データは引き続き
青空文庫からHTML版の怪人二十面相を使っています。

MeCabの通常辞書では二十面相が名詞として認識されませんでした。
怪人	カイジン	怪人	名詞-一般		
「	「	「	記号-括弧開		
二	ニ	二	名詞-数		
十	ジュウ	十	名詞-数		
面相	メンソウ	面相	名詞-一般		
」	」	」	記号-括弧閉		

これをMeCab辞書に登録して名詞として認識させられるかどうか試してみたいと思います。

MeCabの辞書登録については、
  1. csv作成
  2. コスト計算
  3. 辞書作成
という流れになりますが、コスト計算については辞書モデルが必要で、別途設定が必要なのですが、今回は時間がないのでコストは適当に入れてしまっています。

MeCabのipadic辞書ディレクトリに登録したい単語のcsvを作成します。
私の環境ではC:\MeCab\dic\ipadic

ここに、次の形式でuserdic.csvという名前のファイルを作成しました。
二十面相,,,6000,名詞,固有名詞,人名,一般,*,*,二十面相,ニジュウメンソウ,ニジュウメンソウ
4番目のカラムは検索コストを指定する部分ですが、辞書モデルを落としていないので勝手な数字を入れています。

ファイルはディレクトリの他のcsvファイルと合わせてshift-jisで保存しています。

コマンドプロンプト(ここではAnaconda Promptから作業していますが)からipadicディレクトリに移動します。
cd C:\MeCab\dic\ipadic
mecab-dict-indexコマンドを使って辞書を再作成します。
カレントディレクトリにdicrcが見つからない場合怒られますので忘れずに辞書ディレクトリに移動しましょう。

(C:\Anaconda3) c:\MeCab\bin>mecab-dict-index.exe -f shift-jis -t utf8
dictionary_compiler.cpp(82) [param.load(DCONF(DICRC))] no such file or directory: .\dicrc

また、コストフィールドが空の場合ここで怒られます。

reading .\userdic.csv ... dictionary.cpp(326) [type == MECAB_USR_DIC] cost field should not be empty in sys/unk dic.

mecab-dict-indexコマンドは次の形で実行します。

mecab-dict-index -f <csvファイルの文字コード> -t <辞書ファイルの文字コード>

私は基本的にutf-8しか利用しないのでutf8で辞書を作成します。ですので
-f shift-jis -t utf8で実行します。
(C:\Anaconda3) c:\MeCab\dic\ipadic>..\..\bin\mecab-dict-index -f shift-jis -t utf8
reading .\unk.def ... 40
emitting double-array: 100% |###########################################|
.\model.def is not found. skipped.
reading .\Adj.csv ... 27210
reading .\Adnominal.csv ... 135
reading .\Adverb.csv ... 3032
reading .\Auxil.csv ... 199
reading .\Conjunction.csv ... 171
reading .\Filler.csv ... 19
reading .\Interjection.csv ... 252
reading .\Noun.adjv.csv ... 3328
reading .\Noun.adverbal.csv ... 795
reading .\Noun.csv ... 60477
reading .\Noun.demonst.csv ... 120
reading .\Noun.nai.csv ... 42
reading .\Noun.name.csv ... 34202
reading .\Noun.number.csv ... 42
reading .\Noun.org.csv ... 16668
reading .\Noun.others.csv ... 151
reading .\Noun.place.csv ... 72999
reading .\Noun.proper.csv ... 27327
reading .\Noun.verbal.csv ... 12146
reading .\Others.csv ... 2
reading .\Postp-col.csv ... 91
reading .\Postp.csv ... 146
reading .\Prefix.csv ... 221
reading .\Suffix.csv ... 1393
reading .\Symbol.csv ... 208
reading .\userdic.csv ... 1
reading .\Verb.csv ... 130750
emitting double-array: 100% |###########################################|
reading .\matrix.def ... 1316x1316
emitting matrix      : 100% |###########################################|

done!
userdic.csvも読み込まれていることが解ります。

では、組みなおした辞書を使って同じ文章を解析してみます。
import MeCab
m = MeCab.Tagger("-Ochasen")
parsed = m.parse(resp1)
変換結果を見てみます。
怪人	カイジン	怪人	名詞-一般		
「	「	「	記号-括弧開		
二十面相	ニジュウメンソウ	二十面相	名詞-固有名詞-人名-一般		
」	」	」	記号-括弧閉		
の	ノ	の	助詞-連体化		
うわさ	ウワサ	うわさ	名詞-サ変接続		
を	ヲ	を	助詞-格助詞-一般		
し	シ	する	動詞-自立	サ変・スル	連用形
て	テ	て	助詞-接続助詞		
い	イ	いる	動詞-非自立	一段	連用形
まし	マシ	ます	助動詞	特殊・マス	連用形
た	タ	た	助動詞	特殊・タ	基本形
。	。	。	記号-句点		
設定どおり認識できたようです。