名南経営 大津章敬のいい会社を作るための人事労務管理

名南経営 人事労務コンサルタント 大津章敬公式ブログ

2013年07月

経営者の考えと制度にズレが多発している家族手当 人事制度を設計する際にはそのコンセプトを明確にしていく訳ですが、その際に重要となるのが家族手当支給の有無です。統計調査によれば7割くらいの企業で家族手当が支給されていますが、コンサルティングの現場でヒアリングをしていくと、経営者の考えと実際の制度内容にズレがあることが非常に多いと感じています。

 まずは以下の質問について考えてみてください。
製造部に同期入社の社員が2人います。2人とも入社13年・35歳ですが、一人は25歳で結婚し、現在、小学生と幼稚園児の子供がいます。もう一人は独身でいまでも親元から通っています。二人とも能力や人事評価の内容はほぼ同じだとした場合、賃金は同額であるべきでしょうか?差があるべきでしょうか?
 この質問はよくセミナーでも行うのですが、全国どこでも、また経営者が対象の場合でも社労士の場合でもほぼ以下のような傾向が見られます。
家族手当は必要か
  必要 50% 不要 50%
→半数は家族手当は不要と考えている。
家族手当を支給する場合、配偶者手当は必要か
  必要 10% 不要 90%
→共働きが当たり前になっている環境を前提として配偶者に対する手当はほとんどが不要と考えている。
家族手当を支給する場合、子ども手当は必要か
  必要 90% 不要 10%
→教育費負担が大きくなっている環境を背景に、子どもに対する支援をしたいという考えが強まっている。

 こうしたトレンドが見られるにも関わらず、多くの企業では家族手当が支給され、更にその内容は配偶者重視の内容となっています。つまり、経営者の考えと実際の制度にズレが発生していることが多いのです。労働契約の本旨は、労務の提供に対し、賃金を支給するという双務契約です。つまり、本来的には労務の提供と関係がない家族の有無について賃金を支給する必要はありません。それだけに家族手当支給の可否は人事制度のコンセプトに大きく関わる重要事項です。

 まずは冒頭の質問について社内で議論を行い、自社の人事制度のコンセプトを明確化していくことをお勧めします。なお、家族手当の具体的な改定法については後日、改めて取り上げたいと思います。

lcgセミナー 当社では日本人事労務コンサルタントグループ(LCG)という、人事労務管理に関して確かな相談対応ができる社会保険労務士のグループを主宰しています。今年の夏から秋にかけて、その活動内容を紹介すると共に、多くの社労士のみなさんにコンサルティング業務の無理のない取り組み方をお伝えするセミナーを全国各地で開催しますが、先週の木曜日の福岡会場からこの全国セミナーツアーがキックオフしました。

 中小企業の減少、給与計算ソフトの普及、電子申請の進展など社労士業界を取り巻く環境は厳しさが増しており、社労士の先行きは暗いといった話を耳にすることがあります。それは本当でしょうか。私の考えは違います。確かにこうした環境変化により業務のあり方は変わっていくでしょう。しかし一方で、労働トラブルの増加や相次ぐ法改正、メンタルヘルス不調者の増加といった職場環境の変化などにより、人事労務に関する相談ニーズは引き続き増加を続けます。社労士はこうした企業の課題に対するもっとも有力な相談相手なのです。従来の手続き業務を否定する訳ではありませんが、今後はこうした相談業務に積極的に携わっていくことが社労士に求められているのです。

 今回のセミナーでは、社労士が日常業務の中から人事制度や労働時間といったコンサルティングを提案する具体的な方法をお伝えしています。概要は以下のとおりですので、お近くで開催の際には是非ご参加ください。なお、現時点では全国4都市7日程となっていますが、お陰様で各会場とも多くのお申込を頂いておりますので、今後も追加日程の設定を検討します。
→東名阪+福岡での追加開催が決定しましたので追記。全11日程となりました。なお、9月17日の東京C日程は満席間近です。(8月1日) 
【続】社労士が就業規則改定などのプラスワンで提案する人事労務コンサルティングの進め方<実践編>
~日常業務の延長で無理なく実施できるコンサル・相談業務の提案と具体的内容

(1)労働法と労務管理実務を知っている社労士だからこそできるコンサル業務
   ~中小企業の人事労務管理の相談相手は社労士以外にいないということを再確認しよう
(2)就業規則整備から「自然に」提案する人事労務コンサルティングの進め方
  1.「社員の貢献度に報いたい」という基本ニーズに対応する人事制度の設計
   ~ステップ別で理解する資格制度、賃金制度の構築法
  2.子女重視の流れに対応する「次世代育成支援金制度」設計の実務ポイント
 3.限られた原資を効果的に配分する賞与制度の作り方
(3)年度更新で受領した賃金台帳を分析することですぐにできる退職金分析と制度改定提案
(4)事業場外みなし労働制・管理監督者の運用厳格化に対応する制度改定と時短コンサル
(5)日本人事コンサルタントグループの取り組み紹介

