2018年11月26日

「鮎川信夫全詩集」僑隠坑毅押腺隠坑毅粥。隠僑

「遙かなるブイ」 7
 そのような「ブイ」は、「ぼく」の不幸な人生に「淋しさ」を付け加える。この「淋しさ」が、彼の生を支えてゆくのではないだろうか。「支える」という言葉には語弊があるか。「ぼく」はこの先、ずっと「淋しいブイ」と共に生きてゆくのだ。人生のどのような局面でも、「ぼく」は「淋しいブイ」と共に生きているのだ。第3聯の前半と後半は、「共に」という意味、そのような意味での並列ではないだろうか。

 この作品は、ブイを見つめる目線の強さとその手前にある淋しさの底知れない暗さによって、成立しているのだと思われる。
 希有な作品だと思う。



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2018年11月25日

「鮎川信夫全詩集」僑隠坑毅押腺隠坑毅粥。隠僑

「遙かなるブイ」 6
 私は始め、この「淋しいブイ」を兵士の屍体だと思った。戦闘で海に投げ出されて息絶えた戦友の亡骸かと思った。けれども、今では必ずしもそうでなくても良いと感じている。それこそ、敵兵の屍でも良いし、本当にブイでも良い。ただそこには、戦争状況の中で「ぼく」が破壊したもの、「ぼく」の中で破壊されて失われたものが発見されているのだというところは動かない。非常に強い凝視である。「ぼく」はこの凝視の中に立ち現れたブイを介して、戦場の意味、己がしたことの意味、己が体験したことの意味を発見しているのだと感じる。



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2018年11月24日

「鮎川信夫全詩集」僑隠坑毅押腺隠坑毅粥。隠僑

「遙かなるブイ」 5
 第3聯の前半の四行と終わりの二行はどのように関係するのか。
 悪魔の手に落ちるかも知れないから、それを引き留めてくれ、という意味か。自分の人生、不幸な、死へと向かってゆくだけの人生と、淋しいブイとを並列させているだけなのだろうか。その並列によって、何が意味されているのだろうか。生と死の釣り合いだろうか。とすると、ブイはやはり死の象徴だろうか。



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2018年11月23日

「鮎川信夫全詩集」僑隠坑毅押腺隠坑毅粥。隠僑

「遙かなるブイ」 4
 壮絶なまなざしで凝視されたブイは、「ぼく」の記憶に刻み込まれる。この先どれほどの忘却が訪れようとも、「ぼく」の記憶からこのブイが消えることはないという。
第3聯「この不幸な兵士は/悪魔の手におちるかもしれない/いつか何処かで/死のうと思うまえに/もう二度とめぐりあうこともない/淋しいブイよ」
 死ぬことは決まっている。「死のうと思う」ことは決まっている。その前に、悪魔の手に落ちる、とはどういうことだろうか。不幸である上に、悪魔の手に落ちるとは? 人が不幸であれば、その人は、他者の不幸にも想像が及ぶだろう。にもかかわらず、悪魔の手に落ちるという文脈だろうか。つまり、その場合は、他者の不幸も顧みずに己の欲望に従おうとする、という意味になるか。



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2018年11月22日

「鮎川信夫全詩集」僑隠坑毅押腺隠坑毅粥。隠僑

「遙かなるブイ」 3
第2聯「ぼくの苦しみも/ぼくの悲しみも/永くとどまることはないだろう/記憶のなかの港には/いつまでもブイが浮んでいるけれど//」
 時間が「ぼく」から、記憶を消し去ってゆく。するとこの「不幸な兵士」=「ぼく」ということになる。ぼくは不幸な兵士である。
 不幸な兵士とは何ものだろうか。敗れた兵士だろうか。病み、疲れた兵士だろうか。ただ殺しただけの兵士、ただ疲弊しただけの兵士。戦地を破壊しただけの兵士であり、己の人生や世界の幾分かを喪失した兵士ではないだろうか。不幸な兵士は、今また、ブイを残してこの土地に別れを告げようとしている。その時に、淋しいブイとは何か?



