ウォルター・クレイン展に行ってきました。

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アンティーク絵本の大展覧会!
誰もが知っているシンデレラや美女と野獣が、貴族的に甘美な絵に彩られていました。
少女の憧れをそのまま表現したような絵本です。
ミュシャ絵画のロマンチックさにも通じる絵本なので、ミュシャ好きや美的センスの高い女性におすすめです。


〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 気になる混雑状況は?
3. 例えばこんな作品がありました
 ①有閑貴族的ロマンチック
 ②有名なおとぎ話だから分かりやすい
 ③ジャポニズム?勘違いニッポン?
 ④英国の教育事情を垣間見られる
4. 逆に惜しかったところ
 ①イスが少なすぎる
5. グッズ情報
6. まとめ
7. 割引情報
8. 関連情報


展覧会の基本情報

展覧会名:絵本はここから始まった−ウォルター・クレインの本の仕事
場所:千葉市美術館
最寄駅:JR千葉駅(東口から徒歩15分)(アクセス詳細)
会期:2017/4/5〜5/28
作品数:約200点
所要時間:1.5時間
観覧料:一般は1200円
ロッカー:あり(100円、使用後返金)



気になる混雑状況は?

めちゃくちゃ空いています。
いつもの千葉市美術館です。

絵本の展覧会ということで、文庫本サイズの小さい絵を大量に眺める形になりますが、
とても空いているので、人の迷惑を気にせずに作品を楽しむことができました。



例えばこんな作品がありました

パブリックドメインで取得した画像と展示物はディティールが異なるかもしれません。
出版年が違うと絵も若干異なるかもしれず、細かな点は確認できないのですが、ほんの僅かな違いですので、ご了承くださいませ。


①有閑貴族的ロマンチック

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ウォルター・クレイン「美女と野獣」

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ウォルター・クレイン「かえるの王子」

なんて豪華な絵本なのでしょうか!!

絵本の1ページ1ページが絵画のようです。
こんな絵本が家に1冊でもあったら…妄想が広がるアンティークな絵本です。

この甘美で気だるい雰囲気といえば、ラファエル前派ですね。
弊職の大好きな、暇を持て余している貴族の絵です。
心をきゅっと摘まれるような不安を感じませんか。

展覧会の解説でもクレインは「ラファエル前派に影響を受けた」と書かれておりますし、
めずらしく公式見解と弊職の感想が一致したわけです。

ところで、ラファエル前派って?

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ジョン・エヴァレット・ミレイ「黒きブランズウィック騎兵隊員」(1860)
レディ・リーヴァー美術館

詳しくは別の記事で書くかも書かないかもしれませんが、
こちらはラファエル前派を代表するミレイの作品です。
ミレイもクレインと同じくイギリス人です。

クレインの絵と同じく、甘ったるいけれども悲しい雰囲気も持ち合わせているような、胸がきゅーっとなる作品ですよね。
ラファエル前派好きの人には是非クレインの絵本も見て欲しいです。

そういえば、最近流行りのミュシャにも似ていませんか?
ミュシャは幸せいっぱいのポスターが多いので少々作風は異なりますが、同じくロマンチックです。
とにかく美しいものが好き!という美意識の高いミュシャファンなら、きっとクレインの作品も気に入るでしょう。

ちなみに、弊ブログのタイトル画像に使用しているのもラファエル前派の作品です。
ローレンス・アルマ=タデマの「もう何も尋ねないで」です。
(弊職もラファエル前派が大好きなのです。)



②有名なおとぎ話だから分かりやすい

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ウォルター・クレイン「シンデレラ」

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ウォルター・クレイン「赤頭巾ちゃん」

他にも美女と野獣、眠り姫など、クレインは誰もが知っている童話の絵本を沢山手がけました。
各作品ごとに5枚ほどの絵がストーリーの順に展示されています。

そもそも知っている作品なので描かれている場面でどんなストーリーが展開しているのか、とても分かりやすかったです。
本当に絵本を読んでいる感覚になれます。
登場人物の表情の意味まで瞬時に分かるので、感情移入もしやすいです。

ところで画家が題材にしたストーリーといえば聖書、ギリシャ神話、シェイクスピア悲劇ですが、
日本人としては馴染みが無いので、そういったアカデミックな美術は親しみにくいんですよね。
今回の絵本展は、多くの作品が子供の頃に誰もが通ったおとぎ話なので、予備知識なしで楽しめます。

また、物語は英語で書かれています。
子供向けの平易な英語が多いので、じっくり読んでみるのもとても楽しいです。
全部の作品でそれをやろうとすると2〜3時間必要になっちゃいますけどね(実体験)。
いや、むしろそれが狙いなのか?



③ジャポニズム?勘違いニッポン?

