2009年06月30日

好きなお酒、ツマミ、そして会いたい人は?

昨日紹介した、劇団ムーサの役者さんたち12人(女性7、男性5)は芝居の稽古をするのは、稽古のあと飲みに行くからだそうだ。12人のアンケートが公開(書き方が大げさだけど)されていた。

項目は3点。

1.好きなお酒

2.このツマミがあれば何杯でも飲めます!

3.今一番会いたい人


では、

女性Aさん
1.サッポロ黒ラベル、エビス、日本酒、ワイン
2.漬物・チーズ
3.阿修羅

 発酵系が好きみたいだ。温暖化で、日本が亜熱帯になると悲しいことになる。

女性Bさん
1.魔王・影虎梅酒
2.お肉・サラダ・肉じゃが・おしんこ・チーズ
3.9年前に亡くなったボランティア・サークルのお姉さん

 メタボ予備軍?

女性Cさん
1.ワイン・焼酎・日本酒
2.餃子
3.聖徳太子

 お付き合いはご遠慮させていただきます。

女性Dさん
1.超ドブッ濃い赤ワイン
2.焼きたてのフランスパンとチーズ
3.カールおじさん

 フルボディということかな。それが飲めるまでには人生に年季が必要。

女性Eさん
1.黒佐藤
2.たこわさ
3.産まれなかった私のお姉ちゃんかお兄さん

 佐藤何某シリーズというのは確か高い焼酎だったような。産まれなかった・・という件は、フロイトにあったような
 未成年じゃなかったの?


女性Fさん
1.お屠蘇
2.雪印北海道100さけるチーズ
3.美智子皇后陛下

 未成年みたいなご意見ですが、100歳超の役だったような・・

女性Gさん
1.養命酒
2.刺身・酢の物
3.きょう来て下さったお客様

 さぞ、長生きされるでしょう

男性Aさん
1.ウォッカ
2.ビーフジャーキー
3.102歳で亡くなった母方のおばあちゃん

 口が臭そう・・

男性Bさん
1.麦焼酎
2.豆腐
3.死んだおじいちゃん

 まったくノーマルです。銀行員?

男性Cさん
1.酔心(日本酒)
2.天ぷら・から揚げ
3.エリザベート

 個人的には、酔心は嫌いだ。嫌な思いでが・・ふつうは「すがき」とか一緒のはずなのだけど。エリザベートって英国人?英会話OK?

男性Dさん
1.ジントニック
2.鳥軟骨のからあげ
3.サモハン・キンポー

 タフな人生って感じ。それが、過去のことなのか、未来なのかが大問題。

男性Eさん
1.ビール
2.枝豆
3.クレオパトラ

 戦前生まれかな?

ところで、一体、みんなで飲みにいって、どういうオーダーになるのだろう。ちゃんとした料理は要らないみたいだけど。


で、ここまで書けば、自分のことを書かなければならないだろうけど、実は、あまり好き嫌いが強くないので、まあ、絶対的に好きなものということではなく、相対的に好きなものということかな。

1.好きなお酒

 サントリービール(普通のモルツ)
 黒霧島(比較的安い芋焼酎)
 オールド・パーの水割り

2.好きなツマミ

 蛸刺し(生)
 焼きビーフン
 冷やしトマト

3.一番会いたい人
 
 今、ブログを読んでいる、「あなた」

 北国のジョンちゃん。私が口説いてみたい。
  

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2009年06月29日

君と一緒に鎮魂歌(レクイエム)

麻布演劇市というのがある。港区がスポンサーになって、区内の劇団に発表の場を提供している。六本木にある麻布区民センター。何年前からかわからないが、1、2か月に1回の開催で、今回が158回目ということだが、157回目に初めて行って、なんとなく癖になりそうである。

最近、六本木にはタクシーでも地下鉄でもなく、都バスで行くのだが、途中、俳優座ではメジャーな出し物があるようなのは、道路まであふれた人の量でわかる。が、麻布区民センターのホールの方は、いかにもといった寂しさがある。

でも、こういうのが熱いのですね。

演劇小僧、または演劇青年の気持ちで観るわけだ。(そのどちらにもあてはまらない年齢だが)

chingonka今回は、劇団「ムーサ」による『君と一緒に鎮魂歌(レクイエム)』。

演出、脚本は東原静氏。

実は、最近流行の「婚カツ」をテーマにしたもので、変人同士の男女が、嫌がりながらも交際をはじめるまでの「ああだこうだ」という駆け引きがテーマ。

というと、喜劇系と相場は決まったようなものだが、実は深層には15年前の悲劇が横たわっている。そして幽霊が次々に出没する。

では、悲劇かと言えばそんなこともない。

人生の悲劇は、他人から見れば喜劇の場合もある。そのあたりが折り重なって、案外いい脚本なのかもしれない。キャストがセリフを大量に間違えるので、ひやひやするが、なんとか最後まで到達する。

最後に登場するのが警察官というのでは悲劇っぽいが、やはり喜劇なのだろうか。本当の悲劇を演じるのは大変だよ。

会場で1枚だけ渡された、ペーパーには、東原静さんからのメッセージがあって、

毎回思うことですが、優しい人たちに支えられ、一つの芝居が出来上がります。芝居に限らず、何気なく生きていくことも、いつも誰かに支えられています。

感謝です。

そして、私事ですが、知り合ってまだ間もなく、これからいっぱい飲んで騒ぐはずだった、今は亡き友人に、捧げるというのも変だけど。何処かで観て楽しんでもらえたらと、思っております。

本日は、ご来場ありがとうございます。

東原 静


いいことば。

>「これからいっぱい飲んで騒ぐはずだった・・」というところはZARDの歌詞にあったような。もしかして、彼女のことなのかな、と、かすかに思う。
  
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2009年06月28日

いきなり迎撃か・・

ミサイルの話ではなく、ピストルの話。ミサイルをピストルに喩えた官房副長官の話でもない。

神奈川県の警察のこと。

女性警官がいきなり発射した件。それもなぜか二件も?

(神奈川新聞社より)

弾抜き忘れテレビ撃つ、女性警察官が拳銃誤射 2009/06/25

25日午前、厚木署と青葉署で、女性警察官が訓練中に拳銃を誤発射する事故が相次いだ。県警は、主に制服で勤務する地域や交通部門の女性警察官への拳銃貸与を4月に始めたばかり。県警は「基本的なミスで申し訳ない。再発防止に努める」と謝罪した。

県警によると、同日午前9時ごろ、厚木署の道場で行われていた訓練で、地域課の女性巡査(25)が誤って訓練用のテレビに実弾を撃った。同10時40分ごろには青葉署の訓練で、交通課の女性巡査長(31)が同様の誤射をした。けが人はなかった。

両署によると、2人が誤射したのは、容疑者役などが出てくる映像を見ながら拳銃を構え、空撃ちする訓練中。責任者(警部以上)や指導員(警部補など)が立ち会い、弾を抜き取ってから始める規定になっていたが、2人は責任者が立ち会う前の自主的な訓練のときに銃を構え、引き金を引いた。2人は「弾を抜いたと勘違いした」などと説明しているという。

2人とも4月以降に拳銃を貸与されており、署の代表として、7月2日に県警の拳銃射撃競技大会に参加する予定だった。県警は誤射が相次いだことを受け、各署の拳銃訓練を中止して管理態勢の確認を求めるとともに、競技大会取りやめも検討している。

県警の女性警察官は、これまでは刑事や生活安全部門などの私服捜査員のみ拳銃を携帯していたが、犯罪の凶悪化などを踏まえて今春から、制服警察官も所持することになった。全国のほとんどの警察で、同様の対応をとっているという。


4月以降に拳銃を貸与されて、すぐに署の代表で大会に出るとは、かなりの腕前だったのだろうか。二人のうち一人はテレビを粉砕し、もう一人はテレビにかすったらしい。粉砕されたテレビは、横長で大型のデジタルだったのかもしれない。弁償するのだろうか。31歳なので、貯金はあるだろう。

しかし、二人ともビデオを見ていて、思わず犯人に対して引き金を引いたということは、かなりリアルな映像だったのではないだろうか。その映像を公開してもらいたいなあと多くの人が思っているだろう。

というのは、きょうの話の前置きのところ。

なぜ、女性警官がピストルを振りまわして練習を始めたのか。

アメリカの人気ミステリー作家パトリシア・コーンウェルの「女性検視局長シリーズ」では、ケイ・スカーペッタが最後に犯人に襲撃され、いつも撃ち合いで勝利することになっている。

実は、最近、神奈川ではいくつかの警察(警察官)襲撃事件が起きているようで、とうとうそこまできてしまったのかもしれない。

例えば、4月のニュース(IZAより)

2009/04/22 23:32
女性警察官を暴行したとして、都筑署は22日、暴行の現行犯で、自称・横浜市都筑区在住の高校3年の少年(17)を逮捕した。同署によると、少年は容疑を認めているという。

同署の調べによると、少年は22日午後6時55分ごろ、同市都筑区の路上で、私服で警戒中の同署女性巡査(30)の首付近を後ろからつかみ「騒ぐな」などと言い、暴行した。

近くで警戒をしていた別の同署員が気づき、取り押さえた。女性巡査は付近で発生した痴漢事件の警戒をしていたという。


さらに、同月(神奈川新聞)

テレビ朝日の副部長を公務執行妨害の疑いで逮捕/青葉署 2009/04/11

テレビ朝日編成制作局担当副部長の男性(45)が、警察官を殴るなどしたとして、青葉署に公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕されていたことが十日、分かった。既に釈放されているという。

逮捕容疑は九日午前二時五分ごろ、横浜市青葉区あざみ野の路上で、同署員(42)を殴り、かぶっていたヘルメットの一部を壊した、としている。

同署によると、副部長は当時、酒に酔っており、「よく覚えていない」などと話している。副部長はタクシーに乗っており、運転手(60)から「お客さんが寝込んで困っている」との連絡を受けた署員が駆け付けて声を掛けたところ、「うるさい」と殴りかかったという。

テレビ朝日は「社員が逮捕されたことは誠に遺憾。今後、このようなことがないよう指導を徹底していく」とコメントした。


さかのぼって、3月。(神奈川新聞)

神奈川県警本部駐車場で急発進と停止繰り返した車の女を逮捕 2009/03/06

六日午後四時二十分ごろ、横浜市中区海岸通二丁目の県警本部の敷地内で、黒色のワゴン車が急発進と停止を繰り返した。庁舎警戒中の男性巡査長の停止命令に従わなかったため、鉄製の車止めで強制的に停車させた。運転していた横浜市南区蒔田町の女(27)が十数分間、車から降りなかったため、加賀町署が公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕した。

同署によると、駐車場に止めてあったワゴン車が車検切れだったため、巡査長らが職務質問したところ、急にバックするなどした。車には女だけが乗っていた。

同署によると、女は「ただ車を後退させただけ」と容疑を否認し、県警本部に来たことについては「留置されている知人に会いに来た」などと供述しているという。


これは、容疑者が女性だ。

さらに同月(3月)。神奈川新聞。

緑署に火炎ビン投げ込まれる/横浜 2009/03/02

二日午後五時五分ごろ、横浜市緑区台村町の緑署駐車場に火炎ビン一本が投げ込まれた。火はすぐに消え、けが人はなかった。

同署は、悪質ないたずらの可能性が高いとみて、威力業務妨害事件として捜査している。

現場は、署の裏側にある関係者用の駐車場。同署によると、事件当時はだれもいなかったといい、ビンが割れる音を聞いた署員が外を見ると、地面から火が上がっていた。火は自然に鎮火し、駐車してあったパトカーなど車約十台に被害はなかった。投げ込まれたビンは、三百五十ミリリットル前後の飲料用とみられるガラス製で、灯油やガソリンのようなにおいがしたという。

同署は、ビンの割れた状況などから、同署北側の線路沿いの道路から、高さ約一・九メートルの壁を超えて投げ込まれたとみている。


まあ、坂本弁護士事件以来、神奈川県では、警察の権威は地に墜ちているし、姑息な交通取締や事件解決率狙いの自転車ドロ捜査が遠因なのかもしれない。
  
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2009年06月27日

終わってみれば

名人戦7番勝負が終わる。終わってみれば、羽生4勝、郷田3勝。「郷田九段の健闘が光った」ということになる。たぶん、70回対戦しても、そんな結果なのかもしれない。

7番勝負全体での勝ち負けにこだわるなら、「渡辺流」で最初に3連敗してから、油断につけこむという方がよかったかもしれない。

郷田九段にとって惜しいのは第三戦で、終盤で錯覚。一気に負けてしまった(錯覚がなければ、勝ったかというとそうでもなさそうだが)。この錯覚にしても、序盤の45手目に2時間39分の長考。同じく敗戦に終わった第一局も27手目に3時間26分の長考。結局、時間配分で終盤がきつくなったのだろう。

そして、第五局でついに3勝2敗と勝ち越した後、2局続けて変化技に頼ったのが、弱気のせいだったのか、既に5局で力尽きていたのか、そこまでが限界だったのだろうか。

これで、名人位6期。先行した谷川、森内の永世名人の上に出ることになったわけで、これからは、「失ったら引退」ということばが頭の中に渦巻くのかもしれない。まだ40台の初めである。「人生二毛作」ということばを名人が知っているのなら、「将棋界からサヨウナラ」ということだって考えられる。「占い師」になった元女流名人もいることだし、彼の頭脳を持ってすれば、多くの職業が「次の仕事」の候補になるのだろうか。

abさて、6月13日の出題作の解答。

▲2四金 △1五玉 ▲1六歩 △同玉 ▲1七銀 △1五玉 ▲1六銀 △同玉(途中図1) ▲1八飛 △2六玉(途中図2) ▲3七銀 △3五玉 ▲1五飛まで13手詰。

