2005年05月08日

提言〜わたしが書くことを続けられた理由〜その9

「その100」まで書いてね、なんてうれしい励ましをいただきました。さて、今までのところで児童文学作家になることをあきらめてしまった、あるいはあきらめようとしている方に、こんどはじゃあ別の視点から語ろう。いま、わたしの手元に「ムダの会」という、野上暁さんたち出版に携わる有志の方々(編集者・研究者・ジャーナリスト、ライター、書店勤務の方など)が自費で発行している、「いける本・いけない本」という非売品パンフがあります。第2号なのですが、第1号に続き、みんな、歯に衣着せず語っていて、特に話題の本をめった斬りしてるところなどわが意を得たり、と思うこと多く、また、「ああ、この本読みたい!」という紹介も多々あって、それはおすすめです。とりあえず、多くの人があげている「いける本」は、中沢新一の『僕の叔父さん網野善彦』(集英社新書)だということだけお教えしとこう。……あ、そういう話じゃなかった。ええと、その巻末で、これまでのわたしの不景気な(笑)話をひっくりかえす文を、野上さんが書いておられるのですよ。いわく「日本の子どもたちを育てた、児童書のミリオンセラー」。そう。なんとなんと、不況とか児童書は売れないとかいいながら、じつは、児童書の売れ方、というのは半端ではない、という話なのです。びっくりします。いいですか、100刷以上の本は、じつは児童書が圧倒的に多いのでした。300万部以上が『いないいないばあ』(松谷みよ子・瀬川靖男/童心社360万部)、『ぐりとぐら』(中川李枝子、山脇百合子/福音館350万部)という怪物ベストセラーをはじめ、以下、200万部以上でも『やさしいひらがな第1集』(くもん出版)『ひらがなおけいこ』(同)、『はらぺこあおむし』(偕成社)、『エルマーの冒険』(福音館)、『てぶくろ』(同)……と、続きます。そう。偕成社だけで100刷以上が30点以上、福音館にいたっては、50万部以上売れた本は130点もあるのです。(うちミリオンセラーは30点以上)……希望が湧いた?きっとこの会社の方にとっては、「売れた」というのは、こういう本のことを指すのだろうな。福音館で4冊も出したわたしなんて、それぞれたしかに何刷にはなりましたが、そもそも桁がちがってたんだ。これでは「絶版」の結論も早いのは当たり前。そうなんです。このリストを見ればわかります。この中には、「高学年向け児童文学」なんてものは、入っていないのです。福音館では『魔女の宅急便』とかは確実にそうでしょうが、それぞれの社の上位ではないのでしょう。リストにあったのは『兎の眼』(灰谷健次郎・理論社・120万部)だけ。
「そっか!幼年もの・絵本があったか!それだっ!」と思われた方、よかったですね、道が見えてきて。あなたはこれからわたしの「近況」を読む必要はありませんね。
「……なんだよ。児童文学、やっぱり売れないんじゃん。」と思ってがっかりしたあなた。昨日届いた『日本児童文学』をぱらぱら読んで、読売新聞あさのあつこインタビューの冒頭「子どもの本だ、とバカにしてはいけない」という文(佐藤宗子『総論』より)に「だれがバカにしてるんだっ!」とついついかっとしてしまったあなた。この項続きますんでよろしく(笑)。

oyabun1 at 17:51│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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