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2018年11月21日

「鮎川信夫全詩集」僑隠坑毅押腺隠坑毅粥。隠僑

「遙かなるブイ」 2
 そうだ、この「小さな波をうちあげて」が重要なのだ。ここには恐ろしいほどの凝視があるのだ。ブイをぼんやり見ているのではない。ブイの周りの海水の動きまでも眼に刻み込もうとする凝視がここにあるのだ。だからこの「淋しいブイ」は壮絶な存在感を持たされるに至った。そしてそこには空洞のような淋しさが見て取られている。
 淋しいブイは、取り残される。ポツンと波間に取り残される。なぜ淋しいのか。それまで一人ではなかったからではないのか? 不幸な兵士たちについてゆけないブイは、小さな波を見せて、別れを告げなければならない。



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2018年11月20日

「鮎川信夫全詩集」僑隠坑毅押腺隠坑毅粥。隠僑

「遙かなるブイ」 1
第1聯「淋しいブイは/小さな波をうちあげて/不幸な兵士に別れを告げる/いかなる悪魔も/あのブイをとり去ることはできない//」
 強いイメージの「ブイ」だ。何だろうこの存在感は。悪魔も取り除けないブイとは何か。
 波間に浮かぶブイは、波に揺られ、波に打たれ、小さな波を肌の周りに跳ね上げている。この小さな波は、声のようにして、メッセージのようにして、「不幸な兵士」に届いている。別れがある。二度とここには戻らない、不幸な兵士がそれを受け止める。不幸な兵士は、そのブイのメッセージに撃たれ、そのメッセージを刻み込まれ、別れてゆく。



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2018年11月19日

田村隆一「帰途」について 21

『「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一行は、後悔のように聞こえます。そして作品全体も、言葉の無い世界を空想してみると、その世界はとても願わしい世界だと言っているようにも聞こえます。本当にそうなのでしょうか。本当に詩人(ぼく)は、言葉のない世界を望ましいと感じてそう言っているのでしょうか。その点について、各チームの意見をまとめて発表しなさい。』という課題が出されました。
たお
 帰り道、っていう意味。多分、いつまでもいつまでも帰り続ける道、それが詩なんだ、ってことだよね。
とうり
 そうか・・・人の心へ向かってゆく、それで何ができるというわけではないんだけど、その優しさの道筋に、詩があるってことかな・・・。
かすみ
 第5聯の最後は「たったひとりで帰ってくる」じゃない? 誰とも共有していないみたい。孤独な道なのかな、この道は。
とうり
 共有世界の外を目指すからかもね。
かすみ
 オーケー、じゃ、その辺も整理しながら、みんなでカード作りを始めよう。
みんな
 はーい。



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2018年11月18日

田村隆一「帰途」について 20

『「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一行は、後悔のように聞こえます。そして作品全体も、言葉の無い世界を空想してみると、その世界はとても願わしい世界だと言っているようにも聞こえます。本当にそうなのでしょうか。本当に詩人(ぼく)は、言葉のない世界を望ましいと感じてそう言っているのでしょうか。その点について、各チームの意見をまとめて発表しなさい。』という課題が出されました。
ななお
 kindnessなんだ、詩は。
かすみ
 ななちゃん、いきなり英語?
ななお
 昨日勉強したの。kindness!
かすみ
 えらーい!
たお
 ねえ、とりあえず、表題が「帰途」というのも、今の私たちの解釈にぴったりだよね。
ななお
 「帰途」ってどういう意味?
かすみ
 ななちゃん、予習したでしょう?
ななお
 表題まで調べなかった。



