2018年12月16日

現代日本演劇のダイナミズム

早稲田大学演劇博物館90周年記念として『現代日本演劇のダイナミズム』という展覧会があった。演劇を博物館に展示するというのは、なかなか難しいのだが、様々な劇団の舞台の写真の展示が中心である。

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早稲田大学内にあるが、どこかの医学部とは異なり、大学卒業者を優遇して紹介しているわけではないようだ。もっとも早大の場合、「中退一流、留年二流」という言い方があるようで、中退者が一流ということで、卒業していないのだからあまり優遇するわけにはいかないだろう。

実はこの博物館だが、夏休み中に一回訪れていた。夏休み中でも大学に来て勉強しているのは外国人学生ばかりであることがわかったりしたのだが、博物館は展示準備中という理由で、一階の一部のみ立ち入り可能だった。一部とは通路なのだが。

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今回は上階まで登ることが可能で、特に第二次大戦後の世界の演劇がよくわかるように展示されていた。ある意味、美術や音楽、文学の世界では大戦後は虚無的文化が蔓延していった。しかし、本来、前衛にあまり向かない分野の芸術は行き詰まりを見せていくのだが、演劇についてはそもそも大衆演劇に対して、前衛演劇は別の世界にあったため行き詰ることなく営々と続いているわけだ。

ところが2000年頃からバブル崩壊の影響があるのかもしれないが、演劇というものが「弱者の主張」に傾いていったという事実があるそうだ。弱者というのが経済的弱者だったり、女性や病者、お年寄り(つまりシルバーシートに座る人)だったり、あるいは切り捨てられた地方からの視点というような構成が多くなっているそうだ。といってプロレタリア演劇ではないわけだ。

しかし、これがうまくいかないのが現状らしい。そもそも経済的弱者(つまりビンボーな人)が窮しているのは、お金持ちがいけないということだけではないわけだ。むしろ社会の再配分方法が悪いわけだ。病弱な人は健康な人のせいで病気になるわけではなく、医療システムの問題や、そもそも原因が自分の健康管理の場合すらある。女性が差別されるのは男性のせいだけではなく社会構造のせいでもあるわけだ。

だから二項対立のような分りやすい脚本が書けないわけだ。

そういえば、戦後思想の代表である実存主義だが、社会と個という関係の世界観を内在しているのだろう。自分の人生を、あたかも劇中の主人公のように演じるということなのかもしれない。といって、脚本はしょっちゅう書き換えなければならないのだが。
  

2018年12月15日

驚異の16歳がもう一人

フィギュアスケートの紀平梨花さんがグランプリファイナルで優勝したが、彼女より2日前に生まれたのが藤井聡太七段である。言うまでもなく将棋界のスーパースターである。ところが、同い年(学年は一つ上)だが、将棋界にも女性の新星が現れた。将棋連盟ではなく日本女子プロ協会(LPSA)なので、目立っていないのだが、礒谷真帆さんという16歳の高校生。快進撃していて珍記録をいくつか作っている。

まず、彼女はアマチュアだったのだが、マイナビオープンというプロとアマが参加する棋戦で連勝を続けている。まずチャレンジマッチトーナメントを4連勝し、予選トーナメントに出場。3連勝する。そして16人での本戦トーナメントでは1回戦で勝利し、ベスト8になる。この段階で、アマチュアからプロになる資格を得て、女流2級でプロとしてスタート。これはかなり異例だ。通常は研修会から女流プロになるのに、悪路省略である。

さらに、プロとしての1局目に勝ち、ベスト4に進出。この段階で女流1級を飛ばして女流初段となる。藤井聡太七段の場合は、昇段は異例に速いが、それでも飛ばしたわけじゃない。

そして次戦は、最強を思われる里見香奈四冠と当たる。実は里見さんの妹は礒谷さんの9連勝の犠牲者の中に含まれている。

藤井ブームの次に礒谷ブームが起きるのか、次局に注目である。

12月15日段階で、プロとしての実績は2勝0敗(勝率10割)。2勝で、3級(飛び)、2級、1級(飛び)、初段である。


さて、12月1日出題作の解答。

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初出しの図面に同手数別解があり、修正。4手目の合駒は角に限定される。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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合駒手順と捨駒手順があるが、手順が違うとうまくいかない(当たり前だが)。あせらないこと。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(2)しょうぎ

2018年12月14日

いきなり団子を食べてから考えると

熊本のお土産の一つは「朝鮮飴」であったが、もう一つ「いきなり団子」という郷土菓子もいただく。いただき団子だ。

団子という状態だと、何が入っているのか外からは何もわからない。大きさは5センチ以上あるので、何か入っているのだろうとは推測がつく。これで何も入っていなかったら、菓子ではない。

冷凍になっている状態で、ラップに包んで上下裏返して2回温めると食べられる。つまり温かいわけだ。

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そして、一口かじると、すぐわかるのだが、餡子の味のサツマイモである。いや、サツマイモの味の餡子というべきか。少し食べてから中をあらためると、両方入っている。

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もっとも、餅の中に餡子では全国どこにでもあるわけだが(平凡過ぎてどこにもないかもしれない)、どこにでもある餅と餡子とサツマイモを組み合わせると、別のものになる。複雑な暗証番号の作り方と似ている。

しかし、なぜ「いきなり」というのか、見当が付かない。「いきなりステーキ」もよくわからないが、最初にステーキを食べるからなのだろうか。ステーキ店のどこにいってもいきなりステーキを食べていたのだから普通に思えるし。

Wikipediaには諸説紹介されていて、いきなり作れるとか、いきなりの客にも対応できるとか、生の芋を調理できるので「行き成り」とか紹介されていて、さらに熊本の一部ではいまでも片づけが苦手な人を「いきなりな人」と呼んでいて、ようするに「ざっとした性格」をいきなりというようだ。つまり、ざっと作れるということらしい。

ところが、この菓子は、ざっと作ることはできるが、いきなり作ることはできないはずだ。餡を作るには小豆を煮るのだが、そのためには水に何時間も豆を浸したり煮込んだり。芋だって掘ってきて洗って、それから蒸す必要がある。いきなりの客に出せるわけない。

むしろ、(というか当たり前だが)、来客する客の方が持って行って、「いきなりですが・・・」と手渡すのではないだろうか。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)あじ

2018年12月13日

4分間のピアニスト(2006年 映画)

ドイツの映画を鑑賞することは少ない。過去の記録をひも解くと1990年に『ネバー・エンディング・ストーリー』を観ていて、その後、『アマデウス』と『フルトベングラー』を観ている。それだけだ。今回の『4分間のピアニスト』も音楽をテーマにしているといえば共通だが、登場人物が凄まじい。

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ナチスに手を貸したため、友人の共産党員の女性を死に至らしめたことを何十年も苦にしている音楽教師の老女クリューガー、それと愛人の犯した殺人罪の罪を着た若き女性服役囚ジェニー。刑務所でピアニストとしての才能を発見した音楽教師は、荒れ狂うジェニーをなんとかコンサートに出して立ち直らせようとするが、才能のある人間の周りに集まるのは、お決まりの3種族。つまり、ネタミ派、横取り派、オネダリ派。そして、さらにジェニーは荒れ狂い、ピアノを弾くべき両手でむやみにパンチを繰り出し、とうとうオペラハウスへの出演が困難になりかける。

そこで、ついに音楽教師は、ジェニーを刑務所から脱走させ、オペラハウスで僅か4分間の演奏時間を得る。しかし、本来弾くべきシューマンは、僅か数秒で終了。そのあとは現代音楽なのかジャズなのかクラシックなのか、奇妙な熱演が始まる。山下洋輔の2倍はうまい。

つまり、この映画は2時間近い時間のほとんどは、この最後の4分のためにストーリーが積み重ねられたということになる。

ジェニーを演じるハンナー・ヘルツシュプリング(1981〜)はオーディションで選ばれ、6ヶ月間、ピアノとボクシングのトレーニングを続け、それなりにピアノを弾いているが、最後の4分間の演奏は、実は日本人ピアニスト白木加絵さんが演奏している。欧州で活動しているようだが、もったいないような気がしないでもない。

そもそも女優にしてもピアニストにしてもドイツに居住していいのだろうか。男も女もスーツのポケットにドライバーを常備していて、緩んだネジがあると締め直すのが好きというような国らしく、サッカーとビールで盛り上がり、あまり芸術的じゃないらしい(偏見かも)。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)映画・演劇・Video

2018年12月12日

月魚(三浦しをん著 小説)

三浦しをんは、お気に入りの作家である。というのも、登場人物の性格が複雑なのだ。

たぶん、私が単純すぎるのかもしれないが、たとえば、一般的に嬉しいこととされる資格試験の合格とか、私なら、合格したら、「嬉しい!神社にお礼参りにいかねば」という、まったく俗っぽい対処を考えるのだが、彼女の小説の中の出来事の場合、「うれしい」と思ったところが人生の山であり、注意しなければならない。その後やってくる不運の連続を思えば、嬉しいことがあった時こそ、ジェットコースターの頂点で、最も「悲しい」時として書くのではないだろうか。ストーリーを追うこと以上の緊張感が漂う作家と思っている。

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本小説は二人の若い古書業界人の男を中心に回っていく。古書店主の真志喜と古書卸売業の瀬名垣。古書業界では過去に起こった有名な事件により真志喜の祖父と瀬名垣の父親がゆがんだ関係になり、瀬名垣の父親は息子を置いたまま、失踪してしまっていた。

人間関係がぐちゃぐちゃになった人たちが、地方の愛書家の死後、その若い妻と一族との間の蔵書処分問題(売却か図書館寄贈か)の争いに巻き込まれていく中で一つの結論に向かって進みだす。