最後の図が詰んでいるのが、よくわからない、という場合は、なかなかこの筋を発見でできない。

cd敗戦後、逃亡に成功したと思ったとたんに農民兵の竹槍の餌食になった明智光秀みたいなものだ。銀と歩は邪魔ゴマであり、序盤はそれらの始末をする。

そして、最後の5手にハイライトがあった。

動く将棋盤はこちら






fu今週の問題。

今回は、あまり「おおた流」ではない。徹底した「逆算法」。そして、やはり最後の5手に特徴がある。

わかったと思われた方は、コメント欄に、最終手と手数と酷評を記していただければ、正誤判断。
  
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2009年06月26日

思えば、

mjacson

ニューヨークタイムズの見出しは、

Michael Jackson, Pop Icon, Is Dead at 50」となっていた。


a singer, songwriter and dancer となっているが、実際に、晩年には、そのどれでもない老人。

病気と裁判と過去の栄光が彼には残っていた、ということだろうか。


日本で言えば、小室哲也だろうか。小室哲也の場合は、ヒット曲が書けなくなったところから歯車が狂ったのだが、マイケル・ジャクソンの方は自分からどこかに行ってしまった。

むしろ、中田英寿の方が似ているのかもしれない。
  
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腹の主に従う人、腹の虫に従う人

tsurutaro片岡鶴太郎氏のトークを聞く。これも野村の自由学校から。

片岡鶴太郎氏の正体を一言で言うのは難しい。まあ、広い意味では、「タレント」といってしまえばいいのだが、1954年生まれの彼の最初のスタートは芸人だった。

それも「ものまね」。

『つるちゃん』と呼ばれて、得意は「マッチ」とか「小森のオバサン」だったそうだが、最近の人は、そういう時代のことは、全然知らないそうだ。(私も知らない)

なぜ、「ものまね」を芸にできたか、というと、中学時代に学校の先生たちをよく観察していて、その先生たちのものまねをしていたということだそうだ。人間観察術。そのコツは、「特徴をつかむ」ということだそうだ。(私も得意だが)

もちろん、子供の頃、父親は毎週のように彼を上野の寄席に連れて行っていたし、母親もかなりの映画ファンだったことも影響しているのだろう。

その後、都立高校を卒業、さっそく芸人の世界に入ろうと、卒業式の夜、清川虹子邸に押しかけるが、追い払われる。が、『ここで、やめてはダメだ』との体の内側からの声を聞き、結局、熱意が通じて、ものまね修行3年の末、独立することができる。

その後、26才からバラエティで大当たりし、約5年間、寵児となる。レギュラー番組9本。そして、生活は乱れ、疲れ果て、体はぶくぶくになっていく。

そして、30歳を超えたある日、何気なくテレビのバラエティに映る自分の姿を見て、自己嫌悪に陥る。

醜い!!

ここで、彼はまたも体の内側からの声を聞く。「リセット」。

そして、新たな出発として、選んだのがボクシング。1年かけてトレーニングを続け、プロのライセンスを取得する。そして増えてきたのが映画出演だった。

ところが、その新しい人生にも波がある。数々の映画賞を受賞していたにもかかわらず、40歳の頃に、少しずつ仕事が減っていたそうである。

このままでは何もなくなる、と不安が広がっていった彼の目の前に現れたのが、一輪の椿の花だったそうだ。隣家の庭に咲いていたそうだ。

またも体の中からの声が現れる。

「この美しさを記録したい」。

ここで40歳にして、鶴太郎画伯が誕生していくのである。作品は、彼のブログ「片岡鶴太郎日記」で多数見られる。少し、器用すぎて、絵を見る人や、絵を買う人を意識しすぎている画風かもしれない。

今では、複数の美術館を持ち、芸術の領域を絵画だけではなく、陶器や書にまで拡大しているそうである。

得意な題材は、『椿』『魚』『猫』など。

そして、実家が八百屋であったことが関係するのだろうか、最近、「カブ」を描くのを好んでいるそうである。このトークが野村主催だからということではないのだろうが、カブを草冠に無しと漢字一文字で書くのは、あんまりであり、「家富良」と書けばいいそうだ。

まず、形がハート型である。さらに葉はにぎやかに広がり、末広がりを意味し、短い根を右上がりに描けば、「株価が上がる」を意味することになるそうだ。

ところで、彼は、人生のいくつかのターニングポイントで、自分の体内から沸きあがる声を聞くのだが、彼自身は「腹の主に従う」と表現していた。

kabu1一方、私はといえば、恥ずかしながら、主に「腹の虫に従う派」である。「あの野郎!」と短気に怒ってみたり、「うまいものが食いたい!」とあちこちふらついたり、「きれいなおネエさんが、・・・・」とか。

ちょっとカブの絵を描いてみた。株価は上がりそうもない。(六色サインペンなので)
  
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2009年06月25日

屋山太郎氏講演会

yayama都内で開かれた、人気政治評論家の屋山太郎氏の講演会に行く。

テーマは「激動の政界をどう読むか」となっているが、講演の内容は、もっと狭く、「官僚政治からの脱却」についてである。

先日の渡辺喜美氏の講演ともほぼ重なる内容である。実は、間近に迫った総選挙で、誰に投票するか迷っているので占い代わりに参考意見を聴いてみようかということ。

なにしろ、わが選挙区に予定されている民主党候補は某大学の教授で、少々年配で疲れ気味である。一度、駅前で見たが、夏の選挙戦を乗り越えられそうもない。一方、自民党はわずか数カ月の大臣に到達したのを花道に現職が引退。現職と同じ名字だが赤の他人の若手が候補者だが、開成高校出身のエリートである。

早い話が、どちらもイマイチである。せめて、官僚政治打破に近い方を選ぼうと思っているのだが、特に、上級公務員の味方である自民党対下級公務員の味方である民主党というように思えてならないわけだ。

上級公務員も下級公務員もどちらも同じ舟に乗っているのだから大差ないわけだ。

で、屋山氏の講演だから、配られたレジュメを貼ってみる。

yayama1

いくつかのポイントを見ると

まず、官僚政治打破を支持する人は72%で官僚政治の方を支持する人は11%ということだが、公務員(役人)の比率はそれくらいだそうである。

(屋山氏は指摘しなかったが、個人的意見としては、最高学府の秀才の方々が役人になるというのは、それ自身が大きな損失なのである。かつて一流官庁のエリートという人たちとも付き合っていたことがあるが、入省して10年もすれば、まったく優秀でなくなっている。地方公務員などもそうだが、ほんの一部の幹部以外は高齢者のみを採用すればいいはずだ)

また、普通の企業に勤めている会社員の大部分は、自分の会社がいかに「監督官庁」なる構造から理不尽な超法規的いじめを受け、なんらかの対価を払っているのを知っているわけだ。

ただし、屋山氏も言っていたが、鳩弟に追随して西山叩きをするのはいただけないと思うわけだ。「そんな細かな話」というわけだ。一見、オリックスが儲けたようだが、しょせん商売は持ちつ持たれつ(英語ではWIN=WIN関係という)。他の分野でオリックスから利益を得られればそれでいいはずだ。だいたい営業用資産の評価と建設費の評価をごっちゃにしているように感じているのは、私だけだろうか?

また、屋山氏の論で気に入らないのは、「国家戦略スタッフ(30人)」というところ。シンクタンクをまとめるのではなく、いくつかのシンクタンク(政策集団)が競い合う形で公聴会を開くような方法がいいのではないだろうか。

まあ、どうなるのだろう。予想投票日は8月30日だそうだ。いつも、夏の選挙戦では、当選後、コロリという人が出るのだが、まあ、それで次点の人がニッコリというのでは、投票した支持者に申し訳ないということだろう。
  
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2009年06月24日

200Q年のベストセラー

1q小説1Q84が売れ続けているそうだ。BOOK1が約550ページ、BOOK2が約500ページ。先日、西日本に新幹線で出張する時、行きに1冊、帰りに1冊読む。ちょうど7時間。

既に、新聞などには書評が一部登場しているが、おおむね好意的だ。私は原稿料もらうわけじゃないので、特に肩入れしないで思ったことを書く。もちろん、ほとんどの人は、本を買っただけなのかもしれないので、重要なあらすじは書かない。

まず、題名の「1Q84」だが、早い話が1984年のようなもの。「ような」というのは意味があって、この小説は、構造的に、3つの部分からなっている。ひとつは、売れない小説家志望の29歳の男性が、ある少女作家と合作をすることから起こる奇妙な体験。これが表の世界の西暦1984年。

一方、ある請負仕事をやっている女性インストラクターの世界があって、これが1Q84年である。いわゆるアナザーワールド。村上龍がアナザーワールドを書くと、世界最終戦争みたいな地獄の図になるが、村上春樹の方は、表の世界と、ほんの僅かに異なる世界を書く。例えば、月が二つある世界とか。

そして、3つ目のパートが、山梨県にある秘密の宗教法人。その世界との接点を、1984側の男性も、1Q84側の女性も持っている。そして、事態はより深刻な方向に進んでいく。

BOOK1で村上春樹はミステリのように、『謎』を無数にまき散らす。そしてBOOK2では、それらの謎を片づけていくはずなのだが、実は、いくつかの謎は解けやしないし、重要な登場人物(合作小説の編集者と男性の年上のガールフレンド)は途中で消えてしまって音沙汰なしになる。

これらに対する合理的な解釈は、ただ一つである。

まだ、続巻がある。

思えば、1994年4月に発表された、「ねじまき鳥クロニクル第一部と第二部」。どうも終わっていないような気がしていたところ、1995年8月になって「第三部」が追加され、完結。

1Q84も1、2年のうちにBOOK3とかBOOK4とかが続きそうな予感がある。

そして、作品の評価だが、個人的には「海辺のカフカ」の方が、上なのではないか、と思ったりする。


ところで、個人的な「感じ」なのだが、何より読んでいて「ドキドキ」したことは、この小説のあちこちに、身近な話が登場していること。

並べると、
1.沖縄県の蝶のこと。
先日、沖縄に旅行した時に、蝶の館に行った。

2.サハリンのギリアーク人のこと。
ギリアーク人は、きたるべきBOOK3で、どう関連付けられるか不明だが、先日読んだ二冊の間宮林蔵関係の本に登場。男尊女卑の人種なのか、その逆なのか、よくわからない。

3.ホテル・オークラのロビー
実は、きょう行く。

4.左翼から農業へ
そういう故人を知っている。

5.編集者小松さんのこと
小説の中で「小松」という編集者が登場し、姿をくらませるが、実は、まったく異なる世界の人物を追いかけていたら、その人物が「小松」という苗字ではないだろうかというところまできている。しかも、その「小松さん」だが、今、この世界から姿を隠しているのだ。


ところで、村上春樹を読むと、自分の過去の記憶箱がかき回されるような奇妙な感覚がある。さらに、身近なところの感覚の狂いが生じることもある。無人のエレベーターに乗る時や、地下鉄の入口の階段が妙に工事中だったりすると、「200Q年に行ってしまいそうな不吉な予感」が、大脳から足先の方に向って、血管の中を漂うのである。

  
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2009年06月23日

中国株式市場のセミナーに

china1内藤証券と言えば中国株が有名だが、この社が中国に本格的に取り組んだのは、山一が廃業した時に、転職した人たちの力に負うようだ。

先週末に、新宿で開かれたセミナー「中国株式の見通し」に顔を出した。

個人的には、中国株にはだいぶ儲けさせてもらっていて、現在、急騰中にところ、今後の見通しを探りにいったわけだ。

まず、世界の基調からだが、「リーマンショック」に至る経緯として、内藤証券の見方は、1991年の共産党崩壊以降、世界経済の拡大が「新興国による供給過多=需要不足」という中で、「投資資金過剰」という状態になっていることと考えているそうだ。

そして、現在は、超巨大なマネーが出番を待っているのだが、金とか原油の市場は限定的な規模であり、やはり株式市場に流れ込んでくるしかないだろうと考えているそうだ。(逆に、レバレッジ規制が少ない商品相場の方が吹きあがるだろうという説もある。おおた注)

で、中国の状況だが、「超大型景気対策として、4兆元(50兆円)がつぎ込まれるそうだ。政府は8%成長を目標にしているのだが、現在のところ7%から8%の間と見る専門家が多いそうだ(早い話が、7でも8でも9でも大差ないわけだ)。今年GDPで日本を抜いて世界2位になるか、来年になるのか、そんな差だ。

それで。4兆元の行き先だが、日本同様、国内であーだこうだがあって、結局、

1. 鉄道・道路・空港などのインフラ建設加速 1兆5000億元(37.5%)
2. 震災地区の復旧加速 1兆元(25.0%)
3. 住宅保障のための工事加速 4000億元(10.0%)
4. 農村インフラ建設加速 3700億元(9.3%)
5. イノベーションや構造調整を加速 3700億元(9.3%)
6. 環境整備を強化 2100億元 (5.2%)
7. 医療衛生・文化教育事業発展の加速 (3.7%)

全人代に出した原案は、総額4兆元のうち、鉄道・道路・空港インフラ整備と環境整備に2兆1500億元だったが、それが会議の結果、大幅に削られて、イノベーション、教育、住宅建設、医療衛生といった先進型産業に振り替えられることになった。どうも、日本の補正予算の決まり方よりずっと賢い。何より、議論がある。

それと、『加速』という表現が多いが、日本みたいに『唐突な景気刺激策』があらわれるのではなく、現在遂行中の目標を急ぐという考え方で、結構、堅実である。

ということで、米国向けの輸出依存型から、内需への転換を急速に進めている状況ということだそうだ。そのため、予算の効果が持続する、あと半年程度は中国市場はだいじょうぶだろうとのこと(もちろん、誰も責任とってくれないが)。

