阪大ワンゲル部60周年ブログ

こちらは大阪大学ワンダーフォーゲル部創立60周年記念企画の広報ブログとなっております。皆様どうぞごゆるりとご清覧なさってください。 下は、キルギス秘境トレッキングの目的地、アラコル湖の写真です。 標高3,500mにて輝くエメラルドグリーンは、まさに神秘そのものです。

中編はこちら

投稿記事の時系列が多少前後してしまっていますが、特段順番は気にせずご覧いただければと思います。
長かったキルギスのトレッキング記もこれにておしまいです。



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“天空の湖”。その言葉に間違いはなかった。

 

エメラルドグリーンの水を蓄えた湖、氷河に覆われたピークの数々、すぐ目の前まで近づいた雲、はるか彼方に見える天山山脈の主稜線―。待ち望んだ景色がそこにはあった。

 

partyのしんがりを務めていたため、“壁”の上に到着するのは一番遅かったが、皆思い思いに景色を楽しんでいた。

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それにしても風が強い。4000m近い稜線の上に立っているので当たり前と言えば当たり前だが、これが夜になったらどうなるかと不安になる。

 

と思っていると、ガイドのサンチョからテントを張る場所を変えようと提案された。予定では湖畔にテントを張る予定だったが、この風だと谷地形である湖の朝は氷点下にもなりオススメしない、ということである。湖にもっと近づきたい気持ちはあったが、遠征はまだ折り返し地点に差し掛かったばかりだし、湖畔までここから100m下らなければならず、それは即ち、明日の朝に100mの急登をしたあと、先程登ってきた“壁”を下ってアルティンアラシャンに向かわなければならないことを意味する。やはり湖畔でテントを張るのは危険だろう、ということでそこでしばらく景色を楽しんだ後、“壁”を下りて雪解け水でできた川のそばでテントを立てた。

 
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ここでも勿論寝袋で寝るわけだが、問題が1つ。テントの中がキツキツなのだ。なぜか。いつもより1人多いからである。なぜか。サンチョである。いや別にサンチョが悪いという話ではない。自分用のテントを持参していない彼は、アルティンアラシャンでは宿泊者用のゲルで寝泊まりしていたのであるが、当然ここにゲルがあるはずもなく、我々のテントで寝ることになった。我々を含めると合計11人になり、8人用テントと6人用テントがあるから大丈夫では?と思われるかもしれない。がしかし、OBOGの方ならご存知のように、この“〇人用”というのは「無理やりぶちこんで寝られる(まともに寝られるという意味ではない)」人数であって、8人用・6人用であれば、それぞれ2人引いた6人・4人が快眠できる適正人数となる。6+410<11。キャパオーバー。だからと言って外で寝てもらうわけにもいかないので、筆者が入る8人用の方で寝てもらうことにした。

 
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8人用テントでサンチョも混ざって仲良く夕飯を作り(アルファ米に雪解け水を煮沸したお湯を入れただけだが)、就寝。が、懸念していた通りかなり狭く、なかなか身動きが取れない。その上高山病による頭痛に悩まされる。身体は完全に疲れ切っているのに頭痛と狭さで寝られないという環境に耐えながら朝を迎えた…。


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高山の朝はやはり美しい。視界には我々以外山しかないというのもまた雰囲気を醸し出している。しばらくここで休みたい気持ちもあったが、今日は昨日来た道を引き返し、アルティンアラシャンへ戻らねばならない。一路村を目指す。

 

 

このトレッキングではガイドのサンチョが先頭に立っているのだが、昨日7,8時間かけて登ってきた道を3時間で下ろうかという勢いで、サンチョが飛ばして歩いていく。下りが苦手な筆者にとって、ついていくのがやっとのしんどさである。と同時に、足裏が非常に痛い。普通の山行でも下りが続くと足裏の痛みが生じるものだが、今回は特に症状が出るのが早かった。原因は地面の硬さにある。

 

草原が広がる中央アジアは、イメージの通り降水量は非常に少ない。旅の途中で聞いたところでは、年間降水量はわずか50mmということである。このトレッキングルートもそれに違わず、冬は雪に覆われることもあるようだが、夏の期間はほとんど雨が降らず、地面が緩むこともない。加えて多くの登山客や馬の往来があって踏み固められていく。結果非常に硬い地面が出来上がる。これには他のメンバーも苦労させられたようである。とはいうものの、降水量の少なさという面では、天候を気にせずトレッキングができたり、洗濯物がすぐ乾くなど、この旅で多くの恩恵を受けることとなる。

 

 

結局アルティンアラシャン到着は、予定の夕方よりも大幅に短縮して正午頃となった。着いてからはユルトの食堂で歓談したり、草原やテントで昼寝をしたり、軍手と銀マットで野球をしたりなど、思い思いに休息を楽しんだ。

