時間の無駄と言わないで

あれよあれよで10年目 古い記事でもコメント・TBお気軽に

は行の作家

『虚像の道化師』東野圭吾

虚像の道化師 (文春文庫)
ガリレオ短編集。
初期っぽい感じというか、TVドラマ「TRICK」っぽい感じというか、そういう雰囲気が帰ってきたのはイイ感じ。
やっぱり超常現象を科学で解明して欲しいよね。

ただ、「実用化は確認されていません」みたいなトリックは、科学ミステリーとしてどうかと思うなぁ・・・。

『マスカレード・ホテル』東野圭吾

マスカレード・ホテル (集英社文庫)
警察官とホテルのフロント係のペアって設定が面白い。
ミステリーとしてもそこそこイイ感じ。
前作でかなりガッカリしたってのも今作にはプラスに働いているかも。

だけど中盤で、「ホテルにはこんな変わったお客さんも来るのです」みたいなのが続くのがちょっとダレる。
そういう短編集じゃないんだから。
ただそこを読んでいると、ホテルが舞台の短編集の方がこの設定には向いてるような気がする。

もうちょっとホテルあるあるエピソードを削ってすっきりさせりゃコンパクトでイイとも思うけど、それなりに無駄な話の多いこの頁数でも飽きずにサクサク読ませる技量は流石だなぁと。
サクサク読めちゃうけど、それでもやっぱり「これだけ長く読ませておいて結局そんなトリックかよ・・・」ってオチでもあるけどね。

『パラドックス13』東野圭吾

パラドックス13 (講談社文庫)
シリーズモノでもなければ社会派サスペンスでもない東野作品は久々。
昔はそういうのいっぱい書いてた作家だったのになぁ・・・。
もっとエンタメ小説書いて欲しいなぁ。

が、コレはだいぶ手を抜いて書いている気がする。
どっかで見た設定、エピソード、人物の山。
それらが上手く味付けされているようにも感じられず、既視感と読めまくりの展開が続く。
それでも最後まですんなり読めちゃうのは流石なんだけど、読みやすいのと面白いのとは別だからねぇ。

『リビジョン』法条遥

リビジョン (ハヤカワ文庫JA)
「リライト」の続編。
前作を読んでおかないと意味が解らないレベルの繋がり。

前作は粗いSF設定を力技で強引に引っ張っていくプロットだったけど、今回はかなり失速。
粗さには磨きがかかってるけども。

面白く読めた前作との濃いリンクがあるからその貯金でまだ読めるけど、単品で考えるとかなり厳しい。
雑なストーリーだし、構成の妙も感じられず。

まだ続くらしいシリーズ。
一冊目の貯金がそこそこあるし、短時間でサクッと読めるしで、とりあえず次も読んではみますです。
前作は良い方向に転がった荒唐無稽SF。
でも今回は悪い方向に転がっちゃった荒唐無稽SF。
次は良い方向のバカSFだとイイなぁ・・・。

『リライト』法条遥

リライト (ハヤカワ文庫JA)
「時をかける少女」モノ。
ボーイミーツガールで学園でタイムスリップで。
甘酸っぱい青春だけど、コレはかなり酸っぱい話。

この手の話は「切ないけれど前向きな素敵なラスト」ってのが定番だけど、それを崩しにかかるのがイイ。
やってるコトは大変バカっぽく、メフィスト賞的な趣のあるSF。
細かいコトを気にしない映画「ルーパー」的な、「細けぇコトはどうでもイイんだよ」っつうノリのタイムスリップSF。
余り深く考えず、勢いに身を任せて読みましょう。
そうやって読む分にはかなり面白い。

『メタルギア ソリッド スネークイーター』長谷敏司

メタルギア ソリッド スネークイーター (角川文庫)
「メタルギアソリッド3」のノベライズ。
シリーズ時系列的には一番古い話だから、コレから読んでも問題なし。

コブラ舞台の背景がちょっと加わったけど、基本的にはゲーム版に忠実。
翻訳モノだった「〜1」「〜2」程のクソ小説じゃくてちゃんと小説として成立してる。
でも「〜4」程のアレンジはなされてないから、ゲーム版プレイ済みなら別に読まなくてイイんじゃないかと。

