2010年05月18日

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)チャイルド44 上巻 (新潮文庫)
著者:トム・ロブ スミス
販売元:新潮社
発売日:2008-08-28
おすすめ度:4.5
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チャイルド44 下巻 (新潮文庫)チャイルド44 下巻 (新潮文庫)
著者:トム・ロブ スミス
販売元:新潮社
発売日:2008-08-28
おすすめ度:4.0
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 ◆今回紹介する本
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 題名:チャイルド44(上・下巻)
 著者:トム・ロブ・スミス
 出版:新潮文庫
 定価:上巻 667円+税、下巻705円+税
 http://amazon.co.jp/o/ASIN/4102169318/oyajimushicom-22/ref=nosim/
 http://amazon.co.jp/o/ASIN/4102169326/oyajimushicom-22/ref=nosim/



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 ◆目次
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 ※目次はありません。



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 ◆成分解析
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 知恵  :■■■□□
 勇気  :□□□□□
 豊かな心:□□□□□
 おすすめ:■■■■□



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 ◆内容紹介
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▽これまであまり読んでこなかったジャンル、ミステリーです。

 今回紹介するのは、2009年の「このミステリーがすごい!
 海外編」で第1位になった作品です。
 
 紹介文によると、著者のトム・ロブ・スミスは1979年ロンドン
 で生まれます。
 
 2001年にケンブリッジ大学英文学科を首席で卒業します。
 
 処女小説「チャイルド44」は、2008年度CWA賞のうち
 イアン・フレミング・スチール・ダガー賞(最優秀スパイ・冒険・
 スリラー賞)を受賞しています。
 
 CWAとは「イギリス推理作家協会」の略で、CWA賞は九つの
 賞が設定されていて、チャイルド44はそのうちの一つを受賞
 しました。
 
▽今回紹介する作品は、「ミステリー」のストーリーとして殺人
 事件を解決していくわけですが、私が興味を惹いたのは、ミステリー
 よりも、その国の体制、そしてその体制下に属する人間の恐ろしさ
 です。
 
 殺人事件よりはるかに「ミステリー」でした。
 
 物語は1933年、ソヴィエト連邦のウクライナのとある村の話
 から始まります。
 
 1933年頃のソ連ウクライナをウィキペディアで調べてみると、
 次のように書かれていました。
 
 「無理な農業集団化(コルホーズ)の強行により、1932年から
 1933年には大飢饉が起こり、500万人とも1,000万人とも言われる
 餓死者が出た。 特にウクライナにおける飢餓(ホロドモール)は
 甚だしく、400万人から700万人の餓死者が出た。2006年にウク
 ライナ政府はこの飢餓をウクライナ人に対するジェノサイドと
 認定している。この『拙速な集団化政策』はウクライナ人弾圧の
 ために意図してなされたものであると言う説も有力である。集団化
 に反対した人々は、白海・バルト海運河の建設現場のグラグへ
 送られるなどにより命を落とした」
 
 ウィキペディアに書かれているように、1933年のウクライナ
 では大飢饉が起きていて、多数の餓死者が出ていました。
 
 大飢饉の真っ最中のある家族の様子から物語は始まります。
 
 その家族が住む村には食べ物がなく、たまたま見かけた猫を
 掴まえに幼い兄弟が家を出ました。
 
 弟は近眼で動作ものろく、猫を掴まえるためには弟は邪魔でしたが、
 母親に言われ、兄は弟を連れて行くことになったのです。
 
 猫の足跡を頼りに、雪の積もった中を兄弟は進み、やっと猫を
 発見します。
 
 罠をしかけ、やっとの思いで猫を掴まえた弟でしたが、猫を掴まえ
 ている間に兄の姿が見えなくなってしまいます。
 
 飢餓状態のウクライナのある村で起きた小さな事件が、この小説の
 発端となります。
 
▽その20年度(1953年)、モスクワで少年が惨殺される事件が
 発生します。

 腹が割かれ胃が無くなっており、口の中には泥のようなものが
 詰め込まれていました。
 
 被害者は胴体を列車に切断されていたため捜査の結果「事故」と
 判断されていました。
 
 被害者の遺族は「事故ではない」と騒ぎ立てます。
 
 しかし、そこはスターリン体制下のソ連。
 
 一度「事故」と決まった事件に意義を申し立てると「国家反逆罪」
 となってしまいます。
 
 ただ、その少年の親が国家保安省(秘密警察KGBの前身)の
 下級職員だったこともあり、その上司のレオ・デミドフが部下の
 家族を説得することになりました。
 
 そこで実際に聞いた話と、事前に読んだ調査報告書の内容には
 かなりの相違があり、実際に被害者の男の子と見知らぬ男性が
 一緒に歩いていたのを目撃した女性がいました。
 
