2006年05月

2006年05月22日

ダム湖のサクラマス―消えた沢を探す

 ダム湖にそそぐ谷に降り釣り始めると、雷鳴が谷底に響きわたった。粒のような雨が竿や体を打つ。

 沢筋には雷は落ちないと聞いたことがあるが、ほんとうだろうか。カーボン製6mの長竿を立てたとき、予期せぬ落雷にあうかもしれない。ヤマメの魚影が見えないので竿をしまうことにする。

 谷底から20mくらい上の橋横に上がるころには、雨が弱まりはじめる。にわか雨のようだ。湖面の向かい側は、雲間から青空が広がっていく。

 ダム湖ができる前に本流を渡り崖を登って釣った沢を探しに来たのだが、橋の上から見た流れに誘惑されてしまった。湖にそった道を奥へと進むことにする。U字形の大曲がりを過ぎるとトンネルが見える。ヤマメが数10匹も釣れた沢はこの先にちがいない。

 トンネル内にクマやイノシシ・サルがいては困るので、腰につけた2種類の鈴をふって鳴らす。足元が徐々に見えなくなる。マムシやヤマカガシがいるかもしれない。暗がりの中、しめつけられるような恐れと、未知への探検にわくわくしながら、ときめく。ネマガリタケをヒグマが喰い散らかしていた暑寒別岳(1491m)を1人で登ったときの高まりだ。

 トンネルは長い。5分以上歩くが中間まで行かない。カサカサッと音がする。コウモリだろうか。百円店で買った鍵につける5cmの極小懐中電灯で照らして歩く。声をだすとウォーと響きわたる。トンネルの先にある半円形が少しずつ大きくなり、ようやく外にでる。

 トンネルの外で道は終わりになっている。急斜面が湖に落ち込み、50cmほどの踏み跡がついている。沢はこの先だろうか。狭い道から滑り落ちないように進む。小山をこえると沢だ。笹をかきわけて下る。だが、流れがあまりにも細い。この沢ではない。さらに進み、2つ目の沢をのぞくがちがう。

 あきらめてもどる。帰りのトンネルは気が楽だ。トンネルをぬけ、U字形の道にきて気がつく。U字の内側に沢があったのだ。1kmほどの沢は下流が水没し、ダム湖にそって新しい道をつくるときに上流は埋められてしまっていた。なんともやりきれない思いで来た道をもどった。




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2006年05月17日

やわらかいサンショウの佃煮

 庭の隅にあるサンショウの枝葉がのび放題になった。木の芽ともいうサンショウの葉を摘むことにした。ところが若葉の時期が過ぎたので、やわらかい小さな木の芽は枝先に2、3枚しかついていない。佃煮にするにはあまりにも少なすぎる。そこで採取方法を考えた。その結果、すーっと香り立つやわらかく口あたりのよい佃煮ができた(写真)。

 葉の香りが残っていて、葉軸がやわらかい部分を集めることにした。そのために、直径20cmのプラスチック製ザルと剪定用のよく切れるハサミを用意した。ザルを下に受けて、枝先にあるやわらかい若葉をつけねから切り落とす。黄緑色のやや大きめの双生の葉は先から7枚ほどで切り落とし、緑色の硬めの葉は先から3枚ほどで切り落とした。

 昨年までは指でむしっていたが、新しい採取方法は次の利点があることがわかった。
  採取時間が半分以下になる。
  トゲが手にささらない。
  たくさん集めることができる。
  葉も軸もやわらかく香りがある。
  ついでに剪定もできる。

 今夜は、サンショウの佃煮を酒菜に壱岐の焼酎を楽しもう。

サンショウの佃煮




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2006年05月12日

初めて収穫したサクランボ

 サクランボのなるサクラの苗木を庭に植えてから8年たつ。今年はじめてサクランボをザルいっぱい収穫した。収穫できたのは、かんたんな工夫をしたからだ。

 苗木を植えてから3年後にサクランボがなりだした。しかし、実が熟したころになると、どこからともなくトリの群れがやってきて食べつくしてしまった。明日とろうと思っていると、翌日にサクランボが消えうせていたことが何度もあった。

