午前はキッズ2連勝。昼休憩に入る前にディレクターから「次の試合で斎藤アナに試合の抱負を聞かれたら英語で答えて下さい。あ、フランス語でもいいですよ!」と言われました。

ステージで着席し、抱負を問われたので J’étais très impressionné par la première et la deuxième partie. Certes, ces garçons sont extrêmement talentueux. Mais moi, j’ai trente-six années d’expérience. Alors je ferai de mon mieux pour emporter ce match important contre Takamizawa. と言いました。意味を問われて「私は第1局と第2局に非常に感銘を受けました。確かに彼らキッズは素晴らしい才能を持っています。しかし私には36年の経験があります。髙見澤くんとのこの重要な一戦に勝つために全力を尽くします」と答えました。そこで「英語でもお願いします!」と言われて同じ内容を英語で言いました。それからいよいよ試合開始!


  第1局 黒番。どう打つ? 
  ●髙見澤大樹 Takamizawa Daiki
  ○村上 健 Murakami Takeshi

オセロ部中3の髙見澤君との対局。ここまでの対戦成績は私の5勝1敗。しかしかろうじて勝った試合も多く、彼の最近の成長ぶりを考えると全く楽観できない対戦でした。私にとって有利に働いたのは経験の差でしょう。多数のカメラに囲まれたスタジオでの対戦に髙見澤君はずいぶん緊張しているようでした。一方私はリラックスして盤面に集中。年の功ですかね。図で打たれた黒d3が悪手でした。白f3との交換はほとんど得になっていません。どうやら髙見澤君に勘違いがあったようです。図では黒b3、あるいはb5と打って黒f3→d2→d3の3連打を狙うのがよく、これなら互角でした。実戦は打てば打つほど黒が苦しくなる展開。

41は「罠にハマった手」と放送で言われていますが実際には黒はこれぐらいしか打つところがありません。41でb8なら白c8→黒g8→白a2で終わってしまいます(次に黒b7とウイングを攻めても白a7→a8の連打でかわされる)。髙見澤君は序盤の研究が深いことで有名ですが、実は中・終盤も非常に強いです。この試合は残念ながら彼のその強みが発揮できない形になってしまいました。 今日の試合方式は1敗するともうそれで出番がなくなってしまいます。なるべく多く対戦したいのがオセラーの本能。第1試合に勝ててホッとしました。  



  第2局 白番。どう打つ? 
  ●村上 健 Murakami Takeshi
  ○山崎冬矢 Yamazaki Touya

次の相手は山崎冬矢五段。過去に1回対戦したことがあり(今年の王座戦)、その時は私が勝っています。しかし非常にしっかりと時間をつかって考える選手で、今年の全日本フリークラスでは決勝で麻布オセロ部部長の倉橋哲史五段を破って優勝。この決勝のリベンジという意味でも負けたくないと思いました。

12は何回か菱山四段に打たれ、いつも苦戦します。嫌な手を打たれたな、と思いました。14は恐らく冬矢君の研究範囲でしょう。私にとっては既にここから未知の展開。19はかなり時間をかけて考えました。以下27までは読み筋通り。番組では27を「罠にハマった手」と言っていましたがもちろんこれはウイングの危険性を初級者に分かってもらうための方便。実際にはb8は好手です。32は少し有難く感じました。この右下の白から打てない3個空きは黒に有利に働きそうです。32はb4を狙うd2、あるいは黒h4を防ぐ白h4が嫌でした。33でe7の白石を消し、黒a5→b5の連打を作って優勢を感じました。しかしb4を狙う白36が好手でまだまだ難しい形勢です。

そして図の局面。ここは白e2→黒h3→白g1と進められると黒の打ち方が難しく自信がありませんでした(黒僅か+4形勢)。しかし時間に追われた冬矢君は図で白f1! これが実質的な敗着です。黒43と上辺に爆弾を作られると白c2には黒e2。白e2には黒c2と打たれ白はb7に打つしかありません(右上に白が打つとg列が真っ白になり黒g8→h8の連打が生じます)。そこで黒g2と5個空きに先着することで、黒は右下の白から打てない3個空きを温存しつつ他の場所で手止まりを打って確実に勝つことができます。ポイントとなる重要な局面(図)のあたりで既に冬矢君の時間が残り1分を切っていたことが私に幸いしたと思います。  



  第3局 黒番。どう打つ? 
  ●高橋晃大 Takahashi Akihiro
  ○村上 健 Murakami Takeshi

ついに高橋君と対戦。ここまでの公式戦対戦成績は私の1勝2敗です。実は今回のメンバー(私以外の5人)の中で私が負け越しているのは髙橋君ただ一人。「なんとしても勝って対戦成績を五分に戻したい!」という気持ちで対戦に臨みました。

16までは髙見澤戦と同進行。17は昼休みに髙橋君が髙見澤君に「こう打った方が良かったんじゃないですか?」と言っていた手。黒f3→g5→f5の3連打を狙っています。この連打を食らってはきついのでそれを回避する手を色々考えてd2を決断。c2にもう一手残っているのが魅力です。黒は少考でe7。これが悪手でした。黒はもっと時間を使ってc7やd7を検討すべきだったと思います。実戦は20c2がいかにも気持ちの良い手で、ここで優勢を感じました。21はa6もありそうです。26は今打たないと黒g3→f3の連打を食らってしまいます。

図で髙橋五段は長考。局面の岐路です。そして打たれたg3が実質的な敗着と思います。この局面は白からd7→g6という流れが非常に厳しいのですが、黒g3に打ってしまうと白d7の時に白の好所であるg6に先打することができません(縦の石が返ってしまう悪手)。図の正解は黒e2。これなら白d7に対して黒g6。白f3に対しても黒d1→白d7→黒g6。いずれも白にd7→g6の連打を許さない形に持ち込めました。29は遅ればせながら白g6を悪手化する手(白g6はg5の黒石を返す悪手)ですが、そこで白d7と打たれると色々なラインが白一色なり黒は非常に窮屈な形です。33は黒a3→白a2→黒b7とウイング攻めされる方が嫌でした。

38となった局面はかなり黒が不利。39g6なら白f8です。そして40が好手。この手を打てて勝ちを確信しました。黒は41~43と白の注文通り右辺を取るしかありません(43でg6は白h7→黒g2→白f8! 縦が返りません)。44がとどめの一手。次黒g6なら白b7!でブラックラインを通して白必勝です。58は私のミス。白b2→黒b1→白g1の方が得でした。髙橋君との対戦成績を2勝2敗の五分に戻すことができて非常に嬉しかったです。