OTAPHYSICABLOG

エフヤマダのオタク雑記

2019年冬のアニメ&漫画

ケムリクサ
 本当にいい作品であった。終盤は要所要所で涙で画面が滲んでしまって困った。年をとって涙腺が緩くなって駄目だ。久しぶりに食べたどん兵衛も思ったより美味かった。褒めるべきところはもうすでに十分他の人が褒めているので、とくに12話について気になったところだけ二点ほど。
 わかばとワカバの関係については説明不足。視聴者が「記憶を失った同一人物」として見るべきか「因果的繋がりはあるが別人」として見るべきかで混乱してしまっている。ここは物語のあるべき着地点とはなにかに関わる点なので(どちらなのかによってなにが望ましい結末なのかが変わるということ)、とりわけりりの物語上の処理の据わりをよくするためには、視聴者の解釈に任せずに物語内ではっきり描いておかねばならない。
 ストーリーとしての頂点を11話に置いて、12話は基本的にアニメーションとしての動きと絵を魅せることに徹する構成で、その構成自体はいいのだが、ところどころ息切れが見えてしまったのは残念。12話の狙いは、センスがあっても金と人手と時間がないと達成できない。11話があまりにもよくできすぎていて、そのせいで12話のハードルが爆上がりしてしまったのも皮肉な誤算か。

上野さんは不器用
私に天使が舞い降りた!
 このあたり、原作の肝を押さえた上手なアニメ化だったのではないか。

スター☆トゥインクルプリキュア
 天宮えれながやばいくらいに可愛いな。引っかかるのは香久矢まどかの父親の描きかたかな。子どもの視点からわかりやすい造形にしていることは理解しているのだが、あれではあまりにも人格的に幼稚で、有能に思えなくなってしまう。

けものフレンズ2
 超人気コンテンツがほんの三ケ月で地獄の焼け野原になるとは。中身についてはもう十二分に攻撃されているのでコメントなし。正義の旗印を得て歯止めを失った暴徒と化した一期ファンと愉快犯の群れが無差別殺戮焼き討ち中なので、しばらくはこの周辺には近寄りたくない。

 あとは漫画。


ヒロインの造形に上手に清潔感をもたせているところを評価したい。よく言えば素直、わるく言えば工夫のないライトエロラブコメで終わりそうなところを、この点で一段階よいものに引きあげることに成功している。


設定がエロ漫画にしか思えない。これで一般誌でやろうと決めたその決断を褒めたい。


別に可愛ければそれでいいとは思うのだが、さすがにこれは強度の近視の眼鏡ユーザーのふるまいとしては無理があるのではないか。


最終巻。打ちきられてしまったようだ。一試合一試合を丁寧に描いていて、そこは好感をもてたのだが、物語全体の大目標を読者に印象づけるようなかたちできちんと立てそこねていたのが問題だったのでは。それがないため、『アストロ球団』的な一試合入魂漫画になってしまった。

先輩の顔も三度まで
位置原光Z
白泉社
2019-03-29

作者は天才だよね。波長が合えば、自分でも気づいていない性癖がほじくりだされて暴力的に突きつけられる快楽に浸ることができる。

『スパイダーマン: スパイダーバース』

 アニメだから吹替版で見た。棒読み素人のタレントやらアイドルやら芸人やらが完全排除されていて、とても気もちよく見ることができた。日本の配給会社もやればできるではないか。