では、本作のとりあえずの完結後、何が変わったのだろう。主に、瀬名垣に心境の変化はあるのだが、卸売業から古書店開業という流れになる。父親とのわだかまりは続くものの、行方不明だった父親と再会はしたものの・・

冒頭に書いたように、それほど深く心理を探究する能力はないので、彼らの親子関係が、この先、円満方向に進むのか、次の大爆発につながるのか、予測する能力はない。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)書評

2018年12月11日

いっぱい食わされた感が漂うが、

ゴーン容疑者の件。金融商品取引法違反容疑(自分の報酬の虚偽記載)なのだが、少し前から「本丸は別にあるのではないか」と囁かれていた。というのも、ザックリ言えば、報酬10億円の他に退職後になんらかの名目で受け取る金額が10億円あるので、本来、20億円と書くべきところ10億円と記載した、との容疑では立件は簡単ではないと思われるからだ。

これは、かなり危うい点で、ゴーン氏がいうように、まだ貰ってない退職金だから記載しないということなのか、貰うことが確定していたのかということだが、決算資料の健全性からいえば払う確率の高い金額は引当金を積んだ方がいいのだが、果たして国税庁が認めるかどうかということもあるし、そもそも健全でないからといって違反になることはないはず。

ちなみに役員退職金は、退職金制度がある会社は規定があるのだが、算式があって、その金額に功労の度合いによってプラスマイナスすることが規定されているのが通常で、だから確定しないというのが事実だし、株主総会で質問が出ても「当社内規により支払いました」というのが一般的。ゴーン氏が会社と結んだ契約書の中に、将来減額(増額)の可能性があるといった一文が入っているかどうかも重要。また、金融庁や会計事務所に確認したということになっていて、おそらく録音もあるだろう。そもそも合法と非合法の隙間を狙っているのだ。

さらに困ったことに、退職金を確定額と見ると、まだ払っていない10億円/年は支払わなければならないし、支払わないなら確定していなかったと言われるわけだ。

海外子会社が海外の住宅を購入した件も、ギャンブルで使ったわけではなく資産で残っているのだかから、損害が出ているわけではない。しかも海外法人所有の海外の物件の容疑なんか捜査対象外かもしれない。

ベルサイユ宮殿の結婚披露宴だって、招待客のための交際費と言うかもしれない・・


そもそも、日本の社長というのは公私混同が多過ぎて問題なのだが、信義にもとるからといって逮捕されるわけではない。ここぞとばかり、日本の企業統治の問題を議論しようというのは方向違いだろう。もともと、株価が安く、たいして下がっていないし、・・

もしかしたら、会長解任のための作戦に「司法取引」が組み込まれていて、功を焦った特捜が「いっぱい食わされた」というだけのようにも見えるのだが。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)市民A

2018年12月10日

海(トド)馬(吉村昭著 小説)

表題作の『海馬』は雪と氷に閉ざされた羅臼の街で、トド撃ちに執念を燃やす老人と、町を捨てて上京した娘が確執を解くまでの短編である。そういえば漁業組合長の娘が、ハイチの男性と結婚していなくなり、孫娘がラケットを振り回して確執を解いたかに見える事例もあった。

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『闇にひらめく』は浮気をした妻を刺し服役した過去を持つ男がひっそりとウナギ漁を始め、その彼に寄り添う女性との心理ゲームを題材としている。換骨奪胎された脚本で撮影された「うなぎ」という映画がカンヌでパルムドールを獲得した。闘牛、蛍、ヒグマ撃ち、鴨猟などを題材とした動物と人間との愛であったり戦いであったりとバラエティに富む短編集だ。

なにより、そのすべてが、明るい未来を予感させて、余韻の残る終わり方に書かれている。

しかし、現代の作家なら、ハッピー・エンドになりそうな予感のところで筆を置くことはないだろう。

過去のムショ暮らしを告白した男とそれを前から知っていたと言う女がいれば、そのまま婚姻届けを町役場に提出するだろうとは思われても、そうならないことだってある。女がC国から密入国して無国籍だったり、結婚して日本国籍を取得して、さっさと別れようとするかもしれない。人生は「波乱」と「平穏」とが不均一に混じったコースを進むことが多いわけで、平穏になったからって安心はできない。

そういう意味だと100頭のヒグマを仕留めた漁師は、鉄砲を手放すことで波乱の人生に向かわない選択をしたのだが、街中にヒグマが現れたことで、再び銃を手にすることになる。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)書評

2018年12月09日

浜離宮と新橋停車場

旧新橋停車場鉄道歴史展示室で先週まで開催されていた『浜離宮と新橋停車場展』に行くと、外国人の観光客が大勢いて、2種類の言語の通訳の方が大活躍中だった。東京はどうなっているのだろう。

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なぜ、鉄道関係の博物館で浜離宮の展示があるかと言うと、「お隣さん」だからだ。旧新橋駅は汐留にあり、その先に浜離宮がある。浜離宮は要するに庭園であって、風光明媚な日本各地の景観をミニチュア化したもので、この小型なものは全国のお殿様が城内やその周辺に庭園という形で存在しているが、なにしろ浜離宮は様相が大げさなわけだ。そもそも海水を引き込んで入り江や海を作っているわけだ。

しかし、そもそも江戸時代の初めからそういう設計ではなく、将軍の気晴らしのために御猟場として作られていた。汐留では鴨狩りが行われていた。目黒の秋刀魚という落語では目黒方面では動物を狩っていたそうだ(秋刀魚を釣りに行っていた、と誤解する人もいるらしい)。汐留の鴨狩は主に鷹が放たれたそうで、果たして将軍が満足したかどうかは不明だ。

そして、長くは猟場であったため、本格的な公園化は明治政府になってからのようだ。

また、この汐留の近くにあるのが築地地区なのだが、最近は市場移転のため大騒ぎしたわけだが、元々は市場ではなく、外国人居留地だったようだ。明治政府は日本人と外国人の衝突を避けようとして居住区を壁で覆ったわけだ。横浜の関内地区もそうやって分離したが、日本人が関内地区に混住することで、境界線は自然消滅した。  

2018年12月08日

ブラジルに届かなかったもの

2018年8月にブラジルで行われた移民110年記念の『全伯将棋名人戦』では優勝者(二世の高嶋ホベルト氏)に日本将棋連盟から記念駒が寄贈された。賞品は、その他10万円相当のマットレスと銘酒・高清水も贈呈されたそうだ。

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ところで、この記念駒だが、もっとずっとずっと前に進呈すべきものだった。

今から時間を70年遡り、1948年のことになる。ブラジルの日系社会は「勝ち負け抗争」が起きていた。日本が勝ったのか負けたのか、遠いブラジルには両方の情報があったようだ。そういうもやもやした中で行われたのが、この第一回大会だった。

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この輝かしい第一回大会に日本将棋連盟(会長は木村義雄氏)は、木村名人の署名入り駒を優勝賞品として寄贈することを約束する。ただし、当時の邦人紙パウリスタ新聞では、日本国外に輸出するためにはマッカーサー元帥の許可が必要で簡単ではないと、但し書きが書かれていた。

そして、実際、駒は現地には届かなかったわけだ。それが、マッカーサーのせいなのか、単に途中段階で誰かが、ちょっと失敬、となったのか、もはや真実を知る由もない。そういう時代だったわけだ。


最初の移民から40年後には日本が敗戦、占領されてしまい、その70年後に、やっと約束の記念駒が届けられたわけだ。


とはいえ、本来は70年前の優勝者(あるいはご遺族)に贈られるべき駒が、今年の優勝者に渡されるということは大丈夫なのだろうか。もらうべき人がもらえなかったため、裁判を起こすということが現実に起き始めている国もあるわけだし、今回の駒は今年の優勝者の分として、70年前の優勝者の分は別の駒を用意する方がいいような気もする。

それにしても、マッカーサーに禁止された70年前の名人署名駒だが、どこに行ったのだろうか。


さて、11月24日出題作の解答。

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初手に不成の技を使う。2手目は桂合いが最善になる。途中の香合のところ銀合でも本筋と同手順で詰むが、2手長駒余りの詰め筋もあるので、本手順の方がいいと思う。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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先週の問題と1一の駒が香と歩の差があるだけの姉妹作と言いたいが、実は先週の問題は変化同手数の余詰め筋がある問題作であり、改作図と今週の図が似ているような気がする。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(4)しょうぎ

2018年12月07日

朝鮮飴とは

熊本のお土産で『朝鮮飴』をいただいた。なんとなく、秀吉の朝鮮攻撃の時、主力として活躍した加藤清正が、飴をつくっていた半島の人たちを強制連行して熊本で飴を造らせたような語感を感じる。例えば、有名な陶器である有田焼、萩焼、薩摩焼などは、半島からの陶工によるものとされる。陶工問題はそのうち政治問題として浮上する可能性はある。

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そして、朝鮮飴だが、実は、まったく違っている。いわゆる求肥のような食感なのだが、純日本製。ただし、問題にならないかと言うと少し危ない部分もある。要するに朝鮮出兵の時に加藤清正は兵士にこの飴を所持させている。つまり、戦時下の栄養補助ということだ。しかもそれを営々と現代まで伝え、日本人が食べ続けているわけだ。

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追加すると、江戸時代においては、肥後藩藩主の細川家は、この飴を非売品にして、天皇家と徳川家への贈答品に用いていたそうだ。みんなでベロベロしていたわけだ。


ところで、最近、岩波新書で『朝鮮(金達寿)』を読んだ。1958年に在日朝鮮人作家が書いた朝鮮に関する書物で、多くは歴史が書かれている。

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国家が統一するまでのさまざまな外圧や内部分裂、統一した後、中国による介入や侵略、秀吉からの厄災、そして李朝崩壊と日露の勢力争い、日韓併合、そして朝鮮動乱と南北分裂。1958年の状況では北朝鮮の方が工業化していたことや金氏が北側の国籍だったことで、やや北よりの内容だが、当時ではしかたなかったのかもしれない。