懸念材料は、やはり米国が二番底に向かう可能性と、まだ浮上のシナリオの描けていない欧州経済だろうとのこと。


そして、お待ちかねの、「推奨銘柄」なのだが、本当は、過去、あまり当たっていないような気もするが、「ババ」は推奨しないようだから。その程度に考えればいいのだろう。

china2最初のカテゴリーは、好業績で株価急伸中の銘柄。BYD(自動車)とかミスター康(即席麺)、不動産関係など。

次は出遅れ株。航空とか運輸。ただし、出遅れには、それぞれ訳があるから要注意。別の雑誌で読んだが、中国東方航空は、合併がらみだそうだ。

増収増益会社。やはり中国建材とか青島ビールとか東風汽車(自動車)とか、景気刺激策関連。

そして、内藤証券のオシとしては、中国食品(ワイン・飲料・食用油・菓子)、東方電気(発電設備メーカー)中国南ボウ集団(ガラス・ソーラーパネル)、東風汽車(自動車)、中国人寿保険といったところだそうだ。


誰か東風汽車に1億元とか投入してくれたら、さっそく上値売りして、逃げ出すのだが。
  
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2009年06月22日

オバマ、・・

obamahashi大統領の名前と同じという小浜市。実は、ある産業に特化していた。

全国の塗り箸の生産量の90%が小浜市製だそうだ。

その数、7200万膳という、にわかには信じられない数字。

ということは、7200万÷90%=8000万膳というのが、日本の塗り箸の生産量ということになる。輸入品もあるだろうし、塗り箸ではない箸もあるのだから、一人年間一膳を新調しているということだろうか。

なかなか実感がない。食洗機を使っているので、普通の塗り箸だと、色落ちするので、特殊な箸を使っている。


実は、都内の農協系ホテルのレストランで食事をしようと行ったところ、レストランの前で福井県の経済連(農協)のキャンペーンで手渡された。さらに、福井の「こしひかり」300グラムも一緒だ。

カバンを持ってなかったし、ポケットに入らない大きさなので、レストランのテーブルの上に、ナイフとフォークの他に、箸と米が並ぶことになった。

福井県は、あまり目立たない県で、もしかすると、最も「場所がどこにあるか判らない県」なのかもしれない。しかし、メガネの生産量も圧倒的にこの県だし、いくつかの先端科学の会社もある。かなり、特定産業特化型の県になっているようである(愛知県のように特定企業特化型でないのが強みだろう)。

ところで、この農協系のホテル(パストラル)だが、既に不動産会社に売却されている。森トラストである。再開発が現実化した際は、むなしく更地になり、さらに新しいビルが建ち上がるのだろう。

hukuikomeよく考えると、日本の農業そのものの歴史のような話である。60余年前の農地解放政策から、長い長い期間、そのままの形で風化していって、全国の農業人口は減少し、農地は加速度的に減少し、今頃になって、いくつかの農業革命が単発的に発生。

日本の歴史の中でも、これだけ農業の産業構造が停滞した時期は江戸時代を飛び超えて、応仁の乱の頃か鎌倉時代初期ではないだろうか。

そして、いただいたコシヒカリ300グラムだが、炊いてみると、ちょっと硬い。袋に詰めてから、長い長い年月が経っていたのかもしれない。犬も苦労して噛んでいた。箸は使わない。
  
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2009年06月21日

小包届く

小包届く

pac1店頭に不足しているといっても『ウイルス対応マスク』の話しではない。

この商品、実際はマスクと同じように、製造元に直接発注してからしばらくして店頭に在庫が並ぶことになった。と言っても、マスクは重複して入手しても、そのうち役に立つのだが、こちらは重複して購入する気にはならないもの。

最近は、ダンボールは資源ごみなので、梱包をばらすのにも注意が必要である。まず、ビニールの紐は、「プラ」である。何枚も張ってある宛名シートはきれいにはがして、はさみで細断して、「燃やすゴミ」。ガムテープは、紙製だが、再生不能なので、「燃やすゴミ」。さらに、納品書はシュレッダーにかけて、いずれ「紙ごみ」。

やっと、ダンボールだけにして、二つ折にして、紙紐で束ねる。もともとビニール紐でなく、紙紐で梱包されていれば、その紐を再利用できるのだが。それで作業は終了である。

pac2ということでは、市の資源再生センターみたいだが、小包には目的物が入っていたことを忘れていた。それは、本である。


1Q84−BOOK1」と「1Q84−BOOK2」。


しかし、この2冊を発注するのにあたり、実にISBNコードがややこしかったのである。

1と2なのだから連番だろうと思うと、そうではないわけだ。

BOOK1 978-4-10-353422-8
BOOK2 978-4-10-353423-5

2回も書き間違えてしまった。あちこちの書店でも、そういうことが起こっているのではないだろうか。


ところで、どうも村上春樹が新刊、それも長編小説を出すと、こういうことになって、全国共同作業みたいに同時進行で読むことになる。そして、ブログとかでネタバレになってしまう。一ヶ月ほどで新聞の書評なんかでも、登場してしまう。

ある出版関係の方の話では、「若い男が作家を目指すと、みんな村上春樹の文体になってしまう」とのことである。だから突然のように「太宰ブーム」なのかもしれない。


pac3ということなので、まだ読んでいないので、コメント欄に、この小説のストーリーに関しての意見を書かれても、対応困難。
  
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2009年06月20日

作戦か打算か

名人戦七番勝負第六局は、6月15、16日に行われ、羽生名人が勝って3勝3敗のタイになった。あらかじめ、「名人交代」と「羽生引退時期の考察」などのエントリを書き始めていたのだが、これもボツというか延期というか・・第七局は来週。

5回戦までで、3勝2敗とリードした郷田挑戦者が「後手陽動振り飛車」の奇策を採用。

おそらくは、ガチガチの「定跡勝負」よりも、手将棋的な「感覚勝負」を残り二番指せば、どちらか一番は勝つだろう、という戦略なのかもしれない。

生涯勝率65%の郷田挑戦者が2連敗する確率は12%。つまり88%の確率で名人になると思っていたのかも知れない。しかし、羽生名人の生涯勝率は72%。二連勝する確率は52%である。どちらも自分の方が名人になると思っていたのだろうか。

ところで、両者とも今年度に入って、負け越していたわけだ。

最終局は、どちらが後手になっても、「陽動振り飛車」になるのではないかと、「当たるはずのない予想」を書いておく。

xyさて、6月6日出題作の解答。

▲4八飛 △5九玉 ▲4九金 △6九玉 ▲6八金 △7九玉 ▲7八金 △8九玉 ▲8八金 △7九玉 ▲7六飛 △6九玉 ▲6八飛 △同玉 ▲7八金 △6九玉 ▲7九金まで17手詰

横向きに追いかけた後、縦向きに追いかけるというのが、ちょっとした味。

たいした話じゃないといわれれば、それまでかな。この端を王が逃げるというのも、いくつかのパターンがあって、あまり難しいものは、できないのかもしれない。

動く将棋盤は、こちら



kin2先週出題作(6月13日)が、なかなか不人気みたいなのだが、今週も軽快作。先日、飲み会兼将棋会を開いたときに、参加者が奇数だったので、対局明きの時に、作ってみた。

最近は、パソコン頼りで作っていたが、このレベルの作図なら、自分の脳みそのCPUでも対応可能である。

わかった、と思われた方は、コメント欄に、最終手と手数と酷評をいただければ、正誤判断。

後記:元の図面では、おおきなキズがあるので、攻め方1六歩を追加した。

後記2:攻め方に1六歩を追加したら、二歩だった???
    1六桂に変更。やっつけ仕事・・・
  
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2009年06月19日

若田部レポートを聴く

wakatabe早稲田大学政治経済学術院教授の若田部昌澄氏の経済リポートを聴く。野村の主催。

本題と関係ないが、教授の所属は、「大学院」ではなく「学術院」である。いわゆるアカデミー。普通、アカデミーとは国家が設立するものだが、早稲田は私立大学。もっとも、国から助成金を受け取っているのだろうから、いいのかな。あるいは、日本アカデミー賞みたいなものだろうか。

講演の主題は、「世界経済は底を打ったのか」。言いかえれば、「株は買い時か?」ということだが、そういう直截的なことを学者は言わない。

まず、指数から言うと、「NYダウ」「消費者信頼感指数」「中国自動車販売台数」などを使って、今年3月に急落したこれらの指標は、一端、底を打った後、『わずかにリバウンド』している状況と言えるとのこと。ただし、急落した後の単なるリバウンドである可能性もあり、今後についてはリスクを見極める必要があるとのこと。

現在のリバウンド状態の後、少し調整し、その後ゆるやかに回復するのか、横ばい(L型)になるのか、二番底に向かうのか、これからということだ。急回復はないそうである。

リスクについて言えば、まず、中国と米国では底打ちしたものの、EU圏や東欧圏では、いまだに問題を抱えていること。

また、米国金融市場でも不良債権についての金融機関のストレス・テストは、前提が大甘であり、例えば失業率も8%でみていたものが、既に9%となっている。今後、景気回復が軌道に乗らない場合、再度、金融危機が発生する可能性がある。

また、各国では長期金利の上昇によるインフレリスクがあり、それを気にしすぎて、FRBが政策を誤ると、2番底に向かう可能性がある(日本の失われた15年のパターン)。


では、米国・中国の景気回復により、日本経済の方向性については、現在はプラス要因となる。中国から米国へ製品が流れれば、その部品を日本が輸出したり、また、中国の内需向けも日本製品が浸透している。また、国内の景気ウォッチャー調査も上向きである。

しかし、米国経済にリスクがあるように、日本経済にも別のリスクがある。

まず、現在の景気上向き感は、財政出動による一時的なものである点。定額給付金もそうだが、財政政策が尽きた時に失速する可能性が高い。

さらに、これ以上、財政出動すると、長期金利が上昇し、その結果、ドルから円への転換が起こり、結果として円高が進行する可能性がある。そのため、輸出産業が不振に落ち込むシナリオである。

さらに、米国とは逆に、「デフレ」に向かっているように見えること。コアCPIはマイナスだし、業績の順調な企業は、ユニクロはじめデフレに強い企業が多い。

しかも、失業率は、問題が起こるといわれる4%を超え、各種財政政策によっても、5%から5.5%に上昇していくことが予想されている。


ここで、金融政策の方だが、FRBや英中銀、欧州中銀などは、量的緩和だけではなく、信用緩和という手を打っていて、株式などの金融資産そのものを買い上げることにより、流通している資金の質を高めているのに、日銀はほとんど資産買い上げは行っていないとのこと。


若田部教授は、「結局、ここで財政出動を止めては、またしても失われた15年の再来となる」と予想され、「赤字国債発行による財政出動」を提言している。

しかし、一方、国債を発行しても市中の資金(貨幣)が国債に置き換わるだけだから、貨幣不足に陥って、経済は回転しなくなる。そのためFRBが行っているような国債の市中買い入れのような施策が日銀に求められるとの意見である。

この方法の変形としては、政府紙幣の発行という手法もあるが、色々と抵抗感や政府と日銀の関係悪化といった弊害もあるとした上で、政府の発行する赤字国債を、市中を通さずにダイレクトで日銀が購入し、政府に直接資金供給するという方法があると指摘されている。

かつて、昭和恐慌から脱出する際、これを行ったのが高橋是清だったそうで、その政策の効果で日本が大恐慌から一早く脱出できたそうである。ところが、彼が暗殺された後、制度が悪用され、日本が国家破綻への道を進んでいったわけで、日銀内部にも、この方法には大きく抵抗があると思われているそうだ。

財政法 第5条は、
「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。」となっているのだが、ただし書きがあり、
「但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」となっているそうだ。


個人的には、国債の引き受け手だった郵便局が民営化したこと、政策投資銀行の民営化が頓挫しそうなことなど、こういう問題とリンクしているのではないかと思うのである。

第二次大戦のときは、戦時国債という別枠を郵便局が全面的に買い込んだため、国民の郵便貯金がそのまま戦争遂行費に消えたという歴史もあるのだが、「無制限に国債乱発の図」というのは、不況よりももっと悪い事態に至るのではないか、と思うのである。
  
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2009年06月18日

マスクはどこに消えたのか?(2)

5月20日に「マスクはどこに消えたのか?」で、急遽、日本中からマスクが消えたことを書いた。

その後、10日ほどで、マスク相場も落ち着き、50枚3000円程度で入手することができるようになった。また、海外では数万人の患者数に拡大し、これから冬に向かう南半球では、大感染の様相になってきた。

たまたま、西日本に行ったついでに、神戸、大阪方面を回ってみたのだが、気付いた最大の点は、

 マスクをしている人が、ほぼ、いないこと。

完全に、「過去の話」になっている。

しかし、これがまた、よく聞いてみると、非科学的なのである。

「ウイルスは、首都圏の方に行ってしまった」と思っている人が多いようである。
大阪の通天閣を倒した後、東京タワーを攻撃するために上京するゴジラみたいな話である。

では、買い集められたマスクはどこに行ったか?

