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カテゴリ: 安全衛生

認定率 先週金曜日に平成27年度の「過労死等の労災補償状況」が公表されました。この調査は私が毎年注目しているいくつかの重要統計のうちの一つとなっていますが、その結果は以下のとおりとなりました。
請求件数は1,515件で、前年度比59件のプラス(過去最多)
支給決定件数は472件で、前年度比▲25件
その結果、認定率は36.1%(前年度比▲1.9ポイント)


 このように請求件数は毎年伸び続ける一方で、認定率は平成24年度の39.0%を頂点に、落ち着きを見せているという状況です。今回はこの認定率にフォーカスを当ててみましょう。以下は決定件数上位10項目(その他は除く)の具体的な出来事と支給決定件数、認定率です(矢印の左の件数が「決定件数」、右側が「支給決定件数」)。
上司とのトラブルがあった 259件→21件(認定率8.1%
仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった 152件→75件(認定率49.3%)
(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた 151件→60件(認定率39.7%)
特別な出来事 87件→87件(認定率100.0%)
(重度の)病気やケガをした 85件→34件(認定率40.0%)
悲惨な事故や災害の体験、目撃をした 80件→45件(認定率56.3%)
1か月に80時間以上の時間外労働を行った 55件→36件(認定率65.5%)
配置転換があった 55件→13件(認定率23.6%)
同僚とのトラブルがあった 50件→2件(認定率4.0%)
2週間以上にわたって連続勤務を行った 38件→25件(認定率65.8%)

 認定率を見てみると、心理的負荷が極度のものである「特別な出来事」が100%となっており、それに続くのが、「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」の65.5%と、「2週間以上にわたって連続勤務を行った」の65.8%となっています。一方、決定件数が最多の「上司とのトラブルがあった」については認定率が8.1%に止まっています。

 ハラスメントは近年、あらゆる調査で増加を続けていることがよく知られるようになりましたが、労災認定という点ではなかなか認められず、労働時間等の数字が明確に出る長時間労働や休日出勤などが重視される傾向があるようです。


参考リンク
厚生労働省「平成27年度「過労死等の労災補償状況」を公表」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000128216.html

過労死等に至るプロセスを1枚にまとめた厚生労働省資料 過重労働対策は労務管理における最重要テーマの一つとなっていますが、先日、厚生労働省は、過労死等防止対策推進法施行を受けて実施された「過労死等に関する実態把握のための社会面の調査研究事業」の報告書を公表しました。

 この中に、「過労死等に至るプロセス」という図表があります。これは文字通り、労働環境における負荷が蓄積し、身体状態の悪化を招き、最終的には発症するというプロセスを簡潔にまとめた資料。あるようでなかった資料ですので、社内における過重労働対策研修などでご活用ください。
ダウンロードは以下から(P9にあります)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000124199.pdf
参考リンク
厚生労働省「過労死等に関する実態把握のための社会面の調査研究事業 報告書」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000124199.pdf

メンタル 今後改正が予定される労働基準法では、年次有給休暇の5日間、取得義務化が盛り込まれており、今後、過重労働対策の一環として年次有給休暇の取得促進が大きなテーマとなってきます。そんな中、日本生命は面白いデータを公表しました。それによれば、年次有給休暇の取得率とメンタルヘルス不調による求職者数には一定の相関関係があるようなのです。

 まず年次有給休暇の取得率を見てみると、平均では50.1%となっており、この水準は厚生労働省の調査とほぼ同じ水準となっています。この取得率別でメンタルヘルス不調による求職者の変化を見ると以下のような結果となっています。
取得率20%未満
 求職者数が増えている 65.5%
 求職者数が減っている 0.0%
取得率20%以上40%未満
 求職者数が増えている 50.0%
 求職者数が減っている 6.7%
取得率40%以上60%未満
 求職者数が増えている 48.4%
 求職者数が減っている 15.3%
取得率60%以上80%未満
 求職者数が増えている 44.0%
 求職者数が減っている 19.2%
取得率80%以上
 求職者数が増えている 39.0%
 求職者数が減っている 10.2%

 このようにこの両者には一定の相関関係が見られます。特に取得率20%未満の企業は、たぶん労働時間自体も長いと予想され、社員の健康にとって問題が多いと言うことができるのではないでしょうか。科学的な根拠があるような資料ではありませんが、過重労働対策の重要性を語る際には使えるデータかも知れません。
参考リンク
日本生命保険「ニッセイ『福利厚生アンケート調査』報告書」
http://www.nissay.co.jp/news/2015/pdf/20160119.pdf

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