2006年01月11日

中途半端が大好き

大塚英志氏の本は好きで結構読んでいる。

昨秋『「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか』(角川書店)という本が出て僕は最近ようやく読んだのですが、これまた猛烈に面白い本でした。例の『電車男』のヒットに象徴される「オタク」なるもののユルイ上に浅すぎる持ち上げられ方は、そのまま、この国の宮崎駿氏を筆頭とする「日本製アニメ」に対する過度の期待感にも繋がると思われるのですが、この本はそういう状況に冷や水を浴びせかける内容となっております。具体的には、「日本のアニメが世界中(特に欧米)でヒットしているなんて幻想だぜハニー」という事実を、データに基づいて立証していくわけですね。「あらら…目が覚めましたわ」という感じ。

で、『ユリイカ』という雑誌があるのですが、最新1月号の特集が「マンガ批評の最前線」でした。そこで夏目房之介・宮本大人・伊藤剛の3人が「キャラの近代、マンガの起源」をテーマに鼎談しており、大塚氏のこの本に言及する場面がありまして、3人には割と批判的に読まれているのでした。

夏目氏が言うには「啓蒙的で非常にいい本なんだけど、大塚レトリックの独特の晦渋さがあって、大塚さんのバイアスが強すぎる感じがある」と。

夏目氏は、大塚氏に対してちょっと複雑な評価をしているようで、「大塚さんは昔から論の対象を参照する際に個人の思い入れが強すぎるので、いちいち読み解くのが結構面倒臭い」という意味の発言もしております。

それは確かにそうだと思う。夏目氏と大塚氏のマンガ評論のスタンスの違いについて考えてみるのも面白いかもしれない。

このことについて考える際に、もしかしたらヒントになるのではないかと思うのが両者の「MANGA」の表記の仕方。自身の著作に於いて夏目氏が「マンガ」と書くのに対して大塚氏は「まんが」と書きますね(ちなみにいしかわじゅん氏は「漫画」)。ここに「MANGA」に対する両氏の立ち位置の微妙な差異が読み取れはしないか。

…と書き出すと長くなるのでここで止めます。もう寝る時間だ。

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