overbody_bizlaw

bizlaw_style

企業法務に関する日々の話題、法曹界、法律関連の書評、法務系メディアなどなど  Since 2010

28

The Financeにスチュワードシップコード改訂版に関する記事を寄稿しました

たまの更新といえばこの種のお知らせばかりになっていますが、本日、金融系ポータルサイトであるThe Financeさんに、
日本版スチュワードシップ・コード改訂 7つの重要ポイント」
と題する記事を寄稿しました(リンク先に記事があります)。

今回の記事のコンセプトは、スチュワードシップ・コード(SCコード)改訂の意味を理解するための「情報の集約」であります。

SCコードは、コーポレートガバナンス・コード(CGコード)と異なり、機関投資家に向けたものなので発行体企業の方からすると関わり方が若干遠いというか間接的になりますし、また「とっつきにくい」ところもあるのではないかと思います。一方で、SCコード、CGコードの両コードは「車の両輪」と言われ、発行体企業のご担当者としてもCGコードだけでなくSCコードを理解することは重要です(今回の改訂との関わりでは利益相反との関係での金融取引の顧客企業としての在り方が特に議論されました)。

ところが、できあがりのコードを読んだだけでは、その行間に込められた意味がわかりにくいのではないかと思います。これは様々な利害調整や配慮を経て、最終的に金融庁事務局でまとめられたものだからでしょう。

結局、SCコード改訂の問題意識を理解するためには、「SC・CGコードのフォローアップ会議」と「スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」の議論を追っていく必要がありますが、これがまた膨大で読むのは結構骨が折れます。そこで、今回の記事では、(紙媒体ではなく)ウェブメディアの特性を活かし、重要な改訂ポイントを解説する中で、特に印象的だったこれらの会議体の中での重要な議論や資料について、リンクを貼ることによって容易にアクセスできるようにしました。長い資料ではありますが、非常に刺激的な議論が多く展開されているので該当箇所だけでも確認してもらうことが有益と考えたためです。CGコード対応でもそうですが、SCコード対応ひいてはインベストメントチェーンの在り方もまた、我が国の金融系列グループや伝統的大企業の雇用慣行などに伴う構造上の問題と密接に関連していることが、これら会議体の議論を通じてわかるのではないかと思います。

ウェブメディア掲載だとリンクを貼ればすぐにアクセスしてもらえるところが良いですね。本稿が参考になると嬉しいです。

P.S. こういった書き物するときは既存論考には基本的には全て目を通すのが通常ですが、今回に限っては、超重要かつ現状唯一の参考文献である田中亘先生(有識者検討会メンバー)の「日本版スチュワードシップ・コードの改訂」(資料版商事法務5月号)は一通り書き終えるまでは読まずにとっておきました。田中亘先生による整理や先生のお考えを先に知ってしまったら、権威があり過ぎて流されてしまうので、まずは自分が重要だと感じたところを予断なくまとめてみようと思ったからです。それで田中先生のご論考は一通り書き終えた後で答え合わせ的に(?)拝読しましたが、やっぱり出す前に読んでおいてよかったと思いました(笑)。
24

BLJ6月号特集「取締役会運営 これからのスタンダード」に寄稿しました

久しぶりの更新ですが、BLJ6月号特集「取締役会運営 これからのスタンダード」に
「コーポレート・ガバナンス・システムガイドラインの読み方と実務への落とし込み」
と題する記事を寄稿しました。

BusinessLawJournal_ページ_1 BusinessLawJournal_ページ_2

経済産業省「コーポレート・ガバナンス・システムガイドライン」について、CGSガイドラインの「見どころ」と「課題・対策」という2本柱の構成で私なりのコメントをさせていただきました。

ガバナンスの議論は数年前までは「社外取締役をまず一人入れるかどうか」というある種外形的な側面を中心に語られていたのが、社外取締役が普及した今では、「取締役会改革」(と、必ずしも明示的には叫ばれていないものの「経営陣改革」)が改革の本丸となっています。これはつまるところ、会社が中々業績をあげられない構造的な問題は何なのか、ということや、役職員人事に関わることなど、かなりセンシティブなことにも切り込んでおり、明らかに求められるハードルが上がっているように感じます。金融庁の「フォローアップ会議」あたりからそのように感じていましたが、CGSガイドラインを読んで、ますますその思いを強めました。

政府の意向、関心が、こういった会社にとって極めてセンシティブとなりうる話題に移ってきているということは、事務局、それも特に経営陣がガバナンスに関心がないか、腰が重い会社の事務局にとってはますます苦労が多くなることと想像します。

拙稿でもこの点についてどうすればよいのか、答えがないなりに末尾に若干ふれていますが、本特集では、大杉謙一先生と松田千恵子先生のインタビューでも、この難しい問題に対応していかなければならない事務局の方々への配慮というか思いやり(「忖度」では決してない)が感じられる内容になっています。

事務局担当者の座談会もこのテーマでは今までなかったレベルで、充実した取り組みの情報交換がなされていると思います。

以上のように本特集は、現場実務を重んじる「BLJさんらしさ」を感じる企画であり、同じガバナンスをテーマにしても、旬刊商事法務とは切り口がだいぶ異なるところが面白いですし、実務上も参考になるところが多いと思います。

