2013年03月06日
PROPS第四回「マーケティング・レイティング」に参加して
私が参加している建築不動産の実務者が集まりクロストークを行う「PROPS」の第四回目に参加してきました。
第4回 2013年2月24日 (日) 「マーケティング・レイティング」
PROPSは第一回から参加させて頂いており、その前身となる「建築不動産クラスタ交流会」についても参加しており、運営スタッフの皆様とは非常に懇意にさせて頂いております。
twitterってすごいね。
ということで第四回のおおまかな流れはtogetterで確認してもらうとしまして
PROPSプロトーク第4回「マーケティング・レイティング」 #pr_0224 当日ツイート
私なりの感想です。
そもそもマーケティングとレイティングとはなんぞやと。
ここでいうマーケティングとは、経済活動の市場評価とし
ここでいうレイティングとは、一定不変のモノの評価としました。
不動産は、その価値(価格・賃料)は、実は近隣事例法という相場によって決定しますが、近隣事例法は大きな問題があって、不動産のスペックが反映されないという問題を抱えています。
不動産には「一に立地、二に立地、三、四も立地で、五に立地」というぐらい立地によって価値の差が出てきます。近隣に合わせて相場が決定し、それによって価値が決定される以上、何がどうやっても立地以外にある不動産の市場価値を上げることは絶対に叶いません。
また、建物に対しても、新築が最上級価格で、そこから中古は確実に落ちていくという日本特有の新築信奉もあり、不動産とは「立地価格を下限として、確実に価値下落が起きる投資商品」というのが現実です。
ただ、それもこれも、決まりきったハコモノに人が合わせて住まうという高度経済成長期の持ち家信奉が肥大化した結果の前近代的評価なわけでして、現在の21世紀は、人の考え、生活様式、将来設計などが多様化し、もはや現状の評価基準に納得できる人は少なくなってきている。
それがエンドの最前線にいる自分の考えです。
そこに新たな基準を持てないか?と考えているのが国土交通省の不動産流通市場活性化フォーラムであったり、様々な業界団体が動き出していたりするわけです。
その中でPROPSとして動くべき方向性は、やはり実務者レベルでの議論なのでしょう。
お上の決定による業界の歪は、この不動産・建築業界に身をおく者であれば誰しもがわかりきっていること。そこに実務者からの声を発信する場を設けて議論に広がりをもたせるのがこの会の役目だと思います。
そんな前段がありつつの、本編前半は建物の価値がメインでした。やはりキャッチーな話題になりやすい、「旧耐震・新耐震」
UR都市機構の中田さんがおっしゃっていたのは、旧耐震で設計されたものでも新耐震基準を満たしているものがあるということ。これは私も存じ上げませんでした。
とはいえ、ここで問題になるのが仮にそういう旧耐震時設計で新耐震基準を満たしている建物があったとしても、全く評価されないという点です。
そこで今新たな潮流として話題に挙がったのがインスペクション(建物調査)です。今不動産仲介業から熱い視線を浴びているこのインスペクションは前述の国土交通省の不動産流通市場活性化フォーラムでも話が挙がっており、一つの評価軸になるのではないか?そんなことを考えました。また、話題には挙がりませんでしたがいえかるてという住宅履歴情報サービスも今後は評価の一つになるのではと考えています。
そこから建物に依らない不動産の価値全般に話は移り、やはり、現場サイドからすると、先ほどの耐震もそうですが、生活が多様化している以上、間取り、立地、など旧来の不動産掲載情報ではニーズに対応する商品は出せないし、我々仲介業も価格決定に最適なものを出せません。twitterのタイムラインを追うと、それぞれの人が不動産を決定した理由がたくさんアップされており、ここまで多様化してしまうともはや既存のポータルサイトでは表現できない限界なのではないか?そう思わざるを得ません。
そこに新たな評価を打ち出そうとしているのが30ミニッツの野々村さんです。
野々村さんが製作した周辺環境スカウターは、不動産の価値を近隣事例法によらず、飲食店、スーパー、コンビニ、保育園(保育園に関しては待機児童情報含む)、またレンタルショップなど、今まで指標となりえなかった周辺生活環境を軸とした評価を出しており、一時ネットニュース関係を駆け巡りました。
民間からバズるぐらい不動産に関する情報が出回った(しかも不動産のこととは思われない形で)貴重な事件でして、今後民間からこういう動きは出てくるんじゃないかなぁと。なんせIT技術が遅れている業界ですからw
twitterでもありましたが賃料査定の一つの指標とされている方もおりましたし、今後近隣事例法による査定を切り崩すものとして、ドンドンこういったものが出てほしいなと感じる会でした。
懇親会、そして打ち上げと、非常に魅力的な登壇者の方々と、未来の不動産に関して活発な議論ができたことで、業界全体のボトムアップにもなるよう働きかけていこうと改めて認識したのですが、この辺の話はオフレコも多いので割愛ということで。
PROPSも第五回開催は決定しておりまして、同業界だけではなく、学生やIT業界、その他広告など多種多様な人が建築物や不動産というモノに対して集まってきております。
次回あれば、業界違っても来てみると面白いかもしれませんよ。