カテゴリ: 雑感

昨年9月、Sフライ級トップ選手を一同にして行われたSuperFlyシリーズ興行第一弾。メインには、昨年3月にWBC世界Sフライ級王者で無敗の世界4階級制覇王者、パウンド・フォー・パウンドでも最上位に付けるローマン・ゴンサレス相手にダウンを奪うなどして2年10ヶ月振りのWBC世界Sフライ級王座再戴冠となったシーサケット・ソールンビサイが、ローマン・ゴンサレス相手にダイレクトリマッチと言う形で行われる試合をメインに、海外のボクシングフリークの間では既に強打の日本人選手として“モンスター”の異名で認識されていたが、その破壊力を初お披露目させるべく井上尚弥も参戦している。
シーサケットがKOでロマゴンを返り討ちにしフロックでないことを証明すると、井上尚弥もニエベスにその破壊力で何もさせずギブアップさせWBO世界Sフライ級王座防衛に成功。
興行的にも、観客動員数やPPV視聴数も申し分ない成功を収める結果となっている。

これに気をよくしたのか今年2月にはSuperFlyシリーズ興行第二弾も行われ、シーサケットがSフライ級トップファイターと目されていたファン・フランシスコ・エストラーダ相手に防衛戦を行うなど、Sフライ級タイトル戦2試合にフライ級タイトル戦2試合を組み込む興行も行い、今年9月には第三弾興行も行われるのではないかと言われている。



米国でこう言った軽量級興行が成功し始めた要因として、現在、米国中重量級のスター選手不在も要因の一つとして含まれるのではないだろうか。
米国のスター選手の流れとして、五輪金メダリストからプロ転向し世界王者へ上り詰める流れ。ヘビー級世界王者に関しては米国の象徴とも言え、長らく独占してきたタイトル。
1960年ローマ五輪のカシアス・クレイ(モハメド・アリ)から、ジョー・フレージャー、ジョージ・フォアマン、レオン・スピンクス、タイレル・ビッグス。1988年のソウル五輪レイ・マーサーがヘビー級選手としては最後。
中量級でも、1976年のモントリオール五輪シュガー・レイ・レナード、パーネル・ウィテカー、オスカー・デラホーヤらスター選手を輩出。米国ボクシング界最後の金メダリストになると、2004年のアテネ五輪アンドレ・ウォード以来輩出していないのが現状となっている。
2008年の北京五輪“ブロンズボンバー”デオンテイ・ワイルダーが銅メダルを獲得し、現在WBC世界ヘビー級王者に君臨しているが、ワイルダーの次は?と問うと、米国ヘビー級選手層の薄さだけが際立つ印象となっている。
一昨年のリオデジャネイロ五輪では、バンタム級銀メダリストのシャクール・スティーブンソン、Lフライ級銅メダリストのニコ・ヘルナンデスと久々のメダリストを輩出しているが、何れも軽量級。五輪金メダリストがプロ転向し世界王者へと上り詰めるこれまでの米国ボクシング界の流れを見ると、金メダリスト以外は役不足か。

フロイド・メイウェザー・ジュニアが2015年に引退を表明。昨年、MMA界のパウンド・フォー・パウンドでもあるコナー・マクレガー戦で一時的に復帰も、これまでのメイウェザーを知るボクシングフリークからすれば、見るに堪えない調整不足のメイウェザーを観た印象。あの試合を観て、完全に米国ボクシング界からスーパースター不在の時に突入を痛感させられた。



そんな中、昨年よりクルーザー級とSミドル級で世界トップレベルの選手を集め行われていた賞金トーナメントWBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)。
今年7月に行われるクルーザー級決勝には、WBC&WBO王者オレクサンドル・ウシクとWBA&IBF王者ムラット・ガシエフによる4団体統一戦。トーナメントとしては統一王者同士の4団体統一戦が成立する上に優勝賞金10数億円を手にする事ができ、プロモーターの意図的にも、選手のモチベーション的にも、最終的に最良の方向へ進んでいる印象をうける興行でありトーナメントにも思える。

WBSSが軽量級のバンタム級トーナメント開催を決定したのも、SuperFlyシリーズ興行の手応えを感じた部分も大いに関係している様にも思う。

Sフライ級ではその実力から、統一戦を悉く避けられてきた井上尚弥。本人からすれば微々たるものかも知れないが、バンタム級に階級へ上げる事によるストレス解放。WBO王者ゾラニ・テテのように対戦(統一戦)を望む王者も居る上に、優勝する事による副産物も少なくない。実際、優勝する事によって数億円のマネーを手にする事となる。
井上尚弥としては、それ以上に実力の証明にもなる。本人も、パウンド・フォー・パウンド最高位が5位でボヤクこともあったが、WBSS優勝で自身が望む順位も手中にする事もあり得ない話しではない。
知名度が上がっているWBSSトーナメントは言わば、井上尚弥の実力を証明する名刺代わり。その分、井上尚弥のトーナメント優勝は必須条件となってくるが、それと引き替えに世界的にそれまでぼやけていた井上尚弥の選手としての商品価値が鮮明となり、トーナメント終了後には嫌でもモンスターの実力を知らしめる結果となるのではないかと思う。





