時間の無駄と言わないで

あれよあれよで10年目 古い記事でもコメント・TBお気軽に

た行の作家

『本能寺遊戯』高井忍

本能寺遊戯 (創元推理文庫)
歴史ミステリー。
女子高生の歴史談義の割には、資料を引用しまくりのかなり硬派な作り。
引用した結構長い文章がいわゆる古文であっても必ずしも現代語訳をしてくれるというワケでもなくて。

トンデモ感のないタイプだけど、それでも提示される真相は面白い。
けど、小説として面白くはない。
延々資料をこねくり回しているだけだから、ずっと地の文のままでも全然問題ないし、そもそも3人の女子高生が話を進めるための駒としての役割しかないような感じだし。

もう少し読みやすい文章にするなり、小説としての面白味を足すなりしてくれるとイイなぁ。
謎解きは面白いんだけど、お勉強の本を読んでいるようでして・・・。

『ゼロからトースターを作ってみた結果』トーマス・トウェイツ

ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫)
200頁の本なのに800円もするのはカラーだから。
小説じゃないし。

大学の卒業制作でトースター作り。
金属は鉱山から掘り出して製錬して・・・、っていう本当にゼロから。
写真もたくさん載ってるし、文章も軽くて読みやすい。
紙でブログを読んでる感じ。

DIYモノ(?)としても紀行文としても楽しいし、現代経済の在り方へ一石を投じてもいる。

変に重たい内容で「今、地球環境が・・・」みたいな主張をされるより、こういう方がちょっと考えてみようかという気になる。

『人類は衰退しました 7』

人類は衰退しました 7 (ガガガ文庫)
だいぶハードにSFしてる。
妖精は控えめ。
もっとガッツリ妖精を絡めないと、SFパロディに留まっちゃう気もする。

軽い話を軽く読ませるのも才能だよなと、最近イマイチな本が続いていたので改めて思った。

『妄想女刑事』鳥飼否宇

妄想女刑事 (角川文庫)
連作短編ミステリー。
「ソロモンの偽証」の後に読んだコトもあってなかなか厳しい出来ですなぁ。

社会を斬らず、重いテーマもなく、凝ったトリックも構成も無い。
ホントに軽〜いあっさりライトミステリー。
しかしどうにも文章がモタつく。
相性の問題かねぇ?
軽い話を軽く読みやすく書くのもそれなりの技術が要るんだろうなぁ。

で、そこでの相性がいまいちだともう長所なんて見つけられないワケで。
バカミスするにはバカが足りず、本格するにはアンフェアで。
要するに面白くなかった。

『ジェノサイド』高野和明

ジェノサイド 上 (角川文庫)ジェノサイド 下 (角川文庫)
めちゃめちゃ面白かった。
上下巻あるボリュームも全然気にならない。
話の先ばかりが気になる。
大傑作のエンタメ小説だと思う。

SFありサスペンスありアクションあり、扱ってるテーマも創薬だの民間軍事会社だの人類の在り方だのとコレでもかってくらい色々詰め込んでる。
でもそのどれもが面白い。

ただ著者の左巻きな感じの主張が小説に出てきちゃってるのが残念。
本筋と関係ないところで出てくる極端な左巻きはちょっとやり過ぎじゃない?
「さて、ここからが僕の主張ですよ」と言わんばかりに本編から乖離してるのはゲンナリするなぁ。
そこにさえ目を瞑れば只管に楽しめるから余計に残念。

『人類は衰退しました 6』田中ロミオ

人類は衰退しました 6 (ガガガ文庫)
鳥人間コンテストと漫画制作パロディの2話。
各100頁とかなりコンパクト。

SFらしさがちょっと薄め。
内容も薄め。
本も薄め。
ちょっとやっつけ感漂う1冊。

漫画制作の方なんて、題材がゲームか漫画かの違いだけで、やってるコトは5巻と一緒。

次からはSF魂を取り戻して欲しいものです。

『人類は衰退しました 5』田中ロミオ

人類は衰退しました 5 (ガガガ文庫)
かなりの変化球。
2話収録だけどどちらも妖精さんはかなり薄味。

1話目は過去編。
かなり暗くて湿っぽい始まり。
まぁこの暗さと湿り気があるからこそ、展開がより映えるワケですが。
ただ、前半のジットリ感を丁寧に描いたのに、後半が駆け足過ぎてカタルシスが薄い。
丸々1冊この話でも良かったのではないかと。

2話目はゲームパロディ。
結構長い年月をゲームに費やしてきた人じゃないと全く楽しめないと思う。
パロディが延々と続くだけ。
小説としての面白さとか、このシリーズならではの展開とか、そういうの度外視な気がする。
パロディ自体は面白いし、良く出来てる。
でもそれとお話の面白さとはまた別な気がする。

『DRAGON BALL 超画集』鳥山明

DRAGON BALL 超画集 (愛蔵版コミックス)
「読書」ではないよなぁ・・・。

ドラゴンボール関連のイラスト集。
ちょいちょいモノクロもあるけど、基本的にはカラーイラスト集。
連載開始時から「神と神」まで、ことカラーイラストに関してはほぼほぼ網羅してるのではないかという量です。
お馴染みの単行本の表紙から、愛知県税務署っつうのまで色々。
懐かしいのから見たコトないのまで様々。

