この冬、第5回<種市>を開催します。 


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 <1%の熱>
 
「種市」は、日本に流通する野菜の1%にも満たない在来・固定種の野菜たちに焦点をあてたイベントです。日本に昔からある野菜や種取り農家の素晴らしさを、一人でも多くの方に知ってもらいたいという願いを込めて2013年の春から開催。今回は5回目です。



<はじまりのきっかけ>
 
きっかけは、2012年の秋。吉祥寺で種を守る活動をしているwarmer warmerの高橋さんと初めてお会いした時の一言。「日本で初めての在来・固定種の野菜だけのファーマーズマーケットをやりたいんです。吉祥寺で。」と高橋さん。
 
「いつですか?」と僕。
「半年後の春に・・・。」と高橋さん。
「詳細決まってるんですか?」
「いえ、全然(笑)、何も決まってないです。」
「じゃあ一緒にやりましょう。それ、すごく面白いです。」と僕。

 
この雑談の半年後に、全国から種どり農家が集まって第一回目の「種市」が実現しました。
企画から開催まで、怒濤のよう、あっという間でした。でも、だからこそ勢いがありました。

「種を継ぐ」という尊くも困難で、地味な仕事を黙々と続けてきたベテラン農家の覚悟。始めたばかりの若い農家たちの熱意。種を守りたいと願い、そこに何か希望を感じて種市に訪れた人々の数は想像以上で、会場には長蛇の列。フードは完売、企画したトークはすべて満席、立ち見がいっぱいに。あえて農家に限定せずに依頼した様々な立場の出演者と多様な属性の参加者との複合体と化した会場は、凄まじい熱量を放ちました。



 前回の種市にて(写真 馬場わかなさん)12235566_899327063490968_1775710035_o (1)


<新しい流通のカタチに>
 
「種市」を企画するにあたって、高橋さんと僕の間に二つの決め事がありました。

まず、「種市を新しい流通に育てる」こと。
作り手と買い手の幸せな出会いの場の提供が、流通の本来の役割だとするならば、僕らは「種市」という新しい「場」でそれを実現したかった。種どり農家と、様々な立場の人が出会い、共に考える、そんな場をつくることで、新しい流通の役割を担いたい、と。
 
もう一つは「種市」として「何かを否定しない」こと。
何かの否定から企画を構築してしまうと、必ずそこに同調圧力と予定調和が生まれ、つまらないイベントになってしまう。種市には「多様性に満ちた日本の野菜たちを、皆で愛し守り継いでいこう。」そんな前向きなメッセージを込めたかったのです。


 根本きこさんの台所 (写真 馬場わかなさん) 
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<台所が変われば全てが変わる>
 
種の問題を突き詰めると、僕はいつも「流通」と、そして「誰が農家を支えるか」という壁に突き当たります。  今、ほとんどの人が、在来固定種の野菜を食べません。 売っていないし、売っても、売れない。  
雲仙で30年、80種類近くの野菜を自家採種で育て、あらゆる不況や困難を乗り越えてきた岩崎政利さんですら、「30年で、今が一番厳しい」とおっしゃいます。 かつて農家を支えた消費者団体は姿を消し、 配送料の高騰は産直をベースに生き残ってきた有機農家や自然栽培を主とする農家の営みを直撃。 国は経済効率最優先の大規模農業を大々的に推進し、種を守り継ぐ農家にとって明るい兆しは もうほとんどありません。 


 変わるべきは、農家ではない、と痛感します。
 売れるなら作りたい、という農家は、沢山います。
 変わるべきは市場、つまりは「台所と食卓にいる僕たち」ではないでしょうか。


ものすごく長い道のりだけど、 家庭料理を復活させなきゃいけない。
男性も女性も独身も既婚も関係なく、皆が台所に立って、皆が生命力にあふれた素晴らしい素材で料理をすればいい。そうすれば、全てが変わると思う。日本の全人口の1%でいい、その台所が変わるだけで、どれだけ多くの種が守られるか。
 
種だけじゃないです。消滅に瀕した日本の一次産業が劇的に変わる。暮らしだって変わる。政治が変わらなくても、僕らが変わればいい。日々に追われ料理する時間なんてない。その気持もよくわかります。それでも僕ら食に携わる人間は、今こそ台所に立つ尊さ、素晴らしさを、 一人一人に、手紙を手渡すように伝えていかなきゃいけないと思うのです。

 

 前回の種市にて (写真 馬場わかなさん)
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<タネから生きるを考える>
 
僕は、次回の「種市」では「台所」をテーマにして臨みたい、そう思っています。
でも、それは僕のテーマ。みんな、それぞれのテーマを持つべきだし、それが「種市」だと思います。みんなが考える「種市」であってほしい。人類共通の統一された答えをつくるための企画なんて、僕は一切やりたくないな。


そんなこんなの、今回の「種市」
12月に吉祥寺でファーマーズマーケット。
1月末に雲仙で一泊二日の種市大学を開催します。

吉祥寺で祭り、雲仙で深める、そんなイメージです。ぜひ、両方ご参加を!と言いたいところですが、まずは吉祥寺の「種市」にお越し下さい。そして、実際に野菜を選んで、買って、食べていただきたい。できればトークに参加して、共に種から食べるを考えていただきたい。


 種市トーク
  12月4日 八百屋たちのタネ会議    |申込受付中
  12月5日 食べる通信とタネ会議    |申込受付中
  12月5日 男たち(農家たち)のタネ会議|申込受付中
  12月6日 根本きこ×奥津典子トーク   |満席 キャンセル待ち
  12月6日 男たち(農家たち)のタネ会議|申込受付中


種は生命の源泉です。
そこから生まれた感動や疑問が、きっと新しい毎日の扉を開くと思います。
 
僕も、この「種市」で、新しい景色を見たい。
皆様とお会いできることを心から楽しみにしています。



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雲仙・岩崎政利さんの畑にて 



 12月5日(土)6日(日)
   ファーマーズマーケット @吉祥寺

 1月30日(土)31日(日)
   種市大学 @雲仙

  公式ページ
   http://www.organic-base.com/topic/tane/

  Facebookページ
   https://www.facebook.com/taneichi.at.kichijoji