2009年04月

2009年04月19日

コミックマーケット

 1日に約15万〜20万人が訪れる、日本最大規模の同人誌即売会。日本最大ということは、同時に世界最大でもある。
 これほどまでの規模になったのは、「来る者は拒まない」という、二代目代表であった米澤嘉博氏(2006年10月1日に癌のため死去)の考え方によるところが大きい。
 マスコミでは既存作品のパロディ(二次創作)やアダルト作品が大きく取り上げられることが多いが、全体から見れば一部に過ぎず、オリジナルの漫画作品を始めとして、医療関係者や鉄道関係者といった特殊な職業従事者による裏話的な作品、手作りアクセサリーや作り方の指南書、紅茶やコーヒーの淹れ方、ペットの飼い方など、ジャンルとして一括りにできない雑多な作品が多くを占めており、「自由な表現活動の場」となっている。
 また、コミケ自体や運営、準備会などに対して異論や批判を表明しているサークル(個人や団体)の参加も、実力行使による妨害や法令違反で無い限りは認めており、元スタッフによる内部告発といった内容の同人誌も頒布されている。
 他にも、既存キャラクターの格好をするコスプレは、「同人誌即売会」という本来の趣旨にそぐわないため禁止してはどうかと準備会内部や参加者からの声が出ているが、「自由な表現の場」を堅持するという理念に基づいて認められているなど、その姿勢は一貫している。
 なによりもコミケにおいては、主催者側であるスタッフも、作品を頒布するサークルも、一般参加者も含めて、「等しく参加者」であるという理念の共有もまた、ここまでの成長を支えてきたと云えるだろう。
 しかし近年では、その理念を理解しないまま、マスコミやネットで情報を得て「興味を持った人」が、お客様気分で参加して問題を起こしているため、米澤氏亡き今、その姿勢を貫き通せるか懸念される。米澤氏が存命の頃に、批判者が「米澤はコミケを私物化している!」と論じた時、擁護者は「コミケは米澤氏の私物だ!」と反論したほど、米澤氏の影響力は大きく、また、それほどの責任を負っていたからである。

otakunojiten at 19:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 語句…か行 | 用語

2009年04月10日

引札(ひきふだ)

 主に、明治から大正時代にかけて用いられた、宣伝用のチラシやポスターの総称。
 江戸時代の中頃から出始めたとされ、印刷技術の向上と、商品の流通が活発化するようになってから広まるようになった。
 人目を引くように色鮮やかな物が多く、人物画や風景画など画題もまた幅広く取り入れられており、現在の目で観てもアート性が高い。
 『引札展』などの展覧会において観賞できる機会があれば、観ておいて損は無い。

 最近では、漫画やアニメなどのキャラクターが起用されたポスターが増え、商品のパッケージを「萌えキャラ」にしたところ売り上げが伸びたという例もあり、「最近の流行」として話題になることが多いが、本質的には100年前と変わっていないということであろう。
 人に広めるためには、「興味を引く」ことが大事なのである。

otakunojiten at 05:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 語句…は行 | 用語

2009年04月01日

エイプリルプール

「馬鹿は風邪ひかない」
 ………嘘かどうか微妙だな(笑)

>エイプリルフールの起源は全く不明らしいのですが、「一年で嘘をついても許される日」として、世界中で知られているようですね。

 一応書いておくと、1564年にフランスの王シャルル9世が1月1日を新年とする暦を採用し、それまでの3月25日を新年として祝っていた人々が反発して「嘘の新年」として馬鹿騒ぎをしたのが起源という説がある。

 それと、日本では古くから「一年に一度、不義理を詫びる日」として、この日に詫びたことは許されたという。

 個人的には、4月1日の仏滅に奥さんと入籍したのが、最大のジョークのつもりだったのにな。
 訂正できない冗談は、やめましょう(´・ω・‘)

otakunojiten at 23:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 戯言日記 

機動戦士ガンダム

 『日本サンライズ(現・サンライズ)』によって制作されたロボット物のTVアニメ。
 1979年4月7日から『名古屋テレビ』にて放送され、現在に至るシリーズの最初の作品であることから、「ファーストガンダム」と呼ばれる事もある。
 富野喜幸(現・富野由悠季)氏の出世作となり、同時に呪縛ともなった。