もっとお金出すから、各話扉絵とかも丸っと収録してくれると尚良かった。
もっと沢山、もっと大きく。
表紙にはラフとかがちょろっと載ってるけど、そういうのこそもっと見たい。

それにしてもやっぱりイイよなぁ、鳥山明。
ここ数年のCG絵は天才のちょっと衰えた姿が見えたりして寂しいけれど、それでも何だかんだ言ってグッとくる絵もまだまだあるし。
そもそもこの人のセンスが堪らんのよ。
ビミョーだった「GT」も、鳥山明のイラストで見るとめちゃんこ面白そうに見えるし。

CGにたよらずに、手で描いて欲しいなぁ・・・。
収録されてるイラストの九分九厘は手書き手塗りイラストだけど、圧倒されるもん。
思い出補正とか関係なく、ホント格好イイ。

『人類は衰退しました 4』田中ロミオ

人類は衰退しました 4 (ガガガ文庫)
また2話構成に。
そして久々に妖精さんメインの話も。

一応3巻の内容を踏まえているのね。
今までは各話完全に独立していたから新鮮。

謎の工場とか堪りませんな。

何となくモロー博士を思い出したり。

『人類は衰退しました 3』田中ロミオ

人類は衰退しました 3 (ガガガ文庫)
3巻目にして長編に。
毎回変わる趣向は今回はサバイバルSF。
結構ハードなコトになってます。

どんどんSF要素がハードになっていき、妖精さん要素が薄まっていく。
毎回テーマがガッツリ変わるから、たぶんそのうち妖精さん重視の回もあるコトでしょう。

『人類は衰退しました 2』田中ロミオ

人類は衰退しました 2 (ガガガ文庫)
2巻目。
世界設定や人物の紹介も終わったので初めからガッツリとお話が進みます。
短編集だけど連作形式だから、どの巻から読んでも大丈夫ってワケにはいかないようです。

今回は随分とSFしてます。
前作もSF要素はあったけど、ここまで強く押し出してくるとは思わなかった。

多すぎるパロディはちょっとクドイ。

妖精さんの存在が大きかった前作を気に入ってコレを読むと、妖精さんの出番が激減しててガッカリする人もいるかも。
「SFよりもとにかく妖精さんだ!!」って人にはいまいちな巻かも。

『人類は衰退しました 1』田中ロミオ

人類は衰退しました 1 (ガガガ文庫)
ラノベ。
ラノベだけどテンプレ美少女が沢山出てきたりはしないし、学園ハーレムモノでもないし、「〇と△と×」みたいなタイトルでもないし。
ほのぼのSF。

未来世界というかファンタジー世界というか、まぁそこはそれ。
とりあえず日常モノの変化球なワケです。

日常モノの常として、ハッキリとした起承転結とか葛藤とかカタルシスとか、そういうのは超薄味。
だけど意外とSFとして締めるところはしっかり締めてたりもする。
2話収録されてるけど、2話目のオチはイイなぁ。

既にシリーズが何冊も出てるみたいだけど、この流れのままダラダラ進むのか、それともちょびっとSF色を増すのか、どちらにせよ楽しみです。

『純粋ツチヤ批判』土屋賢二

純粋ツチヤ批判 (講談社文庫)
日経新聞からお茶大パンフ、講演、出典不明と多岐に亘るエッセイ(?)を収録。
テーマも長さもまちまちだけど、概してどれもハイクオリティ。
色んなテーマのエッセイが新鮮です。

笑いに徹したモノもあれば、結構良いコト言ってるモノもあり。
定番の助手とも会話モノもある。

良作ですよ。

『教授の異常な弁解』土屋賢二

教授の異常な弁解 (文春文庫)
文春のカバーイラストがやっといしいひさいちに戻った。
嬉しい。

突然の映画パロディのタイトルはいまいちだなぁ。
まぁコレは編集者の領分ですが。

中身は今回も面白かった。
基本的に面白く、たまに感心する。

『バレエ・メカニック』津原泰水

バレエ・メカニック (ハヤカワ文庫JA)
幻想小説というかサイバーパンクSFというか。
バランスは8:2くらいかな?
3章構成で、章が進む毎にSF色が強くなっていきます。

前回は青春モノを読んだワケですが、テーマこそ違えど文章の感じは相変わらず無駄のない作り。
むしろギリギリ足りないくらいか。
ちゃんと読まないと置いていかれる。
付いていけても結構ワケわかめですが・・・。

1章は幻想バリバリでかなり混沌としてるけど、さっぱりした2章も合わせるコトでイイ感じに面白い。
ただ、3章は必要だったのかなぁ?

『ペガサスと一角獣薬局』柄刀一

ペガサスと一角獣薬局 (光文社文庫)
龍とかペガサスが絡んでいるような不思議な事件を解決していく短編集。
ファンタジックな状況だけど、実はこんなにも論理的で現実的なコトだったんだよっていう。
まぁよくあるよね。

もうちょっとファンタジックな謎でもイイなぁ。
結構謎も過程も解決も淡々としてます。

凄く盛り上がるストーリーでもないし、驚天動地のトリックとかもない。
丁寧に作られてるんだけど、地味というか何というか。
割と面白かったんだけど、しばらくすると内容を思い出せなさそうな気もする。
あんまり合わなかったのかな?