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2018年11月17日

田村隆一「帰途」について 19

『「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一行は、後悔のように聞こえます。そして作品全体も、言葉の無い世界を空想してみると、その世界はとても願わしい世界だと言っているようにも聞こえます。本当にそうなのでしょうか。本当に詩人(ぼく)は、言葉のない世界を望ましいと感じてそう言っているのでしょうか。その点について、各チームの意見をまとめて発表しなさい。』という課題が出されました。
たお
 あ! ごめん、また思いついちゃった。
ななお
 なになに?
たお
 前に萩原朔太郎を読んだときに、城崎先生が『月に吠える』の序文をプリントにしてくれたでしょう? えっと、これこれ(プリントをファイルから取り出す)。見て見て。
(以下は、原文の歴史的仮名遣いは現代仮名遣いに直し、また適宜(てきぎ)ふりがなを振ってあります。)
 「以前、私は詩というものを神秘のように考えて居た。ある霊妙な宇宙の聖霊と人間の叡智(えいち)との交霊(こうれい)作用のようにも考えて居た。或(あるい)はまた不可思議な自然の謎を解くための鍵のようにも思って居た。併(しか)し今から思うと、それは笑うべき迷信であった。詩とは、決してそんな奇怪な鬼のようなものではなく、実は却(かえ)って我々とは親しみ易(やす)い兄妹や愛人のようなものである。
 私どもは時々、不具(ふぐ)な子供のようないじらしい(﹅﹅﹅﹅﹅)心で、部屋の暗い片隅にすすり泣きをする。そういう時、ぴったりと肩により添いながら、ふるえる自分の心臓の上に、やさしい手をおいてくれる乙女がある。その看護婦の乙女が詩である。
 私は詩を思うと、烈しい人間のなやみとそのよろこびとをかんずる。
 詩は神秘でも象徴でも鬼でもない。詩はただ、病める魂の所有者と孤独者との寂しいなぐさめである。
 詩を思ふとき、私は人情のいじらしさに自然と涙ぐましくなる。」
とうり
 ほんとだ。これ、そのまんまじゃない。詩は苦しんでいる人の傍に寄り添ってくれるものってことでしょう?



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2018年11月16日

田村隆一「帰途」について 18

『「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一行は、後悔のように聞こえます。そして作品全体も、言葉の無い世界を空想してみると、その世界はとても願わしい世界だと言っているようにも聞こえます。本当にそうなのでしょうか。本当に詩人(ぼく)は、言葉のない世界を望ましいと感じてそう言っているのでしょうか。その点について、各チームの意見をまとめて発表しなさい。』という課題が出されました。
たお
 結局この詩は詩人が何をしているかということを書いている感じがする。
とうり
 詩ってどういう文学なのかってことだよね。涙している人とか、心から血を流して傷ついている人のところに向かって寄り添って、それでどうするのかというと、何もしないんだよ。血や涙を流すだけなんだよ。そういう、何もできないっていうことからくる痛みも「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」っていう一行には籠められているのかもしれない。
ななお
 現状、これしかできないんだ、ごめんなって感じ?
かすみ
 ふふふ、そう呟いてる感じかな。



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2018年11月15日

田村隆一「帰途」について 17

『「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一行は、後悔のように聞こえます。そして作品全体も、言葉の無い世界を空想してみると、その世界はとても願わしい世界だと言っているようにも聞こえます。本当にそうなのでしょうか。本当に詩人(ぼく)は、言葉のない世界を望ましいと感じてそう言っているのでしょうか。その点について、各チームの意見をまとめて発表しなさい。』という課題が出されました。
ななお
 へー。そうだったのか。すごく分かり易い、たお。なんかこの詩の意味が分かるようになった気がする。「ぼく」っていう人は、本物の詩人なんだ。
とうり
 そうだね。すごくよく分かるようになった気がする。
かすみ
 まとめよう。
 「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一行は、後悔のように聞こえます。そして作品全体も、言葉の無い世界を空想してみると、その世界はとても願わしい世界だと言っているようにも聞こえます。本当にそうなのでしょうか。」というのが課題です。私たちの解答は、
 「後悔ではない」です。「この一行は、他者の悲しみに涙し、他者の痛みを感じ取って心を痛めている詩人の涙や痛みを掴み取った一行です。」
 それから「詩人は言葉のない世界を願わしいと思っているのではない」ということになります。ええと・・・あれ? それで?