おそらく、家庭や企業での「在庫」になっているのだろう。次のもっと危険なウイルスに備えてだ。

事実、チリやオーストラリアでは、わずか1か月で感染者は1000人を超えてしまった。オーストラリアは人口は日本の1/6であるから、日本でその比率で考えれば、7000人以上が、一ヶ月間で感染したことになる。さらに、人口密度が希薄で、うつり難い国土である。

さらに、オーストラリアの冬は、日本の冬よりも暖かい。日本でいえば10月初旬頃の気温になると、大流行するのかもしれない。

その前に、サッカーの応援団(あるいは選手)がメルボルンから大量にウイルスを持ち帰るかもしれない。応援に行かなくても、2006年大会のビデオを日本で見ていれば、ほぼ同じ結果になったのに(キーパーの顔は変わっているが)。


そうなると、日本でも秋には10万人規模の感染者が現れてもおかしくない。
 
阪神方面では、マスクの他に各家庭では、カップ麺を大量に買っているとの噂がある。

さらに、ワクチン不足も気になる。2500万人分を備蓄と言われるが、国民は1億2000万人もいるわけだ。

「マスクはどこに行ったか。」だけではなく、「ワクチンはどこに行ったのか?」という話にならないことを祈りたい。
  
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2009年06月17日

ヨッシーに勝算は

船橋市長選挙は、自民・公明・民主の三党が推す現職市長に、渡辺喜美前行革大臣が推す新人が挑戦するというチャレンジャブルな選挙になっている。渡辺氏、まもなく新党の旗揚げを行うことになるらしい。

渡辺喜美・元行革相、衆院選前の新党結成目指す

渡辺喜美・元行政改革相は13日、都内で開かれたタウンミーティングに出席し、「自民党を出たいと悩む人を何人も知っている。今月か来月に新党をつくる。衆院選後に自民党でも民主党でもない第3極としてキャスチングボートを握り、政界再編につなげたい」と述べ、衆院選前の新党結成を目指す考えを示した。

渡辺氏と江田憲司衆院議員は、今年2月に政策グループ「日本の夜明け」を発足させている。(2009年6月13日 読売新聞)


watanabeところで、2009年3月26日、東京銀座ブロッサム会場で、渡辺喜美氏の講演会があった。新潮社フォーサイト誌の主催である。自民党からの脱党直後でもあり、入場券の事前抽選に落選したため、ライブで聴くことができずに、だいぶ遅れて講演会の録音CDが届いた。さらに、それからだいぶ遅れて聴くことになる。

内容の前に、全体としての感想だが、やはり政治家の話というのは、ライブで聴いていると、それっぽいが、声だけ後で聞くと、聞く側が冷静になるので、あまり迫力がない。よくわからないと、もう一回聴きなおすと、「なんだ・・」ということになる。案外、政治ってそんなものなのかな。今からでは遅すぎるが、政治家を目指してもなんとかなったのではないか、とか余計なことを考えてしまう。

与太はやめて、では講演会のこと。題名は、「政治奪還宣言」。副題は「官僚から、古い頭から、政治を取り戻せ」。

つまり、この講演会は、すべて「官僚政治批判」ということである。

6つのパートにわかれる。

1.内閣人事局構想を骨抜きにする人たち

内閣人事局制度とは、各省庁ごとに所属する官僚を横断的に管理すると同時に、どの省庁にも属さない「日の丸官僚」を作る制度だったのだが、官僚たちから猛反対を受けている。その反対勢力の政治家側の代弁者が「漆間官房副長官」ということだそうだ。元警察官僚。この講演会の中で、何度も「ウルマ」・「ウルマ」・「ウルマ」と名前が登場した。(もう一人の副長官の鴻池氏の方は、愛人生活に走っていたのだから、まったく奇妙な組合わせだ)

このウルマ氏だが、安倍元首相の大のご贔屓だったそうだ。

2.官僚内閣制の歴史、巧妙な役人のロビー活動

官僚の歴史は120年前に遡るそうだ。山県有朋政権の時。その前の大隈内閣のときに、公務員の登用にあたって、コネや有力者の子息といった世襲がはびこって、それに対する批判から、試験による公募制がはじまったそうだ。そうなるとエリートが公務員になることになる。

その後、幸か不幸か日清・日露戦争により、エリートたちが自信を持ち始めていく。

そして、1930年代から40年頃にかけて、515事件、226事件などを経て、軍が強くなり、かつ政党政治が終焉することになり、日本を動かすのが、軍部と官僚の両者ということになる。

そして、敗戦により、軍は解体。しかし、なぜか国際情勢の東西緊迫化により、インスタント方式の日本復興が必要になり、戦前からの制度のうち、「官僚支配制度」が、そのまま戦後も続くことになる。あとは、ご存知のとおりだ。(実際に法律の制定権は立法府にあるのは憲法でも明解なのだが、「行政指導」とか「運用方針」とかいって、法律とは無関係な法律を、紙に書いたり口頭で指示したりして、事実上の運用法を官僚が勝手に作っているわけだ)

渡辺氏が特命金融大臣だった時代に、金融庁の局長たちを対象に、一週間に何人の政治家と面談するかとの聴き取りアンケートをしたそうだが、多い人は週に70人の政治家と会い、少ない人でも30人と会っているそうだ。要するに、官僚が政治家に取り入るのではなく、政治家が、官僚の持っている利権のお裾分けを狙っているということだそうだ。

渡辺氏が福田前首相に言われた言葉だそうだが、「日本では、政治家がひ弱だから、官僚が強くならないと困る」ということだそうだ。

3.政治の不毛を拡大する「天下りネットワーク」

2と関係するが、現在の小選挙区+比例区方式は、中選挙区制度からの流れの中で成立しているのだが、ほぼ中選挙区に近い形になっている。中選挙区の事大は、1選挙区の定員が4人や5人だったから、「三角大福中」のような五大派閥が成立し、各派閥ごとの栄養源としてそれぞれ官僚との癒着があり、複雑なネットワークが完成した、ということらしい。

現在の政治的リーダーたちの中で、小選挙区制度の中で現れたのは菅直偉氏以外、ほとんどいない、とのことである。

4.脱官僚、地域主権をめざす「10の提言」とは

省略

(実は、よくわからなかった。彼独自の新しい主張は何もなかったような気がする。つまり当たり前のことが、決まらないというのが、官僚政治の厄介な点なのかもしれない。個人的には、検察が厚労省の役人つぶしに走っているのも、もしかしたら民主党と自民党のパワーバランスの調整に使っているのかも知れないとか勘ぐっている。)

5.アジア30億人の内需拡大に向けたインフラ整備を

(これは、よくわからない。相手が日本と組む気がないのに、『連携』とかいうのは不毛な気がする。インフラ整備に空港問題を取り上げていたが、現場感覚で言うと、『もう十分、成田は国際化している』と感じている。むしろ『国内化されていないのが問題』と感じている)

6.第3極の政治勢力が選挙のカギを握る
これが、メーンイベントなのだが、すでに次期総選挙での候補者選びを進めているとのことであった。ただし、公募制ではないものの、自薦の人が多いとのことで、公募制みたいなもの、と言われていたが、ちょっと違うかな。



いずれにしても、渡辺新党も、鳩山新党も、国民新党も、もしかしたら『社民党』までもが、『民主党』も『自民党+公明党』も単独過半数に届かない場合に、キャスティングボードを握り、大臣の椅子の一つ二つを狙おうと考えているのだろう。ただし、渡辺新党の場合、「公務員削減」が政策の中心だとすると、同じような提言を行っている民主党の方に票が流れていくのではないだろうか、と感じるのである。
  
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2009年06月16日

千葉市長選よりも面白い?船橋市長選挙

sityo千葉市長選は民主党が推薦する熊谷氏(31歳)が事前の予想通り大勝した。対立候補が自民推薦の元副市長で元建設省のOB、前市長が土木工事の汚職で逮捕されたにもかかわらず、同類項の登場となれば、いかに保守的な千葉市民としても当然の結果としか思えない。

実は、前市長は私と同じ高校の出身だったらしく、同校のOBのうち土木建設関係者で構成される、ある同友会のパーティーで威勢のいい演説をぶった翌日、縄をかけられたらしい。

あまりに保守的な県民性に耐え切れず、神奈川県に脱出したのだが、奇妙なことに衆議院の比例区では、千葉+神奈川=南関東選挙区ということになっている。東京湾をはさんだ二つの県をつなぐ細い糸が、アクアラインということだ。

ところで、市長選挙の結果を6つの区ごとに見ると、高齢化が進む二つの区(中央区と若葉区)では、両者の差はかなり接近していて、新興住宅地の広がるそれ以外の区では、圧倒的大差になっている。政党間の争いという側面だけではなく、年代間の差という側面もあったのではないかと思う。

政策的にも、自民党系候補者がモノレール延伸計画を訴えたのに対し、民主党系の熊谷氏は、延伸計画の中止を訴えていたそうだ。個人的には、交通インフラへの投資というのは、首長が替わるたびに、方針が変わるようでは投資的にも無駄だし、交通システムの全体像の中で考えるべき問題なので、新市長の考え方には疑問を感じている。中途半端な路線のままマイカー至上主義では、高齢化問題とか抱えているのにどうにもならなくなり、さらに割高な方向に進むだろう。

懸念されているのは、新市長が選挙運動中、「橋下府知事のように」市役所批判を繰り返していたため、市役所内にも市議会内にも味方が少ないことである。まして、千葉出身ではなく、別の意味での「落下傘」。前市長逮捕の裏側には、以前、談合問題で、市内の業者を入札からはずして、県外業者に工事発注したことがあるとの声もある。これから、新市長を支えるのは「市民の声」ということしかないのだろう。投票率は低かったが・・


さて、千葉市長が決まったあと、直ちに始まるのが千葉県第二位の船橋市の市長選である。14日に告示され、21日が投票日である。

立候補者は4人だが、一人は共産党候補。有力とされている候補者は、現職市長の藤代氏(66歳)と無所属新人の野屋敷いと子氏(58)。藤代氏は12年前、市長の任期は3期12年と言っていたのに、4期目の選挙という負い目があるそうだ。しかし、自民・公明・民主と三大政党が支持している。

野屋敷候補には、ドンキホーテ型政治家である渡辺喜美氏が応援団として登場。仮に落選しても新党として迎える次期総選挙での有力候補なのかもしれない。

もう一人の新人候補は、オートレース場の廃止・売却を訴えているが、応援団なしの孤独な戦いになっているようだ(きょう現在)。

大応援団、小応援団、応援なし。それぞれの結果は?
  
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2009年06月15日

喜平、妙なコピー

kihei岡山の酒シリーズ第二回目は、平喜酒造の「喜平」。いや、そんなシリーズはないのだが。

そして、この純米酒だが、妙なコピーが付いている。

「岡山の酒 喜平」

この平喜酒造は、岡山県にあるのだから、別に、「岡山の酒 喜平」でおかしいことはないのだが、それが県内のあちこちに看板として目につくことになると、別の意味を帯びてくる。

「岡山を代表する酒」。

プロのコピーライターが作ったとは思えない素朴で、かつウソにならない程度の勘違いを期待している。

味は、岡山の別の酒と同様に「山田錦」ではなく県内特産の酒米を使用している。「あけぼの」という種類らしい。

そして、ものすごく辛い。

辛すぎて、水を飲みたくなる。なかなか理想の酒には巡り合えない。

岡山県に行ったついでに、低稼働に苦しむ三菱自動車水島工場で、組み立てられる電気自動車「アイ・ミーブ」の効果を地元の人に聞いたのだが、

「年間2000台って、1日6台ということですから・・」と一笑に付されてしまった。


ところで、この岡山県だが、奇妙なことにブタインフルエンザの罹患者が「ゼロ」である。

隣の兵庫県では大量発生なのに。よくわからない。

  
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2009年06月14日

横浜みなと博物館で「国際港問題史発見」

minatomusium横浜のY150は、まだ参加していないのだが、MM21地区にある横浜みなと博物館に行く。元は「マリタイム・ミュージアム」といって、船舶に関係のあることだけを取り扱っていたが、装い新たに、横浜港に関する博物館として再出発した。

外観は平屋建ての物置みたいだが、これは博物館の上階であって、一階展示室はもっとずっと大きいし、大がかりである。

ところで、横浜といっても内陸の方には、貝塚や古墳もあり、東日本の普通の海辺の村だったのだが、「横浜港の歴史」となれば、まさに150年しかない。それも、いきなり国際港から始まる。段階的に国際化したわけではない。江戸幕府が、ここを開港して、外国人居留地を作る。

そして、明治になると、まもなく日本人の町と外国人の街は、入り乱れて境界線もなく混じりあっていく。

何しろ、首都圏の唯一の国際港である。貨物船も豪華客船もすべて集まってきた。

横浜の歴史は、このあと、関東大震災があり、大空襲というようなことになるのだが、この「首都圏唯一の国際港」というのは、どういう特権だったのだろうかということ関係が、ひっそりと展示されていた。

やはり、東京港が、「横浜港だけじゃなく東京港も国際港として認めるように」という主張を明治30年代から行っていたようだ。

展示品の中に、政府に対して「東京港を国際化しないように」という横浜市長による文書が残されている。簡単にいうと、「東京が国際港になると、横浜港は破たんする」というような脅しである。

明治30年代の要望が現実化にいたったのは、実に昭和18年。第二次大戦の中盤戦である。つまらない無駄を言っていられなくなったのだろう。それくらいの事態にならないと、既存特権は廃止できないということだろうか。

その後70年近く経ち、羽田空港の国際空港化について、成田空港がクレームをつけている。この構造は、東京港の国際港化の歴史とよく似ている。戦争でも始らなくては現状打破は困難なのかもしれないが、戦争が始まるかもしれないわけだ。ただし、ミサイルが飛び交う事態になれば、いずれにしても空港は閉鎖同然になっているかもしれない。


話をソフト化すると、横浜を題材とした歌謡曲各種が紹介されていた。非常に有名なのは、「ブルーライト・ヨコハマ」や「伊勢佐木町ブルース」ということだが、「横浜いれぶん」という曲を木ノ内みどりさんというアイドルが唱っている。女優に転身し、映画「野球狂の詩」で水原勇気役を演じている。どうも竹中直人の奥さんになっているようだ。

しかし、1970年代には、『ありえないシナリオ』として女性投手(女性党首ではない)を設定したのだろうが、現代では、本当に登場してしまった(女性党首の方も)。木ノ内さんももう一回復活してみたらどうだろうか。既に、木内みどりさんという、紛らわしい名前の女優さんもいるので、竹中みどりと改名してもいいかもしれない。
  
