時間の無駄と言わないで

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『死神の浮力』伊坂幸太郎

死神の浮力 (文春文庫)
「死神の精度」の続編。
まぁお話が続いてるワケでもないのですが。
前作は短編集だったけど今回は長編。

前回の方が切れ味もテンポも良かったなぁ。
長編向きじゃないのかも。

要所要所でクスっとくるこのシリーズらしい会話があっても、すぐにテンション下がるエピソードが挿しこまれちゃうし。
死神の調査期間の一週間の話ってのはシリーズフォーマットを踏襲してるけど、「死神VSサイコパス」の構図がそれと噛み合わない感じで。
決着は最後まで着かないワケだから、日々の話で全然テンションが上がらない。
「追い詰めたぞ!」→「やっぱりダメでした・・・」の繰り返しになっちゃって話もあまり進まない。

こっちを先に読んだあとに「〜精度」を読んでたらどっちも楽しく読めただろうけど、先に「〜精度」を読んでからだとだいぶ落ちるなぁという印象。
むしろ死神シリーズにする必要なかったんでない?

『ドント・ブリーズ』

お爺ちゃんが怖い映画。
メンタルは本編の方が怖いけど、フィジカルは予告編の方が怖そうだった。
視覚以外の発達具合がもっとゴリゴリな感じだと思ってたけど、意外とそこは普通に盲目なだけで残念だった。
エコーロケーションでも使うのかと思ったのになぁ・・・。

でも90分くらいドキドキしっぱなしで楽しめた。
追いかけっこが始まるまでがちょっとダルかったけど、いざ始まるとお爺ちゃんの魅力(?)に惹きこまれますわ。

ストーリー的な捻りは良かったけど、追いかけっこのギミック的な部分にもう少しアイディアが欲しかったなぁという感じが惜しいところかと。

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』

個人的には「GODZILLA」がイマイチだったので、そのギャレス・エドワーズが監督するって時点でだいぶハードル下がっちゃいまして。
そのせいもあってか凄い面白かった。

とはいえ、「GODZILLA」がゴジラがいるシーンが最高に素晴らしくて、その他の人間ドラマシーンがとんでもなくつまらなかったように、今作も後半のドンパチシーンは最高だけど、前半の人間ドラマが酷い。
終わり良ければ何とやらではありますが・・・。

それなりに時間を割いたのに、誰一人背景が深堀されないってのはちょっとどうかと。
オチは知ってる話だから、「死んじゃうんだろうなぁ、悲しいなぁ」とこちらが補完しないとどうにもならない。
監督が違えばもっと一人ひとりの散り様をグッとくるものにも出来ただろうに。
フォレスト・ウィテカーとか予告編のナレーションのためだけに呼んだのか?

敵役の中間管理職の悲哀は凄まじく、その情熱を主人公たちにも少し分けてやれよと思ったり。

ただ「ローグ・ワン!」の台詞からのエンジンのかかりようが半端無い。
地上戦もドッグファイトも最高でしかない。
エピソード4に繋がるその瞬間までホント最高。
ベイダーも最高。

ドニー・イェンがキレッキレで良かった。
一番キャラも立ってた。

ピーター・カッシングがフルCGキャラになったのは驚き。
出番も台詞も多かったからまだ流石に違和感はあったけど、それでも凄い時代になったもんだわ。

音楽はジョン・ウィリアムスに寄せたぶん、微妙にパチモン感が漂ってたのが残念。

「帝国の究極兵器のくせに脆いなぁ」と、子供の頃から思っていたことにちゃんと理由を付けてくれたのは良かったと思う。

前半もうちょっとどうにかしろよとは思うけど、それでもスピンオフのお手本のような仕上がりだし、シリーズ屈指の出来だとも思う。

『海賊とよばれた男』

原作はイイ話なんだろうなぁというのは解る。
でも2時間の映画にしてみるとどうも散漫な感じで。
登場人物もエピソードも多いのなんの。
もうちょっと厳選するなり、2部作にするなりした方が良かったんでない?

どれも熱いエピソードなんだろうに、盛り上がり切らずにアッサリ次の話に行っちゃう。
字幕で片付けるなら大陸進出編なんて要らないって。

岡田准一の60代芝居は良かった。
メイクも良かった。

90代もメイク(CG?)
は凄かった。
でも映画としては必要だったかい?
幸せそうな家族に囲まれてるし、そんなに拘りあったのかねぇ?

