ティツィアーノとヴェネチア派展に行きました。

画家の卓越した表現力が絵画に命を吹き込んだようで、まるで生きているかのような肖像画に出会えました!
そんな拍手喝采の展覧会の感想です。
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〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 気になる混雑状況は?
3. ティツィアーノとヴェネチア派展を一言で表現すると
4. 例えばこんな絵画がありました
 ①イキイキ・ツヤツヤ、豊かな表情
 ②女性のヌードがやたら多い
 ③服の素材まで描き分ける技術力に驚嘆
5. 逆に惜しかったところ
 ①油彩の作品数が少ない
 ②ティツィアーノが出てくるまでが長い
6. 混んでいるとき・時間がないときの鑑賞方法
 ①地下1Fは諦める
 ②小さい作品はスルー
7. まとめ

展覧会の基本情報

場所:東京都美術館
最寄駅:上野
会期:2017/1/21〜4/2
作品数:約70点
所要時間:1時間ちょっと
観覧料:一般は1600円(中学生以下無料!)
ロッカー:あり(100円、使用後返金)

気になる混雑状況は?

金曜日の夜に行ったのにも関わらず、会社帰りの人が結構いました。
ですので、土日祝日はかなりの混雑が予想されます。
平日に行けない人は、朝早い時間帯か、16時頃の閉館前が狙い目です。

また、2/26放送の、NHKの日曜美術館でティツィアーノが特集されます!
テレビを見てから行きたいところですが、放送後は大変な混雑になりますので、できれば放送前に行った方がゆっくり鑑賞できると思います。

混雑時のスマートな楽しみ方は後半で紹介しますね!


ティツィアーノとヴェネチア派展を一言で表現すると

感情表現が豊かで作品のストーリーにどっぷり浸れる展覧会!

(本当は女性の裸が多かったと書きたかったのですが、さすがにはばかられました)


例えばこんな絵画がありました!

イキイキ・ツヤツヤ、豊かな表情


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ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「マグダラのマリア」(1567)
カポディモンテ美術館

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パルマ・イル・ヴェッキオ「ユディト」(1525)
ウフィツィ美術館

目に意思が宿ってる!
マグダラのマリアはとても悲しそうに天を見つめています。
ユディトは「なめんなよ!」って感じの目つきですね。

モデルの表情がとてもリアルで、まるで写真のよう。
作品に流れるストーリーが伝わってきますね。

一方、もう少し古い作品はこんな感じなんです。

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ジョヴァンニ・ベッリーニ「聖母子(フリッツォーニの聖母)」(1470)
コッレール美術館

能面!赤ちゃんも能面!!

何を考えているのかよく分かりません…
絵が上手いのは分かるのですが、正直、マリアがどこを見ているのか分からないですし、色が鮮やかなのにちょっと根暗な感じがします。

これでも同時代の画家と比べてダントツに上手かったわけです。
それくらい表情を描き分けるのは難しいことなのですね。
100年でこれだけ表現の方法が進化して、イキイキとした人間らしい自然な表情を描けるようになったというわけです。
時代の異なる絵画を比べてみると、人類の進化がつまびらかになります。

また、髪の毛も1本1本描いてあるんですよ!
絵に近づいて見て、気づいたときは戦慄しました。
画像だと画素数が足りなくてあまり分からないですけれど…
実物を見ないと分からないことですね!
ぜひ展覧会では近づいて見てみてください!


女性のヌードがやたら多い

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ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「ダナエ」(1544-46年頃)
カポディモンテ美術館

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ヤコポ・ティントレット「レダと白鳥」(1551-55年頃)
ウフィツィ美術館

裸を堂々と肯定しているのは美術界だけですからね。
美術館の作品に限っては、男性が女性のヌードをまじまじと見つめても咎められないのです。

脱いでいないにしても、こちらの絵も大概です。
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ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「フローラ」(1515年頃)
ウフィツィ美術館

ギリギリセーフなのか!?アウトなのか!?

通はこういうのを見て「素晴らしいなー芸術的だなー」と思うわけです。
不思議な世界ですね。

この時代の女性の美というと、ちょいぽちゃくらいなんでしょうか。
小太りが一番健康なんて話もありますからね、ダナエさんくらいのぽちゃ具合がちょうど良いのではないかと思います。

ところで上の絵はどんな場面を描いたかというと、どちらもギリシャ神話のワンシーンです。
「ダナエ」は金貨に化けたユピテルに初夜を奪われる場面で、
「レダ」は結婚しているのに白鳥に化けたユピテルと浮気する場面です。

ユピテルが凄く浮気者!!

ギリシャ神話もこういう話を真面目に書いているので、不思議な世界です。
神さまの世界って絶対ドロドロしてると思います。


服の素材まで描き分ける技術力に驚嘆

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ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「教皇パウルス3世の肖像」(1543年)
カポディモンテ美術館

もちろん顔のシワやヒゲの表現が緻密なのもは確かですね。
ところで、この教皇が着ている衣装の素材は何だと思いますか?

はい、ビロードですね!正解!!

服の素材が描き分けられるんですよ!
凄い技術だと思いませんか?

でも、近づいてよく見てみてください。
服のシワの描き方、結構大雑把じゃないですか??
筆の跡がそのまま残っています。
顔は丁寧に描いたのに、服はザザーっと書いているんですね。

ところが、それが良い味を出しています!