『ツチヤの貧格』土屋賢二

ツチヤの貧格 (文春文庫)
文春での500本目のエッセイを収録だそうで。
まぁ週刊誌の方ではもっと先のカウントだろうし、そもそも文庫落ちしたモノで追っかけてる身からしたら実感も皆無だし。

イイ感じにマンネリ打破出来たんじゃないかと。
新シリーズ(?)の「ツチヤ師」もアクセントに。

解説が齋藤孝。
9頁もある。
本編のエッセイが1本3頁なのにね。
なんかモヤモヤする。

『ブラバン』津原泰水

ブラバン (新潮文庫)
中年が高校時代のブラバンを再結成しようとする話。
なので、登場人物が高校生時代&現在の2パターン存在しまして。
なのに、登場人物が30人以上いまして。
30人×2を1冊で捌くのはそりゃ無理だって。

ついでに舞台が広島なんで、登場人物の殆どが広島弁。
時制とか活用とかがよく判らないし、誰の発言なのかも解りづらい。
まぁ方言の出てくる小説ではありがちなコトですが。

素敵なエピソードはチラホラとあるものの、全体的には淡々としてます。
もうちょっと何かあっても良かったんじゃない?
というか、もうちょっとあざとく感動させんとする作りの方が、この手のジャンルでは個人的には好きです。
ローマ法王のエピソードとかは大好きなんだけどね。

個別にはイイ感じのエピソードもあり、複線の張り方も上手。
やろうと思えば感動の青春モノだって書けただろうに・・・。

ちなみに、会社のかわい娘ちゃんにオススメされた本。
曰く「文章に無駄が無いところがイイんですよ」とのコト。
「ストーリーがどうこうじゃないんです」とも言ってた。

確かに無駄のない文章。
娯楽作品だけど、こちらに少し考えながら読むコトを要求する文章でもありました。
読解問題に使われそうな文章。
「『だから僕は』とありますが、何故そういう考えに至ったのかを100字以内で答えなさい」みたいな。

次にこの作者の本を読むときには、登場人物と方言の少ない作品を教えてもらおう。
あと、もう少しあざとい作りのモノを。

『銀河英雄伝説外伝 5 黄金の翼』田中芳樹

銀河英雄伝説外伝5 黄金の翼 (創元SF文庫)
コレがホントにシリーズ最終巻。
短編集+著者インタビュー。

短編集だから色んな人の外伝が描かれるのかと思いきや、ほぼラインハルト&キルヒアイス。
一編くらいヤン関連の話を書いてくれてもバチは当たらないと思うけどなぁ・・・。
いや、ラインハルトとキルヒアイスが面白くないってワケないけど。
バランスの問題。

インタビューはシリーズ通して読んだ身としては結構興味深い内容。

『妻と罰』土屋賢二

妻と罰 (文春文庫)
従来とは少し毛色の違うエッセイがちらほらと。
マンネリを脱しつつある感じで、また面白くなってきたんじゃないかと。
ここにきて新鮮味が出てきましたよ。

あとはカバー絵がイマイチなのをどうにかしてくれないかねぇ・・・。

『亜玖夢博士の経済入門』橘玲

亜玖夢博士の経済入門 (文春文庫)
囚人のジレンマとか社会心理学なんかを、小説仕立てで教えてくれる本。
1編もそんなに長くないので読みやすいけど、わりと一般的な知識に触れてるだけな気もする。

小説部分は大して面白くない。
というか、説明の後の実践編(?)で話がややこしくなっているんでないかと。
ソフトな説明だけしてくれりゃ十分なのに。

一応連作形式。
最終話では色々まとまるけど、まとめるコトに頑張りすぎて本末転倒に。

「面白いなぁ」とも、「勉強になったなぁ」とも思わない1冊。

『銀河英雄伝説外伝 4 螺旋迷宮』田中芳樹

銀河英雄伝説外伝4 螺旋迷宮 (創元SF文庫)
ヤンが主役っぽい感じかと思いきや、ゲスト連中がメインを張ってます。
何気にムライが美味しい役どころ。
帝国勢は顔出しすらゼロ。

捕虜収容所の話と、アッシュビー謀殺説の解明の話との繋がりが薄め。
収容所の話だけで良かったんじゃないかねぇ?

外伝で一番ぼやーっとした話なんじゃないかと。
締りが悪いです。

『人間は考えても無駄である ツチヤの変客万来』土屋賢二

人間は考えても無駄である-ツチヤの変客万来 (講談社文庫)
哲学者の土屋賢二と色んなジャンルの人(主に学者)との対談集。
「爆笑対談集」と書いてあるけれど、結構真面目に対談してると思う。
何だかんだ言ってもやっぱり大学教授なんだなぁというか。

どの分野の人もとても面白い(Interesting)。
こういう人たちが先生だったら勉強も楽しかったろうになぁと思わずにはおれません。
つまみ食いとはいえ、なかなかガッツリとその分野の話に花が咲いてます。

助手の存在意義が謎。

表紙イラストはいしいいさひち。
文春文庫のシリーズの変化と合わせて、やっぱり大人の事情が働いてるのかねぇ?