 以降一部ネタバレあり。

 みんな褒めているので、気になったところを少しだけ。
 加点方式にすると100点あげたくなる気もちはわかるのだが、脚本の出来だけとってみると80点くらいではないか。ハリウッドによくあるそつのない優等生シナリオで、キャラクターとアクションの魅力を盛って客を楽しませるのだから、それを邪魔しないよう、あまり冒険せずに無難なところでまとめるというやつ。やはりそこが少し物足りないかな。
 主人公のマイルス・モラレスの成長が家族の物語として語られていて、敵役のキングピンの動機も家族への執着であるわけだ。ここには呼応の構造があってしかるべきでしょう。たとえば、キングピンを「道を間違えてしまったマイルスの一つの可能性」として描くとか、なにか一工夫が欲しかった。
 副主人公がピーターBで、彼の物語は堕ちた英雄の復活なのだけれども、ここは尺の都合か、お話がまったく足りていない。この主題には二つの筋がある。一つめはもちろんマイルスの導き手としての役割を果たすことによっての復活という筋ね。ただしこれ、物語の展開的にはアーロン叔父さんがずっと果たしてきた役割をピーターBが引きつぐ構造になっている。つまり、物語の理屈からすると、ピーターBは、マイルスの導き手の位置を巡ってプラウラーときちんと対決しなきゃいけないはず。でもやっていない。勿体ない。もう一つの筋は、自分の世界のメリー・ジェーンと向きあう決意をすることによって復活というもの。これもなんか有耶無耶に解決してしまった。でもね、ここのところはグウェンの一番重要な役どころだったはずなのよ。グウェンは自分の世界で一度ピーター・パーカーを失っているわけでしょ。その彼女がピーターBにある意味で再会してなにも思うところがないはずがないじゃない。だからこそ、グウェンが背中を押して、ピーターBをMJのところに向かわせるという展開がいい絵になるんじゃない。グウェンはマイルスではなくピーターBと濃く絡むべきキャラだったと私は思うのである。女子高生が冴えないおじさんに抱くけっして叶わない想いとか、みなさん好物のはずでしょう。まあこの辺は現実的には尺の都合で無理なのではあるが。
 逆に、上手いな、と思ったのはドクター・オクトパスのあの設定変更である。コミックのスピンオフならともかく、映画でピーター・パーカーを退場させることはかなり危険なことだったはず。でも、あの設定変更を認識した瞬間、客の全員が「なるほど、マイルス=スパイダーマンの世界はこれまでの映画の世界とは別ものとして割りきればいいんだ」ということを理屈でなく感覚で納得してしまった。鮮やかな一手、プロの技である。

Spider-Man: Into the Spider-Verse; 2018)



小説とか


シリーズが続くにつれてこうなるのは理解できる、理解できるのだが、やはり最初のあたりの現実世界と裏世界がスッパリと切断されていたときのほうが世界観としての魅力があったように思う。もちろん今でも十二分に面白いのではあるが。


これ、設定の紹介だけで終わっていて、評価しづらい。映画でいうと最初の十五分のところまでしかやっていない。最初の十五分として読めば掴みはOKなのだが。ドンパチがあれば物語ができるわけではない、主人公にドラマが生じなければいかん。シリーズ化前提なのはわかるが、この一冊のうちでちゃんと話をつくらなきゃ。


正直なところ、王位を獲ったあとはいまいちだよね。電子書籍で最終巻が出たらまとめよう。

映画とか

『アリータ: バトル・エンジェル』(Alita: Battle Angel; 2019)
 いやはや懐かしい。原作をちゃんと読みなおさなくては。これについては懐古厨的感想以外があまり出てこない。イド先生が記憶のなかのイメージどおりだった。あと、皆さん言っているとおり、最後のあそこでのあの人はプリンを食べていてもよかったのではないかと私も思う。

『翔んで埼玉』(2019)
 始まってしばらくして空気が暖まってくると、映画館のそこここでしばしば笑い声が起きていた。これだけでもう娯楽映画としては成功だろう。あと、感心したのは、色気を出して説教臭くしなかったところ。ネタがネタなので、ちょっと普遍性をもたせて差別問題についてのいい感じのメッセージを込めてみよう、とかいう誘惑があったと思うのだが、そこをぐっと堪えて基本的に下らない田舎イジリもの路線を貫いたところがよかったと思う。

『移動都市/モータル・エンジン』(Mortal Engines; 2018)
 どうやら盛大にコケているようだが、そこまで駄目ではないように私は感じた。巨大な都市がまるごと動きまわって互いに捕食しあうという馬鹿な状況をちゃんと絵として見せてくれたのは楽しかったし、そこここにどこかで見たような表現や道具立てが混じるのも、見たいものを見せてお客を楽しませようというB級グルメのサーヴィス精神の表れとして肯定的に捉えられた。ただ、物語の展開に多くのひっかかりがあるのも確か。これは原作をリライトした脚本家の責任のようだ。下の原作を読むと、ああ、そうやって二時間にまとめたのか、でもそれはちょっと強引では……というあたりがよくわかる。

移動都市 (創元SF文庫)
フィリップ・リーヴ
東京創元社
2006-09-30

寝る

やっと面倒な仕事がいろいろと終わってまずは映画を見ているのだけれど、さすがに疲れていたのかひさしぶりに風邪を引いてしまってまずは寝たいだけ寝ることにした。
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