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2009年06月13日

「握詰」苦戦

「握鮨」は大好きだが、「握詰」は「にぎりづめ」といって、詰将棋の余興。誰かが適当に駒箱に入っている将棋の駒を、一握りして、そのランダムに選ばれた駒を余すところなく使用して詰将棋を作ることである。

7月19日に名古屋で開かれる第25回詰将棋全国大会で、大会参加者の投票で、この握詰の優秀作が決定される「課題問題」である。この詰将棋大会、毎年1回開催されるが、今年は名古屋である。前年が福岡、さらに前が、神戸、横浜ということである。昨年は投稿したものの、所用で欠席。一応、毎回、参加手土産のため、一題を投稿している。6月1日に届いた「詰将棋パラダイス誌」に今年の使用駒が発表されていて、

王 角角 金金 桂 香 歩歩歩歩 の11枚である。
調べると、
 王 飛 桂 香香香 歩歩歩歩歩歩 12枚(2008年)
 王 角角 金金 銀 桂 香香 歩歩 11枚(2007年)
 王 飛 金金 銀銀 桂 香 歩歩歩歩 12枚(2006年)
 王 飛飛 金 桂 香 歩歩      8枚(2005年)
 王 飛 角 金 桂 歩歩歩歩     9枚(2004年)

どうも2006年から枚数が増えたようだ。いまだに王が二枚(双玉)というようにならないのは、単に偶然なのか、最初から双玉は認めないという考え方なのか、不明である。

この握詰だが、奇妙なことに「アマ連杯」ということになっている。詰将棋なのだから、全国詰将棋連盟の主催と思うが、握詰は日本アマチュア将棋連盟がスポンサーになっているようだ。2005年から2006年にかけて、急に枚数が増えたのは会長が変わったのだろうか。ちなみに自分で駒を握ってみると、掌がXLサイズなので、33枚握ることができた。もちろん王様も二枚だ。

で、昨年も変な組み合わせで苦労したが、今年は、「飛車」がない。今年の駒のパターンと似た作品を、過去の作品倉庫から探してみたが、まったく見当たらない。

したがって、ゼロから考えはじめるしかない。とりあえず、思い浮かんだのが、二重エスカレーター方式。一枚目の角を9九に、二枚目を3一において、王様を7六において、▲7七金から王を2一に向かって追いかける。水漏れしないように、歩やと金を配置して、受け方に1二金を配置、残った駒で2二の地点の周辺に「捕獲セット」をおくと、30分以内に完成したが、どうみても、「ほぼ一目」。要するに、飛車がないと、華やかにならない。

その後、どうにかBC級作品を1題作ったが、まあ、一票も入らないような感じだ(自分が行けば、とりあえず1票)。その前に、最終選考に残らないかな。

締め切り(6月20日)までに、なんとかなるかどうか???何しろ、構想が浮かばないわけだ。


ところで、7月19日というのは、3連休の中日である。考えられる限り、最悪の日である。わざわざ出向いて、連休をつぶすのもちょっとなあ、ということで、色々と探すと、大相撲名古屋場所が愛知県体育館で開催中。自由席は当日売りのようである。

怪しい勝星で在位記録を伸ばし続ける大関陣に対し、きつい野次でも飛ばしに行こうかとも考えなくもない。「ヤオチヨウ〜〜〜」とか「インタ〜〜イ〜〜」とかだ。もちろん結びの一番の前に逃げ出さないと、風呂場に連れ込まれ浴槽に沈むことになるかもしれない。

それと、事前情報ではLPSAから藤田さんと北尾さんが参加することになっているのだが、ご存知のように北尾さんはLPSAから脱退。それでも会場に現れるのか、単に来ないのか、あるいは行こうと思っていたところを某専務からの「怖い電話」で取りやめることになるのか。これも余興の一つである。


一方、全日本詰将棋連盟の会長氏のブログの中で、全国大会での「将来の出し物」として「ミニ解答選手権コーナー」が紹介されている。初手と最終手と手数を記して、解答時間を競うということが書かれているが、それは、先日、ある会場で私が考案した催しと同じである。そういえば、会長氏も顔を見せられていたように記憶する。

早く、特許を申請しなければ・・

12さて、5月30日出題作の解答

▲3三金 △2一玉 ▲2三香 △1二玉 ▲2二香成 △1三玉 ▲2三歩成 △1四玉(途中図1) ▲5四飛 △同香 ▲2四と △1五玉 ▲3六玉 △4五香 ▲1七香 △1六飛(途中図2) ▲同香 △同玉 ▲2六飛 △1七玉 ▲2七飛 △1六玉 ▲5二角成 △4三桂(途中図3) ▲同馬 △同歩 ▲2八桂 △同銀成 ▲2六飛 △1七玉 ▲2八角 △1八玉 ▲1九銀まで33手詰。

まず、初手。▲2三歩成 △同玉 ▲4一角成が見えるが、▲2三歩成に、△2一玉となると、失敗図1となる。

そのため、▲3三金とすり込む。△同玉なら▲2三歩成である。この3三金が最初の拠点で、香と歩が成って、上部に追い出す(上部と書いたが、玉型にとって上部)。途中図1のところが、最初の関門で、一枚目の飛車を▲5四飛と捨てる。実は、この飛車が邪魔をしていて、7四角が下の方に働かない。後に判明する。

34そして、さらに敵玉を5段目に誘導し、自玉の移動で空き王手を掛ける。この時入手した香を1七に打てば、逃げ道封鎖で△1六合、▲2五とで詰むはずだが、△1六飛の逆王手が登場。

そして、次のステージなり、飛車を取って、今度は3六玉を攻めの拠点とするが、1枚駒が足りない。そこで、遊び駒の再利用で、▲5二角成で合駒請求(途中図3)。△4三桂合で粘るが、▲2八桂△同銀成で質駒を作ってから、終局に向かう。

56詰上がりの図は、盤面に残骸だらけになるが、すべての駒のうち動かなかったのは2九の銀だけである。残骸の山というよりも、食い散らした残飯の山といったところかもしれない。

動く将棋盤は、こちら






yokogata今週の問題は、打って変わって「ワイルド」から「クール」へ。

頭を冷やしながら、解きましょう。

解けた!と思われた方は、コメント欄に、最終手と手数と酷評をいただければ、正誤判断。


  
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2009年06月12日

ウコンの力

ukon最近、送別会ばかりだ。

どうも、株主総会のシーズン。企業業績不振の責任で、様々な会社で、役員交替が多発して、それに関わる関連人事の結果、あちらでもこちらでも人事異動、あるいは退職。

元々、お酒には、めっぽう弱いので、連日の宴会がこたえている。ついに、ハウス食品のドル箱製品「ウコンの力」を購入。午後5時の机の上に置いて、記念撮影。確か、ウコンに含まれるクルクミンはアルコールの分解を早める効果があるはず。


「朝から夜まで忙しい方の、元気と健康をサポートします」と書かれている。

「夜から朝まで忙しい方の元気」はサポートされないようである。

しかし、ウコンとは、別名がターメリック。カレーに大量に含まれている。カレーと言えばインドである。インドは子沢山で有名だが、どちらかと言えば寿命は長くはない方だ。

やはり、「朝から夜まで忙しい方の健康」に効くのではなく、「夜から朝まで忙しい方の元気」の方に効くのではないかと想像だけしておく。


ところで、話しが戻って、送別会。近く、退職金をもらうことになるので、現在、金額の交渉中。短期間で分断して何回ももらうのは、色々と損が出るのだが、致し方ない。ブログをやめても誰からも退職金はもらえないので、ぼそぼそとした食えない自家製手打ち蕎麦みたいに続く。  
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2009年06月11日

奇妙な事件が起きる県、岡山

最近読んだ「奇妙な事件」で岡山県関係が二件。

ひったくり警官逮捕…お手柄高校生「世も末」岡山

岡山中央署は4日、岡山市の路上でお年寄りの女性から財布を奪った窃盗容疑で、愛媛県警松山南署刑事1課の巡査部長N容疑者(29)=松山市=を現行犯逮捕した。犯行後に逃走したが、自転車で帰宅途中だった男子高校生2人が追い掛けて取り押さえた。

お手柄だったのは私立関西高校に通う3年生のAさん(17)と、1年生のBさん(15)。ラグビー部に所属するAさんが4日午後7時50分ごろ、部活を終えて自転車で帰宅途中に女性(75)の「どろぼう」という悲鳴を聞き、自転車で追い掛けた。約250メートル先で、反対側から自転車で来たBさんと挟み撃ちにし、取り押さえ、宝来さんが110番通報した。2人は同校で5日、取材に応じ「捕まえる側の警察官が捕まるなんて信じられない」と驚く一方「世も末だと思った」などと話した。

愛媛県警によると、N容疑者は、盗犯係の主任で3年以上ひったくり事件などを担当。1日から連絡が付かず2日から無断欠勤だった。銀行のカードローン約250万円を抱えていたことも家族の話で判明した。[ 2009年6月6日付 ]

逮捕当時、所持金はほとんどなかったようだ。75歳の女性の財布を狙うなど、犯行の質は最低としかいえない。格闘には長けているはずの警官が、なぜやすやすと捕まったかだが、高校生のうち一人は少林二段ということだったそうだ。記事には書かれていないが、N元警官は、捕まったときに、ずいぶん痛いおもいをしたのだろうと、想像。

「少林二段」が、日本固有の「少林寺拳法」のことなのか、中国古来の「少林拳」のことなのかは、よくわからない。たぶん、本場中国の少林寺に由来する少林拳のネームヴァリューを借用(パクリ?)した、戦後の日本生まれの少林寺拳法のことなのだろう(これ以上、書くと、夜道で『三年突き』食らいそうなので沈黙)。


ところで、高校三年生が、「警察官が捕まるなんて、世も末」と予言しているが、警官の犯罪、消防士の放火、銀行員の着服などが同類なのだろう。「世も末」と感じるのは、本来、自己否定的な行為だからなのだろうが、もともと「犯罪がなければ警官は要らない」のだから、犯罪は警官にとっての「存在理由」そのものである。

さらに、ほとんどの犯罪には、それに至る必然性があるわけで、ひったくり事件を担当しているうちに、善悪が麻痺したのだろう。


二件目。

牛丼店強盗を自作自演=三菱自動車社員2人を逮捕−岡山県警

岡山県倉敷市の牛丼店で2月、強盗事件を自作自演したとして、県警水島署は6月2日までに、窃盗と軽犯罪法違反の疑いで、三菱自動車社員で同店でアルバイトをしていたK(27)、同社社員Y(20)両容疑者を逮捕した。

同署によると、2人とも容疑を認め、1人は「金に困っていた」と話しているという。

2人の逮捕容疑は2月23日午前2時50分ごろ、倉敷市連島の「すき家倉敷南店」で、約107万円を盗んだ上、「刃物を持った男が押し入り、縛られて現金を強奪された」とうその届け出をした疑い。

同署によると、K容疑者の体を粘着テープで縛り、強盗被害を偽装し、同3時ごろ110番したという。テープの巻き方が緩いことなどから同署が事情を聴いていた。

三菱自動車によると、景気悪化の影響を受け、工場の休業日を増やしたため、一部社員にアルバイトを認めていた。2人はアルバイトの申請をしていたが、同社は許可していなかったという。(2009/06/02-14:02)


近日中に、この現場の近くに行くので、現場写真を写してこようかと思ってみたが、単に、夜の牛丼屋の写真に過ぎないので、余計なことはしないことにする。逮捕まで3ヶ月以上。何を捜査していたのだろうか。

事件を考えると、深夜、顧客のいない無人の店舗で偽装工作をしたわけだ。牛丼店の夜、一人で店番をするKを、Yが粘着テープでぐるぐる巻きにして107万円を持ち逃げ。10分後にテープをほどいて自分で110番したのが、作戦ミスだったのだろう。朝まで、床に転がっていればよかったのだろうか。107万円の配分比率が気になるが、6:4かな。(結構、主犯と共犯の関係を決める決め手ではないだろうか)

罪状が、窃盗と軽犯罪法違反というのは、107万円奪ったのが窃盗で、自作自演を演じたのが軽犯罪法違反だろう。行為だけを見れば、窃盗がY、軽犯罪法違反がKだが、Kが持ちかけたに決まっている(と思う)。

アルバイトといっても、夜間の一人勤務は、責任が重いはず。店側がKに任せていたのは、「地元の優良企業である三菱自動車社員という名刺の力」だったのだろう。2月頃の状況は、自動車工場は一月で1週間しかラインが動かないという最低状態。一時帰休+給料カット+アルバイト奨励ということだった。会社側は、牛丼店のアルバイトは許可していなかった、と言っているが、審査中だったのだろうか。ノーとも言えないはずだ。(もっとも、会社が許可したかしていなかったかは、事件の真相にはなんの関係もないと思う)

三菱といえば、地元の三菱水島病院も廃止されると聞いている。以前の、リコール隠し、粉飾決算で会社が地に墜ちたあと、突如の軽自動車ブームで復活。しかし、復活の裏側には、三菱製を日産にOEM供給という実態があった。日産にしてみれば、自社製の小型車を軽自動車並みに割り引いて販売した方がいいに決まっている。OEM地獄に墜ちたのは三菱の方だった。

ところで、この工場で電気自動車の商業生産が始まった。年間2000台と台数は控えめだが、価格は400万円と大胆だ。各種補助金をユーザーが申請すれば100万円くらい安くなるようだ。あいかわらずのグループ企業頼りである。以前、デボネアという超大型車があって、「三菱系企業の社長車のみ」という需要先だった。これからは、アイ・ミーブが社長車なのだろうか。

いつまでも工場稼動が低いままだと、第二、第三の社員犯罪が発覚するのではないかとおそれ、焦って、未完成品を市場に投入したのならば、またも、元の道を逆戻りになるのだが。  
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2009年06月10日