『貧相ですが、何か?』土屋賢二

貧相ですが、何か? (文春文庫)
久々の土屋賢二。
前作を読んでから彼是もう一年半です。
間が空くとマンネリ感も薄れてイイ感じです。

しかしまぁエッセイの感想ってのは書きづらいねぇ。
何冊読んでも楽しめるか、一冊も楽しめないかの二者択一って感じだもんね。

やっぱりこの表紙デザインは好きになれないなぁ。

『天岩屋戸の研究』田中啓文

天岩屋戸の研究 (講談社文庫)
「私立伝奇学園高等学校民俗学研究会」シリーズのラスト。
流石にもうお腹いっぱい。
飽きがきました。

飽きが来たからなのか、ネタが尽きたのか、お話も結構しょっぱい出来に。
一応完結するけれど、まさかのスーパーマン落ちとは・・・。

ただ「雷獣洞の研究」だけは気合の入り方が違っていて好き。
シリーズ通しての謎よりも、この1話の方がある意味で衝撃(笑撃?)のラストです。

『邪馬台洞の研究』田中啓文

邪馬台洞の研究 (講談社文庫)
「私立伝奇学園高等学校民俗学研究会」シリーズ2作目だけど、登場人物紹介だの人間関係だのは簡単にしかなされず、前作を読んだコトが前提の作り。
お話の展開は基本的に同じ。

でも前作の方がそれぞれの謎の解明がスマートだったなぁ。
駄洒落さえ作れればそれでOK的な感じが強すぎ。
次でシリーズ完結らしいけど、次は上手いなぁと思わせる駄洒落解決が復活してるとイイなぁ・・・。

表題作は結構イイ感じなんだけど、そこからはなだらかに下降していくのよねぇ・・・。

『銀河英雄伝説外伝 3 千億の星、千億の光』田中芳樹

銀河英雄伝説外伝〈3〉千億の星、千億の光 (創元SF文庫)
外伝も3作目。
帝国側メイン同盟側メインときて、今回は亡命者がメインってコトになるのかな?
でも亡命者達も大本は帝国出身ってコトで、全体的には帝国描写が多め。

後々ラインハルトの部下になる人物の若かりし頃の姿が描かれてるのが地味に嬉しい。
ラインハルトの部下たちは正伝(?)では結構なんの前触れも無く登場してたから、こうやって肉付けされていくのは有り難い。

今巻のゲスト(?)は2人とも面白い。
主役を喰い気味です。

『マヴァール年代記(全)』田中芳樹

マヴァール年代記(全) (創元推理文庫)
「(全)」って何のこっちゃいなと思ったら、どうやら全三巻で出ていたのを一冊にまとめたものらしいです、はい。

「中世ヨーロッパ版三国志」って感じというか、「銀河英雄伝説」の帝国パートのみを凝縮したような感じというか。
まぁ何にせよ「いつも」の感じです。

戦争をガッツリ描くコトよりも、政治面のドロドロを描くコトを重視していたり、三枚目的な人物が皆無で非常にハードな人物造形になってるあたりが帝国パートを彷彿とさせるのかも。

金髪碧眼の騎士が「〜でござる」と言ったり、金髪のお姫様が「〜じゃ」と言ったり。
なんかミョーに違和感を感じる。

あと一巻分くらい膨らませても良かったんじゃないかと思うけど、コレはコレでシンプルで面白い。

『UMAハンター馬子 完全版』田中啓文

UMAハンター馬子―完全版〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)UMAハンター馬子―完全版〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)
連作短編集なんだけど、1巻の最終編と2巻の初っ端で1つのお話になっておりまして。
1巻だけ買った人はさぞモヤモヤするコトでしょう。

田中啓文らしい脱力系力技が満載。
ただ、脱力の中にも意外とちゃんとした考察が見られたりするあたりがイイ感じ。

今回はお話自体だけでなく、主人公も人を選ぶ感じ。
コテコテの大阪のおばちゃんなのよね。
個人的にはあまり得意ではないジャンルだなぁ・・・。

「UMA」って言葉を知ってる人なら知ってるUMAの斬新な解釈が沢山載ってるので「お〜、そう来るかぁ」と感心できるけど、言葉自体を知らないような人だと純粋なSF小説として読むコトになるのだろうか?
どちらにせよUMAには非常に詳しくなれます。

大量の脱力ネタは基本的には事前に用意された伏線をきちんと回収する形で行われるものの、一部はそうでないものもあり。
その一部は元ネタを知らない人からしたら「そういうモノが存在するんだねぇ」と思われたり、投げっぱなしの回収されない伏線か何かだと思われかねません。
日本神話でもギリシャ神話でもない某神話とか、光の国から僕らのために来た人たちのお話とか、そういう知識を必要とするネタが結構あるのでご注意を。
まぁ知らなくたってお話自体は問題無く理解できるだろうし、そもそも一般常識とはかけ離れた知識だから知らなくても大丈夫です、はい。

『七都市物語』田中芳樹

七都市物語 (ハヤカワ文庫JA)
読んで字の如く、七つの都市が戦争するお話。
何やかんやあって地球は地形(?)が変わっちゃうわ、七つの都市(国家)しかなくなっちゃうわ、航空機が制限されちゃってるわ、な世界での「銀河英雄伝説」的なお話。
戦略の描き方とか、人物造形とかが似た感じです。