1976年6月、日本武道館で行われた異種格闘技戦。当時の日本プロレス界では、全日本プロレスのジャイアント馬場、新日本プロレスのアントニオ猪木。両巨頭がプロレス界のしのぎを削り席巻する形にあり、30代のアントニオ猪木自身も脂がのり切った現役バリバリの時でもあった。
アントニオ猪木×モハメド・アリの異種格闘技戦も、アリ自身が冗談交じりに賞金を出すので私と対戦を望むアジア人は居ないか。と、声明を発した事が発端となり、それを真に受け実現まで漕ぎ着けてしまったのたのがアントニオ猪木(新日本プロレス)だったようである。
モハメド・アリも当時は、キンシャサの奇跡でジョージ・フォアマンを下し二度目の世界ヘビー級王座戴冠。5月に、リチャード・ダンをTKOで下し7度目の防衛に成功したばかり。中一ヶ月でのアントニオ猪木との異種格闘技戦。尚且つ、猪木戦後の9月には、ケン・ノートンとの3度目の対戦が控えているスケジュールでの猪木戦であった。

内容も、猪木がリング上に仰向けとなり、アリが猪木を見下ろす状態に終始。時折、チャンスと見るや猪木がアリの膝を蹴る。が、3分15R制の計45分で行われた。
この一戦を、世紀の一戦として期待したお客は計45分ものあいだ見せられたのだから、試合後に“世紀の凡戦”と扱き下ろされても仕方がないし、当時としては退屈極まりなかったのではないかと思う。

しかし、いわゆる“猪木アリ状態”と言う、現在、総合格闘技と言われるMMAの源流が副産物として生み出されている。一方がリング上に仰向けとなり、一方が立った状態から攻撃を模索する。現在の総合格闘技の試合でも見られる形。
この形も、アントニオ猪木とモハメド・アリが対戦する上で、猪木の攻撃に制限が課せられた為に出来た副産物でもあるのかと思う。

私個人としては、“異種格闘技戦”は大嫌いである。猪木アリ戦に例えるなら、プロレス界の頂点に居るアントニオ猪木と、ボクシング界の頂点に居るモハメド・アリ。両者を戦わせたらどちらが強いのか?
どちらが強いのか?そのキーワードには高揚感はあるが、さて、二人をどう戦わせるのか?となった時に疑問が生じる。
アリがプロレスで戦う、若しくは、猪木がボクシングで戦う。相手の土俵で戦うこの形が個人的にはしっくりと来る。しかし、この形では高揚感は生じない。何故なら、相手の土俵に上がった時点で、結果が見えてしまうであろう戦い。アリがプロレスで猪木と戦い勝利するイメージが沸くのか。猪木がボクシングでアリと戦い勝利するイメージが沸くのか。どちらも、戦う前から結果が見えているように思う。

異種格闘技戦とはずれるが、日本に於ける格闘技興行でも、ある外国人選手の強さが際立っていた為、その外国人選手の戦い方に制限があったのではないかと言われている。
その結果、他の選手との力量が拮抗した為に興行としては盛り上がりを見せたが、結局の所、その外国人選手も制限をされながらも勝ち続け、今となっては制限がなければどれだけ強かったのだろうか。と、思ってしまう。もし、制限がされていなければ、あの格闘技興行も盛り上がりが半減、若しくは、スケジュール半ばで興行自体が消滅していた可能性もあったのかも知れない。

話は逸れたが、最近行われたボクシング世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー・ジュニアと、UFC2階級制覇王者コナー・マクレガーによるボクシング対決。
この試合、MMA戦士マクレガーがメイウェザーの土俵となるボクシングで対決となっている。
マクレガー自身もボクシングライセンスを取得しての対戦となったが、タイトルマッチを戦うレベルに居るボクサーにはなりきれていなかったように思う。
メイウェザーもメイウェザーで、アンドレ・ベルトとのタイトルマッチで49戦49勝無敗で引退を表明。それから、約2年振りの復帰でMMA戦士マクレガーとの試合とは言え、調整不足とも言える、プロ50戦の中でも最も無様な試合内容でマクレガーにTKO勝利したのではないかと思う。