 しかし、レオの身分と目的を知った時「何も見てないし何も知ら
 ない」と口をつぐんでしまったのです。
 
 旧ソ連とはそういう国、一度国の機関が決めたことは覆りません。
 
 意義を唱えると反逆罪とみなされてしまうのです。
 
▽主人公は、国家保安省に務めるレオ・デミドフ。
 
 レオは元もと、軍隊の特殊奇襲隊に所属していて、国家保安省では
 エリートの部類に属していました。
 
 エリートではあるけれど、些細なミスが命取りになる職場でも
 あります。
 
 上司は自分の身の安全のために簡単に部下を利用し切り捨てようと
 するし、部下は上司のミスを発見し、そのポストを奪おうと虎視
 眈々と狙っています。
 
 レオは言う事を聞かない体を薬物で騙しながら仕事をしていました。
 
 レオの本職はスパイを摘発し、逮捕・告発すること。
 
 そのスパイが本物のスパイかどうかは関係がありません。
 
 拷問で一度名前が出てしまうと逮捕され、本当かどうかはあまり
 関係なく処刑されるか強制収容所に送還されてしまうのです。
 
 当時のソ連はそういう国でした。
 
▽レオは、ある獣医をスパイ容疑で捜査していました。

 しかし、息子を亡くした部下の家族の説得に一日を要してしまった
 ためその獣医を取り逃がしてしまったのです。
 
 獣医の身辺捜査から浮かんだ田舎の友人宅に的を絞り、追跡を
 始めます。
 
 レオは獣医を捕まえますが、その獣医をかくまったとして、部下の
 ワシーリーがその家族を現場で銃殺してしまいます。
 
 子供二人まで銃殺しようとしたところで、レオはワシーリーを
 殴り、銃殺を止めたのでした。
 
▽獣医は実際は無実でした。

 しかし、薬物を注射され強制的に自白させられることになります。
 
 取り調べの最中、レオは服用していた薬の副作用のため立って
 いられなくなり、家に帰ってしまいます。
 
 その後取り調べを続けたのが、レオに恨みを持つワシーリーでした。
 
 休養の後、職場に復帰し、処刑された獣医の取り調べ結果を知った
 レオは、獣医が自白したといういくつかの名前の最後に、自分の
 妻の名前が書かれているのを知ります。
 
 レオは部下のワシーリーの意趣返しだと確信します。
 
 しかし、妻が無実かどうかは問題ではありません。
 
 スパイ容疑で逮捕した人物の口から名前がでてしまった限り、
 妻を逮捕し、獣医と同じように取り調べをしなくてはならないの
 です。
 
 妻を尾行し、自宅を家宅捜索し、上司や部下からは妻を告発する
 ことが臨まれていましたが、レオは自分の地位と身の安全を捨て
 自分の妻は無実であると上司に報告します。
 
 レオは運良く地方の人民警察に飛ばされただけで済みます。
 
▽飛ばされた土地で、レオは少女の死体を発見します。

 腹は割かれ、胃が持ち去られ、口の中には泥のようなものが詰め
 込まれていました。
 
 そして足には、まるで獲物を捕まえたかのように縄が巻かれて
 いたのです。
 
 レオは殺人事件を捜査することにしました。
 
 でも。この国で余計な捜査をすることは、自分の命を賭けること
 にもなります。
 
 人民警察に協力者を一人得て、手間の掛かる捜査が始まりました。
 
 線路に沿って極秘捜査を進めていくと、同じような殺人事件が
 いくつかの駅の近くで何件も発生していました。
 
 そして、子どもたちの殺人事件を追っていくうちにある人物に
 ぶつかります。
 
 その人物とは...
 
▽ソ連という国が実際にどのような国であったのか、真実は知りま
 せん。
 
 しかし、本を読んだり近隣の社会主義国のことを知ると、この
 小説に書かれている国家とそれほど違いがないのではないかと
 思います。
 
 国家保安省ではエリートとして権力を振るっていたレオでしたが、
 妻の無実を主張した瞬間に、全ての富と権力を剥奪され、加えて
 両親の富と権力も剥奪され、権力を振るう側から権力を振るわれる
 側に廻りました。
 
 それまで持っていた特権が全て無くなったとき、はじめて妻の
 真意を知ります。
 
 なぜ出会ったときに偽名を使ったのか?
 
 なぜレオと結婚したのか?
 
▽事件の真実を調べるという当たり前の行為が極秘に、しかも
 命がけで行わなければならない国。
 
 執拗にレオの失態を探し、処刑する口実を見つけようとする元部下。
 
 拷問をする側からされる側へ。
 
 次々と明るみに出る、子供ばかりを狙った異常な犯罪。
 
 絶対絶命のピンチを幾度となくくぐり抜け、やっと犯人の足取りを
 掴んだとき、レオは意外な真実を知り、忘れていた過去も思い出し
 ます。
 
▽上巻下巻それぞれ400頁近くありますが、あっという間に読めて
 しまいます。
 
 ソ連という国の恐ろしさと、国家権力を握った人間の恐ろしさと
 歪んだ人間性が、上手く小説の中で描かれている作品です。



 人生を成功に導く読書術! 〜おやじむしの3分書評〜 より抜粋

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