とはいっても、「銀英伝」と違ってコレは1冊で一応完結。
「完結」はするものの、長い歴史の中のほんの一部分を切り取っただけな構成だから、群雄割拠がバシッと解決したりはしないのよね。

連作短編集。
1編につき、1つの戦い。
歴史の大河を楽しむ「銀英伝」に対して、コレは「桶狭間の信長は格好イイ」とか「関ヶ原の小早川が云々」みたいな楽しみ方。
「縮小版」ではあるけれど、決して「劣化版」ではないってのがミソ。

挿絵がいっぱい。
個人的には要らない。

全員名前がカタカナで覚えにくいところまで「銀英伝」と同じ。
「銀英伝」は読んでるうちに自然と覚えられたけど、コレは覚える前に読み終わっちゃうのよねぇ・・・。

とても面白かった。
もっと分量があってもイイのにと思う。
でも今の田中芳樹に書かせたら、尻切れトンボに終わるんだろうけど。

『銀河英雄伝説外伝 2 ユリアンのイゼルローン日記』田中芳樹

銀河英雄伝説外伝〈2〉ユリアンのイゼルローン日記 (創元SF文庫)
1巻のラストから2巻の前半にかけてを、ユリアンの日記形式で描いたお話。
なので当然同盟(というか、イゼルローン)メインのお話。
外伝1巻(帝国メイン)においての同盟サイドに割かれた頁数よりも、今作においての帝国に割かれた頁数の方が更に少ないです。

コレもやっぱり全編読んだ身には感慨深い。
みんな若いし、生きてるし。

同盟メインだけど、メインはヤン艦隊の面々であって、本編(正伝?)の同盟パートでお馴染みの腐った政治家&政治体制の描写は皆無。
対帝国っつう点でもコレといって大きな戦闘も無いんで非常に長閑。
同盟パートの美味しいとこを凝縮した感。

延々と日常の描写だけど、ヤン艦隊の日常は面白い。

『銀河英雄伝説外伝 1 星を砕く者』田中芳樹

銀河英雄伝説外伝 (1) (創元SF文庫 (SFた1-11))
本編のちょっと前のお話。
「スターウォーズ」でいうところのエピソード1〜2みたいな感じ。
まぁ親子二代の話ってワケじゃなく、ほんの一年前のお話。

1巻の直前の話だから、全編読んだ身としてはみんな若く感じるねぇ。
階級が下だった人もいれば、まだ生きてる人もいて。
特に後者は感慨深い。
出番の少なかった人の人となりが細かく描写されてたりも。

今作は完全に帝国側のお話。
ヤンとか同盟側の人物も出てくるには出てくるけれど、出番は僅少。
次はきっと同盟のお話なんでしょうねぇ。

単品で読んだり、作品内の時系列に沿って読んだりすると単なるアーリーデイズだけど、本編を一通り読んでから読むとホント感慨深い。

『銀河英雄伝説 10 落日篇』田中芳樹

銀河英雄伝説 10 落日篇 (10) (創元SF文庫 た 1-10)
ついに完結。
全10巻の長い道程だったけどホント面白かった。
25年以上前の作品なのに全く色あせず、最初から最後まで死ぬほど面白い。
終わって欲しくないと思った作品は久しぶり。
話は面白いし、テーマは興味深いし、登場人物は魅力的だし。

各巻についてる「○○篇」って副題は、今回のが一番感慨深い。
何事も無く平和裏に完結して欲しかったけど、やっぱりそうもいかず。
10巻もあれば両陣営ともに結構な数の死者が出るけれど、魅力的な人が多かったからいちいち凹むねぇ。
まぁ勿論しょうもない最期を迎える人もいましたが。

このまま話が収束していくんだろうなぁというところから良い意味で裏切られた。
最後まで波乱万丈。

完結しちゃって寂しいけれど、まだ外伝があるのが喜ばしい。
本編だけでも全10巻と分量は多いし、登場人物も大量だし、創元SF文庫だからある程度値も張るけれど、それだけの価値は十分にある作品だと思う。
コレを読まないと人生を損しているよ。
是非ともご一読あれ。

『銀河英雄伝説 9 回天篇』田中芳樹

銀河英雄伝説〈9〉回天篇 (創元SF文庫)
盛り上がりますなぁ。
前巻が前巻だったもんだから、今回は帝国側がガッツリと描かれます。
んで、今回もまた泣けるんだわ。
格好良い漢の生き様満載です。

次が最終巻だけど、落とし所がどうなるのかサッパリ。
コレ以上両陣営に何事も無く終わって欲しいけれど、それじゃ話が終わらないだろうし、痛し痒しですなぁ・・・。

『銀河英雄伝説 8 乱離篇』田中芳樹

銀河英雄伝説 8 乱離篇 (8)(創元SF文庫 た1-8)
や〜、涙なくしては読めませんなぁ。
ここに来てこんな展開になるとはねぇ・・・。

それにしても本の帯にその巻の重大事件をバシッと書いちゃうってのはどうなんだい?
読了前にうっかり見ちゃうと、その巻のお話の大体の流れが判っちゃうぞ。

以下ネタバレあり。
続きを読む

『蓬莱洞の研究』田中啓文

蓬莱洞の研究 (講談社文庫)
「私立伝奇学園高等学校民俗学研究会」シリーズだそうで。
その一巻目。

シリーズ名の通り、民俗学を扱った学園モノ。
といっても、北森鴻とか高田崇史みたいにガッツリとした民俗学というよりは、鯨統一郎的な感じ。
民俗学的謎やら伝奇的な謎のオチが駄洒落なワケでして。
一応正しい歴史が語られたりもするけれど、読んでも全く賢くなった気がしない小説です。
良く言えばエンタメに徹しているワケで。