その媒体の特性を活かした表現で勝負してくれないと、メディアミックスする必要ないじゃん?
ゲーム版に勝ってる点は皆無だと思うよ。

『赤い指』東野圭吾

赤い指 (講談社文庫)
加賀恭一郎シリーズの倒叙モノ。
で、その犯人サイドのクズっぷりが凄まじい。

物語の構成上ちょくちょく犯人サイド視点があるけれど、ここまで感情移入しずらい倒叙犯人もなかなかいないんでないかと。
老人介護の方は解らんでもないけど、息子の方のクズっぷりたるやもう・・・。

社会派よりの暗くて湿っぽい話。
ミステリーとしてはコンパクトに纏まってて良く出来てる。
ただ内容が内容なので、「あ〜面白かった♪」とはなりませんけども。

『真夏の方程式』東野圭吾

真夏の方程式 (文春文庫)
ガリレオシリーズ。
湯川先生も随分丸くなったというか、人間らしさが出てきたというか。

今回は湯川先生と子供との絡みがとてもイイ。
この子供が実に丁度イイ「子供らしさ」をキープしていて好印象。
バカ過ぎず、生意気過ぎずの絶妙なラインの子供。

お話は面白いけど、事件と科学の関係は薄味。
フーダニットもハウダニットもホワイダニットもどれもモヤモヤする。
話の運びはホント抜群に上手いのだけれど・・・。

『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉

謎解きはディナーのあとで (小学館文庫)
本屋大賞を獲って大ベストセラーになったミステリー小説。
何故本屋大賞に選ばれたのかが一番の謎。

いやいや、つまらないワケではないのです。
軽くてサクサク読めるし、結構論理的に展開していく。
でも大賞はなぁ・・・。

文庫で読む分には値段の元がしっかり取れる連作短編集。
ハードカバーを買って読むとキツイかと。

『天帝のつかわせる御矢』古野まほろ

天帝のつかわせる御矢 (幻冬舎文庫)
前作がいまいち合わなかったのに、何故か手に取ってしまった続編。
今回は列車内での殺人事件。

相変わらず長い。
200頁くらい読まないと事件が起こらない。
それまでの200頁にこっそり伏線が仕込まれてたりというワケでもなく。

そして今作もラストに取って付けたような伝奇要素があって、それも結構長い。
伝奇部分はなくても問題なく成立するよなぁ、コレ。

長所も短所も前作と同じ。

ただ、前作を読んで多少慣れたのか、幾分読みやすくはなってました。
純粋にページ数が少ないからかもしれないけれど。
1冊読んで、何処なら読み飛ばしても大丈夫かというのが何となく掴めてきたからかな?

最後の推理合戦は楽しい。

ところで、「大学読書人大賞」というのがあるそうで。
それの2012年の第5位に前作「天帝のはしたなき果実」が選ばれたそうで。
こりゃ僕が年取ったってコトなんだろうなぁ・・・。

『聖女の救済』東野圭吾

聖女の救済 (文春文庫)
ガリレオシリーズ久々の長編。
前回長編の「容疑者Xの献身」と比べると大人しいというか、地味というか。
まぁ前回が特殊だったワケで、ガリレオシリーズで普通に長編小説を書けばこうなるであろうっつう作品です。

毒殺っつう地味な事件で400頁書けて、それも全く飽きない作品に仕上げるってのは凄いなぁと。

内海もドラマとは完全に別人だけど、なくてはならないキーパーソンになっているのでイイ感じ。

『天帝のはしたなき果実』古野まほろ

天帝のはしたなき果実 (幻冬舎文庫)
メフィスト賞受賞作。

文体の鼻持ちならない感じが半端ないです。
「どーよ?俺頭イイでしょ?」ってのが前面に出ている文章でして、読んでて疲れるコト山の如しです。
「衒学的」ってのとは趣の異なる感じでして、ただただ鬱陶しい文章でした。

で、その文体で750頁強あるから厳しい限り。
その上本編とは何の関係も無いガンダムのパロディーとかを多々挿入。
この辺全部削れば100頁くらは減らせるんでない?
元ネタを知っていても面白くないパロディーがバシバシ出てくるってのは結構キツイ。

あ、一応ミステリーです。
でもこの展開はどうなんでしょうねぇ?
殊能将之の「黒い仏」は大好きだけど、コレはちょっとどうかねぇ?