書評:日本<島旅>紀行(斎藤潤著)

simatabi「知人の書いた新書シリーズ」は三冊目というかこれで終わり。島国日本のさらに離島をとりあげた紀行である『日本<島旅>紀行』。著者は、日本最大の旅行会社で、世界の旅人(というか「旅人に奉仕する奴隷」である添乗員)とか経験していたと思うが、一転、退職して本物の旅人になり、あれこれ紀行を書いている。

ところで、<島>をとりあげたエッセイは多い。ある意味、ロビンソンクルーソーや家族ロビンソンだって、冒険小説ではなくエッセイという考え方もある。孤島で小説を書いても読む人がいないなら、エッセイということになる(ただし、売れない小説を書いてもエッセイとは言わない)。

一つの島にこだわり、そこにフォーカスした文学といえば、例えば三島の潮騒とか、瀬戸内少年野球団、小豆島の「○十○の瞳(数字が思い出せないので、伏せ字)」。三宅島の流人の話だってある。

この島旅は、そういうのと全く逆で、「たくさん回る」というコンセプト。

280ページに35位の島が紹介されている。あくまでも、自分で行って調査している。江戸時代だったら、すぐに「オランダスパイ」として、逮捕されるだろう。

しかし、実際問題、定期便のない島に渡ろうとするのだから簡単ではない。世の中、カネ次第とは言うものの、カネがあっても船がなければ島に渡れない。どこから船が出ているかを調べるのも大変である。そういう困難を乗り越え、離島に渡れば、島民は、のんびりと暮している。

まあ、島が多すぎて、島民の生活、そして思想に食いこむことまでは、この本ではできなかったと思うが、読むと、島に行きたくなるような思いになってくる(行かないけど)。自分を振り返れば、碌に島にいったことはなく、伊豆大島、淡路島、小豆島、井口島、伯方島、直島、向島。ずっと離れて、石垣島、西表島、竹富島。そんなところだ。

ところで、この本は、図書館で借りたのだが、以前にこの本を借りた人の貸出明細書が挟まっていた。

4冊借りているのだが、

1. 日本<島旅>紀行
2. 日本全国離島を旅する
3. 離島発生き残るための10の戦略
4. 東京の島

いったい、何をしようと、この4冊を借りたのだろうか?

東京都所属のどこかの島で、サバイバルゲームをしようというのだろうか。
あるいは、「三宅島に島流しにされそうな人?」。確か、江戸時代の三宅島送りと言えば、なまくら坊主の習慣的女犯と決まっていたようなものだ。三宅島は伊豆七島の先の方で、黒潮の先である。小船で島抜けをしても黒潮に乗って、どこまでも漂流してしまう。

北国からのミサイル攻撃に耐えられるように、島に避難した後の始末ということだろうか。

ところで、新書を三冊読んだのだが、一昔前は、「三冊新書を書くと、一生遊んでいられる」とも言われたようだが。現代の本離れ状況下では、1年分の家賃くらいにしかならないのかもしれない。
  
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2009年06月09日

書評:「空海」の向こう側へ(山川健一著)

kukaiこれも、少し知っている人の書(ソフトバンク新書)。元作家(今も、小説を書けば作家だが・・)。なぜか、最近は、出版関係に進出しているようだ。

個人的な話だが、最近、身近に「空海」があらわれる。といっても、宗教を、信仰ではなく「知識」として詰め込んでいるだけの脳みそに、悟りや達観がやって来ようはずもない。

イスラム教の国では、無宗教は犬以下の存在とみなされるので、入国カードに、仏教と書こうとして、ブディズムのスペルがわからず苦戦したことがある。一応、宗派は真言宗なのだが、この真言宗というのは、空海が亡くなった後(亡くならず、そのまま仏になったとされ、東北地方には、念仏を唱えながらミイラになった僧が多数いるようだ。)、10以上の派に分かれ、調べたところ京都の仁和寺をベースとした「御室派(おむろは)」に属しているらしい。オムラーである。

だから、高野山の金剛峯寺から分かれて仁和寺があり、さらに全国(西日本が多い)に御室派に属する寺があるそうだ。

高野山も、そのうち登らなければならないだろうと思っているのは、そこに行かずに、比叡山とか行くのも順序が違うかな?ということ。

ところで、空海と最澄というのは、かなり異なるタイプの人間だったようで、多くの説では、天才・空海ということになっている。当代の大天才空海はエリート教育のために唐へ渡り、期待通り密教を極めるのだが、最澄はダメオヤジ路線で、ほうほうの体で帰国するも、後に、空海にお経を借りに借用願を書くのだが、そのうち空海は、最澄に対して、「お経ばかり読んでも仏教は極められない」と貸出ししたくないような返事を書いている。

もっとも、空海の字のうまさは、これらの書簡集で後人を喜ばせてくれるわけだ。

ところが、山川書によれば、空海は、もっとヒップな修行僧だったとされる。ある時は錬金術師となり砂金を集める。また、ある時は大麻を吸っていたりしたのだろうと断言する。

ちょっと、空海かわいそうである。

ところで、最近、「沙門空海」という中華料理店に入った。まったく普通だった。

山川書では、唐の長安で密教を極めた空海は、さらに天竺(インド)まで行こうと思わなかった理由が触れられていた。早く、日本人を無宗教から救おうと思ったのだろうと、推測している。

しかし、空海以前にも仏教そのものは日本に伝播しているし、「単に、日本に帰りたかった」のではないだろうか。(中華料理に飽きてしまった?)

インドまで足を延ばしていたなら・・

(カレーライスを日本に持ち込んだ第一号になったかもしれない)
  
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2009年06月08日

優しい経済学:高橋伸彰著

「優しい経済学」である。「易しい経済学」の誤植ではない。もちろん、誤って入門書のつもりで書店で買ってしまっても、返本はできない。


個人的に知っている方の書いた本を何冊か読み始めた。まず、ちくま新書から「優しい経済学」(高橋伸彰氏)。立命館大学国際関係学部教授というのが、現職。本人が略歴に書いてないが、前職は政府系の銀行で、その前は日米の経済研究所や通産省などである。本書について出版社の書いた概略は、

二〇世紀最後の一〇年で日本の経済社会は何を失ったのか。そして二一世紀最初の一〇年で何を取り戻せばよいのか。日本のGDP(国内総生産)五〇〇兆円はイギリス、フランス、ドイツの三カ国合計に匹敵するほど大きい。

それゆえ経済成長に依存しなくとも、分配のしくみを変えることによって、人々は安心を得ることができる!豊かさの内実を問い直し、競争ではなく協力の視点から「優しい経済社会」を構想する、新しい経済学の誕生。


また、本人のコメントでは、

一つでも多くの「欲」を満たすために成長するより、一つでも「欲」を消すほうが幸せになれる

 成長によって得られた「豊かさ」がある一方で、成長のために失われた「豊かさ」もある。一円でも多くの所得を得るために、我々はこれまでどれほど大切な時間と、どれほど大切な友人を失ってきただろうか?

日本のGDPは「失われた10年」を経ても、なお世界のトップクラスだ。それでも、日々の生活や将来の老後に不安を抱く人が多くいるなら、それは成長力が不足しているからではなく、政策が貧困だからだ。どんなに平等に所得を分配しても一人当たり年間10万円にも満たない低所得国と同じ発想で、成長のためには改革が必要だと連呼しても人々は「豊か」にはなれない。

経済学の原点は「より良い社会」を築くことにあり、一円でも多くの所得を稼ぐために人々を競争に駆り立てることではない。改めて、経済! 学の原点に立ち戻って、いまの日本経済を見つめなおして欲しい。そんな思いを本書に込めました。


keizaigaku要するに、本の前半は、全面的に「反小泉・反竹中」。実際にこの本が出版されたのが2003年だから、小泉氏が、そろそろ政権からの一時リタイアを図っていたころだ。構造改革も×、成長戦略も×、小さな政府も×。すでに日本は豊かなのだから、ゆっくり自然をながめていたらどうだろうか、と本気で書いている。

東京生活から大学のある京都に移住した彼は、京都の自然を、春があり夏があり秋があり冬があって、また、前の年と同じ春が来る、と表現している。東京の次の春は、別の春であるということ。

元々、ちょっと変わった考え方だったような気がするが、少し極端ではないだろうか。

構造改革が貧しい人を作ったと決め付けているが、小泉内閣より前からだって貧しい人はいっぱいいたわけだし、日本が鎖国をするならともかく、輸出入に頼った大交易国家であるのだから、唯我独尊で美しい国に篭ってやていけるわけでもない。日本国内に投資すべき案件がなければ1千兆円を越す国民の財産は、どんどん海外に流出する。国内に銀行の融資先がないから金利は低いままだし、0.1%の銀行金利をあてにして年収1000万円の余裕のある生活をたのしむためには預金が100億円必要である。1億円貯金しても金利は年間10万円である。

「構造改革そのもの」が「唾棄に値する」というよりも、「構造改革の結果、自分の暖かい椅子がなくなって、寒い京都の大学教授となった」ことを恨んでいるように思えてならない。


本書後半は、逆に、次々と変わった政権が、いかに経済失政で破綻したかという分析で、

細川政権・・「経済音痴」で官僚の餌食になった。

橋本政権・・「玄人集団」の油断で、景気対策を怠った。

小渕内閣・・「景気対策ばらまき」を景気が浮揚したのにやめなかった。原因は作家(堺屋太一氏)の「勘頼り」。

ということだそうだ。

森内閣については本書には書かれていないので、復習すると、ハワイ沖練習戦沈没の時に、戸塚カントリーでゴルフを続行したことによる批判を浴びたことによる。

次期総選挙の結果、民主党政権になった場合、「官僚政治からの決別」を宣言しているため、どういう結末になるのか、よくわからない。

個人的には、成長政策と貧困対策はまったく別次元の物であり、成長政策を否定すれば、貧困対策の財源がなくなるだけだろう、と思うわけである。

また、官僚主義というのは、よって立つところが経済学とは関係ないシステム論・政治論の問題だろうと思う。  
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2009年06月07日

元練習船日本丸

nihonmaru横浜開港150年である。これから、長い長い開港フェスティバルが始まる。

横浜に住んでいる人にとっては、だいたいが知っている話で、ペリーが今の開港資料館のあたりに上陸して、相撲大会を見物した後で(いや、先かもしれないが)、日米和親条約に調印したわけだ。

そしてその後、紆余曲折の末、幕末に外国人町が完成し、すぐに日本人町と渾然と混ざり合い、さらに紆余曲折の結果、関東大震災で壊滅的被害を受け、さらに大空襲を受け、あまり書かれていないが、戦後、チャイナタウンが出現し、まあ、いろいろあって、現在の観光地となった。

主に、横浜以外の方を喜ばせるような企画がいっぱいあるので、ぜひ、電車に乗って遊びにきてほしいな。(駐車場には、ほとんど入れない)

頼まれれば、時給5000円でガイドを引き受けるので、ご一報を!


landmarkたまたま、149年と364日目に、ランドマークの中の人間ドックに行ったので、そのそばにある、「日本丸」を見学。元練習船である。

誤解をしていて、日本丸は帆船だと思い込んでいたのだが、いわゆる機帆船であった。エンジンルームがある。風のある時は帆船であり、無風の時は機動船になる。本来は、ハイブリッド車みたいなコンセプトなので、エネルギー効率がいいのだろうが、この種の船は、ほとんど存在しない。およそ経済的原因は知っているのだが、省略。

日本丸は、練習船ということで、帆船と機船の両方の練習ができるのだろう。

船内は、公開されているのだが、厨房は二か所にある。一つは上級船員用の特別厨房と特別食堂。サロン付で、部屋も個室。

一方は練習生用の雑居房。カイコ棚式で一部屋4名。大食堂で、厨房もいたっておおまか。

kitchen2大鍋が三つと、フライパン用のかまどである。鍋のうち一つがメシ用で一つはスープ(味噌汁)。煮物が一つだ。フライパンは一個しかないから、ステーキなどを100人分焼くはずもないだろう。

毎日、カレーライスか豚汁かといったところだったのかもしれない。


ところで、横浜の観光地というのは、この日本丸とランドマークの組み合わせのように、「新と旧」という対比が多い。山下公園と中華街とか、外人墓地と元町とか。

kitchen1近く、日産自動車が本社を銀座から横浜に移転することになっているのだが、あの会社は「新しい」のだろうか。あるいは「旧式」なのだろうか。

日産のカーディーラーのセールスマンが、パンフレットをもってきたのだが、スカイラインの3700CCのクロスオーバー車という、地球上のどこでも売れそうにない車をこっそり売り出すそうだ。カタログの中をよくさがしているのだが、いまだに「燃費」の数字を発見していない。
  
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2009年06月06日

多様化する女流棋士

突如、LPSA(日本女子プロ将棋協会)所属の女流棋士である北尾まどか初段が、なぞのコメントを残したまま、LPSAを退社することになったそうである。

本人のコメント

応援してくださる皆様へ

私こと北尾まどかは昨日5月31 日、日本女子プロ将棋協会(LPSA)に退会届を提出いたしました。

今後は日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会のどちらの団体にも所属しない、フリーの女流棋士として、対局はこれまで通り続けていくことを希望しております。

また、将棋界のさらなる発展のため、幅広い普及活動を行っていく所存です。

棋戦主催各社様、女流棋士という資格を与えてくださった日本将棋連盟様、激動の立上げから2年間共に歩み成長させてくださった日本女子プロ将棋協会様、これまで応援していただいたスポンサー様とファンの皆様方に、心より感謝し、厚く御礼を申し上げます。

