名南経営 大津章敬のいい会社を作るための人事労務管理

名南経営 人事労務コンサルタント 大津章敬公式ブログ

カテゴリ: 高齢者雇用

ローリー 定年再雇用者の賃金減額について争っている長澤運輸事件ですが、昨日(2018年4月20日)に最高裁で弁論が行なわれ、2018年6月1日に判決が言い渡されることとなりました。4月23日には同じく同一労働同一賃金が論点となるハマキョウレックス事件の最高裁弁論も行なわれる予定。

 このように考えると6月には同一労働同一賃金に関する最高裁の判断が示されることになりそうです。また今国会で審議される予定の働き方改革関連法案も、会期末は6月20日で、いくらか会期延長して成立を目指すというのが政権の方針(現在の混乱を見ると、一筋縄ではいかないでしょうが)のようですので、7月までには最高裁、法改正がともに出揃うことになり、いよいよ同一労働同一賃金もまったなしという状況になっています。

 同一労働同一賃金に関する法改正(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)の施行は大企業が2020年4月、中小企業は2021年4月に予定されています。これまでは労働時間の上限規制ばかりが話題になっていましたが、現実を考えれば同一労働同一賃金の方が圧倒的に影響が大きく、わが国の雇用慣行、そして企業の人事制度を根幹から揺るがすものになる可能性があります。

 6月1日の最高裁の判断が注目されます。

大和ハウス工業 今月より60歳以降の社員の人事制度を見直し 昨年、改正高年齢者雇用安定法が改正され、原則として希望者全員の65歳までの雇用確保が義務付けられました。しかし、60歳代前半の嘱託社員の人事制度の本格的整備はなかなか進められないまま、1年が経過しています。しかし、年金支給開始年齢の更なる引き上げを2年後に控え、今年度は多くの企業でその制度構築が進められると予想されますが、大和ハウス工業では今月から新たな制度の導入を行っています。

 そもそも同社は先行して65歳定年制に移行していましたが、従来は60歳で年収が従来の60~70%に下がり、その後は65歳まで給与は一定という仕組みになっていました。今回、この仕組みを見直し、年1回の人事評価を実施し、昇給や昇格がある仕組みが導入されます。改定の程度としては小規模なものではありますが、60歳以降の従業員についてもより主体的な仕事を期待するという点において、多くの企業が検討しなければならない課題に取り組んでいると評価できるのではないでしょうか。

 60歳代前半の賃金制度は雇用保険の高年齢雇用継続給付が存在する限り、やはり今回のケース同様に賃金を一定程度下げた方が労使共に得をするという仕組みになっていますので、どうしてもこのような小規模な制度改定に止まる例が多いのではないかと思います。しかし、本質的には65歳まで現役感を持って良い仕事をさせるためにはどうすべきかという根本的な議論を行わなければなりません。


継続雇用者 今春、改正高年齢者雇用安定法が施行され、原則希望者全員の65歳までの雇用確保が求められるようになりました。就業規則の改正や労使協定の締結などは前年度末までに完了した企業が多いと思われますが、今後対応が求められるのは60歳以降の賃金制度の確立です。そんな中、先日、住友生命は「改正高年齢者雇用安定法対応状況に関するアンケート調査」の結果を公表しました。この調査は、業種・企業規模等を問わず全国の企業・団体を対象として実施されたもので、有効回答数は1,616。本日はこの中から60歳以降の月例賃金の水準についての結果を見てみることにしましょう。

 「月例給与は、定年時と比較しどの水準か」との設問に対しては、定年時の「6割以上7割未満」との回答が23.4%ともっとも多く、次いで「5割以上6割未満」が21.6%、「4割以上5割未満」が16.1%となり、4割以上8割未満を合計すると71.5%となっています。その詳細は以下のとおりです。
9割以上から同水準 3.8%
8割以上9割未満 3.2%
7割以上8割未満 10.4%
6割以上7割未満 23.4%
5割以上6割未満 21.6%
4割以上5割未満 16.1%
3割以上4割未満 8.5%
3割未満 1.1%
無回答 12.0%

 このように水準は概ね世間相場が形成されている状況ですが、その賃金の決定方法については今後、多くの企業で改善が求められます。というのも現在は単純に定年到達時賃金の○割と決めている例や、在職老齢年金や雇用保険高年齢雇用継続給付の支給額を睨みながら最適の減額率を計算し、給与を設定している例が多いのではないかと思います。しかし、これらはいずれも定年時の給与からの逆算で決められており、実際の職務内容と賃金のアンマッチを避けることができません。具体的に言えば、嘱託社員としてまったく同じ補助的職務をしているにも関わらず、定年前の給与によって実際の賃金に差が出るようなことが起きてしまっているのです。これでは嘱託社員のモチベーションをみすみす下げてしまうことに繋がります。

 よって今後は基本的には定年前の賃金とのリンクは断ち切り、職務や役割の高さに基づいて賃金を設定する例が増加するでしょう。更に言えば、その原資の捻出や実質的65歳定年時代を背景として、現役世代の賃金制度も一緒に見直す例も急増するはずです。

 原則希望者全員雇用となったことで、60歳以降についても現役感を持って仕事をしてもらうことの必要性が高まっています。嘱託社員のモチベーションを維持しながら、妥当な賃金を支給する仕組みを早急に構築していかなければなりません
参考リンク
住友生命保険「「改正高年齢者雇用安定法対応状況に関するアンケート調査結果」について」
http://www.sumitomolife.co.jp/about/newsrelease/pdf/2013/131213.pdf

このページのトップヘ