ヒルズの不気味な巨大クモ、ママン

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こちらのクモをご存知ですか?
六本木ヒルズは森美術館近くにあるクモです。
とても不気味ですね…!
目立ちすぎて待ち合わせ場所になっています。

こんな不穏なモニュメントですが、れっきとしたパブリックアートなのです。
ルイーズ・ブルジョワという女性の作品で、タイトルはママンです。

おしゃれな六本木にヒルズに、巨大クモとはミスマッチですね。
今回はそんな意味深なクモを深掘りしていきます。


アクセス

地下鉄日比谷線の六本木駅の1c出口を出ます。
長いエスカレーターがあるので、地上に出るまでひたすら登ります。
エスカレーターを降りると目の前にママンが現れます。


ママンのお腹の卵たち

ママンはお腹に白い卵を抱えているんですね。
クモというだけで十分気持ち悪いのに、こうなると益々グロテスクです。
クモの卵…想像するだけで鳥肌が立ちます。

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ネット越しに大理石の卵がちらちら見えます。
落ちて来ないか心配…。

クモのお腹に卵が入っているなんて…なんて気味の悪いモニュメントなのでしょうか?
実は、この卵こそがルイーズがアートに込めたメッセージなのです!


彫刻家の歪んだ少女時代

ルイーズは3人兄弟の真ん中で、姉が1人、弟が1人いました。
お父さんとお母さんと、3人の子供たち。
住み込みの家庭教師に勉強を教わる、とても裕福な家庭です。

でも、大好きな家庭教師の先生…その人が父親の愛人だったと知ったなら?

もっと大好きなお母さんは苦しんでいます。
それなのに少女のルイーズには何もできないのです。
母親と愛人が同居している家庭…心がおかしくなりそうです。

もはや亭主関白を通り越し、父親の独裁ですね。
そんな複雑な家庭で過ごした少女時代の記憶は、ルイーズの創作の原点となりました。
哀しい現実から逃れるため、創作に没頭したのです。
皮肉なことに、歪んだ家庭環境が彼女を一流アーティストに育てました。


細脚のクモは細腕の母

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もう一度ママンを見てみましょう。

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恐ろしいほど細くて長い脚で、なんとか立っています。
お腹には重い卵を抱えた状態で。

この細脚は、母親のか細い腕を象徴しているのではないでしょうか。
不幸な家庭環境から子供たちを守る母親の腕は強く、しかし女性らしく細かったのでしょう。
クモが今にも倒れそうなほどギリギリのバランスで立っている情景に、
母としての使命を果たすべく、限界まで神経をすり減らしていたルイーズの母親像が重なります。

ルイーズはクモを強い生き物だと捉えていました。
そういえば、ゴキブリの天敵がクモなので、クモの出る家にゴキブリはいないとか言いますね。
餌がかかるまで巣で待ち続ける忍耐強い虫でもあります。

身勝手な父親や男尊女卑の社会に耐える母親と、クモの忍耐強さがルイーズの中で重なったのでしょう。
不気味なクモのモニュメントは文字通り「お母さん」なのです。


ママンの懐に入ってみよう

六本木の代表的な待ち合わせ場所の一つになっている本作ですが、ママンのお腹の真下に立ち、その懐に入ってみましょう。

どうですか、なんとなく安心感がありませんか。

8本の細い脚で囲まれているので、鳥かごの中に入ったような感覚です。
あるいはシャークケージのような。

不思議なことに、外敵から守られているような感じがするんですよね。
待ち合わせ場所といっても気味が悪すぎて、あまり近づこうとする人がいないからでしょうか。
六本木の人混みから急に隔絶されてしまうのです。
ママンの懐は安全なのです。


まとめ

不遇の少女時代を過ごしたルイーズ。
彼女のアートはママンの不気味さに象徴されるように、万人受けするものではありません。

しかし、理不尽に対してアートで挑んだルイーズだからこそ、強烈なビジュアルのクモが出来上がったのです。
グロテスクな見た目と圧倒的な包容力を兼ね備え、
桁違いのギャップが人々を虜にする作品です。

母なるクモは、今日も六本木ヒルズを守っています。
(と、美の巨人たち風に終わってみる)


ママンが見られる美術館

六本木ヒルズのママンと同様の作品が、なんと世界各国にあるんですね。
噂では9体もあるらしいです。
ロンドンのテート・モダン、ニューヨークのグッゲンハイム美術館、
さらにサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館など大御所美術館で展示されています。
ご旅行の際は是非!

その他パブリックアート探訪の記事はこちら。
岡本太郎の「明日の神話」もあります!
パブリックアート探訪


六本木エリアの美術館・展覧会はこちら。
展覧会の感想>国立新美術館
展覧会の感想>森美術館



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