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無垢フローリングの用語集

無垢フローリング

▼あ行

赤味(あかみ) 丸太を切断した時の木材中心部を指す。心材と同義。
 
アンティーク調無垢フローリング  クラシカルバーチなど 使い込まれた無垢材の雰囲気を再現した古材調の無垢フローリング。わざと割れや傷をつけた表面は、古民家の内装を連想させます。
 
板目(いため) 木取りの仕方による板表面の木目の模様をいいます。 年輪(丸太)の接線方向に挽いたときに現れる山形模様の木目をいいます。 板目板はたくさん取れるので、柾目と比較して安価ですが、収縮により反りがでてしまうのが難点。

 浮造り(うづくり) 木材の年輪を引き立てて見せるために、杉・スギといった針葉樹の板表面、“春目(はるめ)”と呼ばれる柔らかな部分を磨いてへこませ、木目の部分を浮き立つようにした仕上げ方法。

埋木(うめぎ) 木材についた釘穴や深い傷、抜け節などの補修穴や誤ってあけた穴を埋める木片。同一の樹種を精度よく加工する。

エンドマッチ(えんどまっち) 無垢フローリング等を施工し、縦つぎする場合に便利な小口のサネ加工形状。

▼か行
唐松(からまつ)・ラーチ 日本を代表する針葉樹。戦後、唐松・ラーチはその成長の早さを見込まれて杉(スギ)桧(ひのき)が植林できない寒冷地に多く植林されました。30〜40年ほどの成長途上にある植林木はねじれや暴れがあり使いづらい木材でしたが、近年の乾燥技術の向上によりフローリング・壁材といった内装材から柱材、梁材への利用されるようになってきました。

乾燥技術(かんそうぎじゅつ) 木材を使用するために欠かせない加工工程。 元々木材は多量の水分を含んでいるので、そのまま使うには強度も、そして使用後の変形も大きく狂ってしまいます。 そのため、昔から行ってきた乾燥技術としては「葉枯らし」や天日に干して大気と同程度までの湿度まで下げることが可能な「自然乾燥」、近年では効率的、かつ強制的に乾燥を行う人工乾燥などの技術で建築材料として木材は利用されています。

木味(きあじ) 「木味」といっても木の味ではありません。年月が経つにつれて無垢材にでてくる趣(おもむき)や風格のことをいいます。 特に室内に使用される木材は時間の経過とともに、無垢材そのものが持つ成分によって徐々に表面が光沢を帯びてきたり、色合いが落ち着いてきたりします。無垢材に秘められた大きな特徴ともいえます。突き板と呼ばれる木材を薄くスライスしたものを表面に貼ったものにこの木味を求めることはちょっと難しい。 木味は無垢材だけに与えられる効果なのですから。

気乾比重(きかんひじゅう) 木の含水率を約15%まで乾燥させたときの比重。

源平(げんぺい)
一般的に杉材は赤身(心材)の部分と白太(辺材)の色の差が激しいのですが、特に板材において赤身と白太が混ざり合ったものを源平という。

広葉樹(こうようじゅ) 樹木を葉の形で分けた分類法。もう一方は針葉樹と呼ばれます。広葉樹(こうようじゅ)は読んで字の如く「広い葉を持つ」の意。広葉樹(こうようじゅ)の中でも常緑樹と落葉樹とに分類される。広葉樹(こうようじゅ)の中でも常緑樹としてはカシの木やシイ・クスの木、落葉樹としてはケヤキやブナ、楢(ナラ)・オーク、サクラなどがそれにあたります。針葉樹に比べて材質は硬く木理に富んでいるので、家具やカウンター材などに使用されます。

小節(こぶし) (社)日本農林規格協会(JAS)に規定される木材の等級の1項目、「美観」を示す役物基準の格付け。親指の先で隠れるくらいの小さな節があるものをいう。

▼さ行
実加工(さねかこう) フローリングフローリングを接合させる時に、はめ込み易いように凹凸の加工がしてあるという意味。

サワラ(さわら) 桧(ひのき)の代用品として昔から浴槽や風呂桶、手桶などプラスチック製品が登場するまで生活には欠かせない木でした。 軽く柔らかいのが特徴で、かつ水や湿気に強いところから、お風呂場などの壁に貼ることも可能です。 ただし、人工林が少ないので希少性の高い樹種ともいえます。

サンダー仕上げ(さんだーしあげ) サンドペーパー等を使用して加工表面をきれいに整えること。

死節(しにぶし) 枝が何かの理由で枯れてしまい、そのまま幹の中に包まれ、そして枯れていった枝の痕跡が死節として残ってしまいます。 そのため、死節(しにぶし)は「節穴」と呼ばれる穴になる可能性が高くなります。

4方サネ付き(しほうさねつき) 壁・床材料の長手方向と短手方向の全てにサネ加工が施されていることを言う。短手方向の実加工(さねかこう)エンドマッチ(えんどまっち)とも言う。

上小節(じょうこぶし) (社)日本農林規格協会(JAS)に規定される木材の等級の1項目、「美観」を示す役物基準の格付け。小指の先で隠れるくらいのごく小さな節があるものをいう。

 白太(しらた) 丸太を切断した時の木材外周の部分を指す。辺材と同義。

人工乾燥(じんこうかんそう) 木材はもともと根から水分を吸い上げて育っていきます。 建築材料に使用する場合は、材料自身の含水率を下げてやることが重要です。 人工乾燥機を使用することで、反りや狂いを防ぐことができます。

心材(しんざい)
丸太を切断した時の木材中心部を指す。赤味(あかみ)と同義。 針葉樹 樹木を葉の形で分けた分類法。もう一方は広葉樹(こうようじゅ)と呼ばれます。 針のような葉を持ち、日本固有の木としては桧(ひのき)唐松(からまつ)・ラーチなどがそれにあたります。 昔から梁や柱などの構造材から床材などの造作材などに幅広く利用されてきました。 戦後住宅需要期に伐採され、当時植林された国内針葉樹林が伐採期を向かえ、現在その利用が求められています。

杉・スギ 日本を代表する針葉樹です。戦後、最も多く植林されたのが杉で、国産材の中では安価といわれています。 木目はまっすぐ通り、材質は柔らかい。主に柱材や和室の造作材などに使用されています。は乾燥させるには難しい樹種として、その乾燥技術の向上が求められていましたが、近年は遠赤外線などを用いた乾燥により材芯まで乾燥が可能になりました。 梁材などが取れる大径木も各地で育っており、その利用促進が求められています。

ソリッド材 縦つなぎのない、一枚物の材料のこと。

▼た行
 鳥眼杢(ちょうがんもく) = バーズアイ 小鳥の目のような小さな円形の斑点が、板にたくさん散らばって表れる木目で「鳥目杢」とも書かれます。 楓(カエデ)・メイプル類に多く現れます。 バーズアイメイプルは鳥眼杢の代表としてあまりにも有名な最高級木材です。 フローリングにはもちろんの事、最高級家具材にも重宝されてきました。

超仕上げ(ちょうしあげ) より研磨されたカンナを使用して加工表面をさらに美しく仕上げる手法(寸法精度ではなく見た目を美しくするために使用)

特一等(とくいっとう) 流通の中で用いられる見た目のランク。節と丸みの度合いに応じて、等級が付けられている。 特一等は正角のなかでも若干節はあるけど良質なものをいう。 ちなみにその下が一等(構造的に問題のない程度の死節(しにぶし)や虫食い穴等がある)、二等と続きます。

▼な行
流れ節(ながれぶし) 柾目面によく現れる節。節が傾斜して切断され、細長くなっているものをいいます。

なぐり加工 元来フラットな面にランダムなでこぼこをつけ、板目に独特の質感と風合いを与える加工。

▼は行
バーズアイ → 鳥眼杢(ちょうがんもく) 働き巾(はたらきはば) フローリング・壁・天井材を繋ぎ合わせた時に表面に見えてくる巾を言う。

一坪(ひと・いちつぼ) 畳で2帖分、一坪=3.3m2 桧(ひのき) 日本を代表する針葉樹の一つ。古くから植林されており、面積、量ともに杉(スギ)についで多い。 世界遺産に指定された法隆寺を1300年余り支えてきたのもこの樹種にあたり、昔から優良な材料と知られていました。 反面、杉(スギ)といった針葉樹の中でも成長が遅く、その分手間と時間がかかるため、「桧(ひのき)は割高な材料、高価な材料」と世間に知られていたようです。 現在では蓄積量も増え、国内において安定供給が可能となってきました。

V溝加工(ぶいみぞかこう) 無垢フローリングや羽目板を繋ぎ合わせた時に繋ぎ目にVの字が出来る加工。

節(ふし) 節(ふし)は枝の痕跡が残ったものなのです。 市場では節(ふし)のない材料が高価なものとされるため、育林作業では枝打ちを行い、若い木の時に必要でない幹の下部の枝を払ってしまいます。 そうすることで節(ふし)のない材料が取れる、ということになります。 プレナー仕上げ(ぷれなーしあげ)電動自動カンナによる木材の仕上げ方法。

辺材(へんざい) 木の外周部にあたる周辺の部分をいいます。辺材(へんざい)の部分は木の根から水や養分を枝に運びまた葉で作られた栄養を根に運ぶ役目をします。 そうした役目を終えて細胞が死んでできた部分が心材となります。白太(しらた)と同義。

本実加工(ほんざねかこう) 無垢フローリングや壁材などをつなぎ合わせる方法。無垢フローリング無垢フローリングとが接する箇所に、一方を凹、片方を凸に加工したもの。 実際には凹のくぼみ部分にビスや釘を打ち込み固定することで表面に釘などが見えない様、配慮された加工といえます。 ごく一般的に加工されています。

▼ま行
柾目板(まさめいた) 木取りの仕方による板表面の木目の模様をいいます。 「柾目(まさめ)」は年輪に対して直角に挽いたものをいい、木目がまっすぐな縦縞ができたものをいいます。 またその縦縞が斜めに流れた模様を「追い柾(おいまさ)」と区別しています。木材はこれらの模様により価格が異なります。 無垢 純粋で混じりけのないものを「無垢」といいます。 そのため、表面に張物をした「突板(つきいた)」や集成材のように張り合わせたものをいわず、1枚板のものを呼びます。

無節(むじ) 柱や無垢フローリングその他の、製材した製品で、その材の表面に節がない物。 一面だけに節がない物を、一方無節、2面にない物を二方無節と言い、後、三方、四方と有る。化粧材に用いる。 無節より少し節が有る物を上小(じょうこ)といい、これもその節の度合いや、その角の木筋などで、いろいろな等級があります。 目透かし加工(めすかしかこう)羽目板等のサネ部分加工形状の一種で、施工した場合、サネの接合部分上部に多少隙間を開けるように加工されたもの。

モルダー加工(もるだーかこう) 木材の仕上げ工程の一つ。製材では鋸刃(のこば)による裁断となるため、断面がざらついています。 その表面をモルダー機械により平滑にする工程をさします。 この工程を経た構造材などは 「モルダー 」と呼ばれ、床材などはさらにカンナがけ等を行う 「超仕上げ 」と呼ばれるさらにきめ細かな仕上げ工程を経ます。 モルダー仕上げ(モルダーしあげ)機械カンナを使用して加工表面をきれいに整えること

▼や行
ユニ加工(ゆにかこう) 縦つなぎのジョイントのこと。つなぐことによって材料を効率よく使うことができ、施工時間も節約できる。

▼ら行
ラスティック調フローリング  カントリーバーチ ラスティックとは「素朴な、田舎風の、粗削りな」という意味。素材の味をそのまま活かした自然感あふれるテイストのこと。ラスティック調のフローリングは、それぞれの木が持つ本来の表情をそのまま利用するという考え方で、 今までのフロアーにない味を求める人たちに受け入れられています。


 無垢フローリング専門店 [木魂] 25年間で5,000件以上の実績を持つ木材コンシェルジュが世界各地の原木から厳選した無垢フローリングをご提供いたします。
東京都・新木場無垢フローリング専門店

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いろんな針葉樹

世界各国の針葉樹をいくつか紹介します。 

杉 スギ (スギ科)
 ヒノキと並んで、日本の代表的な樹木です。その木材も幅広い人気があり、最も多く使われているものの一つです。スギとヒノキを比べると、スギは大衆的であると同時に銘木も多く、それだけに一般の人々によく知られ、親しまれてきました。登呂(静岡県)の遺跡には田の畦道に、大きなスギの板が無数に使われています。道具も十分にない時代には、このような板は丸太を縦に割ってつくられました。スギ材は木理が通直なため、割りやすい木の代表です。この割りやすい性質があるために、昔から生活に必要ないろいろな器具や道具が、スギでつくられてきました。天然のスギは、かつては青森県南部から本州一円、さらに四国、九州の屋久島まで分布していました。少なくはなりましたが、今でも秋田、立山(富山県)、芦聾(京都府)、愛鷹山(静岡県)、魚梁瀬(高知県)、屋久島などが天然分布の地域として知られています。 他方、造林のスギは北海道南部以南の各地にあります。少し都会を離れるとスギ林はどこででも見られます。木材は、軽軟ないしやや軽軟、平均気乾比重は0.38です。このことが加工する際の大きな利点です。心材(赤色〜赤褐色)と辺材(白色)の色ははっきりと違っていて、年輪も明瞭で、肌日は粗です。スギには、一般住宅の建築、家具、桶、樽、電柱、割り箸(板などを取った残り)、折り箱、建具などの材料として広い用途があります。近年は合板や集成材としての利用も拡大しています。高級家具、天井板など装飾用に使われる高齢の天然スギはたいへん高価です。また樹皮を剥いだ丸太を砂で磨いた磨き丸太は床柱に使われます。

ヒノキ (ヒノキ科)

スギとともに日本を代表する樹種です。当時の道具では加工が難しかったためか、芳香があり、光沢もあって美しいためか、我々の祖先もヒノキを高級材として扱っていたようです。スギと比べ木材の色が淡く、清浄感があり、材質が精緻なため仕上がりもよく、そのうえ耐朽性も高いので神社、仏閣、宮殿などの建築に用いられました。このことがヒノキの評価を高め、「総ヒノキ造りの家」が豪華な家の代名詞として使われるようになりました。ヒノキは福島県南部以南の本州の全域、四国、九州、屋久島に分布しています。古くから植えられていて、面積、木材の量もスギに次いでいます。天然林としては木曽、高野山、高知県西部にあるものが有名です。心材の色は淡紅色で、辺材は白く木材のなかでは淡色の方です。年輸ははっきりせず肌日は精で、特有の芳香と光沢があります。これらのことが、スギとは使い方の上で違いが生じた理由と考えられます。ヒノキはやや軽軟で、平均気乾比重は0.44です。心材は腐れに対して抵抗性が高く、水や湿気によく耐えます。また刃物での仕上りがよく、彫刻の材料として好適です。用途は広く、建築・建築装飾材、建具、彫刻などのほかに木型、曲げ物、桶、スライスドベニヤ、変わったところでは蓄電池のセパレーターの材料として使われています。