併合中の日本が行った蛮行は控えめに書かれているが、そのうち、一つずつ掘り返される可能性も感じる。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)あじ

2018年12月06日

決して本名では呼ばれないだろう駅名

「高輪ゲートウェイ」という名前は、驚いた人が多かったようだ。そして反対意見が多数ということのようだ。

まあ、日本語と英語の折衷とはいえ、ゲートウェイじゃなく、ゲイトウェイではないだろうか。あるいはゲートウェー。説明では東京の玄関、すなわち入口ということになっているが、入り口ではなく出入り口ということだ。入国した人は帰国していただかないと毎年人口が1000万人単位で増えてしまう。

しかし、考えてみれば新駅の目の前には都営地下鉄の「泉岳寺」駅がある。「泉岳寺入口」という感じの場所だ。有名なテロリストたちの墓がある。品川の北なので「北品川」というのも一考だが、実は既に品川駅の南に京急の「北品川」駅がある。南にあるのに北と名乗っている。しかも北品川駅のあたりが、江戸時代の品川宿だったからややこしい。

高輪というだけでは、地名と若干ズレた場所だから何か付随させようと苦心の果てがゲートウェイだったのだろうが、それなら公募しなくてもよかった。なんとなく東京の玄関ではなく高輪の玄関のような語感である。

実際、最大の問題は、名前が長すぎるということだろう。絶対にフルネームでは読んでくれないだろう。4文字が限界だ。5文字以上になると短縮される。秋葉原→アキバ、青山一丁目→アオイチ、武蔵小杉→ムサコ、溝ノ口→ノクチ、高田馬場→ババとか。

では、新駅はどう呼ばれるだろう。

たぶん、

「ナワゲ」とか「ナワゲー」とか呼ばれるだろう。


ところで、山手線を地図で眺めると、恵比寿駅と五反田駅の間が長いようだ。恵比寿駅からガーデンプレスまで歩くと遠く感じるだろうが、事実、遠いのである。しかも、ほぼ中間点のそばには、自動車練習場もある。次はそこだろう。買い占めておこうかな。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)市民A

2018年12月05日

ふがいない僕は空を見た(窪美澄著 小説)

一見、5編の短編集なのだが、その5編は同じ時空間に起きている色々な事件を、登場人物ごとの視点で書いているわけだ。それも、高校生やそれをとりまくできの悪い大人たちの視点である。

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かなり、細かな心理描写と、大胆な性的行動を組み込んでストーリーを創り上げていくのだが、現実同様に事実というのは複雑なもので登場人物は勝手に行動をはじめて、著者にもコントロールがつかないのかもしれない。

往々にして、若い作家は会話を使ってストーリーを進めることが多く、文面が「 」だらけになることが多いが、本作では「 」はかなり少ないし、会話ではなく「文中文」のような場合に使われている。そういう意味だと、書くのが上手ということなのだろう。この作家を読みふけっていけるかどうかは、来年考えたい。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)書評

2018年12月04日

蒸気で(ホット)アイマスク

花王から出されている『めぐりズム・蒸気でアイマスク』の5枚入りをいただいた。ゴルフの賞品として勝ち取った、と書くとウソになる。参加賞。賞品を選んだ幹事の能力に驚愕。

テレビCMでも登場していて男性タレントが着用しているが、何しろこれを着用すると、人相がわからなくなるので、誰がCMに起用されたのか、今一つ思い浮かばない。

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従来品は40度の蒸気が出るホットな時間が10分だったものが20分に延長になったそうだ。実際、これを目にあてがうと何も見えなくなるため、睡眠前に着用した場合、そのまま朝までつけっぱなしになる可能性がある。長時間付けた場合、どういうことになるのか、どこを読んでも書かれていない。

まぶたが燃え尽きてしまうとか、蒸れてしまってまぶたがヨレヨレになるとか、大いに心配だ。そのため、スマホのタイマーを20分に合わせる。実際に、アイマスクを着用すると、スマホの操作は難しい。

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次に自撮りしようと思ったのだが、これがかなり問題だ。何しろ、見えないのだから顔が写っているのかもよくわからない。大量に撮影して、あとで選別することにする。

そして、肝心の試用感想。あくまでも個人的評価ということだが、ちょっと熱すぎる気がする。40度というのは眼球のためには熱いのではないだろうか。『働き続けた目にじ〜んわり』となっているが、目を働かせていないので、疲れていないのだろうか。いや、働かせすぎて、暑くするよりも冷やした方がいいのではないだろうか。

まさかとは思うが、持続時間を10分から20分に伸ばすために、温度を上げたのではないだろうかと思いたくなる。単なるわたしの誤解であってほしい(泡沫株主なので)。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)市民A

2018年12月03日

葬儀の日(松浦理英子著 小説)

文庫本で230ページで、中編小説が三編。幻の初期作品集だそうだ。後年の彼女の輪郭が色濃く感じられる。

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表題作の『葬儀の日』。泣き屋や笑い屋や、それを非難する人とか。いつ、どこで、誰がというような事情が希薄な作品で、読者には酷な部分が多いが、本質的に、作者が「こういうような構造の小説を書きたい」という強い欲望を完遂したといえる。

『渇く夏』。夢と現実とあいまいな境目をさまよう20歳の女性。読むほうも現実なのか夢なのか、あるいはもっと大きな仮想の中にすべてあるのか。最後に変な老人が再登場して現実感をとりもどすのだが、そこは要らないのかもしれない。

『肥満体恐怖症』。普通の小説を読み慣れた人には、この小説が理解の限界かもしれない。前二編は普通の小説の枠を超えている。カフカの「城」だって読めない人はこの『肥満・・』が限界だろう。ある意味、現実的だ。女学生が、同居する肥満女学生たちに恐怖を感じ、ちょっとした嫌がらせで盗みを始める。盗っ人の一般理論である習慣化が始まり、盗品が積み重なっていく。ところが、盗まれている中の一人は真実を知っている。そして、・・・。ということで、ある意味通俗的かもしれない。

この本だけを読んで、松浦作品を避けるのはもったいないが、逆にこの本を読まずして松浦作品を語るのは避けたいところだ。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)書評

2018年12月02日

林道子『Hodophylax 道を譲るもの』

FUJIFILM SQUAREで開催されていた林美智子の写真展。実は絶滅したと言われる日本狼について、その伝承や目撃情報、また狼に対する恐怖や畏敬を写真家として記録を続けて、一つの展覧会にまとめている。

なかなか思い浮かばない手法なのだが、たとえば石内都さんが体の傷跡を写し続けるのと似ているような気がする。

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日本では100年ほど前に絶滅したといわれるのだが、実際「不存在」を証明するのは難しい。50年ほど前に狼の一群と遭遇したという目撃情報は、相当数あるわけだ。

特に秩父の奥の方には、通称で秩父野犬という名称の犬に似た動物が何度も目撃されている。犬なのか狼なのか。

一方、そういう猛獣としての狼とは逆の立場で、狼を肯定的に捉える場合もある。実際、現在、猪や鹿が人間社会に出没して、困ったことが起きているが、狼がいれば野生動物の増殖抑制にはなるだろう。実際には、狼に追われて猪がもっと人里にあらわれるかもしれない。

そうした狼についての「悪魔か平和か」という二者択一の中で、驚くべき意味の転換が行われたコトバがある。

送り狼。

「遅いので、家まで送っていきましょう」が一番危ないとか、「大丈夫」がもっとも「大丈夫じゃない」というのが「送り狼」の典型とされるのだが、そうではなかったようだ。

こう書かれている。

所用で山を越えていき、帰りが遅くなると、暗い山道の後ろから狼がついてくることが多かった。転ぶと襲いかかられると信じられていて、人々は転ばないようにヒヤヒヤしながら帰路を急いだ。無事に里や家の近くに帰ってくると、狼のおかげで魔物から帰り道を守ってもらえたと、とらえていたそうだ。

もっとも、最近では送っていく狼が食われることもあるようだが。
  

2018年12月01日

解けてうれしい詰将棋30年夏秋号

「将棋を孫に伝える会」で出版している詰将棋小冊子が久しぶりに届いた。どうも主幹の方の個人的事情があったような書き方になっている。孫に教えるには健康が重要だし、本人が健康でも少子化の時代、孫に恵まれないことも多いだろう。

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小学生対象で将棋を教えているが、「盤や駒」をどうすれば入手できるかということから問題は始まる。家に鍵盤がないのにピアノ教室に通うようなものだが、「ピアノを買うよりずっと安いです」と言って木製の盤を買ってもらうしかない。

今回の夏・秋合併号だが、表紙が気味悪い。お化け提灯と、人魂。提灯には棒が付いているが、人が持っているわけでなく宙に浮いている。実は最近、毎晩のように悪夢を見ている。夢の内容は悪夢ではないのだが夢の中に登場する知人は、そろってあっちの方に行った人ばかりだ。早く問題集を解かなければと大急ぎで片付けた。循環手順に陥って無間地獄にハマるような問題はなかったが、解けない詰将棋を秒読みで迫られる夢を見そうだ。


さて、11月17日出題作の解答。

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銀の打替えから捨駒、重ね打ち、香の単打ということ。


動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

原図に余詰めがあり、改作図を作りました。申し訳ありません。(12月5日)

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原図は、こちらでした。↓

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今週と来週とセット問題。超奇抜な手はないが、色々と変化を読むことにはなる。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定します。


  
Posted by ota416 at 00:00Comments(2)しょうぎ

2018年11月30日

麦のワインを入手

神奈川県厚木市にあるサンクトガーデンビール社が8000本限定で醸造した新酒(解禁日11月15日)2本を入手できた。大麦ワインの『バーレイワイン』と、小麦ワインの『ウィートワイン』。