これを機に初心にたちもどり一生懸命精進してまいりますので、今後ともかわらぬご指導ご支援を仰ぎたく謹んでお願い申し上げます。

平成21年6月1日 女流棋士 北尾まどか


将棋関係の人たちに聞いても、いずれも「憶測の域」の情報であるので、偽情報がウイルスのように繁殖しても困るので書かないことにする。

感想としては、「普通の人が会社を辞めるときは、次の保証を得てから辞めることが多いのだが、どうなのだろうか」ということだ。

さっそく、夫(片上六段)とともに、将棋連盟を訪れ、今後の棋戦参加権の継続を要請したようだ。ただし、誰が参加するかは棋戦のスポンサーが決めることなので、即決はできないようだ。

かねてより、将棋連盟に所属していながら女流棋士会からはずされた、林・植村両棋士に棋戦参加を認めていることから、結局は、お気軽棋士が一人増えたということになるのだろう。

ということで、女流棋士をカテゴリーに分類してみる。一応、整理のため連番を付けるが、整理以上の意味はない。

1.将棋連盟に所属し、女流棋士会に所属している現役棋士

2.将棋連盟に所属し、女流棋士会に所属している引退棋士(谷川さんなど)

3.将棋連盟に所属し、女流棋士会に所属していない現役棋士(植村さん・林さん)

4.将棋連盟に所属し、休場している棋士(坂東さん・伊奈川さん)

5.LPSAに所属している現役棋士

6.LPSAに所属している引退棋士

7.フリーの現役棋士(北尾さん)

8.フリーの元棋士(林葉さん)

北尾さんは、1.から5になり、7になった。1でも5でも諸行事に出なければならないのだろうが、今度はそういう世間のしがらみに縛られなくなったわけだ。喩えが悪いかもしれないが、複雑な計算式の入ったexcelのシートを、word文書にコピー&ペイストした後で、再び、excelの新しいシートに貼り付けると、きれいさっぱり算式がなくなっているのと同じようなものだろう。

男性棋士の世界でも、普及活動の結果、名人を失う棋士があらわれたりすると、色々なことを考える人が現れるのではないだろうか。


ただ、個人的には、普及活動もしないで、「将棋が強ければいい」なんて考えは、まったく傲慢じゃないかと思うわけだ。確かに、将棋八段とかの域に達するのは、特殊技能そのものだろうが、世間で、少しはましな収入を得ている人は、それなりに日本や世界のトップレベルの技術(スキル)を持っていることが多い。将棋という、ポピュラーな世界だから、トップ棋士が、有名になっているのだろう。

そういう世間の人からみれば、「何で、彼らは、特権意識があるのだろう?????」と思っているわけだ。「特権意識←公益法人(お上のお墨付き)?」

abさて、5月24日出題作の解答。

▲2六金 △1七玉 ▲1五飛 △同龍 ▲同金 △1八玉 ▲1七馬 △同玉 ▲1六飛まで9手詰

答えを見ればなんてことなく、「時間差飛車交換」である。一見、逃走ラインの向こう側(1八)まで逃げられるが、引っ張りもどして、飛車で串刺しにする。上から串刺しにするのは珍しい手筋だと思うし、最終の形もコンパクトではあるが、今のところ、誰にもほめてもらえなかった。

動く将棋盤は、こちら



nyuugyokuzu今週の詰将棋。本来、時間があれば、「詰パラ投稿後、落選が確定的になった作品ファイル」の中を物色すればいいのだが、全国詰将棋大会用の投稿用握詰に苦戦しているので、パソコン上で速攻、即興で作った一題。

こういう形は、だいたいのパターンが決まっているので、見慣れぬ手筋は使わない。

わかった、と思われた方は、コメント欄に最終手と手数を記していただければ、正誤判断。  
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2009年06月05日

映画:96時間

96aこの夏、日本公開される映画「96時間」を先行試写会で観る。全米チャート初登場1位、9週連続トップ10、1億4000万ドルの興業収入ということらしい。(1億4000万ドル=140億円、入場料1400円とすると、100万人が観たことになるが???)

なぜか、マスコミ関係者用の試写会のあまった券が「livedoor」に回ってきたようだ。受付をそれらしく突破して着席すると、意外にも映画評論家というのは高齢者が多いことがわかる。古今東西の映画を観てないと、もっともらしい評論が書けないのだろうか。

そして、試写会の話なんか、うっかり書くとネタバレものなので、責任逃れの一環で、gooの映画評から「あらすじ」を借用。
 
17歳のアメリカ人少女キムが、海外旅行先のパリで誘拐された。偶然にもその時キムと携帯電話で話していた父親ブライアン。しかし受話器の向こうからキムの悲痛な絶叫が聞こえたとき、すでにブライアンは何をすべきかわかっていた。

地獄の果てまでも犯人を追いつめ、自らの手でキムを必ず奪還してみせる!政府の元工作員として幾多の修羅場を潜り抜けてきた彼は、あらゆる危機に対処しうる“特殊なスキル”を備えていた。キムとの通話の音声から、犯人一味はアルバニア系の人身売買組織と判明。過去の事例から、事件発生後96時間が過ぎると被害者は救出不可能という絶望的なデータがはじき出された。単身ロサンゼルスを飛行機で発ったブライアンは、わずかな手がかりをたどってパリのアンダーグラウンドに身を投じていく。

『シンドラーのリスト』の名優リーアム・ニーソンが、多彩な特殊技能を体得した元秘密工作員に扮するアクション・スリラー。邪魔者どもを容赦なく蹴散らす怒涛のカーチェイス、銃撃戦、マーシャルアーツを連発。さらには主人公の沸々と煮えたぎる怒りと執念が、ノンストップ&ハイスピードの展開を極限まで加速させていく。製作はリュック・ベッソン。(作品資料より)


ということである。

96jikan細かな話をすれば、この元工作員は離婚していて、妻は娘と一緒に大富豪に輿入り。金持ちの令嬢らしく欧州豪遊旅行に行く途中で、さらわれる。さらに、誘拐団が自由自在にパリで暗躍しているのは、パリ警察の幹部に賄賂を渡しているからなのだが、そういうよくある平凡な筋立ては、この映画を「暴力」「破壊活動」に特化することに役立っている。

上映時間は1時間33分と短いのだが、主人公のブライアン(リーアム・ニーソン)が果てしなく大暴れするので、次々に死体の山ができる。たぶん30人ほどだ。元の知己である警察幹部だけでなく、何も知らないその妻まで撃つ(死なないが)のはいただけない。

高速道路逆走や、赤信号無視は危険運転致死傷罪だ。人身売買は重罪だが、隠れ家の見張りまで全滅である。

さらに、パリは犯罪者の巣窟のように描かれ、アルバニア人はすべて誘拐団の一員と決め付けられる。

秘密パーティには、一人だけノータイで偽警官のライセンスで潜入。娘の残した数少ない証拠を追いながら、次々に場所を変えて大暴れする。あるアジトでは、一人を除き全滅させ、その一人を椅子に縛りつけ、電気ショックの拷問にかける。すべてを自白させたあと、拷問をやめるのではなく、電気を流しっぱなしにして、部屋を出てしまう。

鑑賞上の注意だが、真剣にスクリーンに見入っていると、クルマ酔いしたり船酔いしたりする。

本作をスリラーというには、いささか疑問を感じるのは、「謎解き」というような知的な部分が見当たらないことである。あえて、「最も謎めいていること」といえば、

主人公ブライアン(リーアム・ニーソン)が、「強すぎる」ことだ。

マシンガンで撃たれても弾は当たらず、10人連続で敵を殴り倒しても、手が赤くなることもない。セーヌ川のボートでの最終決戦の結果でも、ジャケットの肩に2センチほどのほころびができるだけである。要するに着替えないスーパーマンである。しかも、1952年生まれということだから、今年57歳である。

今後、最大の興味は、各映画評論家が、この映画に、いかに魅力的な言葉で、デコレーションを加えるのか、ということかもしれない。


ところで、リーアム・ニーソンは、パリの街で、被害総額数千億円規模の破壊活動を行うのだが、言うにこと欠き、「娘を助けるためには、エッフェル塔でも倒してみせる」と豪語するのである。

築後120年のエッフェル塔は、元々、万博を記念した、パリを代表する鉄塔である。一方、東京には東京タワーがある。こちらは、築後51年だが、早くも新東京タワーによって、役立たずの鉄屑となりそうである。これが日本。これが東京なのだろう。維持費も払えなくなった鉄塔は、それ自身が危険物体である。こんなことなら木造で作った方が、簡単に壊せたはずだが、後の祭りである。塔の解体は、やっかいな作業になるだろう。

彼の娘を東京でさらってみたら、「東京タワーでも倒してみせる」と、請負仕事をしてくれるかもしれない。
  
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2009年06月04日

講演:経済学はやっぱり面白い

fumiootake大阪大学教授の大竹文雄先生による「経済学はやっぱり面白い」という講演会。昨年11月28日に大阪イシハラホールで開催された録音CDを、やっと聴く。フォーサイトという書店で売っていない社会派雑誌の主催で、読者に事後配布になる。

本来、講演会なのだから、CDではなく、動画入りDVDにしてもらえば、臨場感があるのだが、DVDを送るようになると、会場に足を運ぶ人がいなくなる、と思っているのだろうか。それでもいいのに・・

で、73分のCDを聞き終わっての感想は、

 最近は、こういう分野の経済学の研究が進んでいるのか・・

ということ。行動心理経済学というか、

では、まず、サブプライムローンのこと。元はと言えば、住宅ローンという借金が返せなくなり、不良債権化したことが始まりである。

なぜ、借金が返せなくなったのか。講演の最初のテーマは、借金論である。

1.将来の期待した所得がなくなる(減少する)ことによる。
2.ローンの返済以外に出費(消費)が増えたことによる。
3.借金の担保を出していたが、担保の価値が下がってしまった。

日本にも多重債務者は多く、毎年20〜25万人が自己破産しているそうだ。なぜ、返せなくなったかについて、アンケートによりマーケット調査を行った結果、経済学者の予想外の結果が出ているそうだ。

まず、借金の目的。

三大理由は、「生活費の補填」「他の借金の返済」「ギャンブル」だそうである。

本来、経済学で「借金」は、「貯蓄」の反対行動とされていて、所得と消費のタイミングのズレを補正するものと考えられていた。今、余分のカネがあれば、将来の使用時期に備えて貯金する。逆パターンなら借金する。

この三大原因であれば、返せなくなるのは自明であり、実際にサラ金では10%が焦げ付き、その分が金利に上乗せになり、金利が増大した分、さらに返せなくなる。

一方、返せなくなった人の93%は、「返せる」と思っていたそうだし、返せた人の95%も「返せる」と思っていたそうだ。


講演は、次に、この返せなくなった人の心理に踏み込んでいく。

難しい言葉で言うと、「時間割引率」というのがあって、目の前の1万円と1年後のいくらが価値が同じかという話で、だいたいの人は1万1千円(10%増し)ぐらいだそうだ。

この10%に対して、もっと直近の1ヶ月とかいう割引率の比率が近い人とか遠い人という概念がある。双曲割引率というらしい。

俗なことばでいうと、「せっかち」か「しんぼう強い」かということになる。

この「せっかち」な人というのと、相似的な分布になるのが、「夏休みの宿題を始業式直前に始める人」「ダイエットに失敗をする人」「禁煙できない人」「ギャンブル好き」「深酒」といった層だということ。つまり、借金派である。返せるはずと思っている。

つまり、自信過剰ということ。

逆のパターンの人は、そういうことをできないように自己規制をする。自己コミットメントということだそうだ。天引き貯蓄をするとか、スポーツクラブとか英会話学校に前払いをするとか(それを逆手に取られたのがNOVA事件)。


次のテーマが所得格差

1980年頃から徐々に所得格差が進んでいて、これは世界的にもそうなのだが、国によって少し異なっているということ。

米国、英国、カナダという英語圏の国では、ごく一部(国民の0.1%)の会社経営者などが高額報酬を得ることにより、格差拡大が進行している(英語と関係があるのか、研究中だそうだ)が、日本やフランスでは、0.1%層の所得の比率は、戦後一貫して変わっていない(微減)。中流層が減少している方向に進んでいる、ということだそうだ。

その原因として言われているのが、IT化。IT高度化によって、定型的な仕事で高収入を得ていた階層が崩壊し、コミュニケーションや新しいアイディアといった、IT化できない分野の、そういう知的職種の人材供給が遅れているため、一部のそういう能力の人の給料がアップした。

一方、労働集約的産業もIT化とは関係ないので、そちらの比率が高くなる(あるいは発展途上国で生産)。

もう一つ、統計上は、人口に占める高齢者の比率が高くなったが、高齢者の方が所得格差が大きいため、平均で見ると、所得格差拡大となる。


一方、50歳台以下の世代では、所得格差よりも「消費格差」が広がっているとのことで、むしろ、「貧困率」が問題ではないかということ。

さらに、遡って「乳幼児の貧困」という問題があり、就学以前の段階での乳幼児への教育が行われないと、その後の知能に影響があるそうだ。最も重要な施策は、就学前の貧しい乳児(3、4歳)に対する無料教育ではないか、という人が多いそうだ。

さらに、新たな脅威は、出産時の胎児の体重低下。1980年には、平均3.2キロだったものが、現在は3.0キロだそうだし、2.5キロ未満も増加しているそうだ。

胎児の時に十分に栄養が取れないと、少ない栄養をなんとか吸収しようという体質になり、将来、肥満になりやすいし、切れやすい性格になりやすいそうである。

そして、多くの問題が、20歳台以下の若い世代の格差拡大に起因しているのに、それが解消されるかと言えば、大竹教授は否定的な感想を持っているそうだ。

それが、民主主義の長所でもあり弱点でもある多数決の原理。政権政党は選挙で勝つような政策を立てるわけだが、若年層は、年寄り世代に対して、人口がかなり少ない。さらに、投票率が低いため、政治家に相手にされない、ということだそうだ。