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2018年11月14日

田村隆一「帰途」について 16

『「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一行は、後悔のように聞こえます。そして作品全体も、言葉の無い世界を空想してみると、その世界はとても願わしい世界だと言っているようにも聞こえます。本当にそうなのでしょうか。本当に詩人(ぼく)は、言葉のない世界を望ましいと感じてそう言っているのでしょうか。その点について、各チームの意見をまとめて発表しなさい。』という課題が出されました。
かすみ
 自分は虎となってしまったから詩を作ることもできずに、山の上で月に向かってガオと吠えるばかり・・・っていう詩だった。
たお
 そう。で、あれはあれでちょっと良いところもあると思うんだけど、もしかすると、李徴はいつもいつも自分の心と向かいあって詩を作っていたんじゃないかなって思ったの。「帰途」のように、他者の傷ついた心に向かってゆくことがなかったかも知れない、って思ったの。
かすみ
 あ、そうか。もしかしてそれ、プロとしてはまだまだだよねってことね。自分のことから離れることができるようになって、初めて本物の詩人になれるんじゃないか、ってことでしょう?
たお
 うん、そう。あの頼み事のエピソードも、自分のことを優先して、妻子のことが後回しになってたじゃない? あれも関係あるかもよ。



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2018年11月13日

田村隆一「帰途」について 15

『「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一行は、後悔のように聞こえます。そして作品全体も、言葉の無い世界を空想してみると、その世界はとても願わしい世界だと言っているようにも聞こえます。本当にそうなのでしょうか。本当に詩人(ぼく)は、言葉のない世界を望ましいと感じてそう言っているのでしょうか。その点について、各チームの意見をまとめて発表しなさい。』という課題が出されました。
たお
 9月に中島敦の「山月記」を読んだでしょう?
ななお
 あー、難しかったね、あれ。
たお
 あの中に、李徴の詩に対する袁傪の批評があって、それが結構問題になってたじゃない?
かすみ
 あったね。李徴が暗誦するのを袁傪が聞いて、技術は第一流に属するけれど、何かどこか欠けているって袁傪は感じたんだよね。
とうり
 鈴木孝夫さんの「相手依存の自己規定」を使って読んだところだよね。
たお
 そう。で、その李徴が暗誦した作品自体は書かれてないから私たちには分からないんだけど、李徴がその場で読んだ即興詩は載ってたじゃない? それを読むと、李徴がどんなに傷ついて、孤独かということが分かったよね。



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2018年11月12日

田村隆一「帰途」について 14

『「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一行は、後悔のように聞こえます。そして作品全体も、言葉の無い世界を空想してみると、その世界はとても願わしい世界だと言っているようにも聞こえます。本当にそうなのでしょうか。本当に詩人(ぼく)は、言葉のない世界を望ましいと感じてそう言っているのでしょうか。その点について、各チームの意見をまとめて発表しなさい。』という課題が出されました。
ななお
 はー・・・そういうことなのか。この人、泣いてるのね・・・優しい人なんだね。良い人じゃん! あ、そっか、泣いたり、傷ついたりしなくてすむことが、「良いこと」ってことか。
かすみ
 そうか、分かった! なな、キラー・パスありがとう! 「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」って言っているこの人は、泣いてるし血を流してるんだよ。泣いている姿、心を痛めている様子を掴んでいるのが、この「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」っていう一行なんだよ。
とうり
 おおおお。すごいすごい。詩みたい! って、詩だった!
たお
 うわ・・・「言葉なんか憶えるんじゃなかったー」って言いながら泣いているのね?  ほんとにすごい・・・あ! また違うすごいこと思いついた。
かすみ
 なになに?



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2018年11月11日

田村隆一「帰途」について 13

『「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一行は、後悔のように聞こえます。そして作品全体も、言葉の無い世界を空想してみると、その世界はとても願わしい世界だと言っているようにも聞こえます。本当にそうなのでしょうか。本当に詩人(ぼく)は、言葉のない世界を望ましいと感じてそう言っているのでしょうか。その点について、各チームの意見をまとめて発表しなさい。』という課題が出されました。
ななお
 じゃあ、どうして帰ってくるんだろう。
かすみ
 言葉があるからだよ。涙や血の意味が分かっちゃうから。
かすみ/たお
 あっ!
ななお
 なによお! 二人して。
かすみ
 泣くんだよ。この人。
たお
 血を流すんだよ。
とうり
 え? あ、そうか! 共感できるんだ。言葉があるから、悲しみとか痛みに共鳴できるんだ。相手の人と同じように泣いたり、心が血を流したり、できるんだ。