青春、学園、SF、伝奇と色んな要素が詰まってます。
主人公たちの吹奏楽部がコンクールの優勝を目指して頑張る件が一番面白いなぁ。
練習も本番も面白い。
この小説で唯一の面白いところかも。

『ガリレオの苦悩』東野圭吾

ガリレオの苦悩 (文春文庫)
ガリレオシリーズの短編集。
ドラマオリジナルキャラだったはずが、いつの間にか内海薫が原作に進出。
まぁ出自がドラマであっても、原作者がリファインしてるんだからしっくりきてます。
その分草薙刑事が割を喰っている気はするけれど。

前作が前作だったし、表4の宣伝文もそんな感じだしで、重めの長編かと思いきや結構軽い短編集でした。
サクッと読める軽い作りです。
何処が「苦悩」なのか解らないくらいライトです。

シリーズ初期の感じっぽい作りだけど、科学ミステリーな感じは随分薄めで残念。
面白い小説だけど、「ガリレオ」っぽさがもっと欲しいなぁ。

『平成関東大震災 いつか来るとは知っていたが今日来るとは思わなかった』福井晴敏

平成関東大震災 いつか来るとは知っていたが今日来るとは思わなかった (講談社文庫)
タイトル長ぇ。
関東大震災のシミュレーション小説。
「関東」っていうよりは、「23区内」の話ですが。

エレベーターの話とか、帰宅困難者の話とか、本当にシミュレーション以外の何物でもない作り。
小学校の図書室に置いてありそうな感じ。

物語的にも別段盛り上がりが用意されてるワケでもなければ、人間関係の機微とかも無し。
面白いとか、面白くないじゃない。
「へぇ〜」って本。

『五声のリチェルカーレ』深水黎一郎

五声のリチェルカーレ (創元推理文庫)
230頁弱の短い長編ミステリー。
面倒くさい構成を丁寧に仕上げてます。
少年犯罪とかイジメの話なので重いですねぇ。

薀蓄が話しの構成やネタとちゃんと絡んでいるのは立派。
でもちょっと多すぎる気もする。

コレは騙されるわ。
凄いインパクトもないし、劇的な展開もないけど、細部まで緻密によく練られてます。

短編も収録されてるけど、長編とは何の関連もないし、別にどうという作品でもないし。

『Op.ローズダスト』福井晴敏

Op.(オペレーション)ローズダスト〈上〉 (文春文庫)Op.(オペレーション)ローズダスト〈中〉 (文春文庫)Op.(オペレーション)ローズダスト〈下〉 (文春文庫)
例によって例の如く、オッサンと青年が日本の危機に立ち向かうお話。
市谷だの国防論だのもいつもの通り。
ここまで徹底してるとわざとやってるのか、それともコレしか書けないのかもう判んない。

とはいえ、今作は人物造形というかキャラクター配置というか、そのあたりに幾分変化が見られます。
が、その部分がまんまアムロとシャアな感じというか、全体的に「ファースト」と「逆襲のシャア」を足して2で割った感じというか。
福井作品で見たコトあるようなシーンだけでなく、富野作品においても見たコトのあるようなシーンも散見されて既視感の嵐です。
わざとそうしてるんだろうけど、個人的にはあんまり好ましくない変化だなぁ・・・。

下巻の大スペクタクルもディティールに凝るのはイイんだけれど、度が過ぎててクドイ。
読めども読めども主人公達の出てこない風景と兵器の描写が続くのは萎える。

今までの福井長編は漏れなく号泣してきた涙腺ユルユルな僕ですが、今回は非常に落ち着いた気持ちで読めちゃいまして。
金太郎飴にはまだ飽きてないはずなんだけどなぁ。
敵味方双方の動機にいまいち共感出来なかったからかな?
熱さが足りなかったからかな?
福井作品は良くも悪くももっと熱かったはずなんだけどなぁ・・・。

