2009年02月21日
数年前に大ヒットしたタイタニック号の映画。あの悲劇を思い出させるような東京市場の現状です。巨船は傾き、甲板に押し寄せた冷たい海水は足元をすでに濡らしている。今週の東京市場はこんな状況に陥ってしまいました。
東京市場だけではありません。米国市場はさらに厳しい状況であり、NYダウはすでに昨年11月20日に付けた安値7552・29ドルを下回ってしまいました。東京市場はそこまでは下げていないものの、週末には節目の7500円を割り込み、7461・38円で止まりました。しかし週始めの寄りつきは7732・68円。残念ながら今週も週足チャートは陰線で終わってしまったことになります。2週連続になります。
下げの要因としてまず犯人探しをするなら、最大の容疑者は16日朝に発表された08年10〜12月期のGDPになるでしょう。それが年率12・7%のマイナス成長となったことは、分かりやすい下落要因ではありました。そしてその後センセーショナルな話題を提供することになった中川財務相のG7開催後の記者会見での醜態発覚。これまた東京市場が下げた要因、と言ってしまいたいところです。
しかしそれらも多少の関わりはあるでしょうが、真因ではなかった。こう見るべきでしょう。
では真因は何か。米国市場の急落です。プレジデントデーの祭日を含めた3連休が明けたあとの米国市場は、大幅下げを演じ、前述したように19日には11月の安値を下回り、7447・55ドルまで突っ込んでしまいました。これは実に02年10月9日以来の安値。これでは米国市場連動マイナスαで動いている東京市場が耐えられるはずがありません。ずるずると値を崩してしまったことになります。
それでも米国市場のように新安値とならなかったのは、為替が円安で推移したことです。その要因としては、中川財務相が醜態を演じることで「身をもって円高を防いだ」とするうがった見方もありましたが、もちろんそれは冗談話です。GDPの悪化により日本の先行きに対して懸念を持った機関投資家たちの円売りが急増したのが実際のところですが、それが自動車株を中心とするいわゆる輸出関連株買いとなったのは幸いでした。
中でも堅調な値動きになったのはトヨタ自動車株 <7203>で、18日付け日経新聞朝刊が、トヨタ自動車の増産計画を報じたことがきっかけで一斉に買いが入りました。5月の国内生産台数を2〜4月の月平均台数に比べて3割ほど増産する計画だというのです。このところ生産縮小の話しか聞いたことがなかっただけにこれは明らかにサプライズ、株価も18日、19日と続伸、20日も高値をキープして終わりました。
トヨタ自動車株に刺激された形で、ホンダ株 <7267>も高値をキープ、その他日信工業 <7230>、エフ・シー・シー <7296>など部品メーカー株も意外高となりました。
これらとは別に内需のゼネコン株にも買いが入ったのが今週の特徴です。株式市場では何が幸いするか分からないものですが、GDPの大幅マイナス成長は、新たな買い材料を生み出すきっかけとなりました。景気回復を急がねばならず、それには公共投資の前倒し発注が有効との考えから、ゼネコン、道路、橋梁、そして公共施設(具体的には学校校舎)の耐震化関連株に注目が集まったのです。
大成建設 <1801>などの大手ゼネコンだけでなく、日本道路 <1884>、矢作建設 <1870>、太平洋セメント <5233>、ショーボンドホールディングス <1414>、巴コーポレーション <1921>など中小型株も人気を集めました。
金価格の上昇を受けて、住友金属鉱山 <5713>やアサヒプリテック <5855>、松田産業株 <7456>、そして金価格連動上場投信 <1328>が華々しいほどの上値追いとなったのも今週でした。
このような動きで分かるのは、日経平均株価は惨憺たる水準になっているものの、好材料には敏感に反応していること。この点では厳しい限りの冬枯れ景観の中に、春の訪れを感じさせる芽吹きが認められた。こう見ることが出来ます。
ただ目先は米国市場の下落に歯止めがかかっていません。さらなる巨額支援を要請している自動車ビッグスリーの救済問題の帰趨がはっきりしませんし、欧米金融機関の危機も継続しています。恐いのは格付け機関の格付け引き下げであり、これがいつ出て来るのか読みにくいため、積極的な買いは入りづらい。こんな状況が続きます。
今週円安基調で推移した為替も、来週は円高方向に押し戻される恐れもあります。その場合、自動車株やハイテク株も軟調な展開に、とこう想定しておきたいところです。それでもそれらが崩れるようなことはまず考えられず、調整が入っても浅い押し目をつける程度ですむでしょう。同じことは中小型の材料株や不況対応力の強い銘柄についてもいえます。
それらも今週週末は調整色の強い展開になりました。しかし株には一本調子の上昇はありません。適度な調整が入るのはむしろ好ましく、今週反落した銘柄の多くは、週明け以降買い直され元気を取り戻すでしょう。その数は決して多くはありませんが、確実に存在し、それらへのシフトを心がけるなら凍てつく冬枯れ相場も乗り切れます。
■北浜の直言 見るのが恐い冬枯れ相場、聞く気になれば聞こえる春の足音(執筆者:北浜流一郎 株式アドバイザー)