なめらかな皮膚とは異なり、布のザラッとした感じが筆の跡と似ているんですね。
柄物だと上手く描けていない感も若干あるのですが、このビロードの表現にはびっくりしました。

うわー!絵うまいなー!!

って思いました。
(美術が好きだからといって高尚な感想が言えるわけではない)

大雑把さまでも計算され尽くした、とてつもない作品です。


逆に惜しかったところ

油彩の作品数が少ない

冒頭で約70点とは申しましたけど、実質51点と言うこともできます。
全体70点の内訳として、エッチングを中心に、小さくてモノクロの作品が17点ほど入っているんですね。
つまり油彩などの見応えある作品が50点ほどです。

もちろんエッチングも素晴らしい作品が展示されていましたし、かなり見入ってしまいました。
しかし、ほとんどの来場者は油彩を期待しているのではないかと思います。
エッチングの展示コーナーは心なしか空いていたような…

で、エッチングを除くと50点…というのは少ないように感じます。
東京都美術館はB1〜2Fまでの3フロアありますし、もっと展示が多かったら良いのになーと思いました。

また、私が行った時間帯は空いていたので良かったのですが、
混雑時に小さい作品を見ようと思うと、とても大変なのではないかという懸念もあります。


ティツィアーノが出てくるまでが長い

ティツィアーノ(工房含む)の作品が8点あり、なかなか多い方だと思います。
(展覧会のタイトルに画家の名前を出しながら、その人の作品が1個しかない、というのはよくある話)

けれど、ティツィアーノが出てくるまでが長い!!

年代順に絵画を見られる構成になっているため、序盤は彼のの師匠的な立場・時代の人の作品が多いんですね。
練られた上の構成なので意味があるのだとは思います。
でも!!!

順番通りに見ていく場合、ティツィアーノ作品は15番目で初めて見ることができます。
ここまでがとても長く感じるんですよね…

ほら、歴史の授業なんかも縄文、弥生時代をじっくり講義して、
幕末の面白いところはさっさと終わらせる、みたいなことありますよね。
あれと同じ焦らしです。(嘘)

東京都美術館はB1〜2Fまでの3フロアあり、順路は地下から順番に登って行くルートです。
B1にあるティツィアーノ作品はわずか1点ですから、序盤は想像していた展覧会とは違う、と思ってしまうかもしれません。

「ティツィアーノ」と名前を出している以上、入場して最初の作品がどーんとティツィアーノ!!!という方が好きです。
好みの問題なのでアレですが、「ティツィアーノを見にきたんだ!」という層の需要に応える展示方法もアリだと思います。


混んでいるとき・時間がないときの鑑賞方法

以上を踏まえて、鑑賞ルートを見直してみましょう。
混んでいてじっくり見られないときや、急いでいて全部を見ている時間がないときは、こうしましょう!

地下1Fは諦める

地下1Fにあるティツィアーノ作品はたった1つです。
主にティツィアーノより昔の作品が飾ってあり、確かに歴史的な価値はありますが、見ごたえがあるのはもっと後の作品でしょう。

また、地下1Fは最も混雑するスペースです。
1F、2Fの方が空いていることが多いので、無理をせずに上の階へ行ってしまいましょう。
最後まで見て時間が余ったら、エレベーターで下の階に戻ることができます。
エレベーターはエスカレーターの近くにあるのですが、あまり目立たないですね。

ちなみに、地下1Fにある唯一のティツィアーノ作品がこちら。
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ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「復活のキリスト」(1511-12年)
ウフィツィ美術館

…他のティツィアーノ作品に比べれば、優先順位は下がっても仕方ないかと思います。
むしろ、序盤の鑑賞を頑張りすぎて後半を見る前に疲れてしまっては勿体無いです。
見ごたえのある作品は後半に集中しています。


小さい作品はスルー

17点ほどあるエッチングの作品は、残念ですがスルーしましょう。
遠くからは見えないので、特に混雑時に小さい作品を見ようとすると、人混みを掻き分けなければなりません。
そこまでの体力と気力があれば別ですが、もっと大きくて見ごたえのある作品をじっくり眺めた方が良いのではないでしょうか。

幸い、ティツィアーノやティントレットなどメインの油彩はどーんと大きいです。
多少人が多くても離れて十分に鑑賞できるので、大きい作品に的を絞って見るのもおすすめです。


まとめ

精密な筆さばきには本当にびっくりしましたし、とても感動した展覧会でした!
特に目力がね…マグダラのマリアが大好きになりました。
上に載せたマグダラのマリア…ガイコツの上に本載せてるんですよ。
なんか意味深じゃないですか?
調べたら記事にするかもしれないです。

新たな興味が生まれるのも、実物をじっくり見たからなのです!
人間の目と写真とでは画素数がケタ違いに違うらしいですし、まずは足を運んで目で見てみましょう!

ティツィアーノとヴェネチア派展、おすすめです!


ティツィアーノとヴェネチア派展 公式HP

↓他のティツィアーノ作品の考察記事はこちら
ティツィアーノ「フローラ」蘇る色彩
ティツィアーノ展企画|ダナエ考察
ティツィアーノ「マグダラのマリア」考察

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