なお、CGSレポート(※CGSレポートとCGSガイドラインは殆ど同内容です)42頁で「本研究会で十分に議論できなかった事項」があげられていますが、個人的にこれからますます議論が盛り上がって欲しいのはこの中でも「グループガバナンス」ですね。日頃の相談を通じても、親会社、持株会社として、グループ会社に対してどこまで自主性を尊重し、どこまでリーダーシップをもって対応するか、という点は企業にとっても関心が高まっているように感じています。

以上、ご関心のある方はお手にとっていただけると嬉しいです。  
7

法務系アドベントカレンダー打ち上げについて #legalAC

法務系アドベントカレンダー2016(AC)の打ち上げ(「アドベントカレンダー」なのに一部では「新年会」とも呼ばれた)が、昨日(1/6)開催されました。

IMG_5092
IMG_5093
 
会場はご厚意によりクックパッドさんにラウンジをご提供いただき、お料理(共同幹事であるはややさんに会場のキッチンでその場で作っていただいたハンバーグがおいしかったです)とお酒をいただきながら、最適な環境で行うことができました。そして当初の想定を上回り、AC参加者全25名中20名もの方にご参加いただきました。

法務系アドベントカレンダーは、法務系ライトニングトークと並んで楽しみにしている方も多く、実際非常に有益なのですが、一方で、クローズドかつ少人数で、つまり公には言えないことも話せる環境で、それぞれがそれぞれのテーマを語るだけでなく、もっと双方向のやりとりができないかなと思って、テコ入れとして企画してみたのが今回の打ち上げであります(※1)。

(※1) もっというと、昨年ますます巨大化してしまった法務系ライトニングトークの振り返りを踏まえて、何年か前までには実際にあった、少なからぬ法務関係者の方々が欲しいと思っていた場を、現在において実現する試みでした。

そこで、幹事をご一緒したkataxさんと相談して、今回のACで何人かの方が取り上げていた以下の3つのテーマについて、ディスカッションしました。
  • 法務パーソンと弁護士のキャリア
  • AI・著作権
  • コーポレート・ガバナンス/コンプライアンス
結果としては非常に議論が盛り上がり、皆さん喜んでいただいたようで良かったです。公にすることが適切でない話もあるので、印象的なキーワードだけを拾うと以下のとおりでしょうか。
  • 今のキャリアのきっかけ
  • ワーキングマザー
  • フレックス勤務
  • 研究職への転換
  • 転職によるキャリア転換と会社のM&Aにより転換させられたキャリア
  • 応用美術とコメダ珈琲不正競争防止法事件
  • 人事と法務
  • 子会社への法務サービス提供
  • 平時と有事のコンプライアンス
  • 経験の伝承
  • 記録を残すことについて
  • 社内リニエンシーの当否
  • 猫の写真
  • 仮想法務先輩
  • 酔って後輩の肩に手を回す先輩
なんといっても今回は、kataxさんの当日の司会進行とアレンジメントが光りましたね。私などは当日はテーマ出しさえすればなんとかなるだろうと思っていましたが、kataxさんの鋭い問題提起と突っ込みがあったからこそ、本には絶対書いてない、そしてSNSにも書かれていないような参加者のコメントを引き出せたといえます。

最後に参加者の皆様お疲れさまでした。そして共同幹事のkataxさん、はややさん、ありがとうございました。
また今年の12月もやりたいですけど、今度は別の方が仕切ってくれないかなあ(笑)(※2)。

(※2)LTを含めて、これまでにあった場を失いたくない思いはありますが、とはいえ、話題の性質上、本来的には外の弁護士がでしゃばる(=仕切る。参加自体はもちろんありですが)のはあんまり向いていないのかなとは感じています。 
24

BLJ2017年2月号特集「法務のためのブックガイド2017」に寄稿しました

現在進行中の法務系アドベントカレンダーと並んで(?)、法務クラスタの年末の風物詩ともいえる、

Business Law Journal2017年2月号特集
「法務のためのブックガイド2017」

に今年も寄稿させていただきました。

ここのところ自分の主要取扱い分野以外の書籍を意識して取り上げてきましたが、今年は趣向を変えて、主要取扱い分野にストレートにあてはまるもののみを取り上げました。それで今年は以下の6冊です。
  • 田中亘「会社法」
  • 中村直人「取締役会改革」
  • 高桑幸一・加藤裕則他「監査役の覚悟」
  • 荒木隆志「カーブアウト型M&Aの実務」
  • 佐藤義幸「法務デューデリジェンスチェックリスト」
  • 後藤勝也ほか編著「ベンチャー企業の法務AtoZ」
それから、一部で話題になっていますが、今回の座談会「法務担当者5人による購入書籍分野別批評会」は、いつもよりもかなり辛口で(念のためですが、「辛口」と言ったのはネガティブな趣旨はありません。)、読み応えのあるものになっています。

書評の話ではなくなってしまいますが、この座談会記事を読んで、やはり人それぞれ、担っている実務の内容と周辺環境が違えば、見えている世界が全く違うんだなあということをあらためて感じましたね。