個人的には大好きだけど、好き嫌いの分かれそうなお話です。
脱力のオチには怒る人もいそう。

全体を通した大きな謎はコレ一冊じゃ解決されないようで些か残念。

講談社文庫から出てとは思えないくらいに挿絵が多い。
どれも登場人物の絵だけど、もっと描いておいた方がイイものがあるような気もしなくはない。
「大南無阿弥洞の研究」に出てくるアレは名前を聞いただけで姿が浮かぶほどの知名度は無いと思うけどなぁ。
まぁそこを想像で補うのが小説の醍醐味か。

『銀河英雄伝説 7 怒涛篇』田中芳樹

銀河英雄伝説 7 怒濤篇 (7) (創元SF文庫 た 1-7)
第二部本格的始動って感じ。
メンバーも揃ったし、ドンパチも始まったし。

嫌な奴が少なめで漢気溢れる感じ。
久々に大物が散ったけど、彼は散り方も格好良い。
1行くらいしか描かれない脇役中の脇役たちも格好良いのが多い。

もう7巻にもなるのに、レギュラーキャラ(?)の紹介の比喩表現が1巻からずっと同じってのがしつこいというか、飽きちゃったというか。
もうちょっと書きようがあるんでないの?

『銀河英雄伝説 6 飛翔篇』田中芳樹

銀河英雄伝説 6 飛翔篇 (6) (創元SF文庫 た 1-6)
第二部のスタート的な感じ。
地球がガッツリ絡んでくるから、序章として延々と歴史が語られます。
1巻の序章は面白く読めたけど、今回はちょっとダレちゃった。

3巻での伏線がここに来てようやく回収されました。
いやぁ〜、長かったねぇ。

天下三分の計がグチャグチャになったけど、果たしてどうなるコトやら。

『QED 〜ventus〜 熊野の残照』高田崇史

QED~ventus~熊野の残照 (講談社文庫 た 88-16)
熊野三山の話。
古事記とか日本書紀とかのあたりの話はあんまり得意じゃないのよねぇ・・・。
日本神話が好きな人ならもっと楽しめるんじゃないかと。

「ventus」が付くと、レギュラーキャラが直接事件に絡まない話になるそうな。
まぁ「ventus」が付かなくても本編と事件の乖離が気になるんだけどね。
でも今回は本編と事件の関連がどうのこうのっていうより、最早完全に別物。
事件でも何でもないし。
ホント存在意義が謎。

今回は初めて視点人物がゲストキャラに。
こいつがまぁ歪んだ性格でして。
第三者から見たレギュラーキャラの評価が読める新鮮さよりも、視点人物の歪んだ内面を読まされる不快感の方が先に立っちゃう。

たまには何の事件も起きない薀蓄紀行文でも書いて欲しいなぁ。

『銀河英雄伝説 5 風雲篇』田中芳樹

銀河英雄伝説 5 風雲篇 (5) (創元SF文庫 た 1-5)
全10巻のシリーズだから、丁度折り返し地点。
「第一部 完」的な感じです。
読者としてはここで完結としてくれても構わないくらい、主要人物がそれなりに幸せな結末を迎えます。

3巻あたりで張った伏線が、次巻あたりでようやく回収されるようで一安心。
今巻でも伏線をバラまいたから、時間をかけて綺麗に回収してくれるコトを祈るのみです。

今回はヤンが大活躍。
あの手この手がサクサク展開されて、読んでて非常に気分がイイ。
前巻が政治中心だったから余計にそう感じるのかも。
ついでにプライベートでも大活躍。
ホントこのままそっとしておいてあげたいものです。

『銀河英雄伝説 4 策謀篇』田中芳樹

銀河英雄伝説 4 策謀篇 (4) (創元SF文庫 た 1-4)
亡命っつうか、誘拐っつうか。
まさかそうくるとは思わなかったねぇ。

2巻3巻で帝国、同盟と見せ場を作り、今回はフェザーンの内幕がドロドロと。

覇道を進めるラインハルトはほんのりダーティーに。
同盟政府は相変わらずダーティーで。
同じダーティーならやっぱり帝国に肩入れしちゃうなぁ。
ヤン一派(?)が不憫でならないよ。
いっそイゼルローンごと亡命しちゃえばイイのになぁと思うのは僕だけじゃないはず。

ロイエンタール退場かと思いきやなかなかしぶとい。
帝国は皆さん優秀でいらっしゃる。

『銀河英雄伝説 3 雌伏篇』田中芳樹

銀河英雄伝説 3 雌伏篇 (3) (創元SF文庫 た 1-3)
第三巻。
相変わらず一見さんの読書意欲を削ぎかねない量の登場人物紹介だけど、さすがに三巻目から読む人なんていないか。