大竹先生は、「こどもの数だけ選挙権を」という暴論を披露していた(こどもにも選挙権を与えて、成人するまでは親が代理投票するということだろうか)。私の私見としては、日本の平均的な世代別人口(約130万人)に対して、最近の出生数100万人なら「1.3票」。三割り増しの団塊世代では「0.7票」というように一票の重きを変えるべきだろう、と考えている(その前に、一票の地域格差の是正は必要だが)。
  
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2009年06月03日

本当に危険だった若葉マーク車

genba横浜開港から149年364日目にあたる2009年6月1日午後9時35分頃、悲惨な交通事故が発生した。場所は横浜市都筑区である。港北ニュータウンのほぼ中央にある交差点である。直進車と右折車が衝突し、18歳の運転する直進車が歩道に突っ込み、3人の女性看護士が亡くなる。3人は、現場のすぐそばにある昭和大学横浜北部病院に勤めていて、残業の帰りであり、最寄りの市営地下鉄センター南駅に向かう途中だった。

実は、この現場は、自宅から1.5キロほどの場所にある。また、この病院は、世界的な名医(大腸癌)である工藤進英教授(副院長)を擁していることでも有名な近代的な巨大病院、私も二回、検査を受けている。検査2カ月待ちの超人気病院である。

事故現場に限らず、同様の交差点は近くに多く、日頃からあぶないという感覚があって、歩行者として信号待ちの場合は街路樹の後ろに立ったりしている。

まず、神奈川新聞の記事(少し間違っている)とサンケイの写真から。

衝突事故巻き添えで女性3人死亡、18歳少年逮捕/横浜
社会 事件・事故 2009/06/02  1日午後9時35分ごろ、横浜市都筑区茅ケ崎中央の市道交差点で、川崎市宮前区、私立大1年の少年(18)の乗用車と、横浜市都筑区荏田東、会社員、○○○○さん(41)の乗用車が衝突した。はずみで少年の乗用車が近くで信号待ちをしていた女性3人をはねた。3人は病院に搬送されたが、まもなく死亡した。

 都筑署は自動車運転過失傷害の疑いで、少年を現行犯逮捕した。容疑を同過失致死に切り替えて調べている。

 同署によると、死亡したのは、いずれも現場から約200メートル先の昭和大横浜市北部病院に勤める看護師で、・・・・・

 交差点を直進した少年の乗用車が、対向の右折専用レーンを走行してきた○○さんの乗用車と衝突し、左にそれて3人に突っ込んだという。

 同署によると、少年は免許を4月に取得したばかりで、調べに対し「信号は確認していない」などと供述しているという。

 現場は片側4車線ずつの見通しの良い直線道路の交差点。市営地下鉄センター南駅から約200メートルで、周辺には都筑署や区役所、商業施設などが立ち並んでいる。

 死亡した3人は職場から帰宅途中で、同駅側に横断するため信号待ちをしていたとみられる。



現場に行ったのは、翌6月2日の夕方。駅から続く歩道橋の上から現場を見ると、今でもテレビ会社の中継車が何台かいるし、人だかりの中で病院関係者と思える方をとりかこんでインタビューも行われている。上空では警察のヘリから目撃情報の提供を呼びかけている。もちろん献花台には多くの花が供されている。

genba2地元テレビの記者に逆取材をしたところ、まだ報道されていない、いくつかの新事実がわかった。

少し疑問に思っていたのは、直進車の少年は信号無視なので、逮捕されるのは当然だろうが、右折車の方にも回避義務はあったのではないかという点。

少年の方には、さらに重大な違反があった。単に信号を見落としたわけではなかった。

黄色信号になって、自分の前を直進して走っていた車が信号で停止したため、急に左にハンドルを切り、その車を追い抜いてから直進したわけだ。だから、確信犯である。当該地区の信号は、まず、直進と左折の緑矢印が点灯した後、一旦全灯とも黄色になり、その次に右向きの緑矢印となる。おそらくは、直進矢印が消えたあと黄色になったところだったのだろう。

対抗車線からの右折車は、直進する先頭の車が止まったため、「まさか後ろの車が追い抜いて飛び出してくるとは」思わなかったのだろう。横から体当たりされたのでは、責任は免れるのだろうか。直進信号と右折信号の間の黄色信号の時に、右折車が交差点に入ったとしたら、右折車にも大きな責任があることになる。目撃情報提供者を探しているということは、そこがポイントなのだろう。

また、少年の車は紺色のクーペである。言うまでもなく夜間、もっとも見えにくい色である。

gwnba3次に関連情報。まず、3名の看護士がなぜ、歩道橋側から駅に向かわなかったのか、という点は、病院の地下にある更衣室から、駅に向かうには、この横断歩道を渡って、駅の直通エレベーターを利用するのが近道だったようだ。

一方、少年の方は、ここから車で20分ほどの新横浜駅に友人を送ったあと、自宅に戻る途中だったそうだ。この広い通りの突きあたり(5分ほど)から先が川崎市になり、その住宅地の中に住んでいるらしい。18歳の大学1年生で免許取り立てということは春休みに自動車教習所に通ったのだろう。混雑する春休みで、粗製乱造的指導はなかったのだろうか。どうみても、運転に向いていないような行動である。写真で見る限り、新車ではなさそうだが、免許取り立てこそ、新車でなければ、あぶないというのは常識ではないだろうか。

事故の原因ではないが、少年の自宅のある川崎市は、履き違えた革新市政の時代が長く、きちんとした道路が整備されていない。そのため、横浜では普通のルール、つまり制限速度プラス10キロ以上は出さない、とか、黄色信号は進めだが、赤信号になると、必ず止まるとか、3車線道路が多いので、車線変更にはできるだけ協力するとか、そういうのを川崎ナンバーは守らない。

とはいえ、横浜ナンバーだけの道ではなく、山梨ナンバーや他県ナンバーも多い。あちこちの交差点に車は飛び込んでいるため、最近は、事故が起きた交差点には、車の飛び込み防止用の柵が設けられているところが増えている。しかし、事故があってからでは遅すぎるということだ。

genba4現場から3キロほどにある中高一貫校であるサレジオ学園でも、校門の前でバスを待つ少年の列に暴走車(スカイラインGT-R)が突っ込んだのが2005年10月のこと。2名が死亡し9名が重軽傷(うち1名は右足切断)。危険運転致死罪で懲役16年の判決が出ている。
  
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2009年06月02日

ある新入社員たちの悩み

不景気の中、今年4月に運よく就職した新入社員たちも、早くも2ヶ月となる。大学(大学院)を卒業して、大手企業に就職するという幸運を得た新人たちは、そろそろ新入社員教育期間の終盤戦である。(中には、不景気の影響で、いまだ自宅待機なんかもあるかもしれないが)

先日、ある私鉄に乗っていたら、某外資系IT会社の襟章(バッジ)をつけた男女二人ずつ計四人が、近くに立ってトーク(無駄話)に興じていた。盗み聞きする趣味はないが、4人とも大きな声なので、聞こえないふりをするのも難しい。

どうも、4人がチームになっていて、あちこちの研修場所をスケジュールに沿って回っているらしい。数日後に新幹線で片道3時間くらいのところに、日帰り出張するらしい。

男A「今度、片道3時間だよ。往復6時間。何すればいいんだろう」

男B「トランプでも持っていく?」

女A「はあ?」

男B「PSPとかいいのかな」

女B「この前、物流研修のとき、トラックでマンガ読んで怒られたじゃない」

男A「移動中も仕事時間ってことかなあ」

女A「でも、トラックとは違うと思うけど・・」

男B「困ったなあ、こういうの誰にも聞けないし・・」

女A「本でも読んだらいいんじゃない」

男B「本なんか持ってないよ」

男A「買えばいいじゃん」

男B「何がいいの」

女A「イサカコータローとか」

男B「知らないよ」

女B「グラスホッパーとかピエロとか魔王とか・・」

男A「みんな、そういうの読んでるんだ・・」

女A「あなたは何読んでるの」

男A「人間失格とか、ダザイ中心で・・」

女B「クラッ」

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会社の出張の行きかえりに6時間かけて「斜陽」とか読むのだろうか。本来、「社用」ではないだろうか。

まあ、4人でトランプに興じる新入社員というのは、いままで見たことはないなあ。PSPというのもないし、たまにDVD派も見かけるが1時間くらいで飽きてしまうようだ。

しかし、個人的に相談されたら、絶対的に勧めたい暇つぶしがある。

「酒盛り」である。

3時間ポッキリ。缶ビールにワンカップに水割り。飲み屋で飲むよりずっと安上がりだし、駅に着いたら直ちに宴会はお開きである。仕事の前は、軽くビールだけにしておけば、初出張の緊張もほぐれ、「今年の新人は、ずいぶん元気ですね」ということになり、評価もサイコーだろう。

少なくとも「斜陽」を読むよりは、前向きだ。


「人間失格」ではなく「社員失格」の可能性もあるが、  
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2009年06月01日

間宮林蔵(吉村昭著)

mamiya間宮林蔵に関する本は、2009年3月4日「間宮林蔵・探検家一代(高橋大輔著)」に書いたのだが、高橋氏は、冒険家であり、彼の書のカバーする部分は、間宮林蔵が、2回の樺太探検に向かった冒険旅行(いや、地勢調査のための出張)の後をなぞるという、高橋氏自身の探検記でもある。

一方、吉村昭は言うまでもなく小説家。さらにジャンルは、史実小説。手法的には、司馬遼太郎のような主観型解釈ではなく、史実を数多く書き並べ、その中で主人公の人物像、そしてその生きた時代が、じっと心に湧き上がるような大作派である。この本も、講談社文庫で厚さは2センチを超える。

まず、歴史上の事実だが、彼は武士ではなかった。農民。茨城の出身で、地元の治水工事の手伝いをしているうちに、土木技術に長けていることが役人の目に止まり、専門的に勉強をはじめることになる。そして、才能に磨きをかけ、ついに江戸に出府することになる。

だから、武士というより役人である。江戸時代の武士には二つの機能があって、「兵士」であることと「役人」であることであったのだが、彼は、「役人」になるところから武士階級の下っ端の席にしがみつく。

そして、下っ端の常として、3K職場の仕事が待っている。

「択捉島の調査」である。

こうなると、小説家の話ではなく、歴史上の話として考えるべきだが、当時の北海道以北には、アイヌ民族が住んでいた。北海道と千島列島南部と樺太南部。彼らは基本的には国家をもたず、集落単位で日本国の支配下にはあったが、江戸幕府も領土をさらに拡張しようとは思っていなかったようで、幕末には南下政策をとるロシアが軍艦をウロウロさせて、じっと様子を伺っていた。

それらの、アバウト情報は幕府もつかんでいて、北方警固強化を国策とすることになる。1800年頃の千島列島は、国後島までは、確実に日本領であり、択捉には、幕府が番小屋や武器庫を建て、津軽・南部両藩からの派遣武士と幕府役人による少数防衛体制だった。

そこに派遣されていた林蔵だが、運悪く(運良く?)、ロシア軍の急襲を受ける。軍艦から一斉砲撃を受け、ロシア兵が上陸し、数名を殺害し、数名のアイヌ人や武士を捕虜にする。間宮と従軍医師は、徹底抗戦を主張するが、幕府高官は腰抜けで、島内逃走の上、択捉島を放棄する。

幸い、ロシア兵も、長居は無用と択捉から撤兵したので、かろうじて択捉島の領有権をロシアに奪われる事態にはならなかったが、この事件の後始末として、徹底抗戦を主張した林蔵と医者以外の武士には処分が下される。(本来なら、切腹ものだろうが、せいぜい蟄居とか江戸払いということは、幕府内には、腰抜けだらけで、処分のバランスもあったのだろう)

武士になったせいで、あやうく破滅するところを命拾いした林蔵は、その後、二度にわたる樺太探検に出て、二度目にはついに樺太から沿海州に船でわたり、さらにアムール河を遡り、清帝国の朝貢所であり、地域の大トレードセンターのデレンという町に到達し、清国の下級役人に対して、「日本は中国の属国ではない」という演説をぶつわけだ。

冒険家の高橋大輔氏は、アムール河をハルビンから下って、このデレンの町探しを行うのだが、現在の日本人は、世界のどこでも行ってしまうのだが、当時の日本は鎖国。幕府からは樺太探検を指示されたのに、勝手にユーラシア大陸に足を伸ばしたとなると、国法違反。旅の疲れでボロボロに疲れた体で、慎重に旅行記と地図をまとめながら、約1年をかけ江戸に帰着。

厳罰を恐れたのかどうか知らないが、自ら「御役御免につき農家に戻る」旨の上申書を提出した彼に対して、幕府の決定した処遇は・・

巨額のご褒美と、要職への取立て。そして次なる任務である。

「お庭番」である。俗に言うスパイ(内調)。

一つは、国防上の外国船情報の収集。もう一つは、地方諸藩の抜け荷(密貿易)探索である。多くの藩の抜け荷を見抜き、ずいぶん多くの関係者を切腹に追い込んでいる。そして、シーボルト事件が発覚するきっかけは、間宮による幕府に対する情報提供とされているのだが、そのあたりは、なぜか吉村の筆は湿る。

シーボルト事件は、きわめて評価の難しい事件であり、下手な書き方をすると、彼の前半生の評価を帳消しにしてしまう可能性もある。それだけに、書ききれなかったのであろうか。


ところで、小説から離れて、間宮の生涯を考えれば、旗本・御家人以上に幕府の方針に忠実であり、基本的な政治的スタンスは、外国船打ち払い方針だった。背後には領土的ナショナリズムの強さがあって、それが彼を単身樺太探検に向かわせたのだろう。

亡くなったのは1840年。その後、幕末には黒船が来寇し、ロシアの軍艦も押し寄せ、腰抜け外交の幕府は、樺太領有権をはっきりさせることすらできないまま、日露和親条約を結ぶ。

もし、林蔵が生きていたら、自分の功績を無にするような幕府の軟弱さに、無念のショック死をしたのではないだろうか。
  
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