外にいる弁護士は、依頼があって初めて、当該依頼内容に関連した事項についてのその企業や業界の実情、そしてそれらが採用している実務に触れることができるわけですが、裏を返せば依頼がない事項(個別具体的に頼まれないという意味ではなく、一般的に外の弁護士には頼まない事項)については、基本的にも知りようもないし、あまり語る言葉を持っていません。
そうすると、法務パーソンの方々からすると、例えば、 
「企業法務の弁護士を名乗っているくせにそんなことも知らないの?」と思われてしまうようなことを知らなかったりすることもあれば、また、
実務の全てを書き尽くしたと自分達が心から信じる原稿を書いても、「『◯◯の実務』なんて銘打っている本なのに、こんな大切なことにも触れていないの?」と思われてしまうような、問題意識の抜けが出てきたり、
ということも普通に出てくるということになります。依頼事項プロパーの話題に限定せず、日頃からの企業ご担当者とのコミュニケーションが重要であると再確認した次第です。

(※一般論ですが、一般的な契約書チェックのようないわゆるジェネラルコーポレート案件を大手の事務所が担うことは、予算面や、インハウスの普及状況その他の事情からも10年位前からするとだいぶ減ってきているのではないかなあという印象です(いったい何の話だ)。)

座談会登壇者の中では、どなたか存じ上げませんが特にAさんのコメントに非常に味を感じましたね。森田朗先生の「会議の政治学Ⅲ」を取り上げられたあたりが思わずニヤリとしてしまいました。ⅠとⅡは以前感想のエントリーをあげましたが、Ⅲは生々しすぎて見送ったくらい生々しいですが、私にとっても今年思い出に残った一冊です。 

それから、法務系以外の本が多く取り上げられているのも今年のブックガイドの特徴です。個人的には法務関連以外では、浜田康先生の「粉飾決算」と、三枝匡さんの「ザ・会社改造」ですかね。どれも今年話題になった本です。Aさんも取り上げられていた「会社の中はジレンマだらけ」もとても良かったですね。

では、取り急ぎお知らせということで…。
21

株式報酬に関するスライド(平成29年度税制改正大綱を踏まえて)

昨日は所属する第一東京弁護士会にて、会員向けの役員報酬に関する研修会の講師を担当したので、担当部分のスライドを若干修正の上でシェアします。以前も一度内部研究会向け資料をアップしたことがありますが、今回はその内容を全面的に書き換えたものです。


今回の研修の見どころは役員報酬コンサルティングのリーディングファームであるペイ・ガバナンス日本の阿部直彦さんに共同で講師をご担当いただいたことでした。阿部さんのお話の内容はクローズドの研修会なのでお伝えすることはできませんが、経営者報酬のグローバルレベルでの最新動向から始まり、報酬ガバナンスの核心であるPay for Performance(PFP)の基本的考え方、報酬委員会のベストプラクティス、そして実例を踏まえたケーススタディなど、充実した内容をお話しいただきました。株式報酬はともするとリストリクテッドストック、信託型、1円ストックオプションのどれにするかといったストラクチャーばかりに目が行きがちですが、経営者報酬は企業理念、経営計画と一貫するものでなければならず、より骨太に捉えるべき問題であることがよくわかりました。

阿部さんの貴重なお話だけで十分、当会ならではの良い研修会となったものと確信していますが、私の担当パートの見どころとしては、先日公表されたばかりの与党による平成29年度税制改正大綱を踏まえた内容にしたことです。

経済産業省の資料41~43頁にも簡単な記載はありますが、税制改正大綱で損金算入要件が主に以下のように大幅に見直されてしまいました。
  • 平成28年度税制改正で「事前確定届出給与」として損金算入できることとなった業績により譲渡制限が解除されるタイプのパフォーマンスシェアは損金算入できなくなる。
  • 今後の業績連動型株式報酬を損金算入するには(業務執行役員を含まない報酬委員会の関与など従来要件を満たすことが難しいと言われていた)「利益連動給与」の要件を満たす必要がある。
当会及びサポート頂いた当会先生方のネットワークにより、然るべきところから来年の税制改正で具体的にどう変わるのか確認したうえで今回の研修会ができましたが、当然のことながらまだ大綱が出たばかりの段階で、詳細は情報はこれからなので、今後の改正動向を引き続きウォッチしていく必要があります(なのでこのスライドも正確でない点が含まれている可能性があることはご了解ください。)。

ただ、準備の過程でお聞きしたところでは、企業の中には、たとえ損金算入できないストラクチャーであっても、自社の役員報酬ポリシーへの合致や管理の容易さなどを考慮して導入する判断をするところもあるそうなので、損金算入要件を満たすかどうかはもちろん重要ではありますが、それを絶対視するべきものでもないようです。 

今年の税制改正でリストリクテッドストックが普及されつつある矢先にまた税制がガラッと変わってしまいますが、役員のインセンティブ報酬はコーポレート・ガバナンスの大きな柱ですので、来年も引き続き実務の動きを追っていくべき分野だと思います。
記事検索
最新コメント
livedoor プロフィール
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