前巻は帝国勢の見せ場の多い展開だったけど、今作は同盟寄りというか、ヤンの活躍する展開。

特に査問会がイイ感じ。
腐った上層部にヤンが一矢報いる展開ってのは気持ちがイイ。
でもその機会自体がなかなか無いからまぁ嫌な奴だらけでしてねぇ・・・。

最低の民主政治と最高の専制政治との対決を書いている小説だから仕方がないとはいえ、ヤンは報われませんなぁ・・・。

『銀河英雄伝説 2 野望篇』田中芳樹

銀河英雄伝説 2 野望篇 (2) (創元SF文庫 た 1-2)
前巻では3頁だった登場人物紹介が今回は4頁に。
回を重ねる毎に1頁ずつ増えていくのか?
まぁ前巻から引き続いて登場する人たちばかりだから安心。

戦争モノなんで、新しく登場する人もいれば、色々な形で退場していく人もいるワケで。
まさかあの人が死んじゃうとは思わなかったよ。それもこんなにアッサリと。
無常ですなぁ・・・。

第二巻ってコトで、お話がグリグリ動き始めました。
前巻では顔見せ程度だった人たちが大活躍。
特に帝国勢が魅力的。

内容にも文章にも文句は無いんだけど、平仮名が多くて凄く読みづらい。
もうちょっと漢字が多い方がイイ。
「おもくもちいてくれるだろう」って表記よりも「重く用いてくれるだろう」の方が圧倒的に読みやすいと思うのは僕だけ?

『銀河英雄伝説 1 黎明篇』田中芳樹

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)
たぶん日本一有名な国産スペース・オペラ。
この作品の存在は知っていたし、面白いという評判も聞いてたんだけど、長い話なもんだからなかなか手が出なかったのよね。

いやぁ〜面白い。
筋立て、テーマ、登場人物と三拍子揃ってます。

独裁帝国と民主同盟とが宇宙の覇権を争うお話。
どっちが良いとか悪いとかじゃなくて、どちらも腐敗してるってのがミソ。
色々考えさせられます。

SFだから宇宙でのドンパチとかワープとか出てくるけど、それが中心じゃなくて、あくまでも人や社会を描いてるのよね。
そういう意味では「三国志」なんかに近いものがあるかも。

その反面、所謂「SFっぽさ」を期待して読むと肩透かしを喰うかも。
特にそういう人にとってはこの「序章」はキツイんじゃなかろうかと。
文体も結構コッテリしてるから、苦手な人もいるだろうなぁ。
でもそういうのを是非とも乗り越えて欲しい魅力が本編にはあると思う。

登場人物紹介が3頁もあったのには驚いたけれど、読み始めるとみんなしっかりとキャラが立っているから意外なほどにサクサク読めます。
嫌な奴はとことん嫌な感じだし、魅力的な人はホント素敵なワケ。
コレだけ色々いれば誰しもお気に入りキャラの1人や2人は出来るはず。
ただ惜しむらくはまだ物語が動き始めた段階なんで、顔出し程度のメンバーも結構いて残念。
否が応にも次巻以降に期待してしまいます。

お話はまだ始まったばかり。
コレ1冊じゃ全く完結はしないものの、それを差っ引いても十分面白いです、はい。

『御手洗潔対シャーロック・ホームズ』柄刀一

御手洗潔対シャーロック・ホームズ (創元推理文庫 M つ 5-1)
「対」って書いてあるけど、「別に片方が犯罪を犯して、もう片方がそれを暴く」とかそういう構成じゃないです。
御手洗潔モノの短編が2つ、シャーロック・ホームズモノの短編が2つ、競演が1つ。
もちろん両者とも柄刀一の作ったキャラクターじゃないです。
島田荘司とコナン・ドイルに文体や話の展開を似せて書いてます。
「パロディ」とか「パスティーシュ」って奴ですね。

本人が書いたんじゃないかと思うほどに文章が似ています。
あ、ホームズの方は本人ていうよりも訳者に似てるってコトかな?

で、幸か不幸か僕は原典の作品の文章があんまり得意じゃないのよね。
だから両者にそっくりな文章で綴られた本作も読みにくく感じるワケで。
似せたコトが仇になったワケだけど、似せなきゃ意味無いもんね。
でも人物の動きとか風景描写とかが全然頭に入ってこないのよねぇ・・・。

御手洗モノはパスティーシュ。
1つめはミステリー要素は皆無の同人誌的なキャラ小説。
2つめは御手洗っぽいミステリー。

ホームズモノはタイトルからして完全にパロディー。
原典を読んでいないと大して面白くないんじゃないかと。
それにしてもワトスンってこんなに頭の弱いキャラだった?