ベイヒ  ピーオーシーダー (ヒノキ科)

ベイヒが日本で使われ始めたのは、明治30年代です。当時輸入されたベイマツに混じっていたのを、材木商がたまたま見つけてヒノキの代替品にしたのが始まりのようです。本格的に輸入され出したのは、大正時代の中ごろ以降です。米国では、ベイヒを日本のヒノキのようには高く評価していなかったので、市場材として取り上げたのは日本が最初のようです。分布は狭く、オレゴン州南西部からカリフォルニア州北西部に見られます。現地では、Port-Orford-cedar、P-0-cedar、Lawsoncypress、Oregon-cedarなどと呼ばれています。植物分類上はヒノキの仲間で木材も似ていますが、材色が若干濃いことと、ヒノキと同系統ながら強烈な芳香があるところが違っています。これを使っている建築現場周辺では、かなり離れた所でも匂うのですぐそれとわかり、ヒノキとは容易に区別できます。ヒノキに比べ価格が安いため、代替材として日本で大量に使われていた時期もありましたが、このごろは資源的制約からか、東京近辺ではあまり見られなくなりました。心材の色は黄白色から淡褐色で、辺材との差ははっきりしないことが多いようです。早材から晩材への移行はゆるやかで、年輪はかろうじて見える程度です。したがって、肌目は精で平均気乾比重は0.47とやや軽軟です。ヒノキと同様に加工や乾燥もしやすく、強度も同等で、耐朽性にも富むので、ヒノキの代替建築材、船舶やボートの構造材、指し物、木枠、衣装箱、蓄電池のセパレーターなど広い用途があります。

 ベイヒバ イエローシーダー (ヒノキ科)
ヒバという名前になっていますが、日本のヒノキの仲間です。このように呼ばれるようになったのは、新鮮な木材はヒバのような強い匂いがするからです。このような強い匂いは産地の国々では好まれなかったようですが、日本ではよく似たものがあって抵抗が少なかったためか、常に一定量輸入され利用されています。アラスカ南東部からブリティッシュコロンビァ州、オレゴン州を経てカリフォルニア州の北部に及ぶ太平洋岸地域に分布していますが、資源量はそれほど多くはありません。現地ではAlaskacedar、Alaskacypress、yellow-cedarなどと呼ばれています。心材と辺材の色の差は少なく、淡いがかなり鮮やかな黄色を帯びています。早材から晩材への移行はゆるやかで、年輪ははっきり見えません。成長が遅いため年輪幅は狭く、肌日は精です。平均気乾比重は0.50で、やや重硬な木材です。耐朽性が高いため、日本では主として建築、特に土台用に使われます。米国では木型、指し物家具のほかボート、測量ポールなど屋外用のものに使われているようです。また日本のヒノキと同様、蓄電池用セパレーターとして最良のものとされています。古い文献によると、ベイヒバはかつて米国から大量に中国へ輸出されています。しかもそれがインドなどから輸出され、世界の市場で有名なサテンウッド(広葉樹材:黄色で光沢、芳香があり、彫刻、指し物、キャビネットなどに利用)の代用だったとのことです。用途を考える上での参考になるでしょう。

ヒバ アスナロ ヒノキアスナロ (ヒノキ科)

アスナロは関東以南の本州、四国、九州の山地に分布する樹木です。ヒノキアスナロはアスナロの変種で、北海道南部から東北地方にかけて分布します。木材はヒバの名で一括して取り扱われています。ヒノキアスナロは、日本三大美林の一つである青森のヒバ林で有名ですし、アスナロは木曽の五木の一つとしてよく知られています。また、東北から能登半島に移人されたといわれるヒノキアスナロはアテと呼ばれ、輪島塗の木地としてよく知られています。ヒバ材は産地以外ではあまり使われていませんが、たいへん優れた性質を備えています。材質はやや軽軟で平均気乾比重は0.45、心材と辺材の色の差はあまりなく、淡黄色をしています。早材から晩材への移行はゆるやかで、年輪はあまりはっきり見えません。ヒバの特微としては、強い匂い(芳香とはいいにくい)があること、心材部分の耐相性が高く、水湿によく耐えることなどがあげられます。用途は建築(平泉の中尊寺はヒバで建てられています。産地の木材が利用されたよい例で)、家具、建具、漆器の木地、土木用材などがありますが、耐朽性が高いことを利用した土台は定評があります。ヒバには抗菌性があるヒノキチオールが含まれていて、各種の薬品などに使われていますが、一時、養毛剤の有効成分として盛んに宣伝されたこともあります。ヒノキチオールは、もともとタイワンヒノキから発見された成分ですが、日本産の樹種ではヒノキにはなく、ヒバにあります。

ベイスギ ウエスタンレッドシーダー (ヒノキ科)

ベイスギという名前がついていますが、日本のネズコ(主に本州北〜中部、四国に生育)の仲間で、ベイスギの名称は、木材の色がスギに似ているところから材木屋さんが付けたものです。記録によると、北米から最初に商業的な木材輸人が行われた明治17年に東京の木場に入ってきたのは、ベイスギだったようです。歴史的な樹種で、当初貴重だった秋田スギと競合したようです。北米では、western redcedar、giant redcedar、shinglewoodなどと呼ばれ、いろいろな像を彫り込んだインディアンのトーテムポールがベイスギです。これはベイスギの耐候性が非常に高く、屋外で長期間もつからです、また耐候性にすぐれていることから、薄く割って屋根板として用いてきました。この木にシングルウッド(屋根材)という名がついているのはそのためです。アラスカから太平洋岸沿いにカリフォルニア州北部までと、内陸でもアイダホ、モンタナ両州に分布しています。心材の色は濃い赤色で、部分的には黒ずんだ黄褐色もあります。辺材との色の違いがはっきりしています。色が均一でないことがこの木の欠点で、用途によっては漂白してから染色することも行われているようです。年輪はかなりはっきりしていて、肌目はやや粗です。針葉樹としては軽いほうで、平均気乾比重は0.39です。加工も容易です。屋根、天井板、外壁、温室、デッキなどの建築用材や建具、集成材にも使われています。

アカマツ (マツ科)

アカマツはわが国ではスギ、ヒノキ、カラマツに次ぐ重要な造林樹種です。アカマツの林と縁の深いのはマツタケです。アカマツ林の手入れがなされないとマツタケの収量が落ちると言われています。マツ類の木材は、日常生活のなかで、産地に近い地域以外では我々の目に触れることはほとんどありません。その理由は、一般にマツ類の木材は幹が通直でないために、人の目に触れないような用途、たとえば住宅では表に出てこない梁などに使われているためです。目に触れる所としては敷居とか床板に使われることがありますが、いずれも少量です。本州全域、四国、九州、屋久島に分布しています。乾燥地や養分の少ない土地にも耐え、陽光を好むので、森林を伐採した跡などの裸地に自然の芽生えがよく見られます。里山のマツ林はこのようにしてできたものが多いといわれています。また、ほかの樹種に向かない土地に植えられることが多いので、マツノザイセンチュウの被害で少なくなったとはいえ、よく見かける樹木です。心材の色はやや黄色を帯びた淡色から、かなり赤褐色を帯びるものまであり、辺材は淡黄白色です。早材と晩材の違いは明瞭で、年輪もはっきりしています。針葉樹のなかでは重硬なものの一つで、平均気乾比重は0.52です。床や壁に使う場合はヤニ処理をする必要があります。また、乾燥しないで夏を越すと辺材が変色菌におかされて青変したり黒変したりするので、防黴処理が必要です。用途は建築用のほか、水中では腐朽しないので、基礎杭などの土木用材になります。ほかに経木、薪(火力が強いので陶器や瓦の製造用)などにも使われます。またパルプ原料としても大量に使われています。

オウシュウアカマツ (マツ科)

ヨーロッパからシベリアまでユーラシア大陸に広く分布しており、ヨーロッパの代表的なマツの一つです。 Scotch pine、樟子松(中国)、サスナ(ロシア)など、それぞれの国で呼ばれています。シベリアから輸出される木材がスコッツパインというヨーロッパ産のような名前がついているのは不思議に思われますが、ヨーロッパ産の方が、世界に知られているからです。ロシア語で、サスナというのが、英語のパイン(マツ)に相当します。 わが国ではオウシュウトウヒのホワイトウッドに対してレッドウッドと呼んで、製材、集成材、集成材用のラミナが大量に輸入されています。心材は赤褐色、辺材は淡黄白色で、一般に日本のアカマツより濃色のようです。材質は、ほとんどアカマツと同じです。輸人されている丸太をみると、日本でもかつて見ることが出来た通直で、直径の太いものもあります。気乾比重は0.37〜0.45(平均値)〜0.63です。年輪は明瞭で、肌目の粗な木材です。樹脂道(軸方向細胞間道)があり、材面に「“ヤニ”が滲み出るので内装に使う場合はヤニ処理が必要です。耐久性は中庸です。加工のし易さは中庸ですが、仕上がりはよい方ではありません。建築、建具、坑木、電柱など、アカマツと同様な用途がありますが、大径で形質がよいものはアカマツより高く評価されています。

ラジアータマツ  (マツ科)

ラジアータマツは、日本に輸入されている針葉樹としては、珍しい人工林材(人手で植え育てた木)です。最初はニュージーランドから輸入されていましたが、その後、チリからも大量に入るようになったので、ニュージーランドマツとかチリマツという呼び方もあります。原産地は米国カリフォルニア州のモントレー郡を中心とする地域と、南沖合いのグアダルペ島などです。米国では木材としての知名度が低く、話題にもならなかった木がニュージーランドでは大変よく成長しました。現在では造林面積100万ヘクタールを超える規模に達し、ニュージーランドの造林木の9割以上を占めています。このほかオーストラリア、チリ、南アフリカなど南半球の温帯で植林されています。適地に植えつけられたものは、成長が早く20年で高さが30メートル、幹の直径が50センチにも達します。ラジアータマツは成長がよすぎて年輪幅が広く、また枝打ちをしていないため大きな節があって、それがラジアータマツの特徴とされ、あまり高い評価を得ていませんでした。しかし最近は、材質向上のための育林技術が進む一方、このマツの特性にあった加工技術の開発も進んで評価を得ています。心材は淡褐色、辺材は淡黄白色で色の差はあまりはっきりしません。平均気乾比重は0.49です。産地国では製材、合板、削片板、繊維板、パルプに用いられ、良質な製材品は構造材、床板、羽目板などに加工されています。日本では、内部造作材を中心に建築材、パレット、木枠、箱材、割り箸などに使われています。現地に日本の集成材工場があり、大量の製品が輸入されています。

ロッジポールパイン ブラックパイン スクラブパイン (マツ科)
 ロッジポールパインは北米産のマツ属のマツです。西海岸から大量に輸入されているベイマツはマツ属ではありません。日本に少量しか輸人されていないマツ属のうちで、ロッジポールパインが最近目立つようになりました。木材貿易が始まってから何十年も経って急に増えるのは珍しいことです。ノッティパイン、スプルースパイン、ジャックパインなどの別名があります。分布はアラスカから南に太平洋岸沿いと、ロッキー山系の内陸部まで広い地域に広がっています。生育地ではかつてインディアンが小屋(円錐形をしており、ロッジポールの名前の由来とみられる)用の丸太や橇(そり)に使ったといわれています。心材は淡黄色から淡黄褐色で、辺材はやや黄色味を帯びる白色ですが、色の差はあまりはっきりしません。平均気乾比重は0.47で、マツとしてはやや軽軟で加工しやすく、強度はやや低いといえます。用途は製材、パルプ材、杭木、枕木などですが、建築用としては、土台、垂木、梁が主でしたが、最近では壁や床材、造作材としても使われています。マツ属に対して共通して言えることですが、壁、床に使う場合はヤニ処理が必要です。

 ヒメコマツ (マツ科)
マツといえば、アカマツ、クロマツを思い浮かべ、ヒメコマツの名前はすぐには出てきません。同じマツ属でも、アカマツ、クロマツは二葉でヒメコマツは五葉ですから、葉があればすぐに区別できます。盆栽好きの人ならば、この木の変種であるゴヨウマツの名前はよく知っているでしょう。ヒメコマツは北海道、本州北中部に分布し、ゴヨウマツは本州中南部から四国、九州、対馬に分布しています。木材は、アカマツ、クロマツとは異なり、早材から晩材への移行がずっとゆるやかで、年輪もはっきりしません。心材は淡黄色、辺材は白色で差があります。平均気乾比重は0.45で、ヒノキと同じようなものです。肌目は精で、加工しやすく、仕上がりもたいへんよいので、鋳物の木型や彫刻の材料に適していますが、もともとたくさんある木ではないので、最近では使われることが少なくなっています。ロシアから輸入されるベニマツが材質的にも似ているので、ほとんど同じような用途、特に木型用材にはよく用いられています。このほか、ピアノの響坂としてエゾマツ、アカエゾマツに匹敵するといわれます。建具、器具、建築(敷居、鴨居)などにも用いられています。

べニマツ (マツ科)
 日本の本州中部の亜高山地帯にも分布していますが、市場で取扱われているものは、ロシア産のべニマツと呼ばれるものです。中国の紅松から来た名でしょう。中国東北部、朝鮮、シベリアなどに分布しています。このマツの種子は大きく、食用になり、デパートなどのナッツの売場におかれていることがあります。ベニマツは、マツ類を硬松と軟松にわけるときには、軟松のグループに入れられます。日本産のものとしては、ヒメコマツが同グループに入ります。硬松類に比較すると、年輪のなかの細胞の形の違いが少なく、そのため、年輪はずっと見分けにくくなり、木材は軽軟です。日本市場ではロシア産の針葉樹のなかでもっとも高い評価をうけています。しかし、残念なことに、この樹種は、幹の中心部が菌の害をうけ易く、ほとんどといってよい程丸太は空洞になっています。したがって、木材として利用する場合には外側の部分が使われます。心材の色は淡黄赤色ないし淡紅色で、辺材は淡黄白色です。一般に年輪の幅はせまいことが多く、したがって、肌目は精です。気乾比重の値は、0.34〜0.41(平均値)〜0.51で、軽軟な木材といえます。耐久性は小ですが、加工し易く、乾燥も容易です。この類の木材は寸度の安定性があるため、古くから木型用材として使われる木材の代表的なものの一つになっています。軸方向細胞間道(樹脂道)があり、そこから滲み出る“ヤニ"で材面が汚くなっていることが普通です。鋳物用の木型、建具、建築、彫刻、器具などが知られています。朝鮮では食用のため種子の採取を目的とした林業があります。

