2017年01月12日

韓国・サハリン鉄道紀行(宮脇俊三著)

日本国内の鉄道を乗り倒したあと、周辺各国に足を伸ばした著者の鉄道紀行。

一口に鉄道ファンと言っても、ローカル線に乗るのが好きな人(本書の著者のような人)、駅や駅前通りの呑み屋が好きな人、時刻表が好きな人、鉄道史に詳しい人、もちろん写真家もいる。鉄道小道具が好きな人や、模型ファンもいる。

ある意味、オーディアファンみたいなもので、大カテゴリーが一緒でも、サブカテゴリ−は、なんら共通点がない、ということなのだろう。

kankokusaharin


著者の他の書籍も読んでいるのだが、どうも旧日本領の台湾、韓国、南樺太などにいって戦前の時刻表との違いを感嘆しているように思える。韓国については、大急ぎで主要鉄道に乗ることを優先しているようだが、最高級の特急が「セマオル号」というらしく、沈んだフェリーと同じことに驚く。

どちらかというと、韓国編は鉄道よりも韓国人や韓国文化について書かれているようで、あまり韓国に好意を持っているようには思えない。

サハリンの鉄道については、鉄道そのものがテーマになっていて、著者も詳しくないのかロシア人についての叙述は少ない(シベリア鉄道で懲りたのかもしれない)。

気がかりな部分は、サハリンでの終戦間近な時期の戦闘のこと。現地の日本軍に8月15日の終戦命令が正しく伝わってはいず、日本軍はソ連にたいして22日まで戦闘をしかけていたようだ。現在、ロシアに対して主張している不法行為は、停戦後の戦闘についてだが、一方的にソ連が攻撃を加えたということではないようだ。


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