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いったいワインなのかビールなのか。

飲んでみると、どちらかというとビールに近い。つまり苦いわけだ。アルコールは10%なので、ビールとワインの中間だろうか。瓶につめてから瓶内で二次発酵するように、一旦発酵させたあと、用済みの酵母を除去した上、新しい麦汁とともに瓶に詰めるそうだ。元気な酵母がまた醗酵することによりアルコール分が増加し、ワイン味のビール(ビール味のワインともいえる)が完成する。

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価格は普通のビールの5倍以上。数量限定なのでもう手に入らないかもしれない。白ワインと黒ビールを混ぜると同じ味になる可能性がないわけでもないだろう(いや、大いに異なるだろう)。

もともと、イギリス人がワインを飲みたくても国内で葡萄が栽培できないため、大麦でワインを作ろうとしたことから19世紀に登場した飲み物らしい。この素晴らしい味のワインに合わせるべき素晴らしい料理がイギリスには存在しないということが最大の問題かもしれない。EU離脱しちゃったし・・
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)あじ

2018年11月29日

グラン・トリノ(2008年 映画)

監督・主演が、クリント・イーストウッド。

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夕陽のガンマンとかダーティ・ハリーとか、どちらかというと知性よりも体力が勝る映画で主演を張っているが、監督になると。まったく異なる複雑な映画を作る。

本作でも、前半のイーストウッドはトランプ支持者そのもののような振る舞いを見せるのだが、アジア系の隣人と付き合い始めて、態度を豹変させる。「話の分かる白人老人」というカテゴリーに移動した。

そして、主演作ではライフルかマシンガンかダイナマイトを用いて撮影セットを大破壊するのだが、本作では、わけあって丸腰で修羅場に踏み込むわけだ。

なかなかいい映画だと思うが、彼が大事にしている愛車「グラン・トリノ」だが、日本で言えば、トヨタのマークXとかだろうか。米国車をそのまま日本に持ち込んでも10台くらいしか売れないような気がする。
  
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2018年11月28日

片眼の猿(道尾秀介著 ミステリ)

ある人が絶賛していたので、読んでみたのだが、ミステリとは知らなかった。絶賛の文を後で読み直すと、絶賛のミステリとなっていた。もっとも嫌いなわけではなくプロンジーニとかコーンウェルの文庫本が書棚に無秩序に並んでいるし、ロス・マクドナルドもほとんど読んでいる。

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国産品はあまり読んでないのだが、知っている場所とか犯人の逃走ルートとか、身近な話が書かれていると、「それは事実とは違うのではないだろうか」とか作家の意識していない穴ぼこを探したくなったりして、ストーリーに集中できないということがあるからだ。

本作でも袖ケ浦駅から内房線で東京湾をぐるっと回って東京に通勤しているというところは、内房線は千葉市までで、そこからは総武線(あるいは京葉線)に変わるし、千葉から横浜まで行けば回るでもいいが、東京までなら単に北上ということだろうとか、奇術用のトランプにしては、縦横比が違うのではないかとか。

エンディングは、もちろん独創的に感じたのだが、実はどんなミステリでも独創的に感じるのでどれくらい凄いのかわからない。探偵社同士の戦いのようなミステリは読んだことないなとは思ったが、ありそうな気もする。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)書評

2018年11月27日

仁徳天皇陵の発掘

一か月ほど前のニュースで、堺市の仁徳天皇陵を宮内庁と堺市が共同で発掘調査すると報道されていた。平成の最後に「開かれた皇室」が、こういう形で実現するのだと、感慨したのだが、もちろん、その発端ではあるものの、今回、何かを期待しても何もないだろうと予言できるほど小規模らしい。

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実は昨年、堺市の観光の一環で、そこに行ったわけだ。正式には、大仙陵古墳とか、仁徳天皇百舌鳥耳原中陵とか言われる。後で触れるが、確実に仁徳天皇の墳墓であるとは、まだ言い切れない部分もある。そして、大変な大きさなのだ。高さも40m近くあり、奥行きも500mほど。ところが今回の発掘は、取り囲む濠の外側の堤のごく一部だそうだ。つまり墳墓そのものは対象外のような感じだ。

つまり、崩れかけている部分の補修工事の前に調査しようということのようだ。しかも、その目的が、「世界遺産登録のため」らしい。この周辺には多くの古墳があるので、一括申請しようということらしい。

確かに堺市には観光地がいくつかあるが、それぞれがかなり日本的な歴史遺産で、しかもオリジナリティが少ない。例えば、与謝野晶子と千利休の生家はわかっているが、建物はない。坂田三吉の生家の場所もわかっているが、家はない。あえていえば鉄砲鍛冶町は残っているが、ポルトガル人から技術を盗用して国内にとどまらず東南アジアまで鉄砲を輸出していたというのが評価されるのだろうか。合羽橋ではないので、鉄砲鍛冶から工場直売で火縄銃を買うわけにもいかない。それに比べて、天皇陵はリアリティそのものだ。

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で、では誰が何のために巨大な古墳を作ったのかということになる。なにしろ古墳時代に最大の権力をもっていたのが第16代仁徳天皇(天皇というコトバは当時はなかった)。むしろ、仁徳天皇は墳墓の主ではなく墳墓をつくったのではないか、つまり仁徳天皇の父である応神天皇ではないかという説がある。

何のために、という謎には合理的な説明がある。当時の都は今の大阪市の南部(難波宮)だった。堺は大阪より南なのだが、海外(中国や朝鮮)からの使者が来日するためには、対馬を経て、下関から瀬戸内海に入るしかなかった。太平洋は危険すぎるわけだ。そして淡路島の北側の明石海峡を経て、やっと大阪なのだが意図的に堺を国際港としていた。大阪の町の面前で船を南に回頭させ、堺の海岸沿いに航送して港に到着する。その時に仁徳天皇陵の長辺と同じ方向に進むので、日本の大王の権力は極めて大きいと思わせる効果があった。

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朝鮮半島には古墳が多くそのため皇室の祖先は半島出身という説もあるが、逆に、朝鮮半島からの使者に対して、日本では韓国より大きな古墳を使っていると威張るために、作ったのかもしれない。なにしろ決定打がない。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)歴史

2018年11月26日

碇星(吉村昭著 短編小説集)

毎年、吉村昭の本を数冊読んでいるが、今年は余裕がなく、やっと一冊の文庫本を手にした。1999年に発行されている。

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緻密な構成の長編とは異なり、いささか淡色的に、一つのテーマを距離を離して傍観的に描いていき、結論には多くの余韻を残す書き方である。長編では有名な歴史的事件を扱うことが多いので、結論を漠然と書くわけにはいかないのだが、本短編での登場人物は多くの市井の人々である。実話から起こした題材もあるだろうが、小説の終わりから先の人生は調べない方が花ということだろう。

全八編だが、自分的に好きだったのは、『牛乳瓶』と『碇星』。

『牛乳瓶』では日中戦争が始まった頃に町に進出してきた働き者の牛乳屋の主人が、やっと生活に余裕ができた頃に徴兵され、そしてまもなく戦死。残された妻と幼児の困窮を助けるために市民が牛乳を買いにいく話。しかし、努力しても努力しても戦火が拡大するなかでは次々に困難が起きていき、ついに町のほとんどが米軍の都市爆撃により灰燼となる。この作品だけは、明るい続編を読まずにはいられない(無理だが)。

『碇星』とはカシオペア星座のこと。形がWというのは、碇(いかり)の形だ。ある高齢社員が定年延長の見返りとして、社葬などの会社の葬儀関係一式を取り仕切る役目を引き受ける。当然、毎日仕事があるわけではないが、続けているうちにスペシャリストになり、役員や社員の個人的葬儀のアドバイスもするようになる。愛人宅で亡くなった会長を何も知らない妻の家に運ぶ時の偽装工作も登場する(余計な話だが、愛人宅で亡くなった社長の息子を自宅に運んだ実話は知っている)。その中で、ある元役員から、死んだあとでも棺の中でカシオペアを見たい、という要望を受ける話である。

『花火』は吉村昭氏自身が戦後まもなく結核に感染したあと、一か八かの実験的大手術で生還した時の主治医が亡くなるときのたぶん実話である。実際、医師の方は義務感から手術するので、患者個人に感傷的になることはないだろうが、元患者の方からいつまでも感謝してもらうのは励みになるだろう。実際は、多くの患者は執刀医に感謝するのも1年位で、あとは徐々に忘却するのだろうなと思う。作家の強い思いを作品にするべきかどうかは別のような気もする。

そして作家は病院のベッドの上で。体に挿入された何本かのチューブを自ら引き抜いて亡くなる。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)書評

2018年11月25日

深瀬昌久『総天然色的 遊戯』

終ってしまった(〜11/9)写真展のことを書くのは心苦しいが、六本木のフジフイルムスクエアで開かれていた深瀬昌久氏の『総天然色的 遊戯』のこと。

モノクロとカラーでは表現のしかたが異なるわけで、本来、色を持つ世界の事象をモノクロでは、白と黒の二元論に変えて表現するわけで、一方、カラーの場合、抽象化が難しく、報道写真ならともかくも芸術性、特に個性を加えるのは簡単じゃない。

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深瀬氏はモノクロにこだわっていたのだが、ポラロイドによる再現できない一過性の作品を切り口に、カラー写真にも作風を拡げていった。

主な活躍時期は1980年代で、まだデジタル技術は地球上に広まっていなかった時代だ。

思うに、モノクロからいきなりこんな世界に、という感じだ。

人生の後半は苦闘が続き、2012年、78歳で亡くなっている。人生は時に不運が続いてしまうこともある。
  

2018年11月24日

解答選手権2018(出版物)

