荻野稔・財務関連資料を公開します。
・政務活動費平成29年04_06月
大田区区議・荻野稔氏の財務に関する疑問点について (中間報告)
2019年8月11日公表
大田区オンブズマンネットワーク有志会
http://blog.livedoor.jp/otaku_ombudsman/
otakuombudsman@gmail.com
1・本報告について
これは、私たち「大田区オンブズマンネット有志会」が実施した、大田区区議会議員の荻野稔氏の「財務」に関しての調査報告(中間報告)です。
荻野稔氏は、若手の区議会議員として積極的な情報発信を行っており、特に漫画やアニメーションの表現の自由を擁護する活動ではつとに有名な運動家でもあります。TVの人気番組「アド街ック天国」などでも名物区議として取り上げられ、区議会議員の枠を超えた全国区の知名度を誇りますが、我々の調査したところではその議員として活動に公正さを欠いた点が多くみられると指摘せざるを得ない状況です。
我々の活動は本来的に大田区区議会の運営に注視するものですが、荻野氏の通常の区議会議員の政治枠をこえた手広さ、有識者とのネットワークの巨大さなどにかんがみ、荻野氏の後援者・大田区の区民のみなさまに限らず、全国のみなさまに調査によって得られた情報を正確にお伝えする必要ありと判断したため、このような形で公開することを決定した次第です。
2・我々が疑問を抱いた経緯
荻野稔氏は、2017年(平成29年)の2月、いわゆる「振り込め詐欺」「架空請求詐欺」「オレオレ詐欺」のグループに対して口座を供給していると思われる反社会的な集団に対して融資の申し込みを行い、(あくまで本人談を信じるなら)その際にだまし取られる形で銀行口座を渡してしまいました。この件は平成30年10月に入ってメディア上にも発覚し、各種報道にて取り上げられ、記者会見も行われたため皆さんに周知されることとなった次第です。本人も30年12月をもって任期を残したまま区議を辞職されています。
しかし、今年の4月に行われた統一地方議員選挙において荻野氏は再当選されました。当然、彼の活動は本当に公正に行われているのか不安視する声も我々の身内から起こり、特に不透明さがぬぐえないと噂にあがっていた荻野氏の財務に関して可能な限り調査を行うことになりました。
3・株式会社おぎのと政治の存在
まず荻野氏の活動を特徴づけるのは、氏が口座譲渡のすぐあと、平成29年の5月に「株式会社おぎのと政治」を設立し、自身で代表に収まっていることです。(登記簿のコピーをご覧ください)
会社は、政務活動費によって大田区議会より補助の出ている荻野氏の事務所に置かれています。(住所はともに東京都大田区矢口2-11-26)
議員になって以降、それも公金による補助の出ている議員事務所に会社を登記するのは、非常に悪手と思われますが、荻野氏はそれを行っています。それも、自身が口座を渡してしまう事件を起こした直後に、です。
荻野氏は、財務周りに関し次項より列挙するような問題点を抱えているため、株式会社の設立は、これらの活動を財務面でブラックボックス化するためなのではないかという疑惑が常に付きまといます。荻野氏の財務情報をご覧になる際は、皆さんも常にこの「おぎのと政治」の存在を念頭においてください。閉鎖株式会社の財務情報公開は義務ではなく、税務署でも区議会でもない我々には、おぎのと政治の実態はまったくわかりません。
4・おぎの稔後援会(政治資金収支報告の問題点)
東京都の選管ホームページより簡単に入手できる「政治資金収支報告」の段階から、荻野区議の財務報告に関しては、非常に多くの疑問が噴出しました。
その詳細の数字は、おぎの稔後援会の27年から29年までの収支報告書と、我々が作成したPDF「おぎの稔後援会財務資料整理」をご覧いただくとして、ここでは後援会資料からあがった主な疑問点に関し列挙し解説します。
・すべての年で扱われる金額が少額であり、かつ三年連続「繰越金ゼロ」である