『片想い』東野圭吾

片想い (文春文庫)
4年半も積読しておいたのをようやく読了。
読み始めるとサクサク読めるのは流石は東野圭吾。

性同一性障害とかトランスジェンダーとかをテーマにしたミステリー。
性別に関する話は非常に為になる興味深いモノだった。
でもミステリー要素とは離れ気味。
ミステリーパートと性別問題パートが交互に展開される感じ。
確かに興味深い話題ではあったけど、そこまで詳細に描く必要があったのかとは思う。
取材ルポが読みたいワケじゃないし。
でもこの小説が世に出た2001年に読んでたら凄く衝撃的だったのかも。

ミステリーパートも性別パートも、もうちょっと削ってシンプルな感じになった方がイイなぁ。
でも最後は綺麗に纏まったと思う。

物凄く褒めるところの無い代わりに、コレといって酷評するところも無い。
「可も無く不可も無く」のお手本みたいな作品かも。

『無明の闇』椹野道流

無明の闇―鬼籍通覧 (講談社文庫)
シリーズ2作目。
前作では「法医学教室オカルトファイルシリーズ」を謳ってたのに、今作では「法医学教室メディカルミステリーシリーズ」に。
一冊毎にキャッチコピーを変える気なのかい?
オカルト要素が薄まったワケでもないし、前面に押し出せるほどミステリーしてるワケでもないし、看板に偽りありなんじゃないかと思わなくもない。

相変わらずオカルトもミステリーも中途半端。
全く怖くないオカルトと、論理的解決に至らないミステリーの合わせ技。
さらに無駄に多い頁数で話も進まない。

レーベルを離れても通用するライトノベルもあれば、そうじゃないものもあるワケで。
コレは勿論後者。
いくら解剖シーンがリアルでも、話の面白さに繋がらなきゃ仕方ないワケで。
キャラ萌え意外には特に見るべき点も無い。

『容疑者Xの献身』東野圭吾

容疑者Xの献身 (文春文庫)
「ガリレオ」シリーズの3作目で、初の長編。
直木賞受賞作。
受賞も納得の出来。

タイトル通りの凄まじい献身っぷり。
人はここまでのコトが出来るのかといった感じ。

ラストのやるせなさも何ともいえないねぇ。
献身する側、される側、そしてそれを暴く側の全ての立場に感情移入しちゃってホントやるせない。
ミステリーの要素も上手い具合に「献身」と絡み合っているのは流石。

コレは短編集じゃ出来ないネタだわ。
登場人物同士の会話や駆け引き、心理描写を丁寧に丁寧に書いてます。

文句無しにお勧め。
このブログを読んでる暇があるのなら、この本を読みましょう。

が、「ガリレオ」シリーズである必要は無いんでないかい?
オカルト的な不可能犯罪を科学の力で解決するシリーズだったはずなのに、今回はそういう要素は無し。
まぁ今作には「優秀な学者」が絶対必要だし、ゼロから「優秀な学者」像を作り上げるよりは湯川学を使っちゃった方が楽だし効果的なのかもしれないね。

『暁天の星』椹野道流

暁天の星 (講談社文庫 ふ 69-1 鬼籍通覧)
著者名は「ふしのみちる」って読むんだと。
難しいねぇ。

法医学教室が舞台のお話。
ミステリーというか、オカルトというか。
まぁどちらにせよ中途半端です。
「法医学教室オカルトファイルシリーズ」だそうだから一応オカルトがメインなんだろうけど。

著者がその道のプロだそうで、解剖の描写は異様にリアル。
下手なスプラッタ描写よりもよっぽどグロテスク。
苦手な人は正視に耐えないかも。

でも全体的にはライトノベルっぽさ全開。
ついでに腐女子仕様なキャラクター造形。
本筋がしっかりしてりゃ別に構わないんだけどねぇ・・・。

ミステリーとして読むときちんとした解決が無くて消化不良なのよ。
でもオカルト要素は終盤だけで、それに至る積み重ねが無いからさして恐怖も無く。
っていうか、怖い怖くないで言えば解剖描写の方がよっぽど怖いっての。

