だいぶ久方ぶりの更新&ビール以外のことというタイトルのブログなのに、思いっきりビールのことです。

最近ケトルサワーリングという手法で酸っぱいビールを作るようになったので、その手法を公開したいと思います。
他のブログで醸造の基礎のことは結構書いたのですが、サワーについてはまだ書いていなかったり、結構手法について聞かれることも多いので自分用のメモを兼ねて書くことにしました。
文章ばっかりで写真がないのですが、その点はご容赦を。

まず自分が用いている手法はケトルサワーリングという方法です。
簡単に言えば通常のビールと同じようにマッシング、ロイターを行い、ケトルで麦汁を煮沸する前に乳酸発酵させて酸っぱくする方法です。この手法の利点は

・短時間で酸っぱいビールを作ることができる
・乳酸菌添加後に煮沸を行うので、乳酸菌が生きた状態でタンクに行かない
・酸味の調整が比較的簡単
・作業的にも楽

というようなことが挙げられます。
タンクや木の樽で乳酸発酵を行う伝統的なランビックやアメリカンサワーと比べると複雑さが薄れるという欠点はありますが、なによりコンタミネーションのリスクを低く抑えられるという点が重要です。
一度乳酸菌汚染されたタンクやホースは、相当な手間をかけなければもとに戻せません。
というか乳酸菌汚染されたブルワリーは通常死を意味します。怖い怖い。
アメリカのサワーエールを作っているブルワリーも、ガスケットやホースはサワー用に別途用意しているところが多いです。
そんな理由で今のところはケトルサワーリングを採用しています。
他にも色々な作り方があるので、そのあたりはまた折を見て書きたいと思います。

では作り方です。ご参考までにゴーゼのレシピを載せておきます。

<Grain bill>
2Row or Pilsner 60%
Wheat 40%

<Water bill>
Ca 109ppm
Mg 10ppm
Na 10ppm
Cl 82ppm
SO4 82ppm
(ボイル中に入れるNaClは別に考えます)

<Mashing>
Target pH5.3
64℃ 60min
72℃ 10min

・マッシングが終わったら、通常通りスパージングをして麦汁を回収する。
・一度麦汁を95度まで加熱する。
・リン酸、または乳酸を加えて麦汁のpHを4.5まで下げる。
・可能であればヒートエクスチェンジャーを介して、温度を43℃まで急冷する。
・急冷後にヨーグルトを入れる。

ポイントは乳酸菌のスターターとしてヨーグルトを使用する点です。
もし可能ならイーストメーカーから発売されている乳酸菌ブレンドなどを使用しても問題ありません。
ヨーグルトの投入量は1400L仕込みにたいして、6リットルくらいです。
麦汁は可能な限り早く冷ましてください。1000Lクラスの自然冷却では43℃まで下がるまでに数日かかってしまいます。
市販の加糖されていないプレーンヨーグルトならなんでも問題ありませんが、ヨーグルトによって酸味の雰囲気が変わりますのでお好みのものを探してみてください。

・43℃をキープしたまま、3~5時間に一度軽く攪拌する。
・ケトルのヘッドスペースには常にCO2を満たしておく。
・お好みの酸味になるまでキープ。

pHを下げているとはいえ、43℃の麦汁は非常に雑菌汚染を受けやすい状態です。
ヘッドスペースを炭酸ガスで満たすことによって好気性菌のコンタミリスクを少しでも下げてあげましょう。
サワーリングの時間はおおむね24時間~48時間程度だと思います。
強烈に酸っぱくしたい場合はもっとサワーリングを長くすればよいです。
ただしサワーリングのし過ぎでpHがあまりに低くなりすぎると酵母による発酵に悪影響がでますので、その点は考慮しましょう。
ちなみに自分の場合は煮沸前のpH3.3、煮沸後でpH3.2でしたが発酵は問題ありませんでした。

・ボイル時間は通常よりちょっと長めに。90分~120分。
・塩はボイルエンドの10分前に。1400Lに対して1.5kg入れました。
・お好みでコリアンダーシードを入れる場合もあります。

サワーリング終了後は特に注意すべきことはありませんが、煮沸はサニタイズとDMSの低減を狙ってやや長めにとっています。
煮沸を終えたら普通通りにタンクへ移してください。
ホップはなんでもいいと思いますが、スタイル的にはIBUは10程度がグッドです。
通常はビタリングのみで、煮沸後期にホップを入れることはありませんが、そこもお好みで。

・イーストはヴァイツェンイーストやケルシュイーストが多様される。
・ピッチングレートは高めに。1.0~1.2くらい。
・発酵温度もやや高めの方が良い。
・健康なイーストを使ってね。

かなり低いpH、高いNa濃度なのでイーストには結構な負担がかかります。
速やかな発酵を促すために、できる限りのことをしてあげてください。
うまくいっていれば、発酵終了後のpHは3以下になっていると思います。

あとは発酵が終わってラガーリングが済めば出来上がりーです。
簡単でしょ?

サワービールは各種果物との相性もかなり良いです。色々な組み合わせを試してみてください。
イーストはブレタノマイセスやセゾンイーストなどを使用してもグッドだと思います。

けやき広場春のビール祭りのうしとらブースでは"夏みかんゴーゼ”が提供される予定です。
お楽しみに!Enjoy Sour!!