将棋の話をしたので、続けて。たぶん本邦初、ということは世界初の将棋ライトノベルの第三巻。将棋ということを除けば、基本のフォーマットはごくオーソドックスな青春部活ラブコメ。この点にかんしては目新しいところはないが、手堅くまとまってはいる。将棋モノとして興味深いのは、どこで話をつくるか、である。ごく子どものころから才能を発揮しないと縁がないプロの将棋の世界は、ラノベに親和的な学園部活モノの世界と交わることがない。そのため、本作は、学生アマチュアと女流の交差する地点に狙いを定め、物語を展開させている。なるほどまさにここだなあ、と思う反面、リアルの将棋界における「女流」の位置づけのなんとなくの微妙さがちょっと頭にちらついてもきたり。あともう一つ、あらゆる将棋モノにつきまとう難題、どんなエキセントリックなキャラクターを造形しても、実際のプロ棋士のオモシロには勝てない、という難題は、やはり乗りこえづらかったようである。これは仕方がないことであるが……。

俺の棒銀と女王の穴熊〈3〉
アライコウ
アライクリエイト事務所
2013-11-24