シリーズ作の幕開けだから登場人物紹介とかをしなきゃならないから中途半端に終わっちゃったのかねぇ?
今後オカルト要素が濃くなっていけば面白くなるかもしれないけれど、果たしてどうなるコトやら。

『完全犯罪に猫は何匹必要か?』東川篤哉

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ミステリ小説 に参加中!
完全犯罪に猫は何匹必要か? (光文社文庫)
烏賊川市シリーズももう3作目。
相変わらずのユーモアミステリーっぷり。

で、今作は450頁強。
まぁ長い。
ギャグとか要らないからサッサと話を進めろよと思っちゃうのよね。
余りにデコラティブ過ぎて、僕にはあんまり合わないようです。

既に京極夏彦の「百器徒然袋 風」を読んじゃってる身としては、猫の薀蓄がダルい。
まぁそれこの作品に文句を言う筋合いではないですが・・・。
ちなみに京極作品のユーモアセンスの方が僕は好きです。

毎度思うんだけど、トリックの割りには頁数が多い気がするのよ。
僕だけ?

『セメント樽の中の手紙』葉山嘉樹

セメント樽の中の手紙 (角川文庫 は 39-1)DS文学全集
プロレタリア文学だそうで。
新品が160円強なだけあってかなり短い作品。
あんまり「文学」を読まない僕としてはコレがプロレタリア文学とのファーストコンタクトかも。

ここまでくるとブラックユーモアな感じさえ漂います。
悲惨な話なんだけどね。
当時としては労働者の過酷な実情を表していたんだろうし、作品の背景を知った上で読めば確かにそう理解できるけど、現代の人が事前知識無く読んだらコレはホラーだと思うよ。
スプラッタあり、サイコあり。
子供の頃に読んでたら軽くトラウマになって工事現場の側を歩けなくなりそうです。

『密室に向かって撃て!』東川篤也

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ミステリ小説 に参加中!
密室に向かって撃て! (光文社文庫 ひ 12-2)
烏賊川市シリーズ2作目。
っつっても前作を読んだのが1年半ほど前なもんで、細かいところは覚えてないけど問題無かったわ。

映画のタイトルをモジってるけど、別に内容と関係があるワケでもないし、センスの良いタイトルってワケでもないし。

相変わらず軽くて読みやすいです。
笑いも前作よりは洗練されてます。
でも短編のネタを引き延ばすために無理矢理話を膨らましてる感じは否めませんが。

トリックは無難すぎ。
適当にコイツが犯人じゃないのかと疑ったら当たっちゃうもん。

まぁ前作よりは面白かったんで、次作はさらに良くなってるとイイな。

『6ステイン』福井晴敏

ブログネタ
最近読んだ本 に参加中!
6ステイン (講談社文庫 ふ 59-9)
短編集とはいえ、やっぱりいつもの福井晴敏。
・くたびれたオヤジ
・ひねくれた若者
・市谷
とお馴染みな感じ。
まぁ主婦が主人公の話もあるけど、基本は同じ。

短編なので延々と国防だの国益だのについて語ったりはしません。
兵器とか戦争についてよりも、個人に焦点が当たっているのも新鮮。
その点は万人受けしやすいんじゃないですかねぇ?

相変わらずオヤジは熱くて格好良いし、若者も本当は優しいイイ奴です。
どの話も燃えます。
偉大なるマンネリズムだわ。

ただこのテーマで長編を書いてくれると良かったなぁ。
こういうのは長編の方が盛り上がると思うのは僕だけですかねぇ?
まぁコレも十分面白いんで、贅沢は言えませんが・・・。

本編とは何の関係も無いけど、あさのあつこの解説はなんだか文章が鼻について嫌いです。

『テアトル東向島アカデミー賞』福井晴敏

テアトル東向島アカデミー賞 (集英社文庫 ふ 24-1)
映画に関するエッセーというか日記というか。
福井晴敏の本はミリタリーモノしか読んだコトがないから、こんな軽い文章で書いてあるとは思わなかった。

1つの映画について3頁強ってところ。
洋画、邦画、実写、アニメと色々取り上げてます。
映画の表現方法(?)は色々でも、中身はかなり偏ったラインアップ。
この本を楽しめるか否かは、このラインアップの中にどれだけ内容を知ってる映画があるかってのに懸かってます。