豪華俳優陣は数が多過ぎてイマイチ使いこなせていない気もするけど、みんな良かった。
もごもごする吉岡秀隆は最高だった。
鈴木亮平が古参メンバーといっしょに「船出せ〜」って言ってたのはなんか違和感があった。

山崎貴は湿っぽい話は撮れても、熱い話は撮れないのかもしれない。

『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』

イマイチな邦題。
ヒュー・グラントも夢見てたっけ?

笑いあり涙ありの本編を想像させる本編に反して、わ笑いも涙もピンとこない本編で残念。

無自覚音痴関連で笑わせたいのか、病気関連で泣かせたいのか。
献身的な夫を描きたいのか、二重生活してる微妙なポジションを描きたいのか。
やりたいコトが全く見えてこない。
夫婦の実際の話から、映画の尺に収まるようにする以外は何にも考えずに各エピソードを適当に拾ってきただけのよう。

俳優陣は凄く良かったのにね。
メリル・ストリープは女装したささきいさおに見えたけど、やっぱり上手いねぇ。
ヒュー・グラントも格好良かったし、レベッカ・ファーガソンもお綺麗だったし。

ぼんやりした一本でした。

『この世界の片隅に』

いや〜凄いね。
面白いの何のってもう。
戦争映画で戦争の悲惨さを描いているのに、それでも面白いっていう。
コメディとして作った映画でもここまで笑い声が聞こえてくるって滅多にないかも。

昭和一桁生まれの日常アニメみたいな感じ。
細かい日常の積み重ねだから、全体を通しての起承転結は薄味。
でもそこはそれ。
早い展開をしつつちょいちょい「○年○月」ってのが明示されまして。
観客全員が知ってる「結」に向けて勝手にこちらが補完していくから全然問題なくて。

当時の普通の日常がホント面白い。
で、その積み重ねがあるから終盤がホント悲しい。
戦争が始まっても笑いはある庶民の日常だからこそ尚悲しい。

大きな映画館にはかかってないけど、でもやっぱり劇場の音響効果が絶大で。
空襲とかちょっと泣きそうになるくらい怖い。

で、主演ののんですよ。
素晴らしい。
冒頭数分こそ「うわぁ、そのまんまじゃん・・・」と思ったけど、すぐにシンクロしだして「のん=すずさん」になる。
すずさんの愛嬌も、この映画の笑い所ものんの功績は偉大です。
キャスティングした側も、された側も凄ぇよ。
「ありゃ〜」とか超可愛いし。

のんに限らずどのキャラも当て書きレベルの適材適所。

アニメーション技術も、ストーリーも、芝居も演出も何もかもが高いレベル。
今年ベスト級は勿論のこと、生涯ランキングに食い込む出来ですわ。
終始笑いに包まれて、拍手で終わった素晴らしい映画。

うちの祖母もすずさん世代。
色々考えさせられる。

『疾風ロンド』

阿部寛のコミカル芝居を堪能する映画。
ホント面白いなぁ阿部寛。

でも映画としてはかなり残念な感じに。

未読だから実際はどうだか知らないけれど、原作はもしかしてそこそこシリアスなサスペンス小説だったんじゃないの?
親子間のギクシャクとか、終盤の動機云々の話とかからコミカル阿部寛が完全に浮いてるもん。
主役が画面から外れてから始まる告白って斬新過ぎるでしょ?

ジャニーズとAKBはストーリー的にも演技的にもいまいちピンと来ない。

・大倉君がスプレーで何か書いてる→書いたものが映る
・田中要次が何かに驚く→それが映る
このカット割りの意味の無さとか戦慄モノです。

あそこで冷蔵庫に露骨にフォーカスしちゃったらその後全くドキドキしなかろうに。

2時間ドラマならまだしも、お金取ってコレはちょっと・・・。

でもコミカル阿部寛だけは本当に最高。

『ミュージアム』

予告編を観た限りは「セブン」みたいな映画かなと思ったけど、そんなに「セブン」っぽくはなかった。
でも、「セブン」っぽい序盤はテンポ良く進んだものの、「っぽさ」がなくなってからは急にテンポが悪くなっちゃって何だかなぁ・・・。
ラストも宣伝通り「最悪のラストを期待」したけど、「セブン」級のを期待しちゃった分、そうでもないラストに感じてしまったり。

2時間超え作品だけど、もうちょっと短くまとめて欲しかったなと。
主人公がおマヌケな感じで尺が延びてる印象がないすか?
もっとサクサクやれば散見される細かい粗も気にならなかったろうに。
回想も結構ダルい。

国内でスピード感のあるカーチェイスってのは無理なんですかねぇ?