カラマツ (マツ科)
 落葉松とも書かれるように、日本産の針葉樹のなかでは唯一の落葉樹です。信州や北海道の景色として忘れられないものの一つでしょう。大都市に住む人々は、この木の名前や樹形は記憶にあっても、木材というと「どんな?」と首をかしげる人が多いのではないでしょうか。信州では古くからカラマツを建築用材に使っているので、注意すればカラマツを柱に使っているのが見られます。しかしスギ、ヒノキが得やすい地域ではなじみがないことと、木材が加工しにくい等の理由であまり利用されていません。分布は、信州を中心とする本州中部に限られており、海抜1,000m前後の温帯上部から亜寒帯にかけて見られます。しかし、ほかに適当な造林樹種がない北海道や東北、関東北部などの寒い地方では重要な造林樹種で、スギ、ヒノキに次ぐ面積があります。心材の色は褐色ないし赤褐色で、白色の辺材と対照的です。早材から晩材への移行が急で、色の違いが大きく、年輪は明瞭です。木の形はどちらかというと女性的ですが、日本産の針葉樹材のなかでは重硬で、平均気乾比重は0.50です。カラマツの髄しゅうへんでは繊維が傾斜しているので、乾燥によってねじれます。ある程度の樹齢に達すれば繊維の傾斜はゼロとなり建築その他に使えます。またカラマツが好まれなかった理由のつに、ヤニがあげられ、そのため建築材としては表面に出るような所には使わず、土台、棟木、母屋角などか、坑木や矢板などの土木用材、ダンネージなどに使われ、野莱箱、杭などにも使われてきました。最近はヤニ処埋技術が進んできて用途も広がっています。カラマツは通常の構造用集成材だけでなく、スギとの異樹種集成材があって、最外層にカラマツを使った合理的な利用法です 。

ダフリ力力ラマツ (マツ科)
 シベリアカラマツ、グイマツとも呼ばれます。ロシアのシベリア、サハリン、沿海州、千島などに分布しています。北海道で小規模ながら造林が試みられたことがあります。日本に輸入されているダフリカカラマツは、天然生で、年輪の幅が非常にせまく、人工造林の日本カラマツを見馴れた眼でみると、同類の木材とはみえません。心材の色は日本のカラマツとは違って、やや、黄色を帯びた褐色なので、両者を区別することができます。辺材は淡黄白色です。気乾比重は0.52〜0.68(平均値)〜0.91で、人工造林の日本のカラマツより比重は高く、重硬です。また保存性は中庸です。樹脂道(軸方向細胞間道)があり、製品の材面に"ヤニ"が滲み出てきます。また、日本のカラマツに比較して、ヤニ壷、入皮、もめなどの欠点が多く出てきます。これらの欠点は生育環境が厳しいために発生するのでしょう。これらの欠点のためか、あるいは、年輪幅が極端にせまいことが多いためか、木材が脆くなっていて、使用中に破損する例を聞きます。カラマツを用いる地域では、その代替としてよく用いられます。人工造林のカラマツに比較すると、比重が高いにもかかわらず、狂いは少ないとされており、その点が好まれて用いられるのでしょう。しかし、上述したような種々の欠点があり、利用上では短所となっています。建築、土台、仮設、土木など材面の美しさを必要としない用途が主です。

 ベイマツ ダグラスファー オレゴンパイン (マツ科)
北米から木材が大量に輸入されるようになり、貿易問題等でマスコミにたびたび取り上げられるようになったため、一般には米材が輸入されるようになったのは最近のことと思われがちですが、米材輸入は明治時代に始まっています。ベイマツが輸入され始めたころは、オレゴンパインとかメリケンマツと呼ばれており、ベイマツという呼び方が定着したのは大正時代からです。ベイマツというとアカマツを連想したり、ダグラスファーという現地名を聞くとモミかと思ったりしますが、マツ属でもモミ属でもなく、トガサワラ(四国などごく一部の地域にだけ分布しています)と同じトガサワラ属の木です。カナダのブリティッシュコロンビア州から太平洋岸沿いに、南はメキシコまで、さらにロッキー山系にも広く分布しています。心材は赤色または黄色を帯び、辺材は白色です。早材から晩材への移行は急で、カラマツと似ていて年輪も明瞭です。肌目は粗く、材は重硬で平均気乾比重は0.55です。大きい材が得られることと強度があることから、アメリカ西部でも構造材としての利用が盛んで、日本でも長い梁として使われています。このような利用は今に始まったことではなく、関東大震災の復興のためにベイマツが大量に輸入され、住宅建築に使われました。古い家屋の梁などにベイマツを見つけることができます。現在も建築中の住宅で、赤みがかった大きな梁が使われているのを見る場合、これは大抵がベイマツで、日本の住宅には欠かせないものになってしまっています。そのほか土木、車両、建具、家具、船舶など広い用途があります。米国では合板用材として使われ、住宅の壁に大量に使われています。日本にも製品が輸入されています。また、一次林の大径材は年輪幅が極端に狭く、ピーラと称して高く取引されています。

ツガ (マツ科)

日本語のツガが学名になった珍しい例です。かつては、「栂普請」という言葉を見たり、聞いたりしましたが、これはツガの材質のよいものを選び、家を建てることが贅沢だったからです。最近では住宅建築に使われるのは、まず珍しいと考えてよいでしょう。分布は、関東以南の本州一円、四国、九州さらに屋久島に及んでいます。植栽は行われていないので、天然林の減少とともに木材が目に触れることも少なくなっています。心材と辺材の色の差は少なく、材色は少し紫色を帯びた淡桃褐色で、針葉樹材の色としてはかなり特殊です。注意すると、白いチョークの粉をまぶしたような部分が、飽(かんな)がけした材面に見えることがあり、これに気づくとツガをほかの木材と区別するのは容易です。この現象は、フロコソイドという有機物によって起きるツガ属の木材に共通の特徴です。材質は針葉樹としては重硬で、平均気乾比重は0.50です。早材から晩材への移行は急で年輪ははっきり見えます。一般に天然生の木は成長が遅いので年輪幅が狭く、それだけ化粧的な価値が高くなりますが、ツガ材の場合も年輪幅が非常に狭くて、材面が美しいものを糸柾と呼んで古くから珍重しています。また、かつては木造の建物がネズミに齧られることがありましたが、ツガにはその害が出にくいといわれ、その点からも建築材として好まれたようです。用途は建築材(柱、長押、鴨居)のほか、器具・包装材、車両材、パルプ材などです。

ベイツガ ウエスタンヘムロック (マツ科)
 北米から輸入されている木材としては、ベイマツと双壁をなし、丸太、製材品ともに日本の住宅建築に欠かせないものになっています。ベイツガは同じ品質の製品が大量に輸入され、価格も安かったので柱材の主流になりました。しかし、近年になってシマフクロウの生息地であるツガ林の伐採を禁ずる運動が起こって、輸入量は確実に落ち込み、替わってカナダツガが輸入されるようになりました。太平洋地域をアラスカ南部からブリティッシュコロンビア州、さらにワシントン州西部からカリフォルニア州北西部に分布しています。木材の色は白に近い、やや紫色を帯びた淡桃褐色がかっています。日本産のツガよりずっと淡色です。心材と辺材の色の差はほとんどありません。日本のツガに似ていますが、現在輸入されているものは年輪幅が広いので、ツガの糸柾のような材面は期待できません。平均気乾比重は0.46で、ツガよりは軽軟です。ベイツガは樹脂が表面に滲み出てくる懸念がなく、どこにでも使える利点があります。建築材としてスギと完全に重複する広い用途があり、特に柱材および保存薬剤を注入した土台としての利用が目立っています。そのほか、箱材、木枠、道具類などにも使われます。なお、業界では、低価格で材質の差が少ないベイモミと一括してヘムファーと呼ぶこともあります。

エゾマツ (マツ科)

日本には数種類のトウヒ属がありますが、木材として大いに利用されるのはエゾマツ、アカエゾマツだけです。名前は知られていても、北海道以外では木を見ることも木材を使うこともあまりない、なじみのうすい樹種ですが、北海道ではエゾマツはトドマツとともに豊富に生育していたので、主要な建築材として使われてきました。林業・林産業界では、エゾ・トドと呼んで一括して取り扱うのは、このような背景があるからです。また北海道には大規模なパルプ・製紙工場がいくつもありますが、これは開設当時にパルプ化の比較的容易なエゾ・トドが大量にあって、原料の心配がなかったからです。木材は心材と辺材の色の差がなく、どちらかといえば白に近い色をしています。注意すると、かすかに絵の具の匂いがします。早材から晩材への移行がゆるやかなため、年輪ははっきりしません。材はやや軽軟で、平均気乾比重は0.43です。材面はかなり精緻な感じで、耐朽性は高くありませんが、加工しやすく、仕上がりもよい木材です。用途は建築、建具、楽器の響板、木毛、食料品箱の材料などと広く、特に北海道では建築材として重視されています。また最近では、大断面の集成材に加工され、大型構造物の梁などとして利用されるほか、たぶん新カヤなどと呼ばれて碁盤にも使われています。

ベイトウヒ シトカスプルース (マツ科)
 北米にはトウヒ類が数種ありますが、量が多く代表的なものがシトカスプルースです。日本の市場に入ってくるスプルースには、北米材のほか、ヨーロッパからのオウシュウトウヒ、中国からの雲スギ、ロシアから輸入される日本のエゾマツと同じものがあります。ロシアからのものは、主として北海道、東北から山陰までの裏日本に荷揚げされ、北米のものは太平洋岸の各地に向けられ、好対照となっています。雲スギは加工された製品での輸入です。シトカスプルースは、グライダーの骨組として使われています。これは年数を経たシトカスプルースは材質が均一で加工しやすく、強度的にも優れていることを表わしています。しかし最近輸入されているものは、樹齢も若くなり、成長もよいため、材質は以前とは違ってきているようです。その名が示すように、アラスカのシトカ地方が産地として有名で、ここから太平洋岸沿いにカリフォルニア州まで分布しています。ほかのスプルースが辺材と心材の色の差がなく白色なのに、シトカスプルースは心材の色が淡桃褐色なので区別ができます。しかし樹齢が若いと辺材の白い部分が広くて、わかりにくいかもしれません。早材から晩材への移行はゆるやかで、年輪はあまりはっきりとしていません。肌目は精で、平均気乾比重は0.45ですが、その割合には強度のある木です。乾燥・加工もしやすく、仕上がりも良好です。製材、単板、パルプ用など広範な用途があり、製材品は根太、垂木、間柱などの構造材に、また良質のものはボートのオールやマスト、グライダーの骨格、ピアノの響板などにも使われています。

 オウシュウトウヒ (マツ科)
近年、フィンランド、スウェーデン、オーストリア、ドイツなどからホワイトウッドと称されて大量に集成材、製材、製材用原木の形で輸入されるようになりました。2000年の輸入量は米材を抜いて一位です。ホワイトウッド=オウシユウトウヒ(Picea abies)とするのは日本に限られたことのようです。英語圏でWhitewoodと呼ばれている木は20種近くありますが、オウシュウトウヒは見当たりません。逆にオウシュウアカマツ(Pinus sylvestris)がその一つです。Whitewoodでもっともポピュラーなのはユリノキ(Yellow-poplar、Liriodendrontulipifera)です。ホワイトウッドは商業名で、一般名はオウシュウトウヒです。これらの製材や構造用集成材(グルーラム)は1993年の北米製材市況の高騰をきっかけに北欧ならびにオーストリア、ドイツから輸入されるようになりました。スウェーデン、フィンランドにおける1998年の製材生産量はあわせて2600万㎥余で、日本への輸出量は75万㎥余でした。このうちの2割強が構造用集成材です。オウシュウトウヒはヨーロッパ中部から北部の森林の主要樹種で、植栽もされています。有名なクレモナの古ヴァイオリン名器はルーマニア産のオウシュウトウヒで作られました。古ヴァイオリン名器は希少価値もあって、1台数億円の高値で取引されています。その古ヴァイオリン名器の価値はわずか数10グラムの表板にあるといわれています。他方では集成材の柱となって、1㎥数万円で輸入され、スギの製材を圧迫しています。しかし、耐朽性が5段階評価で最低なので、湿気のある場所で使うことは厳禁です。

トドマツ (マツ科)

トドマツとマツがついているので、マツ属と思いがちですが、モミの仲間です。木材もモミによく似ています。トドマツはエゾマツと並ぶ北海道の代表的な樹木で、両樹種とも道内ではどこででも目につきます。トドマツの樹皮は平滑で、エゾマツの樹皮はアカマツのような鱗片状をしているので、丸太が混在しているときでも簡単に区別できます。心材と辺材の色の差はほとんどなく、全体にほぼ白色です。早材から晩材への移行はかなり急で、そのため年輪ははっきりしています。したがって木材は肌目が粗く、やや軽軟で平均気乾比重は0.40です。また材は割りやすく、乾燥、切削加工も容易です。パルプ用材としても優れているので、エゾマツとともによく使われています。北海道には、苫小牧市などを初め大きなパルプ・製紙工場がいくつかありますが、エゾ・トドの存在なしには考えられなかったはずで、日本の紙・パルプ工業の出発点となった樹種として、忘れられないものです。紙・パルプの製造技術は、つくりやすいエゾ・トドからスタートしてアカマツ・広葉樹を原料とするようになり、現在はユーカリや熱帯産の広葉樹も原料として使っています。パルプ用材のほか、建築用材として広く使われており、土木用材、包装材、造作材、割り箸、まな板にも使われています。トドマツは北海道では用途が広く、エゾマツとともに重要な造林樹種となっています。

モミ  (マツ科)

モミは比較的温かい地方の低い山にも生えている木ですから、東京でも高尾山に行けば見ることができます。尾根に近い所に枝を斜め上に伸ばしている姿はなかなか立派です。モミの仲間は日本には5種あり、生育環境によって違いがありますが、それぞれがほとんど同じような淡色の木材です。モミはスギやヒノキに比べると少数派の木材で、一般にはあまりなじみがありません。天然には、東北地方中部から南の本州一円と四国、九州に分布し、屋久島にも見られます。木材の色はほぼ白色で、心材と辺材の色の差はわかりませんが、早材と晩材の違いははっきりしていて、年輪は明瞭です。このため、材の表面はやや粗い感じがします。軽軟で平均気乾比重は0.44、耐朽性は低い木です。日本では木材は芳香がないと低く評価されますが、モミの特徴は匂いや味がないことです。この特性を生かして、かなりの量が使われているものに蒲鉾の板があります。匂いがない、食品だから色の淡い方がよい、現在のところ使い捨てになることが多いので安価でなければならない、という条件にはモミはピツタリあっています。ほかに白くて安い材料ということでよく使われるものに、卒塔婆があります。良質のものは住居の造作、建具などに使われ、また匂いがないので保存用の箱(素麺、雛人形、茶道具、茶などの箱)、神楽太鼓の胴などにも使われるということです。

ベイモミ ファー (マツ科)

