2018年06月14日

日朝交渉は、国民の問題整理から

6月12日の米朝合意は、二国間の国交正常化を目標とするという共同方針を確認したものだが、進むのか進まないのか、今一つはっきりしない。具体的な無数の難問題の解決が読めないからだ。

一方、日朝問題は、国交正常化のためには拉致問題の解決が必要と以前から言っているわけで、もとより二国間で戦争していたわけでもない。もっとも北側は竹島問題などを持ち出して複雑化させようと思っているかもしれない。

一方で米国大統領も日朝会談を提起したものの、何をどうするかは日朝の問題としている。おそらく、何をどうするかは日本国民の問題で、米国が口を出す問題じゃないと思っているのだろうし、そもそも日本の首相が、何を要望しているのか理解できないのではないだろうか。

つまり、交渉元の安倍首相が国民に、何をもって解決とするということを説明すべきなのではないだろうか。もちろん交渉なので、思う通りにならないかもしれないが、なるがまま交渉の結果を持って、「結局、こうなりました」というのでは支持は得られない。

ということで、少し問題をかみ砕いてみると、おそらく、拉致被害者の生存者の帰還は当然として、さらに大きく2種類の問題があるということではないだろうか。一つは、事件の全貌。もう一つは実行者を含む関係者の特定と引き渡し。

まず、事件全貌。拉致被害者数というのは、日本政府がいうには17名。北は回答として、5人を明かにして日本に一時帰国させ、北に再び引き渡すように言ったが日本は北には行かせなかった。さらに8人は死亡、5人は北への入国情報がない、と回答。

しかし、別途『特定失踪者』という分類の人間が800人以上いるわけで、そのうち100名以上は、拉致濃厚と言われている。それらの多くの人たちを見捨てるわけにはいかない。証拠が不足していて拉致と断言できない人々をどうするのか。もともと、日本国内で官僚も多くの政治家も、対象者が増えることにより、さらに日朝関係が拗れていき解決不能になることをおそれ、被害者認定の範囲を狭めていたはずという意見を持つ人も多い

さらに相手が「○○さんは死亡しました」と言った時に、どこまで肉薄できるのだろうか。検証は?

次に、関係者の引き渡し。

もちろん、日本領土内で発生したほとんどの個別事案で、拉致及び誘拐事件は北側の工作員が国外逃亡したので時効が止まっているわけだ。あるいはそれを指示した北政府内の人物は日本国内には来ていない。容疑者を引き渡すように言えるのだろうか。あるいは引き渡さなくとも、実行の経緯を明らかにして処分を求めるのか。あるいは過去の清算として別の形になるのか。


一方、米国は、これで拉致問題に関わるのは終わりにしたいと思っているのだろうが、米大統領が会見の中で述べた「非核化費用は韓国と日本が負担する」という身勝手に見える発言は、逆に言えば少なくとも拉致問題(中距離ミサイル問題は微妙)が解決しなければ、日本は費用を出さないわけなので、それを拠り所に寝技交渉に持ち込むことは可能なのだろう。しかし、そもそも非核化費用の範囲すら明確ではないという問題もある。今あるものを叩き壊すというだけなら、多額の費用がかかるわけではないだろうが。数万人の科学者の国外退去問題というものもある。


官邸主導で世論を調査及び操作するにはなかなか難しい問題ではあるし、官邸に親しい新聞社やその購読者はこの問題には勇ましい意見が多いだろうし、情報小出し作戦も難しそうだ。