『詰将棋解答選手権2018』は出版物になっているが、詰パラ選者の方より、ちょっとした不運の見返りに一冊頂戴することになった。

もしかしたら、「あなたも出題投稿するように!」という無言の圧力だろうか。純文学の世界に大衆小説を持ち込むようなものだから難しいかもしれない。

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そして、本書。初級戦、一般戦、チャンピオン戦の全20題を280分(4時間40分)かけて解き直す元気はまったくないので、棋譜と解説を眺めるのみとし、各会場レポートや優勝者(藤井聡太六段(当時))のインタビューを読むことに徹する。(実は、自分でも解いていて、簡単に解けない問題はソフトで鑑賞していた)

藤井七段のインタビューは、いつものように優等生タイプなので読み流していたのだが、最後の発言で目が覚めた。

インタビューアー:次回もぜひ出場をお待ちしています。

藤井:対局が入らない限りは、参加するつもりです。またよろしくお願いします。

対局が入らない限り、といっても今までチャンピオン戦は3月末の日曜か、その周辺の祝祭日に設定されている。原則的に日曜には対局が組まれない。

ただ、タイトル戦になると、地方の旅館で前夜祭とか移動日が日曜になることも考えられる。「対局が入らない限り」という発言の部分は、本心では「タイトル戦に出場しない限りは」ということなのだろうか。時期としては棋王戦。来年の挑戦トーナメントでは既に敗退。もっと長期的展望で話しているのだろう。


さて、11月10日出題作の解答。

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中合は金か飛車(3二銀成を防ぐ)だが飛車は品切れ、金合には構わず銀を成捨て角道を通して、4二歩成で左側に王を寄せ、角が覗く。3二銀を成らずに、4二歩成は一目散に一筋に逃げられ、打ち歩詰で凌がれる。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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感触はいいのだが、終盤で玉方の合駒が非限定になるキズがあるが、ご容赦のほど。

意外に手が伸びていく感じがあるが、長手数感はないと思う。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(2)しょうぎ

2018年11月23日

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年 映画)

日本アカデミー賞など大量の賞を集めた映画。主演は宮沢りえで、銭湯の女将。風呂焚きの旦那が蒸発し、銭湯は休業。パート先で倒れ、病院で余命2ヶ月の末期がんと宣告される。一人娘(とりあえず、そういうことになっている)を演じるのは、今や大女優然となった杉咲花だが、高校でいじめを受けていた。杉咲花こそ、本当は主演といってもいい好演なのだが、やはり主演は宮沢りえでないといけないということに最終的にはなる。

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そして、女将は残された余生を走り回るために私立探偵に次々と調査を依頼し、遁走した夫と隠し子を見つけ、風呂屋に回収する。登場人物のほとんどに、何らかの人生上の諸問題があることが発覚していき、一人娘の出生の秘密も明らかになる。一方で、体力は徐々に衰えていき、入院したホスピスと風呂屋の間を行き来する杉咲花が活躍を始める。

そして、最後は問題のシーンとされる宮沢りえの葬儀である。ご遺体を載せた霊柩車は、火葬場に行くことなく人気のない野原で時間調整を行い、ついに柩は、風呂屋に到着するわけだ。そして、大量の薪とともに煙突の煙となり、その過程で発生する熱エネルギーで沸かされたお湯で、関係者一同が温まり、故人の冥福を祈ることになる。

思えば、大変に心の温まる葬儀の方法であるわけで、これ以降、全国に広がったのではないだろうかと思ったが、どうも実例はないようだ。実際に銭湯はあっても、今は薪は使われないからだろう。


ところで余談。宮沢りえの右眼の下にあった大きめのほくろが除去されたそうだ。多くのファンはもっと早く施術した方が、傷が残りにくいと思っていたようだが、今になったのは、何か理由があったのだろうか。もしかしたら、貴乃花? 彼に大きな黒星が付くのを祈っていて、ほくろに願掛けをしていたのかもしれない。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)映画・演劇・Video

2018年11月22日

「持ちつ持たれつ」関係だったのかな

カルロス・ゴーンが逮捕された。もっとも、新聞情報など総合的に考えると、黒に近いとは言え、起訴から有罪に持ち込めるのか一抹の疑問も考えられる。海外法人が絡んでくると一筋縄ではいかないはず。ということで、報酬を隠したとか、海外に住宅を4つも持っていたとか、焼鳥屋は自腹だが寿司店は経費だったとか、新しい奥さんとの披露宴の話とか前妻が文春に漏らした話に対する訴訟とかは、すっかり置いておいておくことにする。

実は泡沫株主なので6月の巨大株主総会に出席した時の違和感があったのだが、列挙すると、

1. 9人の社外取締役の一人は、女性レーサー(日本人)であること。
ゴーン氏が取締役で解職になるのは会長職で取締役ではないはず(それは臨時株主総会で、召集まで現実的には数週間は最低必要)。取締役会では、このレーサーがキャスティングボートを握っている可能性がある。

2. 些細な話だが、日英の通訳の女性の英訳が、シャークスピア悲劇のようなドラマティックだったこと。彼女が専属通訳だったらと、引いてしまった。

3. 業績が悪いこと。つまり経常利益が落ちて最終利益が増えたのだが、米国の法人税が下がったことに起因していたこと。

さらに、よくよく考えるとルノーと日産の協力って物理的にはあまり行われていないこと。単に配当利益だけ回しているというか、ルノーの連結決算に日産の決算の持ち株比率を足しているだけの関係に見えること。そもそもルノーの合併の目的はルノーのテリトリーだった欧州とアフリカに対して、日産は北米とアジアであったというところに行きつくのだが、そこから何ら変わっていないこと。つまり、あまり企業経営がうまくいってなかったように思える。

実際に自分が株を持っていたのは高配当という理由で、たいして上りも下がりもせず、親会社(ルノー)の不満が爆発しないように高配当していたということで、便乗していたわけだ。

実は、株主総会の時には「ルノーと合併することはない」と断言していたのだが、報道によればまもなく経営統合が発表される寸前だったようだ。

ということは、もともと日産という会社はゴーン氏の隠れた真実は知っていたものの、「合併しない」という主義を考え、てんびんにかけて見て見ないフリをしていたのだろうか。ところが、合併という事態により、ついにトリガーを作動させたということではないだろうか。

今後なのだが、ルノーが日産の子会社化を図るためには、一つにはTOBが考えられる。日産の株価は、そもそも安い。下がる余地がないほど安いため、今回の不祥事でも下げ幅が小さい。ただTOBとなると株価が急騰する。一方、一か八か株式を市場で売り飛ばすと言い出すと株価は下がる。実際には、その両面をチラつかせながら安く買い上げるという可能性もあるが、失敗すると元も子もなくなる。

株式市場で売買が交錯するなら株価に反映するだろうが、プロキシファイトみたいなことになると泡沫株主には声がかからないだろう。

実際は、株価暴騰に賭けて少し買ってしまった。1千万株位を買えればいいのだが・・
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)市民A

2018年11月21日

鬼が暴れたのだろうか

万城目学著の小説「鴨川ホルモー」では、数多く存在する鬼には、無害な鬼と有害な鬼がいることが明らかにされ、その鬼たちを操るもの(特別な人間とか神様とか)は鬼語を話し、修行により鬼を見ることができると、されている。

その日常的に鬼を操るのが平安時代の陰陽師である安倍晴明とされている。魔術を使うとされるが、普通の人間の目には見えない鬼を操ることができれば、多くの魔術的なことができるはずだ。

そして、晴明が祀られる京都の晴明神社だが、昨年から祀られる人物が変わった。今祀られるのはフィギュアスケートの羽生弓弦だ。ことの発端は2015-2016シーズンで、フリープログラムに「SEIMEI」という曲を用い、活躍した。その頃から晴明神社には国内外から羽生ファンが集まってきて聖地となった。

しかし2016-2017年には、「SEIMEI」を封印してしまう。2017-2018年は平昌五輪の年。このシーズンは再び「SEIMEI」を再利用、ところが11月に4回転ジャンプの練習中に転倒。SEIMEI封印の仕返しを受けたわけだ。

そして2018-2019年。またしても羽生は「SEIMEI」を封印する。その結果、

再び松葉杖に追い込まれる。4回転練習中に転倒し大けがを負うことになった。

どうすればいいのだろうか。

答えは簡単だ。

「鴨川ホルモー」に書かれているが、「鬼語」を覚えればいい。鬼の仲間になれば、仕返しされないばかりではなく、姿が見えない鬼たちの協力で、5回転ジャンプもできるし、リンクの中を空中遊泳することもできるだろう。

もっとも、鬼語をマスターするには2年は必要らしいので、それまでの対策が必要だ。

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晴明神社に行って、星印のお守りを購入すればいい。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)スポーツ

2018年11月20日

鴨川ホルモー(万城目学著 小説)

映画にもなった小説で、ホルモーとはホルモンではなく、鴨川とは千葉県ではなく京都市内を流れる川のことだ。京都大学他に伝わる伝統的ゲームなのだが、現代人のほとんどが信じないような「鬼」の世界と「人間」の世界をつなぐ(いや、つながない)人たちが、この数名の大学生なのだ。

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まず、鬼語を学ぶところから修行が始まり、それによって世界の鬼たちを巧みに操って自分の味方につけて他の大学の鬼たちと戦うわけだ。

その長い伝統の中で、まれに鬼そのものを目撃する機会が訪れるわけだ。鬼にも良い鬼と悪い鬼がいるようで、人間に媚びる者と人間と敵対する鬼がいる。敵対といっても普通の人には鬼の存在が知れていないため、重要な入学試験の日に電車が遅れて遅刻し、1分差で試験会場に入れないとか、不意にめまいがして転倒して腕の骨を折るとか、「不運」と思われる事象も偶然に起きているのではなく、鬼が事態をコントロールしているそうだ。