Abies concolorは米国ではホワイトファーと呼ばれますが、そのほかにノーブルファー(A.procera)、グランドファー(A.grandis)、レッドファー(A.magnifica)などがあります。なかでもノーブルファーは材質が優れているとされ、高く評価されています。それで他の樹種も、商業的にはノーブルファーとして取り扱われている可能性があります。しかし、いずれにしても他樹種に比べ評価は低いので、安価だけが売り物のようです。またヘムファーという呼び方で、ベイツガと一括して取り扱われることが多いのですが、その場合ベイモミの方が低く評価されることが多いようです。ベイモミ類は、樹種によって異なりますが、アラスカから北米西海岸沿いにブリティッシュコロンビア州、ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州など広い範囲に分布しています。評価の高いノーブルファーはワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州の北部の、主に太平洋側に分布しています。材は白色から淡黄褐色、淡黄色を帯びていて、心材と辺材の色の差はほとんどありません。ベイツガと一緒に製材品が積み上げられているようなときには、ベイモミの方がより黄色みを帯びて見えるので、少し慣れれば簡単に区別できます。匂いはほとんどなく、材はやや軽軟で気乾比重は樹種によって異なり、0.37から0.50の範囲です。強度も耐朽性も高くありません。用途は建築、建具、器具、箱、包装用材、サッシ、ドア用材、パルプ用材などです。

アガチス アルマシガ(フィリピン) カウリ(パプアニューギニア)(ナンヨウスギ科)
 アガチスという名称は、属名そのままです。名前が聞きなれないうえに、葉は針葉でも鱗片状でもなく、広葉樹と錯覚しそうな形をしている点も変わっています。東南アジアからニューギニアを経て太平洋諸島に分布しています。人工で増やす試みも行われています。木材は針葉樹特有の年輪が見えないので、広葉樹と思う人も多いでしょう。しかしほかの針葉樹と同様、道管がないので、針葉樹材だと分かります。辺材は淡灰褐色、心材は桃色を帯びた淡灰褐色ないし淡黄褐色などで、産地による変動が大きいようです。辺材と心材の色の違いもはっきりしません。平均気乾比重は0.48でやや軽軟です。この材の特徴は、肌目が精で、いくらか狂いの出る傾向はあるものの加工もしやすく、仕上げも光沢があってよいということです。耐朽性は、産地によって違うといわれています。ナンヨウヒノキ、ナンヨウカツラの別名もあるくらいで、日本産のカツラやシナノキと同じような用途によく使われます。家具の引出しの側板に使われていたカツラの代替材として、「新カツラ」と銘うって大量に使うようになりました。また、緑甲板に使って「ナンヨウヒノキ」と呼んで売り出されたりしています。家具のほか建具、模型、将棋盤、鉛筆、玩具、額縁、合板、集成材など広い範囲に使われています。 


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いろんな広葉樹その7

マコレ(アカテツ科)

日本に輸入される熱帯材のうちアフリカ材の比率はかなり低いため、余程特別なことがないと、木材が目に触れたり、名前を聞いたりすることは少ないでしょう。そのアフリカ材

のうち、日本で知られているものの代表の一つといえます。一般に、スライスドベニヤの形で洋風の家具に使われることが多いでしょう。この木材は、どちらかというと、マカンバあるいはサクラ類のような材面をもっています。多分、最初に、この木材の利用を考えた人達は、これらの木材を思い浮かべながら使っていたことでしょう。産地は西アフリカの熱帯降雨林地域にある国々で、現在、ガーナ、コードジュボワール、ガボンなどが主な輸出国となっています。

木材

心材は桃色、桃褐色、赤褐色で、辺材は白色ないし淡桃色なので、両者の境界ははっきりしています。心材には、しばしば色の濃淡による縞が出ることがあり、そういう場合には

装飾的な価値が上ります。肌目は精あるいは中庸で、木理は一般に通直ないし交錯しています。木材には光沢があります。湿気があるところで、鉄に接すると黒く汚染することがあるようです。この木材はやや重硬で、気乾比重は0.67です。組織の中にシリカを含んでいるため、切削する刃物を早く鈍らせます。この木材の微粉は、喉や鼻の粘膜に炎症をおこすので、工場では防ぐための注意が必要です。心材は非常に耐久性があり、また白蟻にも強いといわれています。

用途

家具、キャビネット、建具、スライスドベニヤ、壁パネル、床板、造船、海水用の合板などに使われます。日本ではスライスドベニヤとしての用途が多いでしょう。

 

 

マホガニー(センダン科)

世界で古くから知られている銘木の一つで、ヨーロッパ諸国が中・南米諸国を植民地にしていた頃には、大量の天然のマホガニーがヨーロッパやアメリカへ輸出されました。した

がって、古い文学作品を読むと、マホガニーの椅子とかテーブルなどがよく記述されています。マホガニーには、上述の種類の他に、S.mahagoniが知られていますが、こちらの方

は、西印度諸島に産し、かつてはこちらの方が良質とされ、マホガニーとして多く話題にされました。しかし、現在では、ほとんど市場に出てくるようなものはなくなってしまいました。現在、木材として、われわれが入手出来るものは、S.Macrophyllaのみとされています。こちらの方は、中米から南米にかけて分布があり、世界の熱帯各地で、造林されています。なおアフリカンマホガニー(Khara.ivorensis)は同一の科で、木材もマホガニーに似ていますが異なるものです。

分布・産地

中米および南米のコロンビア、ベネズエラ、ペルー、ボリビア、ブラジルなどに知られています。また、世界の熱帯各地に造林地があります。

木材

辺材と心材の色調差は明らかで、心材は桃色ないし赤褐色で、光沢をもっています。いわゆるマホガニー色といわれるものは、むしろ、かつての西印度産のものにつけられた名でしょう。肌目はやや粗で、木理は通直なことが多いようです。加工はし易く、仕上りは良く、寸度安定性が良い木材として定評があります。

用途

高級家具、キャビネット、楽器、彫刻、スライスドベニヤ、高級器具、理化学器械の箱(古いツアイスの顕微鏡の箱など) 

 

メルサワ、パロサピス(フタバガキ科)

13種があり、ミャンマー、タイ、カンボジア、ベトナム、マラヤ、スマトラ、ボルネオ、ジャワ、スラウェシ、モルッカ、ニューギニアにかけて分布します。フタバガキ科のなかで、もっとも東にまで分布している属です。各産地によって名前が違っており、その国別の一覧を表示しました。

木材

辺材と心材の色の違いはあまりなく、黄白色ないし淡黄褐色ですが、桃色の縞をもっています。このような色の木材は大変珍しく一度見れば忘れないでしょう。この黄白色の地に

桃色の縞があるという特徴を活かしてスライスドベニヤにすることもありました。しかし、大気中に長くさらされていると、この縞は褐色化してゆき、地より色の濃い縞となるので、

化粧的な価値はなくなってしまいます。散在する軸方向細胞間道(樹脂道)があり、そのことが特徴となって他と区別出来ます。放射組織の中にはシリカの小さい塊があり、その量

も多いので、加工のための刃物には硬い金属をつけた上で、刃物の交換を早めにするなどの必要があります。肌目は粗く、木理は交錯します。気乾比重は0.530.61(A.aurea)0.64

0.70(A.cochin-chinensis)などで、重硬な木材です。耐朽性は低いので、接地しての利用にはむきません。

 

用途

建物の内装用として広い用途があります。建築、床板、家具、キャビネット(かつてテレビのキャビネット用に用いられました)。合板用(パプアニューギニアで、かなり大量の合板がつくられました)。装飾用にスライスドベニヤとして、大量に利用されましたが、現在ではあまりないようです。

  

メルバウ、太平洋鉄木(マメ科)

この木材は日本でも古くから名前がよく知られています。太平洋鉄木という名前は、日本製です。Intsia bijugaは東南アジアから太平洋地域一帯に広く分布し、一番西はマダガス

カル島で、一番東はサモア島に及んで生育しています。I.palembanicaの種の分布は重なっていますが、狭い範囲です。パプアニューギニアではクウイラと呼ばれています。両者は

良く似ていて区別するのは難しいでしょう。

木材

辺材と心材の色の違いははっきりとしています。辺材は淡黄白色です。心材の色は、褐色、金褐色、赤褐色などで、不規則に現われる濃色の条がでることが多いです。肌目は粗で、木理は交錯しています。材面に油のような感じがあります。縦断面を見ると、道管の溝のなかに黄白色のチョークのような物質が含まれています。湿った状態で鉄に触れている、鉄を腐食させるとともに、材面が黒く汚れてきますので、この木材を使うときには、乾燥した状態が好ましいです。重硬で、気乾比重は0.740.90です。耐久性は高く、防腐剤の注入は困難です。

用途

強さと耐久性の必要な用途に適した木材です。橋梁、土台、床板、構造物、枕木用材として使われてきました。最近では、丁寧に仕上げて、机やイスのような家具用材としても注目されるようになっています。

 

 ラミン、メラウィス(ゴニスチル科)

属としてはマラヤ、フィリピン、ボルネオ、スマトラなど、さらにニューギニア、ソロモン群島、フィージーなどに分布し、数種が知られていますが、もっともよく知られているのは上記の種です。マラヤやボルネオなどでは、かなり大量に得られるので、フタバガキ科以外の樹種としては、比較的早い時期から輸出されており、ヨーロッパの木材市場でもこの名前は広く知られています。非フタバガキ科の木材で、日本の市場でも名前の知られている横綱格といってよいでしょう。フタバガキ科の木材がどちらかといえば、合板あるいは建築用材に用いられているのに対し、蓄積が少ないこともあって、家具、内装用を中心にして供給されてきています。今では輸入量も少なくなっているのではないでしょうか。この木材を、とくに丸太で取り扱うと内樹皮にある厚壁の繊維がバラバラにはがれて、皮膚に刺さり、それが原因で炎症をおこすことがあり、かつて大きな話題となったことがあります。

木材

辺材と心材の色の差はほとんどなく、黄白色です。道管の條が、その中に入っている物質のために赤色になって浮き出ています。乾燥していない状態では、青変菌の害を受け易く、緑色ないし黒色に変色するので、早く含水率を下げる必要があります。そうでないと、この木材の特徴である淡色の材面が活かせなくなり、価値がなくなります。気乾比重の値は0.520.78です。加工も塗装もし易く、良く仕上がります。しかし、釘打ちをする際に裂け易いので工夫が必要です。保存性は低いグループに入ります。

用途

内部装飾、家具、指物、器具など、とくに淡色で、清潔感

の必要な用途に好まれています。

 

リグナムバイタ(ハマビシ科)

リグナムバイタは、木材でありながら、木材関連業種外で使われ、非常に変わっているといえます。また、世界で一番重い木材であるため、木材にかかわりのない人でも、名前を

知っていて、そして多分、ほとんどの人が実物を見たり、触れたりすることがないという点で珍しい木といえます。この木材は、極めて重硬で、しかも、古くから金属などと摩擦するとその熱によって木材中から“ガヤック”と呼ばれる樹脂が滲み出て来て、それが潤滑剤の働きをして、接触している物体間のベアリングの役割をすることが知られています。この性質を利用して、古くから船舶のスクリューのシャフトのベアリング材として、よく使われています。これはリグナムバイタの木口板を、丁度桶のように丸い形にしてシャフトの周りを包むものです。この木材はポンドいくらというように目方で取引されています。天然分布地域としてはフロリダ南部、西印度諸島など、また大陸ではメキシコから中米さらにコロンビア、ベネズエラなどが知られていましたが、現在では、市場材を供給出来る処は少なくなっています。この樹木は元来、あまり大きくならず、また生長も遅いので資源としての将来はあまり期待出来ないでしょう。

木材

心材は木材としては珍しく濃緑褐色で、時には、ほとんど真黒色にもなります。肌目は非常に精、均一で、木理は著しく交錯しています。手で触れると蝋状の感触があります。100℃以上に熱すると中から“樹脂”が出て来ます。この性質がベアリングとして用いられる理由です。気乾比重に1.201.35で、常に水に沈みます。加工に際しては、金属の加工機械が使われます。いかに硬いかということがわかります。

用途

主として船舶スクリューのベアリングに使われています。

 

レッドオーク(ブナ科)

レッドオーク類として取り扱われる種は、上述の種のほかにもあり、代表的なのは次のようなものです。スカーレットオーク(Q.coccinea)、ブラックオーク(Q.velutina)、ピンオーク(Q.palustris)、ウイローオーク(Q.phellos)、シュマードオーク(Q.shumardii)。レッドオークは、米国東部のミシシッピ河渓谷の下流地帯、大西洋岸地域、およびカナダの最南東部に分布しています。レッドオーク類が多く生産される地域は、テネシー、アーカンソー、ケンタッキー、モンタナなどの各州です。

木材

辺材は白色から灰色あるいは淡赤褐色で、心材は桃色から淡赤褐色、ときに淡褐色で、両者のあいだには、とくにはっきりとした差はありません。ホワイトオークとよく似ていま

すが、材の色に差があるとともに、道管のなかにチロースがないことで、区別できます。木材は硬く重く、硬く、気乾比重は0.70です。乾燥の際、収縮が大きいし、また、割れや曲がりが多くでるので、防止のための注意が必要です。心材の腐朽に対する抵抗性は低いか、中庸程度です。衝撃には強いといわれています。

用途

床板、家具、箱、包装、農器具、棺、木工品、ボートなどが知られています。樽あるいは桶のような液体を入れる用途には、そのままでは使うことが出来ません。少量ですが輸入されており、主として家具の材料とされています。

  

ローズウッド、シタン(マメ科)

上述した3種が、もっともよく知られているローズウッド類の木材ですが、さらにこの属の数種が、ローズウッドとして知られています。ローズウッド類は、世界的によく知られている銘木の一つです。しかし、最近では、一寸色が似ている他の樹種に「……ローズウッド」のような名前をつけていることがあります。本物のローズウッドはこの属の木材だけです。唐木と呼ばれる木材の一つで、もっとも珍重されてきているのは、D.cochinchinensisです。D.cochinchinensisは、東南アジアの大陸に、D.latifolia(イーストインディアンローズウッド)は、東南アジアの大陸とインドネシァに、D.nigra(ブラジリアンローズウッド)は南米(とくにブラジル)に産します。この他に古くからマリンバに使われているのはこの属のD.stevesonii(ホンジュラスローズウッド)で、また、クラリネット用材として知られているのはD.melanoxylon(アフリカンブラックウッド)です。ワシントン条約で取引が制限されています。

木材

心材の色は、赤色、赤紫色、紫色などで、一般的には、これらが縞になって美しい模様を作ることが多く、ときには真黒なもの(D.melanoxylon)まであります。木材はほとんどが重硬で、気乾比重は1.09(D.cochinchinensis)0.750.90(D.nigra)0.84(D.latifolia)などです。

用途

材面が美しいことと、高価なことから、高級家具、キャビネット、内装用、器具の柄などに使われます。一般に見られるものはスライスドベニヤとして使われたものでしょう。



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いろんな広葉樹その6

ブビンガ (マメ科)