洋画はアクションがメイン、アニメは「AKIRA」やら「銀河鉄道999」やら。
あんまり女性には好かれないラインアップなのではないかと思います。
クローネンバーグ監督について熱く語られても困るのでしょ?
「コープスブライド」を観て、ティム・バートンも丸くなったねぇ、と感じるような女性なら大丈夫なんじゃないかなぁ・・・。

戦争モノの映画がお題になっているときは映画の話ではなく、現在の世界情勢について物申してます。ちょっと挿入する程度ならイイけど、戦争映画じゃない作品のときにも語るのよね。
そういう話は別のところでやってくれないものかねぇ?
この本を買う人は映画の話を読みたいのであって、著者が世界情勢をどう見ているのかは興味が無いのよ。

自分が関わった映画「ローレライ」「亡国のイージス」「戦国自衛隊1549」を大絶賛。
それぞれの監督の別の作品も大絶賛。
結構な量の頁を割いて自己愛っぷりを発揮してます。
本書の中でシャマラン監督の自己愛っぷりを「厚顔無恥」だの「図太」いだの揶揄してるけど、著者の自己愛っぷりも相当です。
コレは正直誰しもがウンザリすると思うよ。

ネタによってクオリティの差が大きいなぁ・・・。

『白菊』藤岡真

ブログネタ
ミステリ小説 に参加中!
白菊 (創元推理文庫)
インチキ超能力者が「白菊」っつう絵の謎を追ううちに・・・、ってお話。
まぁ良かったんじゃないですかねぇ。

色んな要素がぎゅうぎゅうに詰まってます。
お買い得というか、やりすぎというか。

メインのトリックよりも最後にあの人がアレだったコトにびっくり。
西澤保彦かよ。

名画が話の中心なんだけど、文章でいくら説明されてもどんな絵なのかサッパリなのよね。
挿絵か何かを使えなかったもんかねぇ?

『さいえんす?』東野圭吾

さいえんす? (角川文庫)
東野圭吾のエッセイ。薄いんであっという間に読み終わります。
ところが薄いのは厚さだけにあらず。
内容もイマイチでした。

作家であるコトが前面に出ているでもなく、「理系」ってので押すワケでもなく、斬新な意見が述べられてるワケでもなければ、笑える話が載っているワケでもない。
「東野圭吾」の名前があるからこそ世に出られた作品って感じ。
裏を返せば、内容のみで勝負したら誰にも相手にされないんじゃないかい?
そんなデキ。

ただ、「本を買う」という行為に対する考えは「よくぞ言った!」という感じ。
僕も著者と同様に「本はお金を払って買うもの」だと思っています。レンタルで済ます(お店なり友人なりから)ってのは買った人にも書いた人にも失礼だと思います。
レンタルで済ますコトを「賢い生活術」だとは思って欲しくないなぁ。

『ライオンの飼い方 キリンとの暮らし方』非日常研究会

ブログネタ
今日読んだ本 に参加中!
ライオンの飼い方 キリンとの暮らし方 (新潮OH!文庫)
読んで字の如く、ワンルームマンションにおける動物飼育のハウツー本。
犬や猫ではなく、ゾウやゴリラやイルカたちの飼育法が載ってます。ダチョウやらコアラやらラクダやら、全13種類との暮らし方について真面目に論じています。

「そんな動物と同居するコトなんて一生ねぇよ!」と思うかもしれませんが、長い人生何があるか判りませんからね。知っておいて損はしないはず。
各章で動物との同居用に改装された部屋の挿絵があります。ばかばかしさもここまでくれば立派なもんです。面白いですよ。

餌の種類以外にも、躾や芸の仕込み方まで載っています。お陰でやたらと動物の生態に詳しくなりました。仰々しいタイトルだけど中身カラッポ(でもベストセラー)な新書よりよっぽどためになりますよ。
今すぐ飼いたくなるとはいかないまでも、動物園には行きたくなります。

