老ジャパンブロンズメダル獲得時の特別番外編が印象に残っています
あの快挙を目の当たりにして執筆意欲が高まった気持ち理解できます
本当に本当におつかれさまでした
ＢＭＳ視点からの考察とか読んでみたいものですね
ええーそんなー！いえ失礼しました
初老ジャパンブロンズメダル獲得時の特別番外編が印象に残っています
あの快挙を目の当たりにして執筆意欲が高まった気持ち理解できます
本当に本当におつかれさまでした
ＢＭＳ視点からの考察とか読んでみたいものですね
3. Posted by Longines 2024年11月30日 02:31
日本だとばんえいはありますが、スタンダードブレッドやらクォーターホースやら使うタイプの競走も現存しないですがあの辺もサラブレッド父系の場合が多いみたいですね
>>1
アングロアラブの末裔の現役「サラ系」繁殖牝馬はラピッドリーラン産駒のクーヨシンくらいじゃないですかね(シロコって馬もいるみたいですが)
25％切ってなくてアングロアラブ扱いな繁殖牝馬には令和にデビューしようとしてたキタミキなんかがいるみたいですが(後は御料牧場系が数頭)
>>1
アングロアラブの末裔の現役「サラ系」繁殖牝馬はラピッドリーラン産駒のクーヨシンくらいじゃないですかね(シロコって馬もいるみたいですが)
25％切ってなくてアングロアラブ扱いな繁殖牝馬には令和にデビューしようとしてたキタミキなんかがいるみたいですが(後は御料牧場系が数頭)
4. Posted by 倫敦納豆 2024年11月30日 04:29
Saklawi IやBarqの父系を見て思ったのですが、産国がエジプトやサウジの状態で父系が何世代も続いていたのですね。サラブレッドの輸入父祖はそれ以前の血統が記されていないので、中東では血統情報が管理されていない、または管理はされていてもイギリス人にその情報が伝わっていなかったのかと思っていました。
5. Posted by 狂犬芭蕉 2024年11月30日 15:13
アルボシカはあのビッグレッドファームでけい養されていましたね。
6. Posted by 成瀬朋 2024年11月30日 20:06
ファルハーンニセイ、いつの間にか北海道から熊本に行ってたんですな。
7. Posted by Organa 2024年11月30日 21:42
>>4
アラブ馬のWikiなどによると、ベドウィンによって数千年に渡って厳格に血統管理され純血化されてきたとありますから、現在のようなスタッドブックに血統を何代にもわたって正確に書き記すという形式ではなくとも、伝承によって受け継がれてきたものがあるのでしょうね。
アラブ馬のWikiなどによると、ベドウィンによって数千年に渡って厳格に血統管理され純血化されてきたとありますから、現在のようなスタッドブックに血統を何代にもわたって正確に書き記すという形式ではなくとも、伝承によって受け継がれてきたものがあるのでしょうね。
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