昨年暮れは体調もあまり良くなく読書が進みませんでした。Love is strong, mon amour には明確な筋がありません。主人公Aubainは仕事で海外に滞在することが多く、現地で出会った女性を心の庭の中に住まわせています。彼の海外での体験と心の庭の様子が交互に綴られる文章はなにか夢の中を彷徨っているような、どうにもはっきりしないぼんやりとした「記憶のアルバム」のような感じです。巻末にある編集者の言葉によれば「この小説は文学ではなく音楽だ。これは歌ではなくロックだ。心を震わせることができるかどうかは、読者にかかっている」のです。私の場合どうもこの本と共振することができず(苦笑)、41ページで止まってしまいました。前作(Les vies inférieures)と今回の作品に共通するのは男女の愛(性愛)に対する強い思い入れです。多くのフランス人にとって愛は人生の最重要課題であり、それを思えばこの2冊はいかにもフランス的な小説と言えるでしょう。 

確かに愛は重要ですが、やや食傷気味になった私は血湧き肉躍る冒険を求めて別の小説を読み始めました。Steve Berry Le Dernier Secret du Vaticanです。冒頭は1945年のイタリア北部コモ湖湖畔にある山荘から始まります。政権を追われた独裁者ムッソリーニと愛人クララはスイスへの亡命を目指してこの山荘まで辿り着いたのですが、ついにイタリア共産党の民兵に捕らえられ銃殺されます。 

ムッソリーニの最後については謎が多く今でも歴史学者の間に諸説あるようです。そこに目をつけたSteve Berryの最新作(2019年刊行)が本書。Steve Berryの作品は非常に面白く私は6~7作は読みました。まだ30ページですがこれからの展開が楽しみです。
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