判事さんの娘さんはお綺麗。

髪がふさふさだと格好イイ伊武雅刀。
でも全然出番なし。

車に撥ねられるときはワンカットでやってくれよと思うジャッキー・チェンファン。

マット・デイモンを秘密にし続けた洋画とか、第2形態を隠し続けた邦画とか、ああいうやり方のほうが驚きがあって好きだなぁ。

予告編観とけば十分な映画だったかなぁ・・・。

『眼球堂の殺人 〜The Book〜』周木律

眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社文庫)
メフィスト賞受賞作。
出来た頃のメフィスト賞っぽいというか何というか。
要は当時の森博嗣っぽい。

登場人物一覧があって、クローズドサークルで、その見取り図があって、読者への挑戦もあって、ストレートに新本格。
今時珍しいくらいの直球勝負。

頁数の割にはサクサク読める。
天才を集めてる割には衒学趣味が薄めなのは良し悪しか。
ただ、知識云々はともかく、誰も天才に見えないのは残念。

「The Book」とか、今後どうにもならなそうな設定を入れてくる辺りもメフィスト感を感じたり。

面白いは面白い。
でも、随所で感じる「○○(森博嗣とか、綾辻行人とかetc.)っぽい」要素が、どれも本家には及ばず、でも独自性が余りなくてどこまでも「っぽい」だけで構成されてるのはデビュー作だからですかねぇ?

シリーズがどんどん文庫落ちするみたいだけど、以後独自の個性が発揮されていくならもっと面白くなるはず。

『オケ老人!』

ド直球のド定番。
でも王道は強し。

当方杏ちゃん大好きでして。
大画面で主演で眼福極まりなし。
部屋着も燕尾服も素晴らしい。

さらにベテラン勢がとてもイイ。
個人的には小松政夫が昔から好き。
でも小松政夫以外もそれぞれ抜群に良かった。

笹野高史、左とん平、石倉三郎と、この年まで一線級おじいちゃんは、そりゃ面白いから一線級なんだよなぁと改めて実感する次第。
勿論おばあちゃん勢も。
笹野高史以外はいくらなんでもバックグラウンドを掘り下げ無さ過ぎな気もしましたけども。

ただ、この手の映画で明らかに若い人の老けメイクが出てくると一気に冷めるからやめて欲しかったなぁ。
森下能幸のことです、はい。

病気とか死とかを笑いにする攻めの老人ギャグが面白い。
老人あるあるネタも含めて劇場のベテランさんたちも笑っていたので何より。

杏より背の高い若手男優を探すのはなかなか難しいんだろうけど、坂口健太郎はなぁ・・・。
魅力的な老人たちの合間に、表情が2パターンくらいしかない彼が出てくるとなんともつまらなく感じる。

要は老人版「スウィングガールズ」なワケで。
ただこちらはラストの演奏は明らかに吹替えで。
でもそこは演出と演技でカバー。
威風堂々にあの映像乗せられたらそりゃ涙腺ゆるんじゃうって。

『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』

基本的にトム・クルーズの映画は観に行くコトにしているうえに、どうやらヒロインがコビー・スマルダーズともなれば観ないワケにはいくまいて。
トムの顔がパンパンでカート・ラッセルみたいな感じになっちゃってたけど、そこはコビーでカバーです。
大画面にコビーが出ずっぱりってのは堪りませんなぁ。

とはいえ、要所要所ではしっかり格好イイ表情になるし、なんだかんだ言ってもトムはスターの貫録出まくりで素敵。
飛んだり跳ねたり今回も全力です。

普通に面白いのは流石はトムクル映画。
でも娘要素は必要だった?

敵がイマイチ賢くないんだけど、そこに更に賢くない娘を投入して無理やりお話を展開させてるようでモヤモヤする。
そもそも娘のキャラ自体もあまり好きになれず・・・。
話の本筋はよくある新鮮味ゼロの定番ネタなんだから、バディモノとして脚本を作り込んで欲しかったかな。
もっとコビーを活躍させようぜ。

主演2人の魅力も手伝って、微妙な娘がいても普通に面白いんだけど、トム・クルーズ主演作品に期待しているのはこんなレベルじゃないのよね。

あ、でも黒のセダンのシーンは最高だった。

『ぼくのおじさん』

ぼんやりした笑いがイイ感じ。
おじさんも雪男もとても好ましい。
だらだらとした日常がぼんやり面白い。

松田龍平も子役も抜群にイイ。
脇の配役もしっかりしてて楽しい。

で、ハワイ編になった途端につまらなくなる。
農園の今後とか興味ないし、農場主と菓子屋の未来も知ったこっちゃない。
知ったこっちゃないけど、予想通りに展開して予想通りに着地するから余計に面白くない。
後半で突然「男はつらいよ」になられてもなぁ・・・。