この対決、死語となる異種格闘技戦ではないが、ボクシングとMMAの頂点を極めている者同士の対戦。近い将来、今度はマクレガーの土俵であるMMAのリングにメイウェザーが上がるのではないかと言われている両者。
いわゆる、異種格闘技戦には当て嵌まるかと思うが、マクレガーが善戦したかの様にも言われているが、メイウェザーを知るボクシングファンからすれば見るも無惨なブランクとともに調整不足が否めないメイウェザーを見せられた印象。それでもメイウェザーがTKO勝利した所を観ると、相手の土俵で戦う事の難しさが伺えるかと思う。

メイウェザーのボクシング、マクレガーのMMA。両者ともに、その競技に於いて特化した存在であり、その特化から外れたらただの選手に成り下がってしまうのである。
前述した通り、私個人としては異種格闘技戦は大嫌いである。制限まで課せられて戦う必要性と、相手の土俵で戦うクロスオーバーの必要性。況してや、第三の競技で雌雄を決するのも以ての外かと思う。
総合格闘技MMAが出来た現在。異種格闘技戦と言う言葉は死語となるが、その競技に於いて頂点に立つ特化した選手同士で一番を決めるのは、私個人としては愚問でしかない。










4月15日、村田諒太、比嘉大吾らが世界戦で出場した興行に、無敗の新鋭中谷潤人が世界ランカー相手にノンタイトル戦出場で注目していたボクシングファンも多かったはず。
一昨年の全日本新人王を獲得すると、昨年には強打のユーリ阿久井政悟を6RTKOで葬り、日本Youthフライ級王座を獲得。既に、WBC世界フライ級17位までランクを上げ、玄人には評価の高い選手でもある。

しかし、私が注目していたのは中谷潤人でなはなくその対戦相手。WBC世界フライ級11位にランクされている世界ランカーのマリオ・アンドレーデだった。中谷潤人との対戦が決定した時、瞬時にどこかで聞いた事がある名前。

BoxRecを見てみると、世界挑戦失敗、日本王座陥落とやや“負”を背負って再起を計ろうとメキシコ遠征をした黒田雅之と戦い判定勝利をしていた選手。当時、マリオ・アンドレーデのBoxRecを見た時の衝撃で記憶に残っていたのかも知れない。

デビュー戦を判定負け後、3連勝と復調するも引き分け。戦績も3勝(0KO)1敗1分としていた。しかし、引き分け後に悪夢の4連敗を喫したアンドレーデ。その後も3試合連続引き分けし、気がつけば戦績も12戦して3勝(0KO)5敗4分。引き分けと4連敗で8戦も勝利から見放されていた選手であった為、地元贔屓の判定としても黒田雅之から勝利を奪っていた事が記憶に残っていたようである。

このマリオアンドレーデ。8戦も勝利から遠ざかっていたが、3試合連続引き分け後に2連勝。2014年には、WBCフライ級地域王座決定戦で複数の地域王座獲得歴があるベテランのアンヘル・アビレスにスプリット判定で勝利し3連勝。アンドレーデ自身初のタイトルでもあった。
アンドレーデの覚醒はここで終わらず、地域王座獲得の次戦で、ワンヘン・ムナヨーシンとの敵地防衛戦でWBC世界ミニマム級王座を陥落したばかりの同国人オズワルド・ノボアと対戦。世界王座陥落も世界ランクに名を残していたノボア相手に引き分け。因みに、このノボア戦後に黒田雅之との対戦で勝利している。
黒田雅之戦後、勢い任せか元暫定WBA世界ミニマム級王者で、ヘッキー・バドラーのWBA世界ミニマム級王座挑戦からの再起となるヘスス・シルベストレと対戦。判定負けながら、スプリット判定で敗戦の為、ジャッジによってはアンドレーデが優位に試合を進めていた様に映る内容だったのかも知れない。

知れない。と言うのも、このマリオ・アンドレーデ。通常、オズワルド・ノボア、ヘスス・シルベストレと言った元世界王者と対戦していればYouTubeなどに試合動画が残っているはずだが残っておらず。ヘスス・シルベストレ戦後、再びWBC地域王座を獲得するなど6連勝(2KO)。中谷潤人に敗戦するまで、WBC世界フライ級11位となっていた。



ボクサーが覚醒する時。そんな試合ってあるのだろうか。マリオ・アンドレーデのプロ12戦目までの戦績は3勝(0KO)5敗4分。
こんな戦績の選手が、王座陥落したばかりの元世界に引き分け、世界挑戦経験のある選手に勝利。世界挑戦失敗からの再起となる元世界王者にスプリットの判定で敗戦。