そして、この行事や鬼との関係性については、どうも京都の安倍晴明神社と関係があるらしい。いわゆる陰陽道である。

そういえば、本小説の主人公は安倍明という名前で、晴明の子孫であるかのごときだ。

小説から離れるが、最近、晴明神社に対して失礼なことがあったようで、鬼が大暴れしたことを知っている。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)書評

2018年11月19日

出稼ぎなのか移民なのか

日本の労働者が足りないのはかなり前からはっきりしていたのだが、ベビーブーマーが70台前後になった今、老人労働力に頼るわけにはいかないわけで、女性の社会参加とか急に言い出すのも移民問題と同根なのだろう(引きこもりというカテゴリーもあるのだが)。

それと、最低賃金が上がったと言っても東京で時給985円、鹿児島で761円。仮に1000円として年間2000時間働いて年収200万円。これでは日本人を集めるのは無理だ。

一方で、企業も本来は技能研修生でなく留学生をアルバイトで雇いたいわけだ。学生アルバイトなら健康保険、厚生年金、雇用保険は会社負担は不要だが技能研修生なら半額は会社負担になる。

それと、今回の受け入れ要件の緩和は、企業からの要望と言われているが、細かく言うと、受入れを認められていない業界からの要望ということ。要するに、今までの特権には例のようによくわからない不公平があると感じているわけだ。なぜあの会社だけが大量に外国人労働者を認められているのだろうか、というような不満がくすぶっている。

さらに、こういう時こそ大活躍するはずの労働組合はどうなっているのだろう。傍観なのだろうか。あるいは反対?あるいは賛成?

労組的にいうと、研修生が労組に入るなら賛成、入らないなら反対ということだろう。ようするに組織率が低迷しているわけだ。一方で、例えば船員などについては、そもそも国内航路では外国人船員を拒み続けている一方で、外航航路ではほとんどが外国人船員なので、外国人の組合加入も行われているのだが、それはそれで、外国人組合員からは、組合に対して払った組合費に見合う成果を要求する声が強いらしい。

最後に、技能研修生の上限数を制限するような話が浮上しているが、どうやるのだろう。早い者勝ち?抽選?割り当て?割り当てとなると、外国人枠というのは個人に所属するのか会社に所属するのははっきりしない。受入れ枠の売買のような醜い形に変貌するような気がする。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)市民A

2018年11月18日

すみだ北斎美術館に

最近、日テレの人気番組「イッテQ」で、やらせ疑惑が浮上している。ラオスで伝統的に行われているとされる「橋まつり」の放送が、「真っ赤なウソ」であったらしい。橋と言っても泥水の上に板を浮かべて、その上を渡り、コケると泥水に浸かるという、至ってファニーな祭り。実際にはタイとラオスの国境を流れるメコン川という大河のタイ側の流域では、この「橋まつり」があるらしい。とはいえ、日本の感覚だと「橋」というのはメコン川を渡る橋という意味だが、板を浮かべるのとはずいぶん違う。

現代でも国際河川のメコン川の橋は橋桁が低く、貨物船が橋の下をくぐれない。主に日本の技術で橋桁の高い橋ができているが、既存の橋が一つでも残っていると、船は上流に上れない。

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日本の橋はメコンの様な大河ではないため、江戸時代から木造の大橋が作られるようになった。その各地の橋は構造的に美しく、葛飾北斎は実は富士山よりも橋を描いた数の方が多い。その橋に魅せられた北斎の画を中心とした「北斎の橋 すみだの橋」という展覧会が、両国のすみだ北斎美術館で開催されていた(現在は終了)。

いや、上手いものだ、と感嘆するしかない。

奇抜な趣向の橋が多く、その橋を生かすために、富士が書き添えられたり、旅人や川や船、そして雨と、まさに遊ぶが如くの腕前だ。しかも見ていない橋まで、目の前にあるように描き上げている。

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本展に出展されている作品の中で、「岡崎矢はきのはし」は矢作川にかかる「矢作大橋」のことだろう。当時、日本最長の橋だった。秀吉が蜂須賀小六と出会ったのが、この橋の上とされる。数年前、岡崎城に向かう道に迷ってこの橋を渡ろうかどうか思案した。

岩国の「きんたいはし」は錦帯橋のことだろう。実際に行ってみると、橋の湾曲や向こうに見える岩国城の建物など、ほぼ正確だ。今のようにカメラもない時代に、よく描けるものである。


常設展の方も見てきたが、世界中から愛好家が集まるのだから、もう少し展示作品を増やした方がいいのではないだろうか。デジタル化した作品集をモニターで見るという方式は、どこかに勘違いがあるような気もする。

思うに北斎の魅力は、「構図」にあると思う。何しろ奇抜だ。そして自由だ。たとえばゴーギャンやルノアールにしても、描いた絵を、画商を通じて売ってお金を得ることになっていた、ある意味で売れる絵を目指すということは、構図は絵画を買う人の趣味や奇想に大いに影響されるのだろう。浮世絵は印刷物として市井の市民に広く販売されていた。市民による粋の精神と美に対する熱狂があったからこそ、北斎が活躍できたのだろうと思う。

ところで、この美術館の建物だが、斬新風だが、あまり好きにならない。四角なビルが大地震で崩れかけて亀裂が走ったような感じだ。ここに美術館ができたのは、生涯に93回も転居した北斎だが、ほとんどこのあたりに住んでいたからだそうだ。転居の理由はよくわからない。家賃問題かな。
  

2018年11月17日

今年の順位戦

順位戦も半分以上進み、各クラスの成績を眺めてみると、

A級 豊島二冠が5連勝と先行。ただ、昨年も5連勝のあと1勝4敗。6人プレーオフでも3連勝の後、敗退の前例あり。全体が上中下の3グループに分かれているので、それぞれの目標が見えているような気がする。

B1 渡辺棋王が7連勝で、残り5局で2勝すれば昇級(実際には1勝でも)。2位争いは混迷だが2敗、3敗が6人。8勝4敗が目標だろうか。逆に降格ラインは4勝8敗かな。谷川先生は4勝4敗なので、全勝または全敗コースになった時のみ注目されるのかな。

B2 いまのところ特筆なしだが、うつ病から復帰した先崎九段は応援したいところだ。社会復帰がうまくいかないことが多いのだが、せめて降級した時に病気のせいにはしてほしくない。

C1 藤井聡太七段を中心に最もホットなリーグで、全勝者が3名。1敗が4名。2敗した者から不可になるのだろう。2月にならないと絞れない感じだ。

C2 そもそも毎年4人が入ってきて3人が昇級するということで、強い四段がたくさん残っている。現状44人で年に10人と対局ということで、運不運が関係する。こちらも全勝が3人、1敗が9人と前が見えない。このリーグは、2敗した段階で、泥沼の中を泳いでいるような感じなのだろうと推測。


さて、11月3日の出題作の解答。

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テーマは「押し売り」。飛車も竜も押し売りしなければならない。そのためには角が往復1回しなければならない。往復回数は2回しても3回しても詰むのだが4回すると「連続王手の千日手」で将棋のルール違反になる。あまり知られていない詰将棋のルールとして、「攻め方は最短手順を選ぶ」というのがあって、2往復は禁止される。

「押し売り」自体、法令に違反することがあるが、将棋の場合は「相手の嫌がる手が好手」ということなのだ。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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斜めに動く駒を使って詰ませるのは、難しい。最後はピストル使用。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定します。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(2)しょうぎ

2018年11月16日

味噌ラーメンも時々

しばらく北海道に行っていない。となると、肌寒い日には味噌ラーメンを食べたくなるが、最近、味噌ラーメンにとって辛い時代が続いている。あまりに味が現代的じゃないからだろう。スープは濃厚系とか、動物由来と植物由来のダシをミックスしたり、一方、透明であっさり系とか。アメリカ社会と同じで、極端と極端に二極化しているのかもしれない(いや、多極化かな)。うっかり「味噌ラーメンが好き」とか漏らすと「昭和」マークのラベルを貼られてしまうだろう。あくまでも「隠れ味噌ラーメンファン」というスタイルがいいだろう。

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すすきのの味となればラーメン横丁の味噌ラーメンということで、代表的な店の一つが『満龍』。もうすぐ創業50年(1971年〜)だ。さらに、首都圏にある東急電鉄と契約があって、東急系のSCに出店している。飛行機に乗るよりも電車の方が安いわけで、近くの『満龍』へ行く。実際、半年に一回位、味噌ラーメンを食べに行く。

ところが、満龍自体、すすきの感を薄めているようで、周りを見回しても「味噌」を食べている人は見当たらない。思えば、「平成」ラベルの人が多い感じだ。「辛みそラーメン」が人気のように思える。

といっても「味噌ラーメン」の味は、記憶の中の味噌ラーメンと同じだ。コーンやバターやチャーシューをのせないのはケチだからということではないから(念のため)。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)あじ

2018年11月15日

スローカーブを、もう一球(山際淳司著)

短編ノンフィクション集である。有名な『江夏の21球』は、この9編の短編集の2番目の作品である。実は、江夏豊氏以外の8作に登場する主人公は、それほどの有名人ではない。高校野球のヒーローであったり、日本がボイコットした(正確には米国の指示の元、日本がボイコットした)モスクワ五輪の代表だったり。遅咲きのボクサーとか。

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この短編集が発表されたのは1981年を中心とした時期である。それから40年が経ち、主人公は70歳位になっているはず。ネットで調べただけだが、それぞれの選手が、今、どうなっているかを調べてみた。