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東京市場だけではありません。米国市場はさらに厳しい状況であり、NYダウはすでに昨年11月20日に付けた安値7552・29ドルを下回ってしまいました。東京市場はそこまでは下げていないものの、週末には節目の7500円を割り込み、7461・38円で止まりました。しかし週始めの寄りつきは7732・68円。残念ながら今週も週足チャートは陰線で終わってしまったことになります。2週連続になります。
下げの要因としてまず犯人探しをするなら、最大の容疑者は16日朝に発表された08年10〜12月期のGDPになるでしょう。それが年率12・7%のマイナス成長となったことは、分かりやすい下落要因ではありました。そしてその後センセーショナルな話題を提供することになった中川財務相のG7開催後の記者会見での醜態発覚。これまた東京市場が下げた要因、と言ってしまいたいところです。
しかしそれらも多少の関わりはあるでしょうが、真因ではなかった。こう見るべきでしょう。
では真因は何か。米国市場の急落です。プレジデントデーの祭日を含めた3連休が明けたあとの米国市場は、大幅下げを演じ、前述したように19日には11月の安値を下回り、7447・55ドルまで突っ込んでしまいました。これは実に02年10月9日以来の安値。これでは米国市場連動マイナスαで動いている東京市場が耐えられるはずがありません。ずるずると値を崩してしまったことになります。
それでも米国市場のように新安値とならなかったのは、為替が円安で推移したことです。その要因としては、中川財務相が醜態を演じることで「身をもって円高を防いだ」とするうがった見方もありましたが、もちろんそれは冗談話です。GDPの悪化により日本の先行きに対して懸念を持った機関投資家たちの円売りが急増したのが実際のところですが、それが自動車株を中心とするいわゆる輸出関連株買いとなったのは幸いでした。
中でも堅調な値動きになったのはトヨタ自動車株 <7203>で、18日付け日経新聞朝刊が、トヨタ自動車の増産計画を報じたことがきっかけで一斉に買いが入りました。5月の国内生産台数を2〜4月の月平均台数に比べて3割ほど増産する計画だというのです。このところ生産縮小の話しか聞いたことがなかっただけにこれは明らかにサプライズ、株価も18日、19日と続伸、20日も高値をキープして終わりました。
トヨタ自動車株に刺激された形で、ホンダ株 <7267>も高値をキープ、その他日信工業 <7230>、エフ・シー・シー <7296>など部品メーカー株も意外高となりました。
これらとは別に内需のゼネコン株にも買いが入ったのが今週の特徴です。株式市場では何が幸いするか分からないものですが、GDPの大幅マイナス成長は、新たな買い材料を生み出すきっかけとなりました。景気回復を急がねばならず、それには公共投資の前倒し発注が有効との考えから、ゼネコン、道路、橋梁、そして公共施設(具体的には学校校舎)の耐震化関連株に注目が集まったのです。
大成建設 <1801>などの大手ゼネコンだけでなく、日本道路 <1884>、矢作建設 <1870>、太平洋セメント <5233>、ショーボンドホールディングス <1414>、巴コーポレーション <1921>など中小型株も人気を集めました。
金価格の上昇を受けて、住友金属鉱山 <5713>やアサヒプリテック <5855>、松田産業株 <7456>、そして金価格連動上場投信 <1328>が華々しいほどの上値追いとなったのも今週でした。
このような動きで分かるのは、日経平均株価は惨憺たる水準になっているものの、好材料には敏感に反応していること。この点では厳しい限りの冬枯れ景観の中に、春の訪れを感じさせる芽吹きが認められた。こう見ることが出来ます。
ただ目先は米国市場の下落に歯止めがかかっていません。さらなる巨額支援を要請している自動車ビッグスリーの救済問題の帰趨がはっきりしませんし、欧米金融機関の危機も継続しています。恐いのは格付け機関の格付け引き下げであり、これがいつ出て来るのか読みにくいため、積極的な買いは入りづらい。こんな状況が続きます。
今週円安基調で推移した為替も、来週は円高方向に押し戻される恐れもあります。その場合、自動車株やハイテク株も軟調な展開に、とこう想定しておきたいところです。それでもそれらが崩れるようなことはまず考えられず、調整が入っても浅い押し目をつける程度ですむでしょう。同じことは中小型の材料株や不況対応力の強い銘柄についてもいえます。
それらも今週週末は調整色の強い展開になりました。しかし株には一本調子の上昇はありません。適度な調整が入るのはむしろ好ましく、今週反落した銘柄の多くは、週明け以降買い直され元気を取り戻すでしょう。その数は決して多くはありませんが、確実に存在し、それらへのシフトを心がけるなら凍てつく冬枯れ相場も乗り切れます。
■北浜の直言 見るのが恐い冬枯れ相場、聞く気になれば聞こえる春の足音(執筆者:北浜流一郎 株式アドバイザー)
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