ラストの競演は非常に大掛かりなトリックで、ドイルよりは島田寄りの話かと。

決して駄作ではないけれど、コレで1000円弱ってのは高い。

『パズル自由自在』高田崇史

パズル自由自在―千葉千波の事件日記 (講談社文庫 た 88-15)
シリーズ4作目。
前作と同様短編形式。
相変わらず論理パズルの嵐です。

ミステリーっていうよりは、物語性の加わった頭の体操だからいくらでも量産できそう。
実際何処かで見たようなネタも沢山あるし。
そんな中身だから読んだ端から内容を忘れていくのは僕だけでしょうか?
いや、つまらないという意味じゃないのよ。
ただ突出して面白いというワケでもなく。
あくまでも「頭の体操」だし。

今作はぴいくん兄妹が結構鼻につく感じ。
コレは嫌われるぞ。

今回は特にぴいくんの本名に関するヒントが満載。
ようやくおぼろげながら判った気がします。

『虎』田口ランディ

DS文学全集
中島敦の「山月記」をモチーフにした配信用の掌編。
配信企画の6編の中で抜きん出て駄作ではないかと。

集団から外れ気味の主人公、優しい友人、虎、と一応「山月記」に沿った道具立ては用意されてるものの、形だけ揃えただけで何も伝わってこない。
そもそもなんでこの話を書くために「核戦争」だの「クローン」だのが必要なんだ?

「山月記」よりも竹宮惠子の「地球へ・・・」をモチーフにして書いたんじゃないかと感じたのは僕だけですか?

『ゴーレムの檻』柄刀一

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ゴーレムの檻―三月宇佐見のお茶の会 (光文社文庫 つ 12-11)
エッシャーの騙し絵の中の世界で謎を解いたりする、一見西澤保彦的なシリーズ物。
前作の時点ではそういう作風だったけど、今回はかなりノーマルで一般的な物理法則に則っての謎がメイン。
おやおや路線変更かいと思いきや、思いっきりメタな仕掛けの施された作品でした。

で、そのメタな試みは斬新で面白い(interesting)んだけど、解り難いというか、そもそも読者に伝える気が無いんじゃないかというくらいサラッと仕掛けられてるのよね。
前面に押し出しちゃったら仕掛けでも何も無いワケだけど、それにしても控えめ過ぎないかい?

ここからはそういうメタな話は置いといて、小説としての感想。
エッシャーの絵の世界とか特殊な建物とか、その手の描写が文章のみなのはちと厳しい。
僕の頭のデキの問題なのかもしれないけれど、もう少し何とかならなかったんだろうかと。

「エッシャー世界」でエッシャーの騙し絵の世界に行ったから、「シュレディンガーDOOR」もその世界に行って謎解きするのかと思ってたから若干拍子抜け。

ところで、このシリーズは続きは作るのかな?

以下ネタバレあり。
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『涼宮ハルヒの憂鬱』谷川流

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)
結構前に随分と流行っていたので、今になって読んでみようかと思い立ちまして。
ライトノベルを読むのなんて15年ぶりくらいでしょうか。
当時読書があんまり好きじゃなかった僕は絵の多さに惹かれたワケです。
で、時は流れたもののやっぱりライトノベルは絵が沢山。
まぁコレはそういうモノですからね。
普段この手の本を読まない人間にはレジに持ってくのが恥かしい表紙も仕方ありません。こういうモノだと割り切りましょう。
僕はアマゾンで買いましたけど・・・。

アニメ化されたり漫画化されたりしたそうだけど、どれも未体験。
高校生が制服を着て踊っているイメージしかなかったので、てっきり学園ラブコメかと思ってた。
その印象は一概にハズレというワケでもなかったけど、こう来るとは思わなかったよ。
そういう先入観がある人ほど、この展開には驚くのではないかと。
久々のライトノベルというコトも相まって中々新鮮な読書体験でした。

無個性な主人公で、主人公の一人称視点で話が進み、さらに主人公の台詞も殆ど地の文で表現。
小説を読んでいるというよりはむしろノベル形式の恋愛ADVゲームをプレイしているかのよう。

国語表現として如何なものかと思う箇所も若干あるけれど、全編主人公の一人称視点だからそんなに気にならない。
ただその一方で、主人公の台詞が括弧で括られていない場合が多いからそれが台詞なのか、それとも思考なのかが判りにくい。

話の締め方が慌しいというか唐突というか。
回収してない伏線たちは次巻以降で回収ってコトかい?
「涼宮ハルヒシリーズ」としてならこういうまとめ方でもイイかもしれないけど、「涼宮ハルヒの憂鬱」単品で見るとビミョーな感じも否めない。面白かったからこそそこが残念。
あと何作か読んだ方がイイのかな?

以下ネタバレあり。
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『QED 鬼の城伝説』高田嵩史

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QED鬼の城伝説 (講談社文庫 た 88-14)
今回の舞台は岡山。
桃太郎とか鬼とかそういうのがテーマ。
で、例によって歴史の謎と殺人事件の謎との乖離が甚だしい。

今作は祟が全然出て来ない。
京極堂のような焦らしっぷり。
でも京極堂シリーズと違って、こっちは祟がいないと話が進まないのよ。
序盤は彼がいないから歴史の新解釈とかもなく、ただの紀行文に。
岡山自体に興味がないと結構キツイ。

このところ主人公の歴史巡りと、殺人事件がホント乖離してる。
リアルタイムで起きてる事件じゃなかったり、遠く離れた場所での事件だったり。
レギュラーメンバーの出て来ない事件のお話が延々と続いて、最後に主人公一行が現場に乗り込んでササッと解決ってのは如何なものかと。
もう無理に殺人事件を起こさなくてもイイんじゃない?

本も厚い。
「ボリュームがあって読み応えがある」というよりは、「長くてツライ」って感じ。
かうんたぁ
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