 よくある誤解として、視聴率の低迷のために放送が打ち切られと云われているが、テレビ局側としては打ち切りの対象になるほど悪くは無く(名古屋地区で平均9.1%、関東地区で5.3%)、スポンサーである『クローバー』の玩具の売り上げ不振が直接の原因であった。  
 制作サイドが中学生以上をターゲットに作品を作っていたのに対して、『クローバー』が発売していた玩具はガンダムの手がバネで飛び出すなど従来の低年齢層向けのロボットの玩具で、そのデザインも派手な色使いと無骨なプロモーションだった。ただし、『クローバー』が要請して番組中に登場させたガンダムのパワーアップパーツとなる『Gアーマー』とガンダムをセットにした『ガンダムDX合体セット』が、年末商戦で好調な売り上げをみせ、『日本サンライズ』に延長を打診した頃には時すでに遅く、決して高い視聴率ではなかったものの、視聴者からは好評のうちに本放送は終了した。
 そのためか放送終了直後から再放送を嘆願する運動が繰り広げられ、再放送、再々放送を重ねていくうちにファンを獲得していき、視聴率も本放送時の2〜3倍に増えた。
 そして、本放送の終了間際に商品化権を得た『バンダイ模型』が、番組に登場するロボット、番組中では「モビルスーツ」と呼称されるプラモデルを発売した。番組中での兵器としての運用に合わせて、実在しないにもかかわらず「1/144スケール」などと、戦車や戦闘機などのミリタリーモデルと同じように売る戦略をとったところ、狙い通り高い年齢層が飛びつき、それが波及するように小学生の層にも広がって「ガンプラブーム」を捲き起こした。
 このブームが後押しとなり、TVシリーズに新作カットを加えた再編集版が劇場作品として制作され、これが『松竹』初のアニメ映画となった。

 また、現在に至る人気の要因として、主人公が悩みながら成長する物語の主軸や、敵が異星人などではない人間で、それぞれの事情で戦っている描写などがあり、その「リアルさ」が挙げられる事が多いが、作品には試行錯誤とスポンサーの口出しへの対応に苦慮した点が多く見られる。
 主題歌の『翔べ!ガンダム』には「銀河へ 向かって 翔べよ ガンダム」などとスーパーロボットを装うような、およそ作品内容にそぐわない歌詞があったり、作画の手間を省きつつ兵器としての運用を提示したモビルスーツの「量産機」という考え方を維持する一方、スポンサーサイドの「毎週違う敵を出してくれ」という要請に応えるため、「試作機」として1回限りのモビルスーツを登場させるなどが、それである。
 そもそも、監督である富野氏の作品においては、「主人公の側が実は侵略者だった」(『海のトリトン』)とか「戦闘に巻き込まれた一般人から非難されて苦悩する主人公」(『無敵超人ザンボット3』)などが描かれており、本作は意欲作ではあったが、突然変異のように現れた訳ではない。
 むしろ、制作サイドの意欲に対して、ファンが積極的に応えて、それをまた制作サイドが受け取るというキャッチボールが行われたのが長期人気の要因であろう。
 例えば、劇中でのロボット同士が戦う理由付けとして、ミノフスキー粒子という架空の粒子を登場させ、この粒子が電波を撹乱させる性質を持っているためレーダーを用いたミサイル等の遠距離攻撃ができないなどと制作サイドが設定していたところ、巨大な戦艦が大気圏内を浮くように飛行する原理や、ビーム兵器の設定などへの応用理論がファンの側から提案され、それらが後から公式設定として採用された。
 これらは、プラモデルなどの商品展開にも反映され、本編には登場しなかったモビルスーツが発売されたり、数多くのスピンオフ作品がアニメのみならず漫画や小説として発表され続けている。
 なお、「リアルさ」を本格的に追求したのは、続編の『機動戦士Zガンダム』という意見がある。本作では「戦争」に「政治」を取り入れた訳だが、続編ではさらに「経済」の概念を取り入れたからである。



otakunojiten at 20:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 語句…か行 | 作品
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