メモ。対象年齢によってヒーローの造形の方向性は異なっていくのではないか。もちろん、多くの例外を許す、非常におおまかな方向性ではあるのだが。たとえば以下のように。

・幼児向けヒーロー:幼児向けヒーローは、幼児自身の視点ではなく親の視点によって規定される。親が望むような、あるべき人間の姿がそのままヒーローの造形に移しこまれる。

・子ども向けヒーロー:子ども向けヒーローは、子どもが素直にカッコいいと思うような造形となる。子どもは複雑なことを考えないので、それでよいのである。

・学生向けヒーロー:学生は自らの才能を努力して開花させよ、という圧力を学校からかけられている。これはウザったらしいものである。そのため、学生向けヒーローは、努力アンチな造形になる。天賦の才をもっていたり、偶然素晴らしい力を手にしたり、といったヒーローの対象年齢はここになる。

・社会人向けヒーロー:社会人は組織に属してそのなかで労働しなければ生活できない。これまた楽しいことではない。そのため、社会人向けヒーローは組織アンチな造形になる。誰にも頼らぬ一匹狼とか、組織のなかでのはみだし者とかいったヒーローの対象年齢はここになる。

・中高年向けヒーロー:中高年になると、自分が取り仕切っていた仕事がだんだん若い人間の管轄に移っていくことになる。これは愉快なことではない。そのため、中高年向けヒーローは若者アンチな造形になる。豊かな経験をもって若者たちの鼻を明かしたり、若者たちの危機を救ってあげりするヒーローの対象年齢はここになる。

 以上から見てとれることや注意点をいくつか。

・これはあくまでヒーローの造形の基本的な軸の話であり、作品そのものの対象年齢とズレる場合は一般的にありうる。また、当然のことながら、よくできていればどんな年齢層の受け手にとっても面白いものであるはずである。

・週刊少年ジャンプは子ども向けと学生向けの混交からなっているように思う。最近ちゃんと読んでいないのであまり自信はないが。

・ごく大雑把に言えば、昭和ライダーは幼児向けから子ども向けの造形であり、平成ライダーは子ども向けから学生向けの造形である。

・これらのヒーローは、どれもその年代特有の欲望がダダ漏れしていて、冷静に見るとイタいものである。ところが、学生向けヒーローだけがとくに中二病的と呼ばれて問題視される。それは、ひとつには、学生向けヒーローがはじめて自覚的に好きになる段階のヒーローであり、そのために目立つからではないか。

・現在のオタク文化は、基本的に学生向けヒーローで止まるようになっていて、あまり社会人向けヒーローへ行かない。アニメだと『DARKER THAN BLACK』や『UN-GO』などがあるか。それほど多くはない。購買力のある社会人オタクが業界を支えているのだとしたら、これはなぜだろうか。よくわからない。

・ハリウッドのアクション俳優たちのキャリアを眺めてみると、社会人向けヒーローから中高年向けヒーローに自らのキャラを転換させて生き残っている人が多いように思われる。