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2014年05月

厚生労働省が検討する過重労働改善のための労働時間量的上限規制 今週水曜日、産業競争力会議が開催され、多くのマスコミでも報道されたように新たな適用除外制度の導入を目玉とした労働時間制度改革の本格的な議論がスタートしました。その内容は労務ドットコムメインブログの2014年5月29日記事「大きな注目を集める産業競争力会議で示された労働時間制度改革の概要」をご覧いただきたいと思いますが、今回、厚生労働省から提出された資料を実務家視点で見ると、注目の適用除外の拡大以外にも様々な興味深い内容が盛り込まれています。本日はその中から、「働き過ぎ」の改善として検討事項に掲げられている事項について見て行きたいと思います。

 企業に安全配慮義務の履行が強く求められる現代において、過重労働防止はもっとも重要な労務管理上の課題となっています。こうした背景から近年の労働基準監督署の調査においては36協定への指導が多くなされていますが、36協定はあくまでも時間外労働・休日労働をさせる枠を決めるだけのものであり、特に特別条項を設けるような場合においては(監督署の指導が入るとは言え)労働時間は事実上青天井とすることができる仕組みとなっています。そこで今後、労働政策審議会で以下の3点の対策が議論されることとなりました。
割増賃金の在り方
労働時間の量的上限、勤務間インターバル
年次有給休暇の一部について時季指定を使用者に義務づけること


 まずの割増賃金については既報のとおり、現在、中小企業において猶予されている60時間超の時間外労働についての「割増率5割」が2016年4月にも廃止され、企業規模に関わらず、5割の割増が適用される方向で調整が進められます。次いでについては、これまで我が国の法制ではトラック運転手など極く一部の業種で設けられていた労働時間の上限や前日の勤務終了から翌日の勤務開始までの間に一定のインターバルを設けることを義務付けるというものであり、過重労働防止には間違いなく有効ではあるものの、社員の残業に頼ることが多い中小企業の労務管理には大きな影響を与えることは確実です。

 そしての年次有給休暇の取扱いに関しては、これまで有給休暇取得の時期指定は指定付与など一部の例外を除き、労働者側が行うこととされていました、しかし今回の案では、年次有給休暇の取得促進を目的に付与される年次有給休暇のうち、一部についてその取得時期を会社が決めるという仕組みが検討されています。これにより繁閑の差を調整し、会社が社員に計画的に年次有給休暇の取得をさせることを想定しています。場合によっては一部、年次有給休暇買い上げの解禁といったことも考えられるかも知れません。

 このように今回の厚生労働省案では、従来にない実質的に高い効果が見込まれる対策が盛り込まれています。こうした内容はいずれも企業の労務管理に大きな影響を与えることから、今後の産業競争力会議、そして労働政策審議会の動きには注目していかなければなりません。このブログでも継続的に取り上げていきたいと思います。


関連blog記事
2014年5月29日「大きな注目を集める産業競争力会議で示された労働時間制度改革の概要」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52037633.html
2014年4月9日「労政審での労働時間法制抜本見直しの議論は「企画業務型裁量労働制の緩和」に集中」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/37406188.html
2014年3月5日「今後議論される労働時間の総量規制と勤務間インターバル制度の導入」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/36717866.html
2014年2月27日「遂にスタートした60時間超「割増率5割」の中小企業猶予の見直し議論」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52028024.html

参考リンク
首相官邸「第4回 産業競争力会議課題別会合 配布資料」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/kadaibetu/dai4/siryou.html

変な人 わが国ではスティーブ・ジョブスのような変人レベルのイノベーティブな人材はなかなか育たないとよく言われます。しかし、総務省はそうした人材を育成しようという方針を決定し、ICT分野で、従来製品・サービスの価値を破壊するかも知れないまったく新しい価値を生み出す「破壊的イノベーション」を起こす「変な人」に対し、研究費300万円を支給するなど支援を行うこととなりました。

概要:経済のグローバル化が進展し、多くの技術がコモディティ化したが故に、技術のキャッチアップが急速に進む環境となり、わが国でも地球規模の発の破壊的イノベーションが求められている。そこでICT分野において破壊的な地球規模の価値創造を生み出すために、大いなる可能性がある奇想天外でアンビシャスな技術課題に挑戦する人を支援するため、「独創的な人向け特別枠(仮称)」を平成26年度より開始する。
対象者:大いなる可能性のあるICT課題に挑戦する個人(義務教育修了者)
研究費:300万円(上限)
    ※所属機関には間接経費を別途支給
公募開始:2014年6月(予定)
期間:1年間(繰返し応募可)
採択件数:10件程度 (想定)
評価: 絶対評価

 年間300万の研究費というのは若干中途半端な印象も受けますが、中央官庁の資料の中で「変な人」を支援すると明記されたことは興味深いのではないでしょうか。こうした場を活用し、チャンスを掴む若き事業家が登場することを願って止みません。


参考リンク
総務省「平成26年度「独創的な人向け特別枠(仮称)」に係る業務実施機関の公募」
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin03_02000075.html
総務省「情報通信審議会 情報通信政策部会 イノベーション創出委員会(第14回)」
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/innovation/02tsushin03_03000126.html

改めて実証された「部下をほめる」ことの重要性 職場における「ほめる」ことの効果が見直されていますが、株式会社サーベイリサーチセンターでは、職間における「ほめる効果」についてアンケート調査を実施しました。この調査は民間企業の正社員 管理職124、一般社員213、そして公務員の正規職員 管理職122、一般職206のサンプルを集計したものですが、改めてほめることの重要性が明らかになっています。

 非管理職の調査結果を見ると、ほめられるとやる気が高まるという回答が24.3%、やや高まるが56.3%となっており、ほめられることに対するプラスの回答が全体の80%となっています。またこの調査の中で私がもっとも興味深かったのが、ほめられている人とほめられていない人の仕事に対する意識の差です。特にそのギャップが大きい項目を見てみましょう。
※数値は「ほめられている人」の回答割合-「ほめられていない人」の回答割合(ギャップ)
職場における自分の評価に満足している 28.5
職場の一員として役立っている自信がある 27.0
自分の仕事は周囲から十分評価されていると思う 26.9
周囲の人との人間関係に満足している 26.1
いまの会社で働くことに満足している 25.8
仕事を効率的にこなせている 25.7
会社に役に立っているという自信がある 25.4
いまの仕事に満足している 22.7
現在の労働時間に満足している 22.3
少々困難な目標でも挑戦したいと思う 21.3

 このように「ほめられている人」は仕事に対して、非常にプラスの印象を持っていることがよく分かります。ちなみに「ときどき会社を辞めたいと思うことがある」「出勤するのがおっくうになることがある」というネガティブな項目については「ほめられていない人」の回答割合の方が多くなっており、ほめることが仕事の意欲を引き出すことがよく分かります。いまや管理職に求められる重要な行動特性の一つとして「部下をうまくほめること」を挙げなければならない時代になっているのかも知れません。


参考リンク
サーベイリサーチセンター「SRC自主調査004「職場における『ほめる効果』に関するアンケート」」
http://www.surece.co.jp/src/research/jishu/20140520.html

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