さて前回深夜に渡されたアップ日ぎりぎりの仕事からの続きです。


総作監さんのアドバイスを受け自分の作画机に戻り改めて素材を確認する

先ほどよりは若干目の前が開けた気はするが描く事自体の大変さは変わらないのと
筆圧が強く朝から仕事をしていたため手は線を引くだけで痛かった。

どうしても手が痛かったのと初めて緊急にまかされた自分にとって重い内容の動画仕事にドキドキしすぎたので
外の空気で手でもひやしつつ少し気分転換をしようと会社から近くの公園に深夜一人で向かった。
公園のイスに座りながらふと私と同じ日に入社した新人制作さんの事を思い出していた

その新人制作さんもアカギさんと同じく、自分と同じ専門学校の制作進行コースの方で
話したことはないがお互い顔は見知っているといった程度だった
その新人制作さんは見た目アメフトでもしていたような巨漢で専門学校でもよく明るく大声で笑ったりして話しているのをみて元気溢れる豪快な人といった印象だった。

その彼が入社2日目に会社に来なくなったと聞いた時はびっくりした
制作さんの話によると連絡が取れなくなって会社にも来なくなったとのことだった。

「私も彼の様逃げる・・・・?

















いやいやそれは絶対にない!こんな見た目何のとりえもないような私を信じて会社に入れてくれ、あの日やめさせようといった制作さんに対しても「長い目でみてあげるォw」と言ってくれたWさんの気持ちを裏切る事は絶対出来ない!何よりあのアカギさんより先に辞めるなんて負けたみたいで絶対にやだ!!」

と、辞めるという選択肢は絶対ないと思った
公園で20分ぐらいボーっと気分転換しつつ自分の気持ちを改めて再確認したあと
会社に戻る

玄関当たりで上の方から春風さんの声で「逃げやがった!」の声が聞こえてきた
直感的に「あー、多分私の事だ・・ちょっと長く外に出過ぎたかな・・」と考えつつ春風さんとはちあわせないように部屋に戻る
再び作業をしているとすぐに別の制作さんが様子を見に来て
「あれ?帰ったかと思ってた」とおっしゃったので
(あー、やっぱり私の事だったのね(涙)と思いながら「すみませんちょっと休憩してました」と話すと

「ふーん・・・そう・・」と言って戻っていった。

再び作業に没頭する
すぐにまた手が痛くなってきた
「手が痛くならなければ眠くなるまでずーっと描けるのになあ・・
泣きたいなあ・・・なんで私こんな事してるんだろう・・」と

入社直前まで想像していたアニメーターの華やかな世界のギャップをヒシヒシと感じながら外が明るくなり始めた頃になんとか作業を終わらせ
制作部屋に入り、深夜当番で寝ている制作さんを起こさない様にそっとあがりのカット袋を春風さんの机の上に置いた。

仕事を終えた後帰るかなと思ったがこのまま帰って寝ると間違いなく爆睡する自信があったので
「これでは朝の出勤時間10時には間に合わない・・」
家が会社から近いとはいえ今日は会社で仮眠を取ろうと考え
机に突っ伏して寝る事にした
寝顔見られたくない・・突っ伏して寝ても全然寝付けない眠りが浅い。。お布団で寝たい グー・・
人生初の突発的な徹夜作業にもかかわらず浅寝状態の為すぐ目が覚める

起きてはみるが手の痛みはとれていなかった、それどころか突っ伏して寝るので腕がしびれていた
「やっぱり家で寝るのとは疲れの取れ方が全く違う、家だと数時間寝るだけでも手の痛みも完全に消えるのに」
等と考えているとガチャッと私がいる部署の作画部屋の扉を開く音が聞こえた
時間は朝の9時15分頃だった


それでも人はみている2.2(完結)

へ続きます


余談ですが、この手が痛くならないという夢のような方法は実はありました。昔初のメインアニメーターになった時私の横にスーパーアニメーターの方が席を 置かれたのですがすごく親切な優しい方でその時色々教わる事ができましたのでそのうち機会をみてその時の事をかければなと思います。

新人の動画さんなどはまだペース配分が分からず急な仕事などで今回の私の様に徹夜→次の日もそのまま作業という事があると思いますが、疲れがとれず作業に支障をきたしてしまう場合などは制作等に事情を話して早退させてもらうと良いと思います、アニメーターはやはり体が資本ですので(会社でも新人の動画さんなどには自分はそう話しています)