 
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翌日は、アルティンアラシャンからトレッキングルート入り口まで来た道を渓谷沿いに引き返す。この日もテンポよく歩みを進めていく。歩くこと3時間、入り口に到着。旅行会社に手配してもらった車で宿に戻り、そこでサンチョとお別れをした。ありがとうサンチョ。キルギスでの活動と山を下りて初めて確認できた前セメスターの成績にいったん区切りをつけるということで、夕飯はサンチョに教えてもらった店に行って打ち上げをした。

 

 

これにて2つ目のトレッキングは終了。次に訪れるは、3か国目カザフスタン。旅はまだ半分を過ぎたばかりである―。

先ほどの記事に続いて、カザフスタンのチャリンキャニオンとメデウ峰について書いていきます(澁谷)。

 チャリンキャニオンは、「ミニ・グランドキャニオン」「カザフスタンのグランドキャニオン」とも呼ばれる渓谷で、カザフの古都、アルマトイから3時間ほど車で移動した先にあります。中央アジア@カザフ_170923_0122
上の写真からも若干うかがえますが、岩山の先が山脈につながっているそうで、果ては天山山脈まで続いているそうです。今回のトレッキングではこの渓谷の川底を進み、テント場まで移動する行程を取っています。
 下の写真は今回のガイドを担当してくださった「うみちゃん」(自称)です。流暢で聞きやすい英語に加え、笑顔がチャーミングな親しみやすい性格ですぐにメンバーと馴染んでいました。英語の他にロシア語、フランス語、中国語にも堪能で、スペイン語や日本語も現在学習中のマルチリンガルで、学生としては頭のあがらない存在です。因みにうみちゃんに拠ると、語学の極意とはとにかくその言語をたくさん聞いて好きになる事だそうで、僕も是非とも見習おうと思います。。。
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さて、チャリンキャニオンの中を歩いていきますと、とにかく奇妙な景観が多いです。自然に削れていったはずなのになぜか城塞のように見える岩々があったり、
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まるで、男女がキスしているように見える一対の岩があったり、見ていて飽きる事がありません。(当然ですが、こうした見方はうみちゃんの解説に拠るもので、むさ苦しい男しかいない我々のメンバーでは到底このようなロマンチックな発想には至らないのです。)
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渓谷を抜けると、チャリン川沿いのキャンプ地に着きます。キャンプはすべてユルト(中央アジア遊牧民の民族家屋)の形式を取っていて、中も詳しく見る事が出来ました。
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ユルトは、キルギスのアルティンアラシャンのものと形状は似ていましたが、中は昔の生活の様子が再現されていて、うみちゃんの解説も合わせて、当時の人々の習俗に思いをはせる事が出来ました。
...少し本題とはそれますが、僕の好きな作品に森薫の『乙嫁語り』という作品があるのですが、カザフスタンの遊牧民の生活を描いたもので、この主人公たちもユルトで生活しています(下の画像の背景とか)。
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それなので、このユルトの習俗についての解説など、この合宿で作品の背景に触れられる機会がとても多く、個人的にはだいぶ贅沢な聖地巡礼になりました。反対に、現地の博物館などを見ていて「あ、これ乙嫁語りで出て来たところだ」というところもたくさんあったので、事前知識を得るという意味でも
中央アジアに行く前には、この作品を読んでいく事を強くお勧めします(行かない方にも是非読んでほしいですが...)。

 さて、次にメデウ峰の解説に移ります。メデウはいわば山脈の総称で、特定の山を指すわけではありません。今回のトレッキングでは山麓のスケートリンクのゴンドラを利用して標高を稼ぎ、尾根線沿いにメデウ峰を形作る高峰を巡っていくルートを通ります。
普段の日本アルプスを登る夏合宿と比べると行程の難易度は低いですが、これまでの中央アジアの遠征では砂漠や高原など、一風変わったところばかりトレッキングしていたので、このメデウ峰のようなTHE 山!のような所は、どこかホームのような安心感があって楽しかったです。
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やはり、高い山々を背景に登山をするのが一番慣れている気がします...。とは言え周りは3000-4000m峰。日本では体験できない標高であるというのを良くかみしめながら登る事が出来ました。

