5


2016年から復活し、2020年まで毎年公開されていく『スター・ウォーズ』シリーズの第2弾。「エピソード」でナンバリングされているサーガとは異なり、「ストーリー」と銘打たれ、シリーズの中ではスピンオフ的な扱いとなる今作。早速、劇場で見てきた。

物語はエピソード4の直前、レイア姫がデス・スターの設計図とオビ=ワン・ケノービへのメッセージをR2-D2に託すというはじまりのシーンに直接接続できてしまうくらいまで描かれている。デス・スターを制作したゲイレン・アーソはデス・スターの設計段階で弱点を設計しており、エピソード4でルーク・スカイウォーカーはそこに魚雷を打ち込んでデス・スターを破壊することに成功する。ゲイレンが残したその弱点の位置を伝えるためにデス・スターの設計図を帝国から盗み出すのが、ヒロインであるジン・アーソが率いる、本映画のタイトルにもなっているローグ・ワンの目的である。

スター・ウォーズは最初の6作でも同様に、銀河を跨いだ家族についての話をずっと繰り広げてきた。ジェダイを殺し、ダース・ベイダーとしてシスの道を歩むことになったアナキン・スカイウォーカーとそのベイダーを最後は救い、シスを打ち破ったルーク・スカイウォーカー。彼らはシスとジェダイ、帝国と共和国という両者の陰謀に振り回され、スター・ウォーズという戦争の惨劇に飲み込まれた、悲しい家族である。本編ではそれほど強調して描かれてはいないが。

「戦争が家族を変える」というテーマは、それこそ『この世界の片隅に』でも描かれるように、戦争を描く点において非常に象徴的なものとなる。今回の『ローグ・ワン』もあらすじからわかるように、この映画は戦争と家族の物語である。エピソード4の直前を描くということもあって、今回の映画では、エピソード3で滅びたとされているジェダイはスクリーンに登場しない。 それもあって、今回の映画では正義の味方としての反乱軍側も戦争を仕掛けている側として描かれ、戦争によって運命を捻じ曲げられていく一般の人々にフォーカスしている。

戦争に運命を変えられ、しかしそのことに絶望するのではなく、フォースという希望の火を絶やさないために彼らは戦う。そして必死に繋いだその希望をエピソード4において、ルーク・スカイウォーカーが受け取り、帝国を倒すに至るのである。この映画はサーガではないが、そのサーガを成立させるための無数の物語たちのなかのひとつなのである。今まで語られなかった様々な物語が『ローグ・ワン』という映画の誕生によって、光が当たるようになってきた。『ローグ・ワン』はまさにその無数の語られることのない物語たちの代表なのである。


先述したように、本作ではジェダイが出てこないため、ライトセイバーを用いた戦闘がほとんど出てこない。だが、それ以上に、Xウィングやタイファイターが繰り広げる宇宙での戦闘シーンが素晴らしい。はっきりいって、シリーズ史上最高レベルのカッコ良さである。また、イップマンこと、ドニー・イェンが演じるチアルートの棒術もすさまじい。まさか、スター・ウォーズでカンフーを見ることができるなんて、しかもそれが映画にマッチしているから最高以外の何物でもない。

予告編でもちらりと映るベイダー卿も本作ではサーガとは比べ物にならないくらい元気に暴れまわっている。あれほど勢い良くライトセイバーを振り回すベイダー卿もなかなか見れないのでは。

いずれにしても、どこを取ってもスター・ウォーズらしくありながらも、新しい、そして素晴らしいスター・ウォーズだった。ただ、戦争としての「スター・ウォーズ」という結末をディズニーは嫌ったらしく、6月には大幅な再撮影をおこなったらしいが、このオチはスター・ウォーズに憧れていた少年たちが大人になった現在、観るのにふさわしいスター・ウォーズだと思う。

ただ、ソウ・ゲレラの扱いはもう少し大事に使っても良かった気が…。