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ウォルター・クレイン「アラディンと魔法のランプ」

これをジャポニズムと言って批判なしに紹介している点は少し問題があるように感じられますが…
ご存知の通り、アラジン(=アラディン)はアラビアン・ナイトの物語で、アラビア(ペルシャという説もあるけど)が舞台です。
ディズニー映画のアラジンのイメージです。

はい、なぜ着物の女性がいるのか理解できませんね。
も思いっきり日本風です。

最近、外国の方々の間では日本語のTシャツを着たり、日本語のタトゥーを入れるのが流行っているようですが、
それが絶妙な間違い方をしているのと同じような感じでしょうか。

日本人も変な英語Tシャツ着てるしお互い様ですが、
19世紀には既に間違った日本が広まっていたという重要な資料ですね。
(正確にはアラビア側が間違われているのか?)

致命的な間違いを犯している時点で諸手を挙げて褒められないのですが、一旦それは置いておいて。
クレインは浮世絵に大きな影響を受けているんですね。

浮世絵すごい!マネしたい!!」と思って、異国の物語で試してみたのでしょう。
そう考えると、一流の絵本作家というのも可愛いものです。

この時代の絵本は版画でして、スタンプを押すようにして本を量産していました。
日本で版画といえば浮世絵ですね。
この両者には大陸を隔てて大きな共通点があったのです。

つまり遠いイギリスに浮世絵が渡り、その国の文化に影響を与えたということなのです。
これってとても凄いことではありませんか?
それに日本版アラジンと考えれば合っているとも言えますからね。(嘘)



④英国の教育事情を垣間見られる

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ウォルター・クレイン「韻文によるかけ算表」

掛け算を素早く計算するため、日本では九九を覚えますよね。
諸外国はどうしているんだろう?というのが長年の疑問だったのですが、英国ではで覚えるそうです。
日本と似ていますね。

画像が無くて申し訳ないのですが、クレインも掛け算の歌の挿絵を描いています。
1×2は2、アヒルが2匹。
2×2は4、男の子が4人。
3×2は6、ロープが6本。(表紙画像の下側)
みたいな。
(すみません、ちょっとうろ覚えです)

他にも、マザーグースの唄の挿絵も描いています。
やっぱり日本人には馴染みが無いのですが、こういう唄で文法を勉強したり、詩的なセンスを養うのでしょうね。

ハイソというか、おしゃれというか。
貴族感が溢れる英国教育を垣間見ることができ、とても勉強になりました。
英語が読める方は、作品の絵だけでなく文章も読むと面白いですよ!



逆に惜しかったところ

①イスが少なすぎる

これとても重要です!
細かい作品が多いため、部屋の真ん中にもショーケースが置かれているんですね。
もちろん、壁にも作品がびっしり。

こうなると、ソファを置く場所がかなり限定されてしまいます。
作品鑑賞はもちろん楽しいのですが、少し座りたい時に座れないのはとてもしんどいです。

作品数が多いから仕方ない、というのは分かるのですが、
最後まで楽しんで鑑賞するためには適度な休憩スペースが必要なんですよね…
何とかできないものだろうか…



グッズ情報

クレインの挿絵の入った絵本が購入できます。
(輸入本なので本文は英語です)
美女と野獣の絵本なんてとても素敵でした。
手のひらサイズのシンデレラ絵本もありましたし、クレイン作品の塗り絵もありました。
塗り絵は展示作品の復刻版かな?

また、ラファエル前派の本もとても充実していました。
この機会にミレイの作品集なんていかがでしょうか?



まとめ

気づけば乙女に戻っている、クラシック絵本展覧会!

古き良きヨーロッパの絵本ってこんなイメージ、という私たちの理想を叶える展覧会です。
非の打ち所がないほどにロマンチックを極めたおとぎ話は、
あなたの中の眠れる少女をきゅんと呼び覚ますでしょう。

ラファエル前派好きには特におすすめです!

ウォルター・クレイン展、ぜひ行ってみてくださいね!


割引情報

千葉市美術館には「友の会」といって、年会費を支払って入会するとその日から1年間、美術館に無料で入ることができるシステムがあります。
つまり年間パスポートですね。

年会費は、29歳以下は1200円、30歳以上は2500円です。
これに特典が色々とついてきます。
(同伴者割引や招待券、レストランの割引など)
詳しくはこちら→
千葉市美術館 友の会HP

ウォルター・クレイン展は一般料金が1200円ですから、社会人で29歳以下の人は友の会に入った方が断然お得です。
1年以内にまた美術館に行くかどうか分からなくても、今回の1回で元が取れてしまいますのでね。

また、クレイン展の大学生料金は700円ですが、1年で美術館に2回以上行くなら友の会に入った方がお得です。
1200円で何度でも楽しめます。



関連情報


ウォルター・クレインの本の仕事展 公式HP


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