東京会場
2013年8月8日(木)13:00~16:00[満席]
2013年8月30日(金)13:00~16:00[満席]
2013年9月17日(火)13:00~16:00
2013年10月7日(月)13:00~16:00[日程追加]
 株式会社名南経営コンサルティング 東京事務所 (日比谷)
名古屋会場
2013年7月30日(火)13:00~16:00[終了]
2013年10月16日(水)13:00~16:00[日程追加]
 株式会社名南経営コンサルティング 本社 (丸の内)
大阪会場
2013年7月26日(金)13:00~16:00[終了]
 大阪市中央公会堂 大会議室
2013年9月2日(月)13:00~16:00
2013年10月1日(火)13:00~16:00[日程追加]
 株式会社名南経営コンサルティング 大阪事務所(中之島)
福岡会場
2013年7月25日(木)10:00~13:00[終了]
  JR博多シティ会議室 9階(博多)
2013年9月30日(月)13:00~16:00[日程追加]
 株式会社名南経営コンサルティング 福岡事務所(博多)

 詳細およびお申込は以下よりお願いします。
http://www.lcgjapan.com/sr/seminar/1307consul.html
参考リンク
日本人事労務コンサルタントグループ(LCG)
http://www.lcgjapan.com

信頼 様々な要因により、労働トラブルの発生が高止まりしています。その内容としては解雇や雇止めのような雇用に関わる問題、過重労働やメンタルヘルス不調などの健康障害の問題、未払い残業代請求などの賃金に関する問題など様々ですが、多くの企業を見ていると、労働トラブルになりやすい、もしくは深刻化しやすい会社と、労働トラブルがあまり起きない会社にはそれぞれ傾向があるように感じています。今回はそれをまとめてみることにしましょう。

 労働トラブルが起きやすい、もしくは深刻化しやすい会社には以下のような傾向が見られます。
・ある程度の規模があり、経営者と社員のコミュニケーションが十分に取れていない会社
・直属の上司が自らの業務に忙しく、部下とのコミュニケーションが取れていない会社
・業務を社員に任せきりで、組織としてのバックアップができていない会社。更に目標未達やミスがあった場合には個人としての責任が強く追及される会社
・会社の置かれている状況が社員に伝わっていない会社
・組織内に派閥ができている会社
・社員を育成するという意識が乏しく、人材を使い捨てにする傾向が強い会社
・トラブル発生時に社員の気持ちを汲み取らず、問題を切り捨てようとする会社


 これは先日の日本人材マネジメント協会でのインタビューでもお話ししたのですが、労働トラブルは零細企業ではあまり発生しておらず、それよりも従業員数が100名を超えるような中堅企業で頻発するという傾向が見られます。現実を見れば、零細企業の方が基本的な労働条件に問題が多いにも関わらず。その最大の要因は経営者とのコミュニケーションにあるのではないかと考えています。経営者が日常的に社員と直接話をし、本人の仕事振りへの評価や会社の状況を語り、また社員の家族のことまで気に掛けているような場合には、深刻な労働トラブルが発生することはほとんどありません。これに対し、従業員数がある程度大きくなり、社員と経営者の関係が希薄になってくると、徐々にトラブルが増加していきます。組織が大きくなると、管理職が大きなキーになりますが、最近の管理者は多くの仕事を抱え、自分のことだけで精一杯になっていることが多く、部下の状況にまで踏み込んで話を聞くことができていません。また現実的には権限も経営者と比較すれば小さいですから、なにかあったときに直接対応できることにも限りがあります。そのため、社員と会社の信頼関係を十分に築くことができておらず、いざというときに無用のトラブルに繋がってしまうことが多いように思います。よって、組織内のコミュニケーションを質・量共に改善するような仕組みの構築が重要となります。

 その他、現実的には会社から社員に対する優しさが十分に感じられない場合にもトラブルリスクが高まります。例えば成績が十分ではない営業社員がいたとしましょう。その成長を願い、様々なサポートをしている会社であれば、結果的にその社員が会社を去るという結論となった場合であっても、そうそうトラブルにはならないものです。これに対し、その仕事の出来栄えについて叱責ばかりを行い、場合によってはバカ扱いするような会社では高い確率で労働トラブルが発生しています。

 このように考えると、組織運営がうまくいくかどうかは、最後は人間同士の関係なのです。リスク対応型就業規則を整備し、労働トラブルに備えることも一定の範囲においては重要ですが、本質的な課題はそこではありません。無用なトラブルを避け、安定した組織運営を実現したいのであれば、まずは会社が社員のことを信頼し、コミュニケーションを通じて、それを伝えていくことが重要です。会社からの想いが伝われば、ほとんどの社員はそれに応えてくれるはずです。

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