1日でも。1時間でも1分でも1秒でも早く揺れが終息することを祈ってます。


自粛をしてたワケじゃないのですが、この1週間、書いたのがえrっぽかったのしかないという安定過ぎる内容で○(`・ω・)==○ノД)
そんなこんなで、長く親しくして頂いているお嬢さまに「書いていい?」と許可を頂いて書かせていただいたネタをペタしていきますー。
拍手ありがとうございますっ!!
えrっぽいのはまた後日で。


『らいあー・らいあー』

「すみませんっ!あの可奈さん……もう今日のご飯の用意はしてます……よね……?」

 夕方の5時過ぎに鳴った電話に出ると、私が声を発するよりも先に想の「ごめんなさいごめんなさいっ」な声が聞こえてきた。

「どうかした?」

 私はあと数分で出来上がるローストビーフをオーブンの蓋越しに様子をうかがう。
 今日は以前からリクエストされていたローストビーフを昨日から仕込んでいて、今まさに焼き上がろうとしている。前に作ったらすごく食べてくれたんだよね。今朝の時点では今日は早く帰ると言っていたんだけど……この言い方は……

「あの……MITの方からお世話になった教授がこちらへやってきてまして……その……」

 ああ、夜は接待しないといけないのね。
 皆まで言わずも想の「昨日何か仕込んでましたよね!?ご飯用意してますよね!?」との土下座からのコメツキバッタな様子が脳裏に描かれた。

「ん?作ってないよ」

「え?」

「ごめんー。ちょっと昼寝……って思って寝ちゃったらさしっかりと寝ちゃってさっき起きたばっかりなんだよ。だからまだ何も用意してないんだ。だから気にしなくていいよ」

「ほんとう……ですか?」

「こんなこと嘘言ってどうするんだよー。あーでもあまり遅くならないように。それから飲み過ぎないように。今日も遅くまで作業をしててまた寝不足だろ?」

 ご飯はもうすぐ出来上がるし、だけど急用で想は帰ってこれない。こればかりはどうしようもないじゃん。ここで想を責めたって可哀想なだけ。ローストビーフだからこれから冷やさないといけないし、明日の朝ごはんにはちょっと……だけど食べられないワケじゃない。それよりも想の体の方が心配だよ。

「12時回るようでしたら1度連絡しますので、僕に気にせず先に寝ててください」

 はーい、と返事をして電話を切る。まあそんなこと言われても待ってるけどさ。
 ……さあて夕飯何にしようかな?私だけだから簡単に済ますのは決定なんだけど……あ、トマトジュースとむき身のあさりがあるからトマトとあさりのリゾットとサラダでいっかー。

 ピーッピーッピーッ

 フライパンにオリーブオイルを垂らしてお米の用意をしようとしたところでタイミングよくローストビーフが焼き上がったのを知らせる電子音が聞こえた。




 コーヒーの匂いで目が覚めた場所はふかふかのベッドの中だった。しかも目覚まし時計は起きる時間にプラス20分足した時間を指している。そして隣に想はいない。
 想からの「先に寝ててください」の電話を受けたのは11時を過ぎていた。だけど私はテーブルで待っていたはずで……。

「おはよっ。おかえりっ。あれ?いつ帰ってきた?私ベッドで寝てた?」

 ぼんやりしたままリビングに顔を出すと想は今まさにコーヒーを飲もうとカップに口をつけているところだった。

「おはようございます。昨夜は1時過ぎに帰ってきました。そうしたら可奈さんがここで寝てて、声をかけたら自分でベッドへ行きましたよ。はい、どうぞ」

「あっそう……ありがと」

 想から渡された注がれたミルク多めで砂糖が2つの私好みのコーヒーに口をつける。
 ……そんなわけ無いじゃん。私2時まで起きてたんだから。しかもベッドだって想の枕は使った形跡がなかった。私にそんな嘘をついてどうするんだよ……また徹夜してほんと体壊すからなっ!目の下のクマ、とれなくなっちゃうからなもうっ!私のことを気遣わなくていいから!自分を労って!

「コーヒーありがと。急いで朝ごはん作るね」

「あっそれですが……あの……」

 ん?半分飲んだカップを置いて急いで用意をしようとする私の手を想が掴んだ。

「あの……その、僕が用意したので……食べませんか?」

「えっ」

 想が用意!?え?ちょ、ちょっとまって!?
 一瞬にして目が覚める。そしてテーブルへ視線を向けるとフランスパンや山型パンと一緒に昨日粗熱が取れた後冷蔵庫へ直行したローストビーフ、レタス、スライストマト、ゆでたまご、ディップ上になったツナ、チーズ、ジャム、バターなどのトッピングが置かれている。

「これ全部想が用意したのっ?」

「用意をしてくれていたのは可奈さんもでしょう。……昨日はすみませんでした」

「べべ別に作っておいた方が楽だったら作っただけだからっ!それに想が謝ることじゃないしっ!でも……あれ?パン……あったっけ?」

「え?あ、ありましたよ」

 朝はご飯にしようと思っててパンの買い置きはなかったはず。しかもこのパン、評判のお店で開店も早いけどその分朝早くから並ぶお客さんも多いお店で……。こんなことで徹夜なんかして……ばか。

「さすがにローストビーフを切り分けるのはできないのでお願いしたいのですが」

 美味しそうだけどこの状態だったからつまみ食いができなくて、とはにかむ。
 あーもうずるいっ!疲れて眠いのにこんな用意をしてくれてそんな顔されたら……想のこと、大好きじゃないかっ!!

「も、もう少し自分のことを労れってば。そうじゃないとキライになるからっ!そ……それでどのくらいの厚さがいい?パンはどっち?」

「わかりました、嫌われたくないのでご飯を食べたら寝ます。あ、厚さはそのくらいで。パンはイギリスパンがいいです」

 思ったことと逆のことを口にするけど、きっと顔が真っ赤になっているから想に気づかれている気がする。……想が私のことを見てすごく嬉しそうに笑っている。
2016.4.18