おぎの稔後援会は、資金管理団体指定のある団体であり、通常、区議会議員の財務報告は「政務活動費」をのぞけばこれだけで完結します。
ほとんどやる気のない区議会議員は別として、先に挙げたように荻野氏の政治活動は非常に精力的なものであり、同時に区議会議員としては非常に「派手」といってもいいものです。
しかしながら、その活動に関する政治資金収支報告は金額上は非常に小さく、平成29年度にいたっては事務所費用にあてた「30万円」が支出のすべてです。
これは先述した「株式会社おぎのと政治」の設立によって、活動のほとんどを「株式会社」方式へ移行させたためと思われます。
また、荻野氏の政治資金収支報告(おぎの稔後援会)は、三年連続「繰越金が0円」です。
活動実績のある地方議員、わけても荻野氏のようにてびろくボランティアを募り、寄付を募る議員であれば、通常、数十万円から百万円程度の繰り越し額で推移するのケースが多いのですが、荻野氏の場合はあくまで毎年「繰り越し金額0円」です。これは会計上、この後援会財務を「調整をする」役割の勘定が存在することを伺わせます。具体的には、先に挙げた「株式会社おぎのと政治」の存在が真っ先に疑われるのは当然のことと思います。
・寄付金が異常に少ない
全国区レベルの荻野氏の派手な人脈と知名度、また広報の手広さとは反比例するように「寄付金」の計上額も異常に小さいのが荻野氏の報告の特徴です。公表されている中で最新の29年報告では、後援会に対する荻野稔本人による寄付のほかは、個人献金67000円です。
荻野氏への個人献金は後援会のみでしか受け付けられないため、これで寄付に関する報告はすべてということになります。ホームページ上でも寄付金を募っており、その振り込み口座も「おぎの稔後援会」ですから、すべてこの報告書に記載されていなければならないはずなのです。
本当に荻野氏はきちんと寄付金を報告しているのでしょうか?
漫画やアニメーションの表現活動を守ろうという趣旨の類似の活動団体への寄付金などと比較して、荻野氏の寄付金計上額はありえないものと我々は考えています。
・コミックマーケットでの売上報告がザルである
荻野稔氏の活動は、その政治主張からコミックマーケット(同人誌即売会)での広報が組み入れられています。しかしながら、このコミックマーケットに参加した際の「売上報告」は、平成28年に後援会の政治資金収支報告で一回触れられただけです。
しかも不思議なことに、この唯一の報告が「500円200部販売で10万円」といったような、コミックマーケット参加者にはすぐに「ありえない」と直感できる数字で報告されているのが特徴です。
コミックマーケット参加者にとって、見本誌や知り合いへの献本などを考慮すると、そこまできれいな数にそろわないのが同人誌即売会の売上報告の常識だと思われます。
4・政務活動費の問題点
区議会議員の財務には、選管に提出される政治資金収支報告のほかに、「政務活動費」もあります。荻野氏の場合、この政務活動費の請求に関しても、我々が大田区に開示請求したところ、やはり多くの疑問点が上がりました。
・政務活動と株式会社活動の混同(家賃負担の按分)
政治家としての事務所にあとから会社を登記してしまっているため、様々な混同がおきていることは容易に想像ができる。
いくつか挙げられるが以下、明確に数字で分かるものとして、荻野の事務所費用の問題点について解説する。
荻野の事務所に関しては、事務所費は常に10万円(政務活動費の伝票より)である。
その事務所には、株式会社おぎのと政治も登記されているわけだが、その家賃按分が現在以下のようになっているのがおおよそ判明している。
全体費用:家賃月額10万円
負担の按分:政務活動費による補助5万円+荻野稔後援会2万5千円(平成29年1月より)+株式会社おぎのと政治2万5千円
上記のように家賃100000万円(政務活動費伝票より)のうち、5万円が政務活動費による補助金(政務活動費伝票より)、25000円が後援会(政治資金収支報告より)とわかっている。
では残りの25000円をだれが払っているのか?