もっと国内でちっちゃいエピソードをだらだらやって欲しかったなぁ。

担任の先生が美人でスカートも短くて、雪男は学校楽しいだろうなぁ。

『金メダル男』

監督・脚本・主演が内村光良。
彼らしい、誰も嫌な気持ちにならない作品。

「金メダル男」要素は結構どうでもイイ感じで、ひとりのおじさんの人生の話でした。
冒頭に出てくるチャップリンの言葉が全てですわ。

主人公がおじさんになるまでを知念侑李が担当。
その前半パートがいまいち退屈でして。
コメディのはずなのに知念侑李がどうも面白くない。
周りのキャストやウッチャンのナレーションで面白くしてもらっている感じ。
主人公が笑いを取にいけないんじゃちょっとなぁ・・・。
ダンスはキレキレで良かったけど。

前半は金メダル目指して頑張りまくる展開だけど、話の本筋に金メダルがあんまり関係ないからねぇ・・・。
後半にそこでの伏線が回収されまくるのは気持ちイイから、もっと手際よくサクサク捌いて片付けちゃえば良かったのに。
時間の流れも重要な要素だから、そりゃ前半も絶対必要なんだけど、正解は別にある気がするなぁ。

後半に木村多江登場。
大好き。
色んな木村多江が観られるだけで大満足。

ちょっとバランス悪いけど、「あ、金メダル獲りたいとかはどうでもイイ映画なんだコレ」と気づいてからは、クスッとしてしんみりして、ちょっと頑張ろうと思える映画になります。

『スター・トレック BEYOND』

J.J.エイブラムス作品はあんまり好きじゃなかったけど、それでも監督としてはそこそこ有能だったんだなぁと。
彼から監督が変わった今回はちょっとモヤッとする仕上がりに。

アクションが凄く見づらい。
やたらと近いカメラとか早いカット割りとかで何してるか判らなかったり、画面が暗くて何してるか判らなかったり。

キャラ毎の個性とか、キャラ同士の掛け合いとかは良かったけど、それは監督の手柄じゃないしなぁ・・・。
ブリッジクルーがそれぞれの分野では優秀な人材な感じが描かれていたのは良かった。

アクション大作になった今シリーズだけど、ただのドンパチじゃない辺りはスタートレックらしくて良い感じ。
ただ、その背景とかそれっぽい理屈とかがちゃんと描かれていないのはガッカリ。
特に終盤に突然マクロスとジャミラを足したバカ映画になっちゃったのはどうなんでしょうねぇ?
個人的には今シリーズの手堅い感じがあんまり好きじゃなかったから、突然のバカ映画展開はちょっと好きですけどね。

白い人は結局何だったの?
ソフィア・ブテラにした意味はあるの?

いくらんでもヨークシティの建造位置はオカシイだろう?

等々色んな疑問は湧くけれど、それでも普通に楽しめるSFアクションではありました。

『聲の形』

原作知らないで観に行ったけど、重いっすねぇ。
だからこそもうちょっと盛り上がり所を用意してくれたら良かったなぁ。
ちょっと淡々と進み過ぎる気がする。

だいぶ端折ってると思う。
そりゃ2時間で収めるんだから端折らなきゃだけど、端折り過ぎて終盤の橋での亀裂が軽く映っちゃってて、その後の展開が唐突な感じがしてしまう。
そこに限らず色々唐突。
1クールアニメとかの方が丁寧にいけたんでない?

逆にもうちょっとあざとく盛り上げる演出がなされていたら多少唐突な展開も勢いでカバーしていけたろうに。
ムカつく奴に何の報いもなかったりするのは世の中ってそんなもんだけど、映画の中ではもう少しすっきりさせておくれよ。

とはいえ、それでも良くまとまってたと思うし、なかなかに考えさせられるテーマ性もあるし。
観る人の世代によって結構感じ方も変わってくる話だろうし。
道徳的にはダメなんだろうけど、でも苛めちゃう気持ちとかも解るし、シングルマザー達の気持ちとか、大人になると色々共感出来てしまうし考えてしまうし。
観賞中も、観賞後も色々考えてしまう。

となると、淡々とした展開も、すっきりしない展開も、そうした方が観客がテーマとちゃんと向き合うだろうという意図なんでしょう、きっと。
個人的にはもうちょっとバランス良くして欲しいけど。

重たい話だったけど永束君のお陰で重たくなり過ぎずに観られます。
作品世界の人間にとっても観客にとってもホント良いヤツです。
かうんたぁ
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