チャリンキャニオンとメデウ峰について以上です。ご清覧ありがとうございました。

 先の担当者の「チャイの湖」はしばらくの長篇になりそうな予感がしますので、カザフの方の報告を割り込まさせて頂きます(澁谷)。カザフスタンでは現地交流とメデウ峰、そしてチャリンキャニオンの3つが大きな活動の要となっています。メデウ峰とチャリンキャニオンは後に回して、この記事では現地交流の報告だけ先に行おうとおもいます。
 現地交流は、カザフスタン経済大学に付設されている日本センターで行いました。大学の学生さんも多いですが、大人になった後で日本語の勉強のためにセンターに通っている方も多いそうです。遠いカザフスタンで日本語の需要が多くあるのは意外な感じがしました。センター内の写真は撮っていなかったのが残念ですが、畳の座敷や床の間、本棚には日本の小説やビデオ作品、漫画や雑誌などが多く取り揃えられていて、思わず日本からはるか5000km離れた土地にいる事を忘れてしまいそうになる程でした。
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交流では僕たちからの日本紹介がメインだったので、内容を事前に考え合わせるのには苦労しました。当初は英語でプレゼンテーションを行う予定でしたが、折角なので是非「生の日本語」を生徒たちに聞いてほしい、と講師の方から依頼を受け、講師の方に通訳について頂いて日本語でプレゼンテーションを行うことになりました。
(下は講師の皆さんとの事前の打ち合わせの様子)
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予定の時間になると、予想していたよりもたくさんの方に来ていただいて、教室の椅子を急きょ増やすほどでした(最終的に40人近くの方に来ていただきました)。嬉しい反面、最初の発表者としては緊張も大きかったです。
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プレゼンテーションのパワポの文字は日本語と英語、ロシア語の併記で行いましたが、発表している最中は、異国の皆さんにうまく話している内容が伝わっているか不安でした。しかし、無事にプレゼンが終わって、プレゼンの内容に関するクイズを皆さんに答えてもらうコーナー(このコーナーは講師の方によって突然に始まって、こちらとしてもサプライズでした...)ではほとんどすべてのお客さんが内容を全部理解していて、むしろ内容が簡単過ぎたかと感じるほどでした。クイズの景品は僕が日本の100円ショップで買った扇子や手鏡、湯呑茶碗などを持ち込んだのですが、こちらが思いのほか好評で、頑張って持ってきた甲斐があったと思いました。
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 プレゼンの後は書道のパフォーマンスと書道体験を行いました。書道部を兼部している私めが、誠に僭越ながらパフォーマンスを担当しました。まだまだ未熟なわが身には本当に恐れ多い事です。
 実演では日本・カザフスタンの友好を題材に書く事にしていました。書いている一字一字を皆さんにじいっと見られながら筆を運ばせるのはかなり緊張しましたが、まあ、どうにかなんとかなって良かったです。後の書道体験ではその甲斐もあって?かどうかは分かりませんが、とても大盛況でした。こちらの部員も混ざって、お互いにメッセージなど書き合っていた結果、紙がぎゅうぎゅういっぱいになるほど思いを書き連ねる事ができました。
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 その後は盆踊りの実演とたこ焼き作りを行いました。たこ焼きの制作では、参加者の方々が積極的に参加してくれたおかげで、会の途中からはこちらから特に何もせずともたこ焼きパーティが続けられていて、満足していただけた事が実感できてよかったです。
 たこ焼きを作っている最中は他の人は暇なので、色々な方と話す機会ができました。印象深いのはだいたいの方が日本語を習うきっかけに日本のアニメを挙げていたことです。特にナルトが人気で、大人も含めて大体の人が見た事があるそう。会に来ていた最年少の13歳の少年からは火遁 螺旋丸の印を見せてもらいました(めっちゃなめらかでちょっとびびりました)。アニメオタクの青年2人とは『ガン×ソード』や『フルメタルパニック』など日本でもなかなか観ている人のいない作品の話題で盛り上がって、異国の地で同好の士に出会えた事は個人的には一番テンションが上がりました。
 もう一つ興味深かったのは年齢についてです。日本人が童顔に見えるというのはこれまでの旅でもきいていましたが、この会で同年代かと思って話していた子が、実は中学生だったり果ては小学生だったりといった事が多々あって、こちらの幼さ?向うの早熟っぷり?にはかなり驚かされました(上のたこ焼きを作っている3人は、ちなみに中学1年生だそうです)。
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会の後は、特に仲良くなった方々と一緒にお勧めのレストランに行きました。お酒が入っていたためが交流会では聞けなかったようなぶっちゃけた話を聞く事が出来ました(ほとんど〇ネタだった気がする...)。世界で一番肉を食べる国という前情報通り、とにかく肉をよく食べる印象も大きかったですね。よく食べ、よく飲み、よく話す、パワフルな人たちには我々もずっと圧倒されっぱなしでした。

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夕飯のあとも僕たちのホテルにやって来たり、翌日も遊園地に一緒に行ったりと本当に面倒見のいい、気の良い人たちで、最後の最後まで別れるのが惜しいほどでした。センターで日本語を勉強した後は日本に留学に行く予定の人も多いそうなので、もし彼らが日本にやってきたら是非こちらの観光の紹介などできたら素敵だなと思います。

カザフの現地交流については以上です。ご清覧ありがとうございました。

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