日本の市場でも、比較的目に触れることの多いアフリカ産の木材です。材面の美しさを利用した用途が多く、ローズウッド類と同じような用途に用いられています。アフリカのいわゆる赤道アフリカ地帯を、ナイジェリア南東部から、カメルーン、ガボンを経てコンゴ地域に分布しています。大径材でなければ出来ないようなものに使われます。何だと思いますか、和太鼓の胴に使うのです。小さい太鼓はとも角、大きなものになると日本では材料が得られないのです。はるばるアフリカから送られて来た木材が、アフリカのジャングルの中で使われずに日本の楽器にされ、お祭りに参加しているのも面白いことです。

木材

辺材は淡色ですが、心材の色は、桃色、鮮かな赤色、赤褐色で、紫色を帯びた比較酌不規則な條がみられます。新しい木材の場合には上述のように大変美しいのですが、時間がた

つと、赤色を帯びた褐色になっていきます。肌目は精で均一です。木理は通直あるいは交錯しています。気乾比重は0.8を超え、重硬な木材です。心材は耐久性が高く、白蟻にも抵

抗性があります。重硬ではありますが、加工は比較的し易いといえます。接着も良く出来、ろくろ細工も出来ます。

用途

ある程度ローズウッド類に似ているともいえるため、同じような用途に用いられます。美術家具、キャビネット、スライスドベニヤ、象嵌などが知られています。これらとともに、日本ではよく室内の装飾品にも使われているようです。

 

 

 

ブラックウォルナッ卜(クルミ科)

一時、わが国でも“ウォルナットブーム”があって、家具、内装、キャビネット用に、大量に使われたことがありました。このためかどうか、米国では、ブラックウォルナットの丸太の輸出を禁止してしまいました。今では、その流行も過去のものとなり、この木材をみることがなくなりましたが、それでも、銘木としての地位はゆるがないようです。ブラックウォルナットに、材面の非常によく似たものが同じ属の中に2種あり(J.californicaカリフォルニアウォルナット、J.hindsiiヒンズウォルナット)、市場ではクラロウォルナットと呼ばれています。これらは上述のブラックウォルナットと材面がよく似ており、区別することは一寸難しいでしょう。ブラックウォルナットは、米国やカナダの東部に分布していますが、現在では、林地が農地に変わるなどの理由で(もちろん、木材としての利用が多いこともあり)、蓄積は非常に少なくなっています。また、クラロウォルナットは、西海

岸のカリフォルニアに分布が限られています。

木材

心材はチョコレート色から紫赤色、紫黒色で、一般的には、

色は一様でなく、縞状になっていて、美しい模様の材面がみ

られます。辺材は淡色で、それを有効に利用するため染色して使うことがあります。重硬で気乾比重は0.62です。肌目は粗で、木理はしばしば不規則になるので、このことが材面の化粧的な価値を高めます。粘り強く、加工は容易です。

用途

家具、キャビネット、銃床(PEGで処理をして、寸度安定性を増加させることが多い)、楽器用材、ライスドベニヤとして使うことが多い。

 

 

ブラックチエリー(バラ科)

サクラの類は北米大陸に約30種あるといわれていますが、そのなかで、木材を生産できる大きさになるのはこの種位でしょう。ノヴァスコシアからミネソタ、南へはテキサス中部、

東へはフロリダにわたって分布しています。ニューメキシコ南部、アリゾナ西部にも天然分布があります。さらに、南へグアテマラ、ベネズエラ、ボリヴィアにまで分布しています。

木材

辺材と心材の色の差ははっきりしています。前者は赤褐色あるいは赤色で、後者は淡桃色です。注意すると、日本産のサクラ類のように、不規則ですが、やや緑色をおびた部分が

すじ状にあらわれることがわかります。また、材のなかに、日本産のサクラ類同様、ピスフレックスという傷の組織が点々とみられるし、ときには、粘液状の物質をためている小

さなポケットがあります。年輪はやや明らかです。やや重硬で、気乾比重は0.56。木理は通直で、肌目は精です。切削などの加工は容易で、また、施削もしやすく、仕上がり面は優れています。耐久性は中庸です。

用途

材面が独特の美しさをもっているので、家具、キャビネット、楽器、高級建具、床板、銃床(ブラックウォルナットに次いで好まれています)、タバコのパイプなどに使われることが知られています。ハムの燻製の材料として、このチェリー類の材がよいといわれます。

 

 

 

ホワイトアッシュ(モクセイ科)

プロ野球の愛好者の方々は多いことでしょう。現在では、学生野球の場合には金属バットになっていますが、かつては、硬式野球の場合、バットは全て木製でした。そして、ほとんどのバットはこの属の樹でした。日本の場合には、古い時代には多分、米国からアッシュのバットが輸入されていたのでしょうが、そのうちに国産の同じ属のアオダモ(木材の場合にはF.lanuginosaおよび近縁の種類が含まれる)が使われるようになって来て、現在でもプロ用などの高級品にはアオダモが使われています。

このアッシュの類は、野球のバットのみではなく、よく運動具に用いられています。かつてはテニスのラケットにも用いられていましたが、現在木製のラケットを見ることがなく

なりました。プロ野球のように、木材を使わなければならないというとり決めがないからでしょうか。市場で取扱われているホワイトアッシュの類の木材には上述種以外にもグリーンアッシュ(F.pennsylvanica)が含まれているとされています。両者ともカナダと米国の北部および東部地方に分布しています。

木材

心材の色は褐色で、辺材はやや淡色あるいはほとんど白色です。このホワイトアッシュが、運動用具によく用いられるのは、重硬で、強く、とくに衝撃に強いことが、古くから知られているからです。気乾比重は0.670.69程度です。

用途

強さや衝撃に対する要求の高い用途にしたがって、もっぱら運動具用材として知られています。比重が低いものは、運動具には用いられず、家具などに使われています。合板にもされています。

 

 

 

ホワイトオーク(ブナ科)

面白いことに木材は酒と縁があります。古い時代には、もちろんプラスチック、金属、ガラスなどはないわけですから、酒などの液体を入れるものは木に頼るしかなかったのでしょう。日本ではスギが酒樽になり、欧米では、このホワイトオークの類がウィスキーなどの樽になりました。したがって、スギの木の香が酒の香りとなり、ホワイトオーク類の木材の香りがウィスキーとなっているわけです。かつて、テレビのコマーシャルに「当社のウィスキーを入れて熟成するためにホワイトオークの樹を伐採…」というナレーションとともに大きな樹が倒れていくシーンを写しているものがありました。オークという言葉はカシ類とナラ類を意味していますが、ホワイトオークは後者で、日本のミズナラによく似ています。ホワイトオークと呼ばれるものは、1種類ではなく、10種類を超えます。その上、米国大陸の東部を中心として分布しています。同じ類の木材は、ヨーロッパにもみられます。

木材

辺材の色は白色ないし淡褐色ですが、心材は灰褐色、褐色などです。大きな放射組織があるため、柾目面に美しいシルバーグレインがみられます。重硬で、気乾比重は0.75程度で

す。一般に収縮率が高いので、乾燥の際には狂いや割れが出ることが多いようです。

用途

家具(欧米の家具用材としては、この類の木材がよく使われており、高級材として評価されています)、床板、一般製材品、船舶、箱、建築、桶、樽(とくにウィスキーの樽に欠くことの出来ないものです)

 

 

 

ホワイトセラヤ、バクチカン(フタバガキ科)

ホワイトセラヤの名称はマレーシア・サバ州で使われており、Parashorea属を総称しています。この属は約10種類以上が知られ、ミャンマー、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどに分布しています。日本には、南洋材の主体を占め、合板用材等としてセラヤ、メランチ類の丸太が大量に輸入されてきましたが、近年は製品輸入になるとともに、森林資源の保続の観点から輸出が禁止され、丸太の輸入は極めて減少したものになっています。

木材

丸太の木口で脆心(ブリットルハート)や濃色の縞が認められることもあります。辺材と心材の区別が明確でありません。木材は淡桃色〜桃褐色系を示します。同心円状の濃縞が510cm間隔で認められることがあり、この材質の特徴となっています。

用途

淡桃色等色合いが良く、合板、内装材、家具など広範な用途で用いられます。

 

 

 

ホワイトメランチ(フタバガキ科)

30種あり、スリランカ、インド、マラヤ、インドシナ、フィリピン、ボルネオ、スマトラなどに分布しています。この類の木材の地方名はかなり違っており、その主なものを表

に挙げます。ホワイトメランチとホワイトラワンは違います。現在では、サバから輸入されることが多いため、この類の木材のことをメラピというサバでの呼び名で呼ぶことが多いようです。

木材

心材は、淡黄白色、淡橙白色、淡黄褐色などで、辺材はより淡色で、両者の境ははっきりしていません。メランチ類の特徴である同心円状に配列する軸方向細胞間道(樹脂道)がありますが、他のメランチ類に比較して、出現頻度は少ないようです。この類の木材の特徴は、放射組織の細胞の中にシリカの小さい塊が含まれていることです。このため、木材を切削すると、その刃物を早く鈍らせます。切削する際には、ステライト加工刃にすることが望まれ、また、刃の交換を早めにする必要があります。木材の肌目は、レッドメランチに比較するとやや精です。木理は交錯しています。気乾比重は0.510.84で、樹種によってかなり差があります。耐朽性は高いとはいえません。また、辺材は虫害にかかり易いです。用途

他のメランチ類と同様に広範囲の用途に、とくに淡色なため塗装の色合せが容易なことから内装や家具に高い需要があります。

 



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いろんな広葉樹その5

ゴム、パラゴム(トウダイグサ科)

木材の事情を知らない人にとっては、何故木材のところに、ゴムがでてくるのか奇妙に感じられるのではないでしょうか。このゴムの木は、勿論天然ゴムの原料ですが、その幹が

近年木材の原料として注目されるようになっています。多分、ゴムの木材を材料としたテーブルのような家具をそうとは知らないで、使っている家庭も多いのではないでしょうか。パラゴムはもともとブラジル原産ですが、いまでは、東南アジアなど熱帯の各地域に広く植栽されており、重要な産物です。

木材

辺材と心材の色の差はほとんどなく、淡黄白色です。したがって、いろいろな色をつけることが容易です。一方で、変色菌の害を非常に受けやすく、水分の高い状態で、ちょっと

油断をすると、ひどい場合には、黒い汚い木材になってしまうので、迅速に乾燥する必要があります。木理はほとんど通直で、肌目はやや粗です。気乾比重は0.560.64で、硬さが中庸な木材といえます。切削などの加工は容易です。

用途

代表的なものとしては家具の材料があります。産地で部品に加工されたものが日本へ輸入されています。熱帯の各地に広く植栽されていて、木が古くなると植えかえる必要がある

ため、一定量の供給が期待出来るよい材料といえます。

 

 

 

セランガンバツ、バラウ、バンキライ(フタバガキ科)

 

セランガンバツは別称バラウ、バンキライと呼ばれ、フタバガキ科Shorea属の木材です。産地は、主にインドネシア・スマトラ島、インドネシア・カリマンタン島等で、一定の地域に広範囲に分布することから、希少性の材が多い中において供給にやや優位性があります。日本には、メランチ同様に古くから輸入されている堅木で、耐朽性が優れ、またブラジル国産のイペと比してコスト面、大断面等の特殊サイズに対応できることから、近年はウッドデッキ材、フローリング材、桟橋、甲板などに多く利用されています。

木材

材の特徴は、心材の色合いが黄褐色〜薄褐色をし、辺材は淡色で区別鮮明となっており、また木目は細かく、比較的自然の欠点少なく、脆心(ブリットルハート)は少ない。南洋

材の中で特に重硬で最高水準の強度を備えるとともに、優れた耐腐朽性を発揮します。なお、経年変化や野外での紫外線の影響で銀白色に変化することがあります。

用途

マリーナデッキ、ベランダ、屋上デッキ、遊歩道、桟橋、海洋建築物、ベンチ等広範な用途で用いられます。

 

 

チーク(クマツヅラ科)

チークは、世界の有名木材、とくに熱帯に産するものの仲間で、忘れてはならないものの一つです。天然にはアジアの熱帯のうち、インド、ミャンマー、タイ、など大陸の各地に

分布しています。インドネシアのジャワ島には広い面積にわたっての造林地があります。有名な木材なので、東南アジアはもちろんのこと、世界の熱帯各地で造林されています。このチークの天然の産地は、熱帯ではあっても、乾期と雨期がはっきりしている雨緑林帯と呼ばれる地域です。したがって、チークでも熱帯降雨林地帯に植えられたものからの木材は、品質的に劣るようです。

木材

辺材は黄白色で、心材からはっきりと区別出来ます。心材の色は、生育状態によってかなり変化し、金褐色、褐色、赤褐色などです。また黒あるいは紫色を帯びた縞があり化粧的

な価値を高めています。チークは耐朽性があり、かつ強さがあるため、大型の船舶(軍艦など)の甲板によく使われています。京都の寺院でチークを使っている所もあります(万福

寺)。今ではスライスドベニヤあるいはムクで、内装、家具などに主に使われています。これは、むしろ材面の美しさを利用したもので、かつての使われ方と随分違っています。材

面には、ワックスのような感じがあり、脂でこすっていると段々とベトベトして来ます。また、機械油のような臭いがします。熱帯産の樹種としては珍しく環孔材です。これは、雨緑林という乾季、雨季のはっきりとした所が故郷だからでしょう。肌目は粗く、加工はとくにむずかしくはありません。

用途

装飾価値を利用して、家具、キャビネット、建築などに、また造船にも用います。

 

 

ハードメープル

この樹種は、メープルシュガーの採取で知られています。これは樹液を煮つめてつくるものです。ハードメープルは1種の樹種ではなく、上述の樹種(シュガーメープル)とブラ

ックメープル(A.nigrum)2種をまとめて呼ぶ名です。これらは、カナダの東部およびアメリカの中西部、北東部などを中心としてみられます。日本ではサトウカエデというような呼び名があります。カエデの類の紅葉は、日本では文字通り紅くなるものが多いの

ですが、アメリカやカナダのカエデはどちらかといえば黄色あるいは黄金色になり、日本とは違った美しさがあります。

木材

辺材の色はやや桃色を帯びた白色で、心材は淡赤褐色ですが、あまりはっきりした違いはありません。ときどき、傷のある部分に緑黒色の條がみられます。重硬で、気乾比重は

0.70位です。強く、剛い上、衝撃に対しても強いことが知られています。収縮率はどちらかというと高く、乾燥をするのはやや難しい方です。耐久性はあまり高くないでしょう。肌目は精で、木理は通直のことが多いといえます。また、樹によっては、木理が不規則になっているので、それが、木理を波状にしたり、鳥の眼のような模様にしたりして、美しい“もく”を形づくることがあります。摩耗に対して強いのもこの木材の特徴です。

