
3月中旬に”
ららぽーと横浜”がオープン。クルマで20分なので、週末ごとに行っている。「横浜」と名前がついているが、いわゆるミナトのある方ではまったくなく、内陸の方で、元々は工場団地で電機会社の工場跡地の再開発。鉄道では横浜線の鴨居駅から歩行者用の道路で徒歩8分。
このショッピングモールというスタイルは、大店法の規制外なのだろうと思うのだが、どうなのだろう。駅前シャッター通り対策で大型店の出店規制を再び始めたようだが、まあ、ユーザーの流れを人為的に変えようというのは、無理なのだろう。こういったモール型専門店街の中で、同業種の多数の店が甲子園の高校野球のように競い合うというのが、これからの流通ダウンストリームの象徴かもしれない。
そして、休日ではあっても、レストラン以外の場所はそれほど混んでいない。逆に、平日は閑散としすぎていて、入りにくい店もありそうな気もするが、クレジットカードを持っていれば大丈夫だろう。カードで買えない物はない。
東京方面の○○○ヒルズとは違って、よく見かけるチェーン店も多いが、よく観察すると、このららぽーと横浜店に「勝負をかけている感」の店舗と、「とりあえず出店感」の店舗があることがわかる。しかし、小売業の難しいところは「さあ、売ってやろう」という気持ちが直接的に表に出ると失敗することが多い。あくまでも、商品とユーザーの間をつなぐのは「サービス」であって「押し売り」ではないということが原点である。
全部の店舗に入って買い物を続けると、カードの使用上限を超えてしまうので、実際は、ほとんど何も買わないのだが、案外、大丸の食料品売り場は、ふだんの東京系のスーパーやデパ地下とはディスプレーが違うので面白い。本当に一周すると、昼食代が浮いてしまうだろう。つい、見慣れぬ輸入果物(妙なオレンジと妙なマンゴー)を買ってしまい、重くて後悔する(帰宅して、食べてみると、後悔は帳消しになったが)。
レストランでは「南国酒家」の”フカヒレ姿煮ラーメン”が人気沸騰。長蛇の列。この分だと私が口にするまでに地球上から鮫類が全滅しそうである。シネマコンプレックスはTOHOシネマ。
一方、クラフト関係の店は多過ぎて、そしてスペースが広いので、早晩、少し淘汰されるだろう。東急ハンズは渋谷店と比べると、かなり品数が絞られ、唯一のメリットは階段で上下に移動しなくてすむことぐらいだ。探し物はいつも見つからない。
そして、なんといっても、このモールの中には「100円均一店」はない。これが、ずっとないままなのか、そのうちスペースに大きな穴があいて、しかたなく「100均侵入」ということになるのかどうか。デフレ脱却したかどうかの判定基準かもしれない。
ところで、ららぽーと横浜の近隣の港北ニュータウンには、既に二つの大規模ショッピングモールがある。東急SCと阪急系モザイクモール。さらに、巨大IKEAがオープンしている。さらに4月中旬には、新たに、ノースポートモールがオープン。シネマコンプレックスはWMCがオープン。さらに隣接の港北区にはトヨタ系のトレッサ横浜。ショッピングモール、シネマコンプレックの大競争状況が出現する。
しかし、顧客に与えられた時間は有限だし、買い物したりや映画を観るばかりしているわけにもいかない。結局は、ありふれた結果になりそうな気もしてしまう。
さて、本題の話は、「パート・アルバイトの時給アップ」の話。
ららぽーと横浜のオープンは3月中旬だったのだが、出店する各店舗は1月初めから大募集活動を展開していた。ららぽーとに隣接するイトーヨーカ堂も3階建ての大店舗。日曜日の新聞折込の求人チラシは何冊も分厚く、あちこちで集団面接会が開かれる。結果として、時給は750〜800円だったものが、900円超といった状態に沸騰。さらに次々と大型SCがオープンするので、さらにうなぎ登りとなるのだろう。
そうなると、問題は、それらの新規店とまったく関係ない既存店舗の方である。元からいる従業員の時給を上げないと、どんどん引き抜かれる(というか、自主的に辞めていく)。一方、売り上げが下がるという最悪状況に陥ることになる。新規店は自己責任だが、既存店はとばっちりということだ。
さらに、この時給アップというのは、マクロ的にはデフレ脱却、内需喚起に大きな好条件を与えるのだが、超ミクロ的には既存店のバイト人事制度に大きな混乱をもたらしてしまう。
バイトというのも千差万別で、要は人間が働くわけだから、優秀な人がいれば、売り上げや利益が増加するが、ダメバイトだと逆になる。ではダメバイトはクビにすればいいのだが、そんなことを繰り返していくと誰も集まらなくなる。そのため、優秀なバイトにはいくつかの基準を設けて、段階的に時給アップを実施してインセンティブを設定するわけだ。例えば、最初750円だった時給を800円にする。月100時間労働だと5000円アップになる。1年続くと、さらに50円上げて850円にしたりする。
ところが、せっかくコツコツとバイトを懐柔していたとしても、一気に新規採用相場が900円になったりするわけだ。ベテランで優秀な店員が850円なのに新人が900円と逆転したりしてしまう。もちろんこのベテランを1000円にすればいいのだが、それでは大損害になるので、新人に対して「この900円というのは絶対に秘密だから」と釘を刺すわけだ。
ところが情報の非対称性というのは、まったく机上の空論に終わるわけだ。バイトにとって、もっとも重要なのは時給単価である。新人を店頭に配属した1時間後には、高額レートはバイト全員が知ることになり、2時間後にはベテラン店員から時給アップの突き上げがはじまり、進展がない場合は、二日後から店員に穴が開き始めるわけである。
しかし、混乱時期が過ぎれば、結局は、ありふれた結果になるような気もするのである。