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2018年11月10日

田村隆一「帰途」について 12

『「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一行は、後悔のように聞こえます。そして作品全体も、言葉の無い世界を空想してみると、その世界はとても願わしい世界だと言っているようにも聞こえます。本当にそうなのでしょうか。本当に詩人(ぼく)は、言葉のない世界を望ましいと感じてそう言っているのでしょうか。その点について、各チームの意見をまとめて発表しなさい。』という課題が出されました。
ななお
 無関係の反対だから、関わるんじゃないかな?
かすみ
 言葉がなければ、無関係で、立ち去る。言葉があるから、立ち止まり、関わる・・・だよね。
たお
 それで? それでどうするの?
ななお
 何も言ってない。
とうり
 あ? もしかして?・・・つまり、何もできないんだよ。
たお
 あ、そうか! 帰ってくるだけなんだ。



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2018年11月09日

田村隆一「帰途」について 11

『「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一行は、後悔のように聞こえます。そして作品全体も、言葉の無い世界を空想してみると、その世界はとても願わしい世界だと言っているようにも聞こえます。本当にそうなのでしょうか。本当に詩人(ぼく)は、言葉のない世界を望ましいと感じてそう言っているのでしょうか。その点について、各チームの意見をまとめて発表しなさい。』という課題が出されました。
ななお
 ということは、「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」は、やっぱり後悔だよ。
とうり
 そういうことか・・・。
かすみ
 え、待ってよ。もう少し、慎重に考えようよ。
たお
 うん。絶対、なんかある。「立ちどまる」と「帰ってくる」ってどういう意味なんだろう?
ななお
 そのままじゃない?
とうり
 じゃあさ、立ち止まって、何するんだろう。帰ってきてどうするの?
たお
 そうだよ。どうするの?



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2018年11月08日

田村隆一「帰途」について 10

『「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一行は、後悔のように聞こえます。そして作品全体も、言葉の無い世界を空想してみると、その世界はとても願わしい世界だと言っているようにも聞こえます。本当にそうなのでしょうか。本当に詩人(ぼく)は、言葉のない世界を望ましいと感じてそう言っているのでしょうか。その点について、各チームの意見をまとめて発表しなさい。』という課題が出されました。
ななお
 そうだね。とうりの言うとおり! (ふふ) ね、でもさ、どうしてこの人泣いているのかな、この「あなた」って人。「きみ」も、「静かな意味に血を流した」ってあるんだけど、意味が分からないのは私だけなの?
とうり
 うん、そう。実はぼくもよく分からない。
かすみ
 わたしも。ずっと考えてるんだけどお手上げ状態。今はそれは、考えるの止めない? 何かの理由で「あなた」も「きみ」も涙を流したり血を流したりしてる、そう考えておこよ?
たお
 賛成。ということは・・・涙や血の意味が分かるこの人は通りすぎることができないとすると。



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2018年11月07日

田村隆一「帰途」について 9

『「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一行は、後悔のように聞こえます。そして作品全体も、言葉の無い世界を空想してみると、その世界はとても願わしい世界だと言っているようにも聞こえます。本当にそうなのでしょうか。本当に詩人(ぼく)は、言葉のない世界を望ましいと感じてそう言っているのでしょうか。その点について、各チームの意見をまとめて発表しなさい。』という課題が出されました。
ななお
 ほんとにそうだね。言葉がなかったら、立ち去るんだよね。言葉をおぼえたから、立ち止まるし、帰ってくる。だからおぼえなきゃ良かった、って言ってるの? やっぱり面倒くさいんじゃ・・・?
とうり
 そうか。分かってきた。言葉があるから、「涙」や「血」の意味を共有できて、理解できるんだ。意味が分かるからこの人はその「涙」や「血」を無視して離れてゆくことができないんじゃない? 第3聯の2行のあとに「ぼくたちの世界にもし言葉がなかったら/ぼくはただそれを眺めて立ち去るだろう」が入ると、「涙」の意味の流れも「血」の意味の流れも分かり易くなると思う。なんか、同じことをそれぞれ2回、繰り返しているみたいだな。



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