用途

製材品、単板など、さらに床板(米国では大変好まれる樹種です)、家具、箱、ボーリングのピン、器具柄などによく使われます。耐摩耗性が高いので、ダンスホールの床板用に

適しています。木材を乾溜して種々の化学成分を利用する際に用いられる主要な樹種の一つです。旋作し易いので、その製品が多いのですが、日本でも材質の似たイタヤカエデは、

ろくろ細工をして“こけし”にすることをご存知でしょう。

 

 

バルサ(パンヤ科)

木材の専門家でなくても、また、かなり年少の人々でも、このバルサという名前を知っているのではないでしょうか。この木材は、世界でもっとも軽いものの一つです。そして、

模型飛行機の木材の部分にはこの木材が使われていることが多いのです。そういう点で、あるいは木材という意識なしに、バルサという名が、一般の人々に記憶されているのかも知れません。バルサは、現在では張り合わせて大きな板にし、それを飛行機の床材料として用いられていることもあります。さらに、液化ガスを運ぶ大型の船に断熱材料としても大量に使われています。こんな軽くて、軟かい木材がと思われるかも知れませんが、比重が低く、したがって、木材の中には大量の空気が含まれていて、断熱用としては、非常に優れており、また、同じような比重をもった他の材料に比べると、強さがあるからです。材木屋にある木材とは、一寸違った扱いを受けている木材といえます。原産地は熱帯アメリカで、とくに中米の国々から世界の各国に輸出された歴史があります。現在では熱帯各地に植えられています。

木材

辺材と心材の色調差は少なく、白色あるいはやや桃色を帯びた淡褐色です。木理は一般に通直で、肌目は粗です。加工は容易ですが、軟らかいために、逆に刃物はよく研磨したも

のを使わないと表面がざらつくことがあります。気乾比重は、成長の仕方によって異なり、0.20位のことが多いようですが、この木材の場合軽い程好まれます。

用途

ブイ、救命具類、サンドイッチ構造物の中芯用、断熱材(上述したような)、遮音材など。

 

 

ビーチ(ブナ科)

北米大陸の東部の比較的標高の低い地域に生育している樹種です。アパラチア山脈の南部地域では、2000m位の所まで見ることが出来ます。フロリダ州の北部にも生育しています。ときには、ほとんど純林を形作ることがあります。オハイオ河およびミシシッピ河渓谷地域に分布するものが最も大きくなるとのことです。処によっては高さ30m、直径3.5mにな

るものもあります。

木材

日本産のブナの木材とよく似ていて、ほとんど区別はつきません。辺材と心材の色の差はほとんどなく、辺材は淡褐色で、心材は赤褐色を帯びています。重硬で、気乾比重は0.72

です。肌目は精で、均一です。乾燥は速く、狂い、表面割れ、木口割れ等が出やすく、また、変色しやすいので、取り扱いに注意が必要です。腐りやすい木材ですから、湿気のあるところでの利用はさけるべきでしょう。加工はかなり容易な方ですが、鋸を噛んだり、孔あけの際に焦げたりすることがあります。釘をよく保持しますが、釘を打つ際に割れることがあります。施削性がよく、また、接着性がよいです。この類の特徴は、家具などの曲げ木が容易なことです。

用途

一番使われる用途は家具でしょう。木工品、器具の柄、ベニヤ、チーズボードなど多くのものがあります。いずれにしても、日本産のブナ類の木材と同じようにして利用出来ると考えてよいでしょう。

 

 

 

ヒッコリー類

本ヒッコリーはカナダと米国の東部にかけて分布しています。また、メキシコにもあります。ペカンヒッコリーは種によって、主に米国の南東部からメキシコにかけて分布するも

のと東部とカナダ南部にみられるものとがあります。

木材

辺材と心材の色の違いがあります。前者は白色−黄白色で、後者は褐色−赤褐色などです。この類の木材の外観はよく似ており、馴れないと区別しにくいでしょう。木理は、ときに

波状あるいは不規則になりますが、一般には通直です。肌目は粗です。木材は重硬で、気乾比重の平均値はホンヒッコリーで0.83、ペカンヒッコリーで0.75とされており、前者の値のほうがより高いです。したがって、より強さを必要とする用途には本ヒッコリーのほうが好まれますが、一般的な用途にはとくに区別はされないようです。この類の木材の特徴はとくに衝撃に強く、また曲げにも強い(アッシュよりも強い)ことです。保存性は低いです。曲げ木が出来ます。切削などの加工性はよく、仕上がり面はよいです。

用途

衝撃に対する抵抗の大きいことが必要な用途、器具の柄、スキーの板や体操のバーなどの運動具などには最も適したものとされています。また、変わったものとしては肉の燻製用の材料が知られています。

 



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いろんな広葉樹その4

ヤチダモ、タモ(モクセイ科)

 

北海道、本州北、中部、また朝鮮半島、中国、樺太、シベリアにも分布します。なかでも北海道は産地としてよく知られ、代表的な木材の一つです。この類の木材は有用なものが

多く、本州、四国、九州に分布するシオジ:F.spaethiana、北海道、本州、四国、九州、屋久島に分布するアオダモ:F.lanuginosa var.serrataその他があります。また、野球のバット用材として有名な北米産のホワイトアッシュ:F.americanaは同類です。この類の木材の特徴は、世界的に運動具用材として有名なことです。

木材

環孔材なので、年輪がはっきりしていて、年輪幅が広いと、比重が高く、重硬となり、年輪幅が狭いと逆に木材は軽軟となります。したがって運動用具に使う場合には強い成長のよいもの、逆に家具用材には加工し易い成長の悪いものが、それぞれ好まれます。辺材は淡黄白で、心材は褐色です。アオダモはヤチダモより淡色です。木材の保存性は中庸で、加工

のし易さは中庸です。気乾比重は0.430.55(平均値)0.74:ヤチダモ、0.620.71(平均値)0.84:アオダモ、0.410.53(平均値)0.77:シオジなどです。ヤチダモとシオジは家具、合板用材として日本の代表的な樹種といえます。同類ですが利用のされ方が違っているのがアオダモです。プロ野球選手の使っているバットが日本製であれば、ほとんどがアオダモでしょう。

用途

家具、器具、合板、内部装飾などがあります。かつて木製のテニスラケットが全盛の時期には、この類の木材がほとんど全てに使われていました。

 

 

 

アピトン、クルイン(フタバガキ科)

70種以上あり、インド、スリランカ、ミャンマー、タイなどを経てインドシナ、フィリピン、スマトラ、ボルネオ、バリに分布します。東南アジアから輸出される木材のうち、メ

ランチ類に次いで、大量に取引きされています。産地によって、呼び名が違っているので、その一覧表を示します。かつては、表面に出ないような構造部分や、強さが必要な用途に用いられることが多かったのですが、最近では、合板の材料としても大量に使われています。

木材

心材は濃灰褐色、赤褐色などですが、長期間大気にさらされるとより濃色になります。この類の木材は、短い接線状に配列する軸方向細胞間道(樹脂道)があることが特徴となっており、このことによってメランチ類から区別出来ます。放射組織の中に、シリカの小さい塊を含んでいます。また、材面には“やに”が滲み出ていることが多く、決して美しいとはいえません。この“やに”があることとシリカがあることが、この木材の加工を難しいものにしています。気乾比重は0.640.91(マラヤ産クルイン)0.750.86(カンボジア産チュテール)、0.600.66(フィリピン産アピトン)などです。耐久性はとくに高くはないが、保存薬剤の注入がし易いために、処理をして枕木に用いられています。

用途

材面が美しくないため、装飾的な要素の必要でない用途に用いられることが多く、重構造物、防腐処理をして埠頭、橋、枕木など、床板、羽目板、トラックの車体などがあります。

 

 

 

イエローバーチ(カバノキ科)

カナダのニューファウンドランドから南東部をへて、米国のメイン州など北東部から5大湖地方を経て、ジョージア北部とテネシー州の山地に亘って分布しています。比較的低い地域にみられる樹種で、1,000m以上に分布しているのは、アパラチア山脈南部のみです。樹高は1824mで、直径はおおよそ75cmです。北米産カンバ類のなかの代表的な樹種です。

木材

辺材と心材の色の差は、はっきりしていることが多いです。辺材は淡黄色です。心材は普通、赤褐色ですが、樹によって色の違いがかなりあるといわれています。木理は通直で、肌目は精です。年輪の境には、色の濃い線があって、かなりはっきり見えます。木材は均一で、その性質は日本産のマカンバやミズメとほとんど同じと考えてよいでしょう。気乾比重

0.71で、重硬な木材といえます。加工は容易で、材面はよく仕上がります。また、塗装の仕上がりがよく、扱いやすい木材です。

用途

どちらかというと、材面が特別な模様をもたず、ほぼ均質で、これといった特徴をもたないので、時代の流行にのらずに、むしろ常に一定の根強い需要がある木材です。器具材、ベニヤ材、靴の木型をはじめ多くの用途がありますが、なんといっても、家具あるいは内装用に用いられるのが中心でしょう。現在では価格が高くなり、目に触れるものは、ほとんど高級家具になっています。日本にも少量ですが、輸入されて家具に使われています。

 

 

 

イ工ローポプラ(モクレン科)

ポプラという名前がついていますが、ポプラとはおよそ縁遠い植物で、日本産のホオノキと同じ科です。植物園へ行くと、たいていは一本ぐらい植えられています。樹木の場合、

普通はハンテンボク、ユリノキ、チューリップツリーの名前が付けられていて見過ごすかも知れません。緑がかった橙色の大きな花を咲かせます。米国東部の落菓樹林に見られる樹木で、一般的には低い山地に生育しています。アパラチア山脈やオハイオ河渓谷地域

では、最も大型になり、大きいものは樹高50m位にまでなります。

木材

辺材と心材の色の差ははっきりとしています。前者はほぼ白色で、後者はオリーブグリーン(しばしば、濃い緑、黒、紫色など縞が出ます)です。成長のよいものは、辺材の幅が広くなります。年輪の境界は淡色の線で、はっきりとしています。木理は通直で、肌目は精、気乾比重は0.45とやや軽軟です。乾燥は容易で、損傷がでることは少ない。加工は容易で、仕上がりがよく、釘打ちしても、割れはほとんどでません。塗装はしやすく、よく仕上がります。

用途

軽軟で、加工がし易いので、アメリカでは一般木工用の木材としてよく使われています。内装用、建具、ドア、玩具、合板などそのよい例です。少量ですが、輸入されて、テーブ

ルなど家具材あるいは楽器に使われ、利用する企業はだんだんと広がってきていますが、上述したこの木材の黄緑色がかった色は塗装のために見えないので、この木とわからないことが多いでしょう。

 

 

 

イペ、夕べブイア(ノウゼンカズラ科)

タベブイアは熱帯アメリカ産の重硬な木材の代表的なものの一つで、米国の木材市場では古くから知られていますが、日本では一般的にあまり知られている木材とはいえませんで

したが、最近大きく注目されています。熱帯アメリカに分布しており、数種あることが知られています。中型から大型の樹木で、大きな丸太がとれ、ブラジル産のものは、アマゾン河の高地地帯で最も大きくなる樹種の一つで、樹高40mに達するものがあります。

木材

辺材と心材の色の差ははっきりとしています。辺材は白色あるいは黄色を帯びています。心材はやや緑色を帯びた褐色から黒に近い褐色になり、時には色の違いによる不均一な筋

がでます。非常に重硬で、気乾比重は0.961.28です。木理は交錯することが多く、肌目は精です。加工はむずかしく、欠けることが多いですが、仕上がると美しくなります。耐久性は非常に高く、かつて、リグナムバイタが船のスクリュウの軸受けにさかんに使われていた頃、この木材がよく似ていることから代替材として試されたという記録が残っています。

用途

重硬で耐久性が高いことから、建物の土台、梁、窓枠、ドアなどによく用いられ、また、鉄道枕木、杭などにもされています。日本での利用は横浜港大桟橋が知られていますが、強さ、耐磨耗性、耐久性が必要な用途に利用されています。

 

 

 

カプール、カポール、

ボルネオカンファーウッド(フタバガキ科)一般的によく知られているのは、上述の7種で、スマトラ、マラヤ、ボルネオなどに分布し、フィリピンに分布がないのが特徴です。ボルネオカンファーウッドという奇妙な名前がついていますが、これは木材に、樟脳様の強い芳香があるためです。かつてフタバガキ科を、龍脳香料と呼んだこともありました。この類の木材から得られた高い芳香をもった樹脂を龍脳香と呼んで漢方薬に用いています。このために上述の科名が考えられたのでしょう。いずれにしても、木材が新しいときの芳香は強烈で、気持ちが悪くなることもあります。これだけで、この類の木材は他からはっきりと区別出来ます。

木材

辺材はやや桃色を帯びた淡黄褐色で、しばしば黄色の部分があり、心材は淡赤褐色ないし濃赤褐色です。メランチ類と同じように同心円状に配列する軸方向細胞間道(樹脂道)がありますが、横断面でみると、その部分に濃色の“やに”が滲み出ていることがあります。放射組織の中にシリカの小さい塊を含んでいます。したがって、製材や加工の際、硬い金属の刃物を使った上で、刃の交換を早くする必要があります。水分のある処で、鉄と接触していると濃色の汚染が出ることがあります。保存性はとくに高いとはいえません。気乾比重

は、0.740.18(D.aromatica)0.560.83(D.lanceolata)などで、重硬な木材といえます。そのため、クルインと同じような用途に用いられています。

用途

建築、床板、車両、構造物、家具、合板など広い用途に使われています。

 

 

 

カメレレ(フトモモ科)

カメレレは、日本に輸入され用材となるユーカリ類の中では、もっともよく知られているものでしょう。ユーカリの仲間は数百種ありますが、カメレレはアジアの熱帯や太平洋地

域あるいは、その他の熱帯地域で、造林が成功している樹種の一つです。日本に一般に輸入されているものは、パプアニューギニア産の天然木です。ニューギニアでは、単一樹種で大量に入手出来る樹種が少なく、カメレレはその内では、比較的大量に得られるので、パプアニューギニアの樹種の代表的なものの一つとされています。造林したものは大変成長がよく、個体によっては178年で直径70cmを越えることさえあります。熱帯各地では、カメレレをパルプ用原料として造林することが多いのですが、大きくなったものは合板用材としても使えます。

木材

辺材が桃色を帯び、心材の色は淡赤褐色ないし赤褐色なので、辺材と心材との境界ははっきりしません。肌目はやや粗く、木理は通直なもの、やや交錯するものなどがあります。天然木の場合にはやや重硬ですが(気乾比重:0.620.69)、造林木の場合はずっと軽軟(同:0.420.45)です。製材や機械加工は容易で、仕上げた面は非常に良く、旋作すると表面が毛羽立つことがありますが、研磨によって平滑な材面が得られます。人工林からの木材はずっと軽軟で、別の樹種の木材のようにみえます。

用途

天然の大木からのものは、家具、屋内建具、壁パネルなど、また合板用としても使われています。造林木はパルプ原料にされます。

 