「空想科学読本」に似た雰囲気の内容で気楽に読めます。小難しい本ばかりで疲れたときには最適なんじゃないかと。

『レイクサイド』東野圭吾

ブログネタ
東野圭吾 に参加中!
レイクサイド (文春文庫)
中学受験のための親子での勉強合宿で起きる殺人事件のお話。

可も無く不可も無くといった感じ。意外っちゃあ意外だけどねぇ・・・。
ある意味パラノイア風味のお話。暗くて重いですねぇ。
ラストのうやむやな感じはあんまり好きじゃないなぁ。

頁数は少なくて読みやすいけど、薦めたくなるほどは面白くないです。

『密室の鍵貸します』東川篤哉

ブログネタ
ミステリ小説 に参加中!
密室の鍵貸します (光文社文庫)
いつの間にか身に覚えの無い2つの殺人事件の容疑者にされた大学生のお話。
ユーモアミステリーだそうです。

ユーモアミステリーだけあって文章が軽くて読みやすいですが、その反面緊張感は皆無。死体とご対面しようが刑事とニアミスしようが緊迫感は全くありません。
初めのうちは「ユーモア」の部分を楽しめるんですが、段々そこが鼻に付くようになってきます。

手垢まみれの誰でも一度は読んだコトのあるような定番トリックですが、それでもちゃんと面白く読めるように作ってあるのは流石です。「密室を前面にだしておいて実は・・・」ってのも面白いです。
ただ、犯人がアイツってのはちょっとズルイんでないかい?

主人公と探偵にいまいち魅力を感じられなかったのは僕だけですかねぇ?
悪くはないけど人に薦めたくなる程でもないって感じ。

『ゲッベルスの贈り物』藤岡真

ブログネタ
ミステリ小説 に参加中!
ゲッベルスの贈り物 (創元推理文庫)
謎のアイドルを追ううちに陰謀に巻き込まれ・・・、ってお話。
陰謀は超デカイです。大きな風呂敷を広げ、強引に畳んでいます。あ、イイ意味ですよ。

店頭ポップで大絶賛してたんで買ってみたんですが、それほどのものではなかったです。割と普通でした。
まぁ「おぉ!!」と驚いたトリックもあったけど、本筋の事件とは関係の全く無い些細なトコだし。
謎のアイドルも「マクロスプラス」そのまんまだったしね。

結構楽しめますが、創元推理文庫なんで少々お値段張ります(貧乏性)。
ミステリー要素の無いアクションサスペンスなんか書いても面白いんじゃないかなぁなんて思ったり。

『時生』東野圭吾

時生 (講談社文庫)
病床に臥し死期の迫った息子。その時に父親が自分の過去の話をする。自分は若い頃に息子に逢ったと・・・。ってお話。

もうなんだか涙が止まりませんよ。僕が涙もろいってのを差っ引いても、泣けるイイ話です。
「結末を知ってるからこそ感動する」ってのと「結末を知ってるのに読んでしまう」ってのを両立してます。
最後の一言の決まりっぷりも鮮やか。

ただこんなに大きな陰謀に巻き込まれる必要があったのかとは思いますが・・・。

まぁ珍しく毒の少ない東野作品だし、スッキリと読み易いです。夜中に独りでさめざめと泣きたい人にはおススメです。

『ゲームの名は誘拐』東野圭吾

ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)
何年か前に藤木直人と仲間由紀恵主演で映画化されましたね。もちろんDVD持ってますよ。仲間由紀恵ですから。
なので、大筋は頭に入ってる状態の読書でした。

タイトルにもある通り誘拐モノです。身代金受け渡しの方法やそれまでのプロセスなど、かなり練られています。いちいち感心させられます。
登場人物も絞られており、物語に入り易いです。そのメインの登場人物がみんなヒネクレ者。東野圭吾らしいです。

誘拐モノとしても一級品なのに、それだけで終わらないのも面白いです。既にネタを知っていたのは残念ですが、映画か小説かどちらかに先に触れなきゃならないんで仕方の無いコトですわ。
でもコレはイイですよぉ。オススメです。

解説は藤木直人。稚拙な文章(俳優だもんね)ながらも読み易く、思いも伝わり、要点も纏まっており、同じ早稲田の綿谷りさなんかよりもよっぽど素敵な解説でした。
かうんたぁ
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