まず、著者の山際淳司氏は1995年46歳で他界している。胃癌だった。早すぎる。1998年のサッカー日本代表がワールドカップに初登場する前だ。貴乃花は1994年に横綱に昇進したばかりだった。

実は、8作の中で、近況がわかったのは3人。

スカッシュのチャンピオンだった坂本聖二氏は、現役選手だった時に所属していた神奈川県のトヨタ系の自動車販売会社に40年間勤務して無事退職している。

本短編集のタイトルにもなっている「スローカーブをもう一球」の川端俊介投手は進学校の高崎高校のエースで、弱小チームを甲子園に連れて行っている。現在は、小学校教員ということのようだ。

ポール・ヴォルター、つまり棒高跳びの日本記録を出した高橋卓己氏も香川県の教職員(高校)とのことだ。  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)書評

2018年11月14日

エイト・デイズ・ア・ウィーク(2016年 映画)

ビートルズのエイト・デイズ・ア・ウィークは1964年に発表された楽曲であると同時に2016年に公開された、ビートルズの記録映画でもある。

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映画の話だが、1963年から約4年間にわたってビートルズは、作曲、演奏、ライブそして映画と爆発的に活動を続けていた。主に当時のライブコンサートの映像を使って彼らの実像を明らかにしている。といってもそのほとんどは世間に知れ渡っているのだが、例えば、全米公演が30日で25会場のライブとなれば、相当タフなツアーであっただろう。


その前に、何度も見たことがあるのだけど、最初にアメリカに行って出演したのがエド・サリバン・ショーで、第一曲目が「オール・マイ・ラヴィング」。この曲は、演奏ナシで、いきなり「Close your eyes and I’ll kiss you ・・・」と歌いだす奇策を使っている。その時のために準備していたのではないかと思うほど、記憶に残っている。

それで、この映画が何を言いたかったのかは、よくわからないのだが、自分的に思うと、なぜビートルズが終っていったのか、というのを必然性をつけて間接的に説明しているのかもしれない。リンゴが映画の中で今さら言い出したのは、レコード売り上げに対する契約に失敗して、レコードが売れても収入が大きくならないため、必然的にライブコンサートの連続になったそうだ。

一方、人気はどんどん高まっていき、数千人のホールから1万、2万と動員数が増え続け、最後は5万人規模になって、野球場でコンサートをすることになってしまう。そうなると、音響器具の限界を超えてしまい、球場の真ん中で演奏しても、観客の悲鳴の中でとても音楽ではなく、単なる見世物になっていたと彼らは回想している。しかも、危険防止のために囚人護送車に乗って移動しなければならなくなる。

そしてツアーの途中でジョージがブチ切れて、「やりたくない」と言い始めていた。永遠に「シー・ラヴズ・ユウ」を歌い続けるのは嫌だ、という気持ちだったそうだ。

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そして、彼らはモデルチェンジのために休養を取り、再出発をする。契約形態を変えた話は映画にはないが、たぶんそうだろう。活動の場はライブからスタジオに変わっていく。

ところで、初期のビートルズが演奏する時には、前列にジョンとポールが立ち、ちょっと下がったところにジョージがいて、かなり後でリンゴがドラムを叩くのだが、ジョンとポールはしょっちゅう首を振り続けるのだが、単なる演出と思っていたが、本映画の中でリンゴの話を聞いて納得した。ライブ会場は終始、悲鳴と大音響が響いていて、ドラマーの位置では前の三人の音は聞こえなかったそうだ。逆に、前の三人はドラムが聞こえない。どうしたかというと、ジョンとポールの首振り運動や足のステップを見て、想像の中で、ドラムを合わせていたとのことだ。(言わなければ、わからなかったのに)

ところで、個人的に書くと、「ペニー・レイン」「ストロベリー・フィールド・フォーエヴァー」「オール・マイ・ラヴィング」あたりが好みである。歌うのは大変難しいが。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)映画・演劇・Video

2018年11月13日

狆はどこに行った?

最近のペット事情は、猫>犬となっているようだ。といっても、猫と犬は、ほぼ同数でその時のブームでどちらかが多くなるといったところのようだ。米国大統領選挙のようなもので、共和党も民主党も45%ずつの固定票があって、残りの10%の浮動票をどちらがとるかということのようだ。47対53だったら、浮動票の比率は2対8といった具合だ。

ということで、犬族の話(動物の話であって、政権の犬とか会社の犬の話ではない)。

具体的には『狆』のこと。読めますか? 「ちん」と読む。ちん、というのはもう一つ月偏の別の漢字もあり、書き間違えると大変なことになる。何年か前の8月15日の正午からラジオ放送されたメッセージの、最初の単語が、この漢字だった

ところで、なぜ狆のことを書くかと言うと、横浜の幕末から明治の歴史を調べていて、外国人が大型の洋犬を連れて日本に来たということが驚きをもって見られていたということからだ。現代では珍しくないが、洋犬は室内をウロウロしたりこどもと遊んだり、家族のように扱われているわけで、日本の従来の犬文化と異なっていたからだ。当時の犬の研究では、多くの犬は「里犬(地域犬)」として群れを作ってわけだ。なかには住民から残飯をもらったり、恐ろしいことに行き倒れの人間なども犬のエサになっていたようだ。つまり、犬と人間は近くに住んでいて、付かず離れず状態だったそうだ。おそらく日本の家は外と中は別の空間で、靴(あるいは草履)を脱いで座敷にあがるのに洋館は外と中とは連続的空間になっているからだろう。

ただし、狆は別格。れっきとした座敷犬だったわけだ。ずっと遡って江戸時代の前半に徳川綱吉が生類憐みの令を発した時、綱吉が飼っていたのは、この狆だと考えられている。

狆は日本で改良が行われた犬種のわけだ。

ところが、上記の地域犬と洋犬の対立軸のため、いつの間に狆は日本からはいなくなっていったそうだ。そのため海外に流出していた狆を逆輸入しているのが今の実態だそうだ。

ところが、今や海外で日本犬ブームが始まっている。秋田犬とか柴犬とかだ。となると、狆にも目が向けられるのだろう。元々、長い期間を経て座敷犬となった犬種なので、適用力は高いはずだ。

もっとも、愛犬家の多くは、家庭内で一番偉い地位を既に犬に譲っているわけだ。綱吉の事を笑うわけにはいかない。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)市民A

2018年11月12日

小林一茶居住の地

清澄通りを両国から森下方向に歩くと、『小林一茶居住の地』という立て札があった。北信濃(柏原)から江戸に出てきて苦労して俳諧師として有名になり、ここに住処を得て、そして年を取ったので故郷に帰って、大自然の中で平穏な気持ちで俳句を量産した、というハッピーリタイアメントの話かと思ったのだが、調べると、とんでもないことになっていた。

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まず、1763年に柏原の農家に生まれた一茶だが、幼い時に母親が亡くなり、父が再婚した継母と折り合いが悪くなり、不幸にも実家を追い出される。15歳の時に江戸に奉功に出される。そして、10年間窮乏生活を送る中で俳諧師の道を歩き始めていた。おそらく25歳頃から一流の俳人になっていくのだが居住地は安定しない。本来、俳人は旅に出ることが多いので、立派な家には住まないのだが、一茶の場合、もっと世俗的な大問題を抱えていた。遺産相続問題。

父親は、先妻との子である一茶を江戸に追い出し、後妻との間に男子(一茶の弟)を得、3人で農作に務め、地元では豊かな農民になっていた。ただ、父として一茶への負い目があったのだろうか、死の床で、二人の子供に均等に財産を分けるように遺言状を書き、両者に渡した。

これにより勤勉な農家と江戸の俳諧師との間に、相続問題が勃発し、しばしば信濃に行って交渉することになる。つまり、詩作の旅と交渉の旅である。そういうわけで、江戸の住所も転々とするが1804年から1808年までの5年間が、この立て札に住んでいたわけだ。その前には寺に住み込んでいたが厚意をもっていた住職の急死で、宿なしになったりしている。

そして、やっとの思いで借家ではあるが庭付きの一戸建てに住むことになったのだが、やっと安住して生活が落ち着いたので、本格的に遺産相続問題に着手することにする。その結果、1808年に200日も留守にしている間に、大家が怒ったのだろうか、江戸に帰ってくると、自分の家のはずが、他人が住んでいたわけだ。おそらく、家賃を前払いしなかったのだろう。そうして、またも江戸市中何ヶ所かを転々とすることになる。

そして、必死に交渉した結果、やっと信濃に家を確保し、生家に戻ることになるのである。

立て札には美しい話が書かれているが、実態はかなり人間的な醜い話だ。ただ、信濃では良い句をたくさん詠んでいるわけで、一茶自身はどう思っていたのだろうか。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)書評

2018年11月11日

ブルックスブラザーズ展

新宿の文化学園服飾博物館で開催中の『ブルックスブラザーズ展−アメリカンスタイルの200年、革新に2世紀−』へ足を伸ばす。

ブルックスブラザーズは米国の紳士用品店である。俗なコトバで言うと「スーツ屋」。開業はニューヨーク、マンハッタンに1818年4月7日に小さな店を開いた。つまり今年は開業200年のわけだ。ブラザーズということで、ヘンリー・サンズ・ブルックスと3人の弟が創業した。いわば家族経営。失敗したら一家破綻の典型的チャレンジャーだった。

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日本では、まだ洋服を着る前の時代である。呉服店の老舗(三越、松坂屋、大丸)はこれより古くから営業していた。

ヘンリーが亡くなる1933年までは、クラフツマンシップにこだわり、堅実な商売をしていたようだ。ただ、同社にとって転機になったのが1849年のカリフォルニアのゴールドラッシュだった。

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私の調べでは、ゴールドラッシュで1849年には9万人が押しかけたということで、大量のスーツの需要が発生。これに対してブルックスブラザーズは既製服の大量生産というビジネスモデルに変革。日本で言えば、青山とかアオキとかコナカとか、そういうことになって大儲けになる。

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日本のスーツ企業で言えば、儲けた金で店舗を増やし、ルノアールの絵画を買って、結婚式場まで作ったりするが、ブルックスはデザインや機能の開発など製品にこだわった。特に米国大統領を顧客に持つことがきた。まずリンカーン、そしてリンカーン以降の米国大統領でブルックスを着なかったのは3名だけであったはずだ。

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オバマ、トランプの両氏もブルックスだし、あのスコット・フィッツジェラルドも着用していた。

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実は、サッカー日本代表チーム(いわゆるサムライブルー)の選手が移動の時に着ていたスーツがブルックスブラザーズである。あまり似合いの選手はいなかったような気もする。
  

2018年11月10日

11世名人伊藤宗印邸を発見!