 そこでトリよけの網を買ってきて木をおおった。ところが、網でサクラの木を完全におおうことは困難で、隙間からシジュウカラなどの小鳥が進入して実を食べた。市販のサクランボは温室の中で育てられていることもテレビで分かった。

 今年こそはサクランボを食べてみたいものだ。紙袋をかけることも考えたが、たいへんだし、そこまでする気がしなかった。サクランボのサクラの開花は早い。サクランボのなるサクラが咲いたあと、ソメイヨシノ、ヤエザクラへと開花が移り、小さなサクランボが育ちはじめたころ、スーパーの台所用品売り場で白い色の排水ネットを見かけた。

 これだ、と思い40ネットを買ってきた。ネットは光がさしこみ、風がとおり、トリがついばめないからだ。サクランボが数個以上なるところにかぶせた。翌々日、いくつかのネットが大風で飛ばされたので、ネットの口をホッチキスでとめた。

 サクランボが熟した。さきほどサクランボをとっていると、横にそびえるケヤキの中から小鳥たちのさえずりが聞こえてきた。「サクランボが食べたいよ」とでも鳴いているのだろうか。つやと香りのある甘酸っぱいサクランボが収穫できた。

サクランボ




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2006年05月05日

ダム湖のサクラマス― 最源流にて

 2001年にダム湖が誕生してから5年たつ。ダムができる前にヤマメを求めて1度だけ遡行した沢、本流を渡り崖を登ってヤマメを釣った沢―これらの沢がダム湖の出現によってどのようになったのかを2週にわたり確かめに行った。

 その記録を3回に分けて掲載する。
  最源流にて
  消えた沢を探す
  サクラマス現る

最源流にて
 
 ダム湖がなかった10年前、5万分の1の地図で全長1.5kmほどの小沢を見つけた。本流を渡渉し、対岸の小沢に入った。道は見つからず、沢を自然の道とした。スギ類の倒木が行く手をさえぎり、何度も倒木をくぐったり、またいだりしながら進んだ。

 幅3mほどの沢は、膝下くらいの深さでゆるやかに流れていた。毛バリを流すがいっこうに魚がでない。走る姿も見えない。腰をかがめながら倒木と藪をくぐり、沢をつめると、村落があった。沢には堰堤もないし、本流とつながっているのでヤマメがいてもよいはずだ。しかし1匹の魚にも会えず、探索は徒労に終わった。

                *

 サクラの咲く4月中旬、霧雨に煙るダム湖に来ている。ヤマメを求めて歩いた沢は湖底に沈み、最源流部だけが細々と流れている。まだ辿っていない残された流域―そこには何がいるのだろうか。ゴアの雨具を着込み、念のため鈴を腰につけて沢の中を歩きだす。

 沢はざら瀬で落差がない。深さは膝下で、大石が埋まった小砂利の底だ。流れが速く、魚が待機する場所がほとんどない。そう思いながら進むと、右側に石が沈んでいて、1mほどの深みをつくっている。毛バリを水面に乗せると、バシャっと魚が飛びついた。一瞬、合わせがきき、かかった。ヤマメかと思ったが、毛バリに食いついたのはニジマスだった。

 そのニジマスは18cmほどで、下腹が橙色をしていた。下腹が橙色や赤色の渓魚は、水深が浅い場所をあまり移動しない居つきのイワナなどに見られる。

 その後魚影がなくさらに進むと、山腹から水が吹き出ていた。吹き出す水源―10年以上前にヤマメを求めて遡行した沢は放水路だったのだ。あっけない幕切れとともに、流れに沿ってもどると、霧の中にサクラ色がかすんで見えた。

ダム湖のサクラ




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