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いろんな広葉樹その3

トチノキ、栃(トチノキ科)

北海道南部、本州、四国、九州に分布します。東北地方や北海道南部に多く見られます。中国にもみられます。とくに蓄積が多いとはいえませんが、大木になるので、山地のハイキングコースなどでよく目にする木のひとつです。また、街路樹や庭園樹としてよくみられる木です。

木材

辺材と心材の色の違いはほとんどありません。木材の色はやや赤みを帯びた黄白色〜淡黄褐色です。年輪の境はあまりはっきりしません。肌目は精で、仕上げた材面には絹のよう

な光沢があります。大木になるとその幹にはコブがあったり凹凸があるため、木材になったときにその木理が乱れることがあります。この結果、いろいろの美しい杢をもったものがあります。気乾比重は0.400.52(平均値)0.63で、軽軟な木材といえます。木材の保存性は非常に低いです。切削などの加工容易で、よい仕上がり面がえられます。乾燥の際狂いが出やすいといわれています。

用途

軽軟で、加工がしやすいことから、器具、玩具など、さらに最近では民俗家具に使われています。美しい杢の出るものは高く評価されています。観光地などで売っている土産物の茶道具、日用品などにかなり多く使われています。

 

 

ハリギリ、セン、栓(ウコギ科)

北海道、本州、四国、九州に、また朝鮮半島、中国、ロシアに分布しますが、産地としては、北海道が最も有名です。この樹種は、木材としてはセン、樹木としては枝にとげがあ

ることからハリギリと呼ばれます。木材をオニセンとヌカセンと呼んで、2種あるとすることがあります。これは分類学上の違いによるものではなさそうです。オニセンと呼ばれる

ものは、年輪幅が広く、より重硬で、乾燥などで狂い易いのに対し、ヌカセンは年輪幅が狭く、より軽軟で、加工し易いため、家具用に好まれているようです。

木材

環孔材なので年輪界がはっきりと見え、肌目は粗です。一般に樹木の成長がよい若い時期に形成された木材では、年輪幅が広くなるので、年輪内に占める環状の道管の部分の割合

は少なくなり、繊維の部分の割合が増えます。このため比重が高くなります。逆にだんだんと樹齢を重ねると年輪幅が狭くなり、比重は低くなります。気乾比重は0.400.52(平均

)0.69で、広葉樹材としてほぼ中庸です。心材は淡黄褐色あるいは黄白色で、辺材はやや淡色です。木材の保存性は低く、加工はし易いといえます。とくに年輪幅の狭いものは、

より軽軟で、加工し易いため、家具用材としては好まれていますが、あまり軽軟になると脆くなりますので、逆に使いにくくなります。

用途

家具、合板、器具、建築、下駄(価格の低いもの、ヤマギリと呼ばれる)。かつて、センの合板が、米国へ大量に“sen”の名で輸出されたことがあり、一時は米国市場での有名な輸出材の一つとされていました。

 

 

ハルニレ、アカダモ、楡(ニレ科)

北海道、本州、四国、九州、さらにサハリン、朝鮮半島、中国などに分布しています。その蓄積は日本では北海道で一番多く、そのため、北海道のイメージを現すときにニレとかエルムという形でこの木の名前が使われているのをご存じでしょう。同じ属のなかにはこのハルニレのほかにアキニレ(U.parvifolia)とオヒョウニレ(U.laciniata)があります。

木材

辺材と心材の間の色の差は明らかです。前者はくすんだ白色で、後者はくすんだ褐色です。大きい道管が環状に配列するため、年輪界ははっきりとしています。木理は通直で、肌目は粗です。幹にコブのあるような場合には、美しい杢が材面にあらわれ、化粧的な価値が高くなります。その杢のあらわれ方によって色々な名前が付けられています。気乾比重は0.420.63(平均値)0.71でやや重硬な木材です。保存性は低いといえます。切削などの加工はどちらかといえば難しいといえます。曲木ができます。表面の仕上りはあまりよくありません。

用途

家具、器具、車両などがあります。内装や家具などで、淡色の木材が好まれた時期があり、柾目どりをした単板が天然木化粧合板にかなりの量使われました。またその時にはムクの板も家具などに使われ、ちょっとしたブームになりました。

 

ブナ、掬(ブナ科)

北海道南部から本州、四国、九州に分布します。同属の樹種にイヌブナ:F.japonicaがあり、本州、四国、九州に分布しています。かつてブナ類は良質材とはされていませんでしたが、蓄積が多いことから、利用技術の開発が精力的に進められた結果、ブナ合板・フローリングなどに多量に消費され、蓄積は非常に少なくなっています。現在ではブナは希少材として注目されています。

木材

辺材心材とも、正常な場合は白色ないし淡桃色ですが、しばしば、不斉円形の濃色の部分をもっています。これを不正常な心材ということで偽心材と呼んでいます。この偽心材の部分には、何重にも、縞があり、菊花の模様となることがあります。肌目は精で年輪界はどちらかといえばあまりはっきりしていません。放射組織が広く、高いので、板目面ではゴマのような濃い色の点となり、柾目面では帯状の模様(とらふ)となります。保存性が低く、伐採後直ぐに薬剤処理をしないと、変色や腐朽をおこし易いのが難点です。また木材は防腐剤を注入しにくく、鉄道枕木に使用するときは、材面に刃物でキズをつけて注入します。加工性は中庸で、乾燥によって狂いが出易い樹種です。この木材は曲木し易い性質があり、その他の樹種では代替しにくいこともあり、曲木家具の代表的なものの一つとなりました。ブナは、家具(とくに脚のついたもの)として大量に用いられて大分枯渇してしまい、

熱帯材で代替しようとしていますが、今でも曲木部分についてはブナが多く使われています。

用途

家具、器具、合板、漆器木地、玩具、曲木、靴木型、日用品、パルプなどがあります。手作りの木製の台所用品にはブナ製品が多いでしょう。

 

 

ホオノキ、朴(モクレン科)

北海道、本州、四国、九州、沖縄などに分布し、さらに朝鮮半島、中国中部にもみられます。蓄積は多くはありませんが、よく知られているように葉がおおきいので、森林の中で

比較的目につきやすい木です。一般の人にとっては、旅先の旅館などで出される朴葉味噌や、学校の工作の時間に手にした木片などを思い出せばホオノキの名前が浮かんでくるのではないでしょうか。

木材

辺材と心材の色の差はあまりありません。辺材はくすんだ灰色で、心材はくすんだ緑色です。年輪界はやや明らかです。木理は通直で、肌目は精です。気乾比重は0.400.49(平均値)0.61と、軽軟で保存性は低く、切削などの加工性は非常にしやすく、表面の仕上がりはよい方です。製品の狂いの少ない材でしょう。

用途

肌目が精で、軽軟で、しかも狂いが少ないので、こまかい細工ができるため、彫刻、機械、箱、寄木、建築内装、器具、刃物の鞘などに使われています。朴歯(下駄)の歯はこのホオノキを使っていて、木の名前がそのまま製品の名前になっています。

 

 

マカンバ、ウダイカンバ、樺 (カバノキ科)

北海道から本州北中部、南千島に分布します。カンバ類にはこの他、ミズメあるいはヨグソミネバリ:B.grossa、ダケカンバ:B.ermaniiなどがあり、前者は岩手県以南の本州、四国、九州、後者は北海道、本州北、中部、四国、朝鮮、ロシア沿海州、カムチャツカなどに分布します。カンバ類は北半球に広く分布しており、それぞれの国で重要な広葉樹材の一つとされています。この他にも、山岳地帯の風景の一つとして、忘れられないシラカンバも、もちろんこの仲聞です。木材として重要なものはマカンバとミズメですが、ダケカンバもそれらの代替材として用いられています。注意を要するのは、このカンバ類を用材として用いる場合、業界ではサクラ(カバザクラあるいはミズメザクラ)と呼ぶことが多いことです。もちろんカンバ類ですからサクラ類とは関係がないのですが、このような習慣はすでに明治時代からあります。

木材

年輪界がはっきりせず、木材はかなり均質といえます。気乾比重は0.500.69(平均値)0.84:ミズメなどで重硬な木材です。このように均質、重厚な性質が、耐摩耗性が必要で、平らな面がいつまでも保持出来るという用件を満たすため、カンバの類が体育館の床に幅広く用いられます。カンバ類の木材の色は別表のとおりです。ミズメ、マカンバなどの心材の保存性は中庸で、加工性も中庸です。良い仕上げ面が得られます。シラカンバ:B.platyphylla var.japonicaは淡色で、耐久性が低く、気乾比重は0.60で、より軽軟です。用途

家具あるいは建築の内装用(つき板)としては高級な材料です。器具、床板、合板、靴の木型などに用いられます。シラカンバはアイスクリームの匙や割箸に用いられます。

 

 

 

ミズナラ、楢 (ブナ科)

北海道、本州、四国、九州、さらにサハリン、南千島、朝鮮半島などに分布しますが、代表的な日本での産地は北海道です。この類の木材は、広葉樹材としては日本のみでなく、欧米諸国においても代表的なものです。フランスのルーブル博物館の展示品家具のなかには、ヨーロッパ産の同類木材が使われているものがあります。最近日本においてもミズナラ製の家具に対する需要が高まってきています。これは、たぶん住宅様式の欧風化と本物指向に伴って、ミズナラのもつ木材の味わいが見直されるようになったからでしょう。歴史的にミズナラの類がヨーロッパでは高級棺用材として珍重され、北海道からそのための厚板として古くから輸出されていました。木材輸入国の日本から海外へ輸出された珍しい例です。

木材

心材は褐色で、淡色の辺材からはっきり区別出来ます。環孔材であるため、年輪がはっきりとしています。環孔材のため、成長がよいと木材の比重が高くなり、硬くなります。逆に成長が悪いと、軽軟になります。放射'組織が幅広く、高いので、とくに柾目面では、帯状の模様(とらふ)がはっきりとあらわれ、家具材に用いたときの大きな魅力となっています。気乾比重の値は0.450.68(平均値)090で重硬です。心材の保存性は中庸で、加工は難しい方です。

用途

洋風家具、器具、床板、運動具、洋酒樽、造船、木炭、合板、単板、車両などがあります。ウィスキーの樽は、日本はもちろんイギリスやアメリカでもこの類の木材で作られており、日本酒とスギとの関係のように欠かかせないものです。



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いろんな広葉樹その2

クスノキ、樟 (クスノキ科)

本州中南部、四国、九州、さらに台湾、中国に分布します。木材および葉から樟脳汕を採取するために造林されています。木材の利用はむしろ主目的ではないでしょう。かつて

樟脳は衣服の防虫剤として広く用いられ、箪笥の臭いの主でした。近年の防虫剤は合成化学製品です。縁日で小さなセルロイド製の舟を売っていたことがありますが、その後部に小さな樟脳のかけらをつけて水に浮かすと生き物のように舟が動いたのを記憶している人がいるのではないでしょうか。

木材

この木材のもっとも特徴的な性質は、強い樟脳の香りがあることです。この香りに防虫効果があるため、箪笥などの家具類に利用されて来ています。辺材は淡色ですが、心材の色

は黄褐色、紅褐色、部分的に緑色を帯びた褐色で、どちらかといえぱ不安定です。辺心材の境ははっきりしません。年輪界はかなり分かります。肌目は粗く、木理は交錯していることが多いです。また、幹の形が悪かったり、凸凹があるため、板にすると種々の美しい“もく”が出て来ます。気乾比重は0.410.52(平均値)0.69で、やや軽軟ないし中庸で、仕上がりは中庸です。

用途

器具、家具、建築(社寺など)、楽器、箱、彫刻、ひきもの、木魚などがあります。美術の展覧会などで、木材の彫刻の作品のおいてある部屋に入ると、強い芳香を感じることが

あります。これはクスノキで作った作品があるからです。最近でもときどき洋服箪笥などで、その扉を開けると樟脳の芳香のするものに出会うことがあります。これは内貼りにクスノキの板あるいは合板を貼っているものです。これによって、防虫効果を期待しているのです。

 

 

 

クリ、栗 (ブナ科)

北海道南部、本州、四国、九州に分布します。福島県、宮城県、岩手県、島根県などに蓄積が多いとされています。食用にするクリを採取するために植栽されています。甘栗は中

国原産で、シナグリ(C.mollissima)から採取されたものです。クリの名前から食用になるクリの果実のみを想像するかもしれませんが、木材も忘れてはなりません。今でもクリの

多く生育している地方で、ほとんどの柱がクリでできている建物をみることがあります。このようなものは建築材料としての優秀性を示すよい例です。

木材

年輪の内側の部分(早材部)に大きな道管が帯状に配列して、環状になっている(環孔材)ので、年輪界がはっきりとしています。クリの道管は日本の広葉樹のなかではもっとも大きい部類に入ります。

このため、肌目の粗い木材となっています。心材は褐色、辺材はやや褐色を帯びた灰白色で、両者の差ははっきりとしています。気乾比重は0.440.60(平均値)0.78で重硬な

木材といえます。心材の保存性は極めて高く、日本産材中では最高といえるでしょう。したがってよく水湿に耐えます。上述のように重硬で、強く、しかも保存性が高いことから、建築に用いると非常に丈夫なものが出来ることになります。このことは昔からよく知られており、家を建てる際には最小

限でも、建物の土台にはクリが用いられてきました。最近では、このような例は少なくなりました。切削などの加工が難しく、表面の仕上がりは中庸です。

用途

建築(土台、装飾)、家具、器具、車両、ひきもの、枕木、土木などに使われます。

 

 

ケヤキ、欅 (ニレ科)

本州、四国、九州さらに朝鮮半島、中国に分布しており、植林されています。日本では、重要な広葉樹材の一つで、最近では、特に和風の家具を中心としてケヤキを使うことが高

級感の表現となっている感があります。北海道には分布していないので、それ以外の地域での代表的広葉樹材の一つです。比較的低い処に生育しているので、目に触れ易い樹です。東京都内でも並木があり、府中のケヤキ並木は有名です。ケヤキに対する需要が多くなったため、最近では、南洋ケヤキなどといって安い南洋材をケヤキらしく見せて取引する例もあります。

木材

環孔材なので年輪界がはっきりと見え、肌目が粗です。このため、成長がよいと年輪幅が広くなり、比重が高く重硬になり、木材の表面は光沢があるようになります。成長が悪い

とちょうどその逆になり、木材は軽軟になり、光沢が少なくなります。大径になったケヤキには、こぶがあったりするため、木材の中の繊維の配列が不規則になりいろいろな形の

“もく”が現れます。美しい“もく”があると、その化粧的な価値が高くなり高価になります。心材は黄褐色あるいは赤褐色、辺材は帯黄白色あるいは淡黄褐色です。加工のし易さは中庸です。曲木が容易なのも特徴です。気乾比重は0.470.69(平均値)0.84で重硬です。心材の保存性が高く、木材が強いので、かつては電柱腕木などに使われました。