両国散策中に、情報を掴み歩き回って発見したのが、伊藤宗印邸。場所は京葉道路と清澄通りの交差点近くにある、お江戸両国亭という演芸ホールの敷地内。高札が立つのみである。宗印という棋士は何人かいて二代宗印は5世名人である。両国に住んだのは11世名人の八代宗印である。

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1826年に神田松永町に上野房次郎として生まれ、若年より棋才の誉れ高く、家元の伊藤家に養子に入る。年齢的には天野宗歩の10歳下で、小野五平の5歳上。棋聖と言われる天野宗歩と競い合う存在として磨きをかけ、20歳で御城将棋に立ち、幕府崩壊とともに終了した御城将棋での成績は16勝5敗2持将棋ということで実力と家柄の両方が揃っていた。惜しむらくはもっとも強かった幕末には、宗歩が他界してしまい、さらに10世伊藤宗看も他界。名人空位の上、匹敵する強豪がいなくなってしまう。

そして、幕府崩壊と同時に家元制度も終了。一介の将棋強豪という身で、御徒町を経て、両国(本所相生町)に転居。この地で弟子(関根金次郎他)を育成する。11世名人になるのが1879年。すでに54歳になっていた。名人の空位は35年にわたっていた。

ある意味、江戸から明治へと価値観が激変する中で将棋の根幹がつながったのは、第一人者だった彼の功績であると断言できる。

そして、1893年(明治26年)宗印は他界。6年後に宿敵である小野五平が12世名人を名乗ることにより、慶長17年(1612年)より続いた家元制度は消滅する。五平は宗印とはまったく異なる商業主義の道を突き進み、明治から大正へと難局を乗り越えるが晩年は人望を失う。将棋界の組織的再興は宗印の両国道場での愛弟子であった13世名人の関根金次郎の手に任されることになった。


さて、10月27日出題作の解答。

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2三の香は初手に成捨てるのだから歩で十分なのだが、香を打つことで邪念が湧きあがるはずだ。この候補者が大統領になればうまくいくかもしれないと錯覚するのと同じだ。

動く将棋盤はこちら


今週の問題。

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見慣れぬ手順だと思う。短手数(一桁)に収めるために苦労を重ねた図である。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定します。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(2)しょうぎ

2018年11月09日

雷電為右衛門、横綱ならずの真相は

史上最強の力士と言われるのが雷電為右衛門。1700年代後半から1800年代前半に活躍した怪力力士で、相撲界の誰に聞いても「史上最強」と言うはずだ。通算成績は254勝10敗14預かり5無勝負。

あまりに強いので、「張り手、かんぬき、さば折り」の三種の技は雷電だけは禁止になっていたとも伝えられる。

この「横綱にならなかったことの理由」と「三種の禁じ手の真偽」というのが長く相撲界の謎とされていた。もっとも、現代でも「封印された鳥取の夜の秘密」とか宴会場の壁に埋め込められたようなので、200年も前のことを解明するのは難しいのだろう。

最近になって、元公務員作家である童門冬二氏が、独自調査の結果、新しい解釈を与えたようだ。新潮社書評誌「波・10月号」に『相撲道の実践』として掲載されている。

童門氏は相撲好きで知られるが、今まで相撲を題材としたことはなかったようだが、貴乃花追放の第一幕である二段階降格の時、「上杉鷹山」を連想されたそうだ。改革派は一度は後退する、とのコメントを出されている。上杉鷹山は童門氏のお気に入りのモデルで、藩の建て直しに着手したことが、元都庁室長だった氏の共感を得たのだろう。

どうも、それから相撲の研究をされているようだ。もしかすると貴乃花ではなく、雷電を描く可能性もある。

童門氏によると、雷電は横綱になれなかったのではなく、自ら断ったのだ、ということだ。まず、雷電の愛読書だが「論語」だったそうだ。現代人の苦手な「礼節」とか「人の道」である。簡単に言うと「遠慮の塊(かたまり)」。

三種の禁じ手というのは、禁止されたのではなく、雷電が「自ら決めた禁じ手」だったということらしい。現代では、自ら研究の上、張り手やカチアゲを使う横綱もいるのだが。

あるとき、雷電が江戸の商家の店頭でお茶を飲んでいると、牛車が近づいてきた。商家の主人が、「関取、あの牛車を止められますか」と執拗に絡んできたそうだ。プロレスラーにトラックを引っ張らせるのと同様だ。困った雷電は、一考の後、なんと道路に横たわり、牛車の前に商売道具の右腕を無防備に置いたわけだ。皆がアッと声を上げ、牛車の引き手も驚き、そして、牛車は腕の前でピタリと静止したそうだ。

酔って、ビンやリモコンを振り回すのとは、ずいぶん異なっている。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(4)スポーツ

2018年11月08日

能見宿禰神社

両国界隈を散策していると、きわめて小さな神社があった。無人のように思える。神主様がお呼びにならないと、神様は降臨しないはずだから、今は不在ということだろう。いや、最近の騒動が嫌になって、しばらくお隠れになっているのかもしれない。

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神社の名は、「能見宿禰神社」。能見宿禰(のみのすくね)は相撲の始祖とされている。明治17年に初代高砂親方(高砂浦五郎)が始祖様を祀ったことで始まる。隣が高砂部屋だったそうだ。現在でも東京場所の前には相撲協会関係者により神事が執り行われているそうだ。偏った願い事を祈ったりしていないだろうか。

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境内には、横綱の石碑が二基並んでいる。一基は初代明石志賀之助から46代朝潮太郎まで、二基は47代柏戸剛から72代稀勢の里寛まで。一基目は横長で46人が刻印されたが、二基目は大判で文字も小ぶりなので一枚にちょうど百人書き込める、あと74人だ。もちろん、横綱制度が諸悪の根源ということになれば、打ち止めとなる。今の状態では誰が73代になるのか想像もつかない。今はまだ草原で馬に乗って羊を追っているのかもしれない。

ところで、初代横綱の明石志賀之助だが、ごく最近まで、実在を疑われていた。というのは記録が余りにも不正確なことや、そもそも横綱という概念がない時代の人間だったからだ。生没年不詳であるが、1624年に江戸で勧進相撲を興行したとされ、全国ツアーを回ったそうだ。身長は251cm、体重は185kgと言われる。信じますか?

実質的な初代横綱と言われるのが4代横綱の谷風梶之助と同時昇進した5代小野川喜三郎。これが1789年の頃だ。この時、既に史上最強と言われる雷電為右衛門は谷風に稽古をつけてもらい翌1790年に小結としてデビュー、時には谷風の代理で相撲を取ったりしていた。そもそも生涯の成績は254勝10敗14預かり5無勝負ということで通算勝率は9割6分2分。この預かりというのは、実際には勝負がついたあと、色々な都合があって「今日の一番は後に審査したところ問題があったので、勝敗をつけないことになった」という政治的配慮によるものなので、実際の勝率はもっと高いわけだ。

実際、谷風は4年後に病死したのだから、雷電が横綱にならなかったのは、まさに不思議で、過去より諸説がある。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(2)スポーツ

2018年11月07日

ゴールドラッシュのこと

アメリカでゴールドラッシュが始まった頃の話を少冊子で読んだ。

よくフットボールチームのフォーティナイナーズから、1849年と思われているが、最初の一粒の砂金の発見は、1948年1月24日。ジェームズ・マーシャルという男だ。サッターという農場主に雇われて現場作業をしていた。もっとも、その翌年には大群(9万人)が全米や中国大陸から押し寄せるのだから金の威力は絶大ともいえる。

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見つけたのは、アメリカン川というアバウトな名前の川沿いで、砂金をみつけたことをマーシャルは農場主のサッターに報告したところ、「内緒にしよう」ということになった。サッターは農場を拡大しようとしていたからだ。金発見が知れ渡ったら人が押しかけて農場拡大はできなくなる。ところが、マーシャルとその仲間は地元の酒場で口を滑らしたり、飲み代を砂金で払ったりするので、地元の新聞社の社長であったサミュエル・ブラナンの耳に入ってしまう。1年で9万人がなだれ込んだのは、このブラナンに責任がある。言いふらし魔だったわけだ。

実は、ブラナンは、砂金や上流の金鉱石で稼いだわけではなく、群がってきた人たちに、金の採取道具を売りつけて大儲けしたそうだ。網とかざるとかスコップなどだ。

潮干狩の海岸で、バケツや五つ爪の小型熊手を売っているのと同じ要領だ。誰でも手ぶらでカリフォルニアに行きさえすれば、ブラナンから道具を買って、砂金拾いができたわけだ。

ところで、調べてみると、日本でも山梨県の金山博物館や静岡県の土肥金山では砂金採り体験ができるようだ。神奈川県に住んでいるので、両者ともあまり遠くないわけだ。幸い、潮干狩の時に買った五つ爪小型熊手とバケツがあるので、行ってみようかな。
  
Posted by ota416 at 00:00Comments(0)市民A