望遠顕微鏡で見た東京市場の今週・来週
今週の東京市場も残念な動きになってしまいました。日経平均株価は上昇力を完全に喪失してしまったようで、残念ながら週足は陰線に終わりました。しかし週初の日経平均は9777・64円。終値は9770・31円。下落幅は小幅ですみました。数字を見るとこのように大した下げにはならなかったのですが、市場心理は絶不調ともいえるほど悪化した週でした。
米国市場も下げたなら、市場マインドもこれほど悪化しなかったでしょう。ところが同市場は絶好で、特にNYダウは高値を更新し続け、週末には10270・47ドルで終わりました。NYダウから「0」を一つとれば日経平均。これがわれわれの頭の中にある大まかな日経平均の水準なのに、実際は9770・31円です。
比べるまでもなく、大変な違いがあります。この大差、どうして付いてしまっているのか。外国人投資家が日本株への投資比率を下げている、国内機関投資家が買いを見送っている、など買い見送り姿勢が続いていることが上げられますが、ではなぜ彼らは投資を手控えているのか。
為替が円高基調で推移しているから。こうなります。為替は今週も90円をはさんで揉み合いを続けました。先週米国で経済の回復が遅れていることを理由に金融緩和継続を示唆する発言や見方が相次ぎ、ドル安基調となりました。それが今週も余韻のように残ったのです。
そのため主力株のソニー <6758> 、トヨタ自動車株 <7203> なども軟調でした。一方で元気だったのは、やはり為替変動の影響を受けない銘柄群で、その典型がファーストリテイリング <9983> だったといえます。同社株も週末にはさすがに反落してしまいましたが、それまでの上昇ぶりは驚くほどのものがありました。市場全体が重苦しい閉塞感におおわれている中で、ブレイクスルー的な動きを見せてくれました。
他にも類似銘柄はありました。ヤクルト本社 <2267> や楽天 <4755> などです。いずれも為替の影響を受けにくいか、受けても市場がそれをほとんど問題視しない銘柄です。いまはこのような銘柄が上昇しやすく、今後もこの点に大きな変化はないでしょう。
当然来週は為替の変動に一喜一憂させられることになるでしょうが、そうであればあるほど為替無関係、あるは少々の円高は構わないというパワフルな企業に買いが集まるでしょう。
円高は無関係という銘柄は、いわゆる内需性の強い銘柄になりますが、後者企業は輸出関連株の中にもあります。円高歓迎とまでは行かないものの、円高でも収益を伸ばし続けられる経営力、製品力を持っている企業であり、それらへの投資が資金を増やしてくれることになります。
ただ目先は三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> が年内に1兆円規模の普通株公募増資を実施する方向で最終調整に入ったとの報道があり、それを受けて米国市場で同社の米預託証券(ADR)が大幅に7・8%と大幅下落しました。これは当然週明け早速東京市場で同社株の売り要因となります。
これだけなら、まあ、仕方ないといえます。しかし問題は同社株の下落が他の大手銀行株はもちろん、金融株全体に及んでしまう恐れがあることです。実に大迷惑なことであり、そのせいで最悪週明けの日経平均もマイナスになりかねません。
しかしその可能性は低いと見てよいでしょう。幸い米国市場がNYダウ、NASDAQともに反発したからです。最近の東京市場は、両市場が上昇しても連動高せず、下げた時にはキッチリ付き合う傾向がありますが、来週はさすがに正常さを取り戻す。こう見ています。
東京市場の出遅れぶりは誰の目にも明らかであり、それに着目した買いが入ってもおかしくないところ。つまりそろそろ自律反発があってよいところです。
■北浜の直言 日米首脳会談無事終了は歓迎でも、ドル安策このままでは乾杯する気になれず。(執筆者:北浜流一郎 株式アドバイザー 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
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