用途

建築(大きな木材は寺社建築、かつては城。現在はむしろ装飾的な部材に)、家具、臼、杵、電柱腕木、太鼓の胴、器具、彫刻、日常の生活器具などに用いられます。

 

 

 

ヤマザクラを含むサクラ類 (バラ科)

ヤマザクラは本州、四国、九州、朝鮮半島にも分布します。サクラ類には、本州中部以北、北海道、南千島、サハリン、中国東北部、シベリアなどに分布するシウリザクラ:P.

ssiori北海道、本州、四国、九州に分布するウワミズザクラ:P.grayanaをはじめとして、多数の種類、品種があります。木材として利用される量は少なく、むしろ貴重な材料と

なります。ヤマザクラの樹皮の内側から桜皮と呼ばれる生薬がとれ、煎じて咳の薬としたり、エキスを鎮咳薬として使います。

木材

サクラ類の木材は、ヤマザクラのそれとほぼ似ています。辺材は淡黄褐色ないし黄白色で、心材との差ははっきりしています。心材は褐色ないし、赤褐色で、特徴的なことは注意

すると緑色の縞が不規則ながら必ず現れることに気付きます。生育中に虫の害を受け易いためか木材にはその傷あとが癒合した組織(ピスフレック)の小さい斑点が多数出ていま

す。気乾比重は0.480.62(平均値)0.74で、木材はやや重硬です。年輪界はやや明かで、肌目は精です。木材の保存性は高く、加工はし易いとされています。

用途

器具、家具(和風)、楽器、ひきもの、彫刻など、かつて塩田器具に用いたことがあります。マカンバあるいはミズメなどのカンバ類の木材のことをサクラあるいはカバザクラ、

ミズメザクラと呼んで、あたかもサクラ類の木材であるように取扱っていますが、カンバ類は色がやや似ている程度で、材面はずっと均一で、変化がありませんが、サクラ類はより不均一な材面をもっているため、装飾的な用途により適しているといえます。このような呼称、商習慣は明治時代からあったようです。

 

 

サワグルミ (クルミ科)

北海道南部、本州、四国、九州に分布しています。低湿地に多く成育しているので、谷川添いを歩くとサワグルミに出会います。サワグルミに馴染みがない人も多いと思いますが、われわれの身のまわりにもあります。それはマッチの軸です。このサワグルミはポプラの類と並んで主なマッチ用の材料として知られています。クルミと名はつきますが、実は食べられません。

木材

辺材と心材の境界はほとんど区別できません。両者とも黄白色です。年輪界はあまりはっきりとしていません。道管の直径がかなり大きいので、肌目は粗くなっています。気乾比

重は0.300.45(平均値)0.64で軽く、軟らかい木材の一つです。保存性は非常に低く、変色したり、腐ったりするので、湿度の高い条件で利用することは避けなければりません。切削などの加工は容易ですが、仕上がり面はとくによいとは言えません。

用途

サワグルミの用途として重要なものはマッチの軸木ですが、色が淡いので、染色する場合もあります。器具、経木、さらに、下駄(山桐という名前で売ったりします)などです。

 

 

 

シナノキ(シナノキ科)

北海道、本州、四国、九州に分布しており、なかでも北海道が産地として知られています。よく似たオオバボダイジュ:T.maximowiczianaは北海道、本州北、中部に分布して

います。前者をアカシナ、後者をアオシナとも呼びます。シナノキは中国大陸にも分布します。ヨーロッパでは、ドイツのリードにも出てくるリンデンバウム(ボダイジュ)は、同

類のT.vulgarisです。

木材

日常のわれわれの生活の中で、かなり出会うことが多い木材です。それというのも、外食したときに出される割箸にかなり大量に用いられているからです。気乾比重は0.370.50(平均値)0.61です。とくに不快ではありませんが、特有の臭いがあります。年輪界はあまりはっきりせず、均質な木材で、軽軟で加工し易いため、いろいろな用途に用いられます。しかし、木材中に含まれる糖のため接着(とくに尿素樹脂接着剤による)がよくなく、またセメントの硬化不良がおきます。さらに材内の酸により釘などの鉄汚染が発生します。保存性は低く、水湿には弱い木材です。

用途

かつてラワンやメランチが合板用材として使われる以前には、北海道産のシナノキの合板が多量に市場に出ていました。キャビネット、彫刻(北海道などで民芸品)、箱材(洋風の菓子あるいは紅茶の箱など)、鉛筆、割箸、器具などが知られています。シナノキの樹皮の繊維は強く、織物に広く使われ、船網、箕()、酒や醤油のこし袋、蚊帳、袴などにも用いられました。オオバボダイジュのそれも同様に使われますが、品質ははるかに劣るといわれています。

 

 

タブノキ、イヌグス(クスノキ科)

本州、伊豆七島、四国、九州、沖縄、台湾、朝鮮半島南部、中国などに分布しています。海岸沿いのところで、太平洋側では岩手県南部、日本海側では育森県南部にまで見られます。

木材

辺材と心材の色の差は認められます。前者はやや褐色を帯び、後者は紅褐色です。タブノキはその木材の色によって、より赤いものをベニタブ、淡色のものをシロタブというよう

に区別することがあり、前者のほうが高く評価されています。年輪界は認められます。日本の木材のなかでは珍しく、木理が交錯しています。また、木理が乱れていることがあり、そのため材面に化粧価値のある杢が出てくることがあります。肌目は粗です。気乾比重は0.500.65(平均値)0.77で、木材はほぼ中庸な硬さをもっています。保存性はほぼ中程度

です。切削などの加工はとくに難しいことはありません。仕上がりは中程度になります。

用途

器具、家具、建築などに用いられます。しかし、タブノキの木材は、暖かい地域に蓄積が多いので、それ以外の地域ではよく知られていません。樹皮が絹織物の染料になります。



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いろんな広葉樹その1

アカガシ (ブナ科)

福島県および新潟県の海岸に近いところから南に分布し、四国、九州さらに済州島、朝鮮半島南部にかけた温暖帯に広く生育しています。日本産のカシ類のうちで最も高いところまで分布している種です。常緑で、樹高20m、直径1mに達し、カシ類の中では大きくなるほうです。日本では重硬な木材の代表的なものとして、カシが挙げられることが多いです。他にアラカシ(Q.glauca)、イチイガシ(Q.gilva)、シラカシ(Q.myrsinaefolia)があります。

木材

木材の色は別表のとおりで、辺材と心材の色の差はあまりはっきりとはしていません。イチイガシはアカガシとよく似ています。アカガシはもっとも重硬な木材の一つで、保存性

は中庸で、切削などの加工は困難なものの一つといえます。乾燥は容易ではなく、表面の仕上がりはとくによいとはいえません。

用途

かつては、器具材、車両材、機械材、建築材、枕木、薪炭材、器具柄材、足駄歯、櫓材など重硬な材料の用途に、広い範囲にわたって使われていましたが、需要の変化、他材料の

進出、資源の減少などのため、われわれの目に触れる機会が減ってきました。それでも、比較的身近なものとして、木刀、長刀、ゲートボールあるいは屋内の遊具にも使われています。

 

 

イタヤ力工デ、イタヤ(カエデ科)

北海道、本州、四国、九州に分布しており、さらにサハリン、千島、朝鮮半島、中国東北部にも分布しています。カエデの類は日本には20数種あります。さらに、公園や庭園で鑑

賞用として植えられることが多いので、園芸品種も数多くあります。また、おなじ目的で、外国産のカエデ類が導入されています。カエデ類は大径になりませんが、比較的大きくな

るイタヤカエデが木材として利用されています。

木材

カエデの木材は大きく、軽軟な木材と重硬な木材の二つのグループに分けることが出来ますが、イタヤカエデは後者に含まれています。辺材と心材の色の差はほとんどありません。

木材の色はやや紅色を帯びた白色〜淡紅褐色です。年輪はどちらかというとやや見にくいといえます。肌目は精ですが、木理は不規則なことが多く、そのために、美しい杢(縮れ杢、

波杢、鳥眼杢などがあります)をもつことが多いといえます。また、そのことが切削などの加工を難しくしています。気乾比重は0.580.65(平均値)0.77でやや重硬な木材といえ

ます。曲木のできる樹種です。加工の仕上がりのよい木材です。

用途

家具、器具、運動用具、建築、楽器などに用いられます。また、コケシの材料としてもよく知られています。

オニグルミ(クルミ科)

北海道、本州、四国、九州などに分布していますが、蓄積は多くはありません。どちらかというと、東北地方、北海道などが産地としてよく知られています。造林されることがあ

ります。オニグルミの木材で日常接することのあるのは、洋風の家具、あるいはフローリングになっているものが大部分です。オニグルミの実は食用になりますが、日本ではクルミの実として売られているのは果実を目的として栽培されているテウチグルミ(J.regia var.orientis)からとられるものです。

木材

辺材と心材の色の差ははっきりとしています。前者は灰白色で、後者はくすんだ褐色です。年輪はとくにはっきりしているとはいえません。道管の直径が大きいので肌目は粗です。

気乾比重は0.420.53(平均値)0.70で、木材は中庸な硬さと重さをもっています。木材の狂いが少なく、靭性があります。切削などの加工は容易で、表面仕上げは良好です。

用途

この木材の特徴的な用途として銃床がありますが、これは上述の性質をうまく組み合わせたものです。家具、建築、器具、彫刻などの用途が知られています。

 

 

 

カキ (カキ科)

カキの類は、果実でよく知られていますが、木材に出会うのはずっと機会が少ないでしょう。よく似ているものにヤマガキ(var.sylvestris)があります。この他、この属にはマ

メガキ、シナノガキ、トキワガキなどがあります。分布は本州中部、南部、四国、九州、伊豆七島などで、朝鮮半島、中国などに分布しています。マメガキは中国から渡来したも

とされ、シナノガキは関東地方南部以西、四国、九州、沖縄、台湾、朝鮮半島南部、中国、トキワガキは本州の東海から山陽地方、四国、九州、沖縄、台湾、中国に分布しています。

木材

辺材と心材の色の差はあまりはっきりしていません。淡色で橙色を帯びていますが、ときどき黒い条が不規則に出てくることがあり、それが著しいときには、木材の色が黒に近く

なります。黒い心材の出ることはあまり多くありませんが、それをもったものを黒柿と呼んで、装飾目的の用途に使い、価格も高くなります。リップルマークがあるので、簡単に他から区別できます。気乾比重は0.600.85で、やや重硬です。

用途

床柱、内部装飾などの建築材として、また、寄木、象眼、家具、彫刻などに珍重されます。アメリカ産のパーシモンは同属で、ゴルフのクラブヘッドに使われていたことでよく知

られていますが、日本のカキもクラブヘッドとして使われていました。塗布用の柿渋はカキの類の未熟な果実をつき砕き、その搾った液を半年放置しておいたものです。

 

カツラ、桂(カツラ科)

北海道、本州、四国、九州などに分布していますが、蓄積が多いのは北海道です。しかし、最近では生産量が少なくなっています。

木材

辺材と心材の色の差ははっきりしています。前者は黄白色で、後者は褐色です。カツラの木材の中で、色の濃いものをヒカツラ、淡いものをアオカツラと呼んで区別することもあ

ります。前者のほうがよいとされています。年輪界は明らかです。肌目は精です。気乾比重は0.400.50(平均値)0.66でやや軽軟な木材といえます。保存性は低く、切削など

の加工は容易で、表面はよく仕上ります。

用途

軽軟で、加工がし易いので、家具用材、とくに引き出しの側板としては定評があります。しかし、最近では、生産量が減り、需要が追い付かなくなってきため、ずっと値段の安い

南洋材の中から材質が比較的似ているようなものを探しだし、ナンヨウカツラというような商品名をつけて代用品にしていることが多くなっています。したがって、よほどでない

と、カツラを引き出しの側板に使ったような家具に出会うことはないようです。かつては、洗濯用の張り板、和裁の裁ち板などのような用途があり、われわれには馴染みの深い木材

でした.。碁・将棋などの盤、彫刻、器具などにも使われます。

 

 

キハダ、ヒロハノキハダ、シコロ 黄  (ミカン科)

北海道、本州、四国、九州に分布しています。さらに、中国、朝鮮半島、サハリンにもみられます。一般にキハダとして市場に出ているもめは、北海道産のキハダです。それほど

蓄積の多い樹種ではありません。

木材

辺材と心材の色の差ははっきりとしています。前者は淡黄白色です。後者はやや緑色をおびた黄褐色ですが、長い時間空気に曝されていると褐色になっていきます。環孔材なので、

年輪界ははっきりしています。道管が大きいので、肌目は粗くなっています。気乾比重は0.380.49(平均値)0.57でやや軽軟な木材といえるでしょう。木材'の保存は低く、切削

などの加工は容易ですが、仕上がり面はとくによいとはいえません。

用途

家具、指物、器具、単板、天然木化粧合板などがあります。キハダは木材以外の用途で知っている人が多いのではないでしょうか。それは、樹皮が薬によく利用されることです。内樹皮は鮮やかな黄色で、胃腸薬とされ、ダラニスケあるいは百草などの名で家庭薬の成分とされています。その外いろいろの漢方薬の成分とされ内服薬ばかりでなく、外用にも使われます。また、黄色の染料としても使われていました。

 

 

キリ 桐 (ゴマノハグサ科)

野生のものはなく、北海道南部から南の各地に植栽されています。よく知られている産地は福島県(会津桐)、岩手県(南部桐)、新潟県、茨城県などです。しかし、最近は日本で

の供給が減少していることから、中国、台湾、米国、ブラジルなど海外諸国で植栽されたものが、大量に輸入されています。同類には、タイワンギリ:P.kawakamii、ココノエギ

リ:P.fortuneiなどがありますが、これらを見分けるのは、容易ではありません。婚礼家具代表の感のあるキリ箪笥の内、かなりの割合が、外国育ちのキリを使ったものです。かつて「娘が生まれたら、キリを植えて嫁入りの時に伐って箪笥をつくってやる」というようなことがいわれ、また行われていました。そのくらい成長が早く、短期間で木材が得られる樹種です。キリを植える習慣は減ったでしょうが、キリの箪笥は家具として、引き続き頑張って欲しいものです。

木材

年輪の境界に大きい道管が帯状に配列する傾向がありますが、あまりはっきりはしません。肌目はやや粗です。辺心材の差はほとんどなく、ともに淡褐色で、心材がやや濃いとい

えるでしょう。ときに、材面がやや紫色を帯びることがあります。気乾比重は0.190.30(平均値)0.40で、日本産の中では、最も軽軟です。加工は容易で、製品は高い寸度安定

性をもちます。そのため種々の家具に用いられ、密閉度の高いものを作ることが出来ます。

軽軟なため、下駄にした場合、上の細かい粒が木材にくい込むので摩滅が少なくなります。

用途

家具(箪笥など)、器具、建具、箱、楽器(琴など)、彫刻、下駄、羽子板などが知られています。



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