規程集 思い付きで始めた労務ドットコム立ち上げの経緯の記録ですが、本日はその3回目です。

 労務ドットコムの初期における最大のコンテンツは、就業規則など諸規程、そして労働契約書などの各種書式のファイルを無料でダウンロードできるというものでした。現在では厚生労働省さえもが就業規則などのテンプレートを無料で配布することが当たり前の時代であり、多くの社労士も自社サイトで同様の取り組みを行っていますが、当時はそんなサイトは他にはありませんでした。

 聞くところによれば、当時は「商売のネタである就業規則のひな形を無料で配布するのはどうなのか?」という批判的な意見もあったようですが、当時の私は、官公庁で(紙媒体とはいえ)無料で配布されているものや、書店に行けば2,000円程度で購入できるようなひな形自体には価値はないと考えていました。本当の価値は、企業の実態を反映し、最適な制度構築を通じて、働く環境を整備すること。ひな形を少しだけ修正し、結構な金額を請求するような仕事は早晩なくなっていくと考えていました。結果を見れば、時代はやはりそのような方向に動きましたので、当時の判断は正しかったと言えるでしょう。

 2009年に「ロングテール理論」の名付け親であるクリス・アンダーソンが「フリー」という書籍を出版し、いわゆるフリーミアムの考え方を提唱しましたが、当社のこの取り組みは別の形で成果を創出することになりました。つまり、規程などのひな形を無料で配布したことにより、そこに人が集まり、またひな形を無料で配布しているということはコンサルティングをお願いすればよりレベルの高いサービスを提供してもらえるだろうという期待に繋がり、問い合わせが増加したのです。これは当初、想定していたものではありませんでした。

 その後、Lotus1-2-3(表計算ソフト。その後、EXCELに移行)で作成した各種シミュレーションソフトの配布も行い、それがビジネスガイドでの連載となり、更には書籍出版に繋がっていきます。現在までに18冊の書籍を出版し、他メンバーもそれに続いて多くの書籍を執筆していますが、そのきっかけもこの労務ドットコムでの無料配布にあったのです。

 ちなみに、労務ドットコムは企業経営者や人事労務担当者を対象と考えていたのですが、実際には多くの社労士のみなさんがアクセスし、各種コンテンツを活用してくれるようになっていきます。これはまったく想定していなかったのですが、社労士のみなさんに効果的にコンテンツを利用いただけることにより、私の想いが私だけでは届けることができないところまで届くようになり、非常によかったと考えています。

※画像は当時の書式ダウンロードページ


参考リンク
2019年5月29日「労務ドットコム昔話(2)労務ドットコムの立ち上げ」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/53399451.html
2019年5月27日「労務ドットコム昔話(1)労務ドットコム立ち上げまで」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/53399382.html
労務ドットコム
http://roumu.com/