話題の同一労働同一賃金 先月開催された第5回 一億総活躍国民会議の中で、安倍首相は働き方改革として「同一労働同一賃金の実現など非正規雇用労働者の待遇改善」という方針を明確に示しており、今後、急速にこの議論が進められることは確実です。これまでもパートタイム労働法や労働契約法においてその基本的な考え方は示されているものの、いま一つ、しっくり来ない、そもそも日本では難しいと考えている方が多いのではないかと思います。

 そんなみなさんにご覧頂きたいのが、この会議の中で東京大学社会科学研究所教授(労働法)の水町勇一郎先生が提出された「同一労働同一賃金の推進について」という資料です。この資料では諸外国での制度の比較分析を行った上で、日本での導入・実現可能性とその必要性が述べられています。そのポイントを以下のようになっています。
日本の環境認識
・日本の現状では、とりわけ家庭生活上の制約が大きい女性、正規雇用に就けない若者、定年後の高齢者などにおいて、その働きぶりに見合わない低い処遇を受け、その能力を発揮できていない者が数多く存在する。
・同一労働同一賃金原則により非正規労働者の処遇の改善(公正な処遇)を促し、多様な状況にある人々がそれぞれの状況のなかでその能力を十分に発揮できる多様で魅力的な就業環境を整えていくことが、一億総活躍社会の実現に向けた不可欠の取組みの1つ。

日本での導入の際のポイント
・欧州は職務給、日本は職能給(職務+キャリア展開)なので、日本への同一労働同一賃金原則の導入は難しいという議論がある。しかし、欧州でも、労働の質、勤続年数、キャリアコースなどの違いは同原則の例外として考慮に入れられている。このように、欧州でも同一労働に対し常に同一の賃金を支払うことが義務づけられているわけではなく、賃金制度の設計・運用において多様な事情が考慮に入れられている。
・これらの点を考慮に入れれば、日本でも同一労働同一賃金原則の導入は可能と考えられる。不利益取り扱いが禁止される「客観的な理由(合理的な理由)」の中身については、最終的には裁判所で判断され、社会的に蓄積・定着していくことが考えられるが、その蓄積・定着には時間がかかるため、欧州の例などを参考にしつつ、「合理的な理由」の中身について、政府として指針(ガイドライン)を示すことが有用ではないか。

 以上のような内容でまとめられています。今後、重要性を増す分野となりますので、詳細は以下の資料でご確認ください。
東京大学社会科学研究所教授(労働法)水町勇一郎先生資料「同一労働同一賃金の推進について」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/dai5/siryou2.pdf


 参考リンク
首相官邸「第5回 一億総活躍国民会議議事次第」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/dai5/gijisidai.html