荻野個人が残りの25000円を払っている可能性もあるが、通常、「株式会社おぎのと政治」のように小さな企業を作るメリットは費用計上による節税であるため、25000円はこの株式会社の経費となっているとみるのが妥当だろう。
事務所費用総額賃料(月額)10万円=政務活動費50000円+後援会25000円+株式会社25000円
このような按分であるのだから、政務活動費として税金で負担されている50000円のうちの半分は、実質的に「株式会社おぎのと政治」が流用しているわけである。これは荻野個人が払っていたとしても、「営利目的に流用」しているのは実質的に変わらない。万一法的にはクリアしていたとしても、これでは公費の使われ方として納得できる人は少ないだろう。
また、事務所の「通信費」「電気代」などは、公金である政務活動費で全額支払われている。ここに株式会社が登記されている以上、株式会社が支払うべきであり、全額「政務活動費」として認められているのは論理的におかしな話である。
・公式ホームページの維持費が不明 株式会社が負担している可能性大
荻野稔の開示された政務活動費の中にサーバーレンタル料金やドメイン使用料などの計上はない。後援会の報告にもみられず、維持費がどう処理されているか不明である。
荻野個人のポケットマネーで処理するとはやや考えづらく(たとえば事務所の電気代、電話代などは後援会の支出にはないが、政務活動費のほうに請求されている)、株式会社おぎのと政治の費用として処理されている可能性が高い。
公人と株式会社の混同がここにも懸念される。
なお、ホームページの「作成代金」は後援会の報告の初年度にあり。荻野氏の活動は「株式会社おぎのと政治」でのパフォーマンスが肥大してきており、後援会作成のホームページで株式会社の報告を繰り返すことは議員という建前との乖離であり、今後、問題が大きくなっていくだろう。
・平成29年の政務活動費に関する疑念
平成29年は、荻野稔が口座を架空請求詐欺グループに渡し、かつその直後に株式会社おぎのと政治を設立した年である。
実は、この年の政務活動費に関しても、荻野氏の請求には不審な点が多い。
それまで丁寧に政務活動費として議会に請求してきた「固定費」的な請求が、この年になると急に目に見えておかしくなる。
具体的には、平成29年は事務所賃料の4月分、事務所通信費の1、3、4、6、9、10月分、事務所電気代の1,4,6,9月分が請求されていない。固定費計上があまりにおざなりになっている。
詐欺グループへの口座受け渡しとともに、この時期に「公表されていない重大事があった」とするのは、無理のない想定であろう。
荻野氏は過去にホームページ上で政務活動費の完全公開を謳っていたのだから、自身の政務活動費をしっかりと一般公開し、釈明すべきところは釈明すべきだろう。
<中間的な総括>
私たちは、あくまで大田区議会が正常に機能しているかを監視することを目的に活動している匿名有志のオンブズマン団体に過ぎないため、荻野氏の財務周辺の調査に関しては、公の資料範囲を超える調査は現実的には不可能です。特に今回は「株式会社おぎのと政治」が設立されているため我々に調査可能な範囲が狭く、税務署や区議会において真相究明にむけた動きがなければ完全な真相究明は難しいでしょう。
早急に、大田区区議会、税務署による正式な調査がなされるべきであり、我々はこの要望をあらゆる形で届けていく次第です。
同時に、荻野氏は大田区民や支援者に対して、十分な釈明を行い、関連資料等をすべて正直に公開すべきと私たちは考えます。荻野区議が私たちの抱いた疑問点に関して仔細を正直に公開し、しかるべき説明をおこない、疑惑を払拭できるようであれば、私たちはすぐにでもこのレポートを訂正し、荻野区議に謝罪を行う用意があります。
大田区区議会の正常な運営と発展のために、今後も荻野氏の活動に注視しながら、大田区オンブズマンネット有志会は活動を続けてまいります。