突如、世界レベルの選手と対等に戦える覚醒。

覚醒時期は本人のみぞ知る。と言った感じだろうが、オズワルド・ノボアとの対戦前にWBC地域王座獲得も覚醒の要因であることは少なからずあるのかと思う。
王者の自覚。王座保持で一気に別人になる選手も少なくない。現WBO世界フライ級王者木村翔も、敵地大阪でWBO地域王座を獲得。それまで無名に近かった木村は、その後に世界ランク入り。そこを、イージーに捉えた元五輪金メダリストで中国の英雄世界王者鄒市明が対戦をオファー。中国国民の期待を裏切る木村の勝利は、中国国民以上に日本のボクシングファンも驚愕の結果であった。
木村翔には失礼になるが、木村翔よりも、五輪金メダリストで中国の英雄である鄒市明を認識している日本のボクシングファンの方が多かったはず。

ボクサーが覚醒する時。沸き立つメンタルが自身を奮い立たせ、元々備わっていたセンスのようなものが開花したとも考えられる。
そんな覚醒の瞬間(試合)。どんな選手にもあるのではないかと思う。







今年5月、日本の至宝で五輪金メダリストである村田諒太と、元暫定WBA&WBO世界ミドル級王者であるアッサン・エンダムによるWBA世界ミドル級王座決定戦が行われている。
常に村田が距離を詰め強打を叩き込み、エンダムが手数を出す展開。第5R、村田の強打がヒットしエンダムがダウン。しかし、無類のタフネスを見せたエンダムは、ダウン後も有効打となるヒットは少なかったものの手数を出す展開が続き試合終了。
判定も、ジャッジ一者が117-110で村田を支持も、ジャッジ二者が116-111,115-112でエンダムを支持しエンダムが王者に。
当然、公平性を求める日本のボクシングファンならずとも疑問に思う採点結果。
瞬く間にWBA会長であるヒルベルト・メンドサJr.氏にもこの不可解な採点結果が伝わり、即座に会長自らTwitter上で村田×エンダムの映像を観戦している所をツイート。試合を見終えると、私の採点では117-110で村田だ。と、会長自らTwitter上で違例のツイート。その後、エンダムに付けたジャッジ二者に対し処分を下す結果となっている。







ジャッジの採点基準として四つ。



1)有効打

2)攻勢

3)防御

4)試合支配率



試合では、10ポイントマストシステムが採用され、必ず10-9、そして、ダウンがあった場合には10-8と言ったように、優勢な選手に10点、劣勢に選手に9点、若しくは8点と言った採点を付けるようシステムとして義務付けられている。


因みに、WBCでは世界戦の12ラウンド中、第4R、第8Rに公開採点があり、ポイント次第ではジャッジの見方を思考しつつの戦い方の修正も出来る上に、ポイントが劣勢であれば挽回をはかる為に選手の攻勢が活性化され、試合としての面白みも浮かび上がる仕組みや狙いとなっている。







村田×エンダム戦。村田は、第5Rにダウンを奪取(有効打)。常に距離を詰め有効打を叩き込もうとする姿勢(攻勢)。エンダムのパンチをグローブで弾くパリング、状態を揺らしながら攻撃を貰わない内容(防御)。そして、攻防に有効打で相手をコントロールし自身のペースに持ち込めていた部分(試合支配率)。

一方、エンダムは手数が多かったものの、ヒット数も少なく有効打に満たないパンチばかり。悪く言えば、相手選手のパンチが届かない位置でシャドーボクシングをしている様な雰囲気でもあったかと思う。








今年10月、中国・大同で三つのWBA傘下王座決定戦が行われている。



http://video.sina.com.cn/l/h5/1720543.html(川崎真琴×ヤン・シンシンは、177:00分頃から)




興行は、中国の世界ランカー=カン・ウーと、久保隼にWBA世界Sバンタム級王座を奪われ再起戦となるネオマル・セルメニョ。
元WBC世界ミニマム級王者で中国初のプロボクシング世界王者熊朝忠と、無敗のWBO世界ミニマム級1位ペッチマニー・ゴーキャットジムの、共にWBA傘下王座決定戦。
そして、日本の川崎真琴が、アジア圏内の地域王座獲得歴のある中国のヤン・シンシンとのWBA地域王座決定戦が行われている。

会場は、四方に映像が流れるビジョン。日本の格闘技興行や、ダブル、トリプルのボクシング世界戦が行われる時の様な、会場内に大掛かりな入場口が設置されており、現在の中国のお国の勢いや中国選手の期待の程が伺える大興行な雰囲気であった。

がしかし、出場した中国選手。カン・ウーには、峠を越えた印象のネオマル・セルメニョ。35歳となり来日していた頃の勢いも落ちていた熊朝忠。大会場、大興行に見合った内容にはほど遠い様に思えたのは私だけだったのだろうか。





ホームタウンデシジョンと言う言葉があるように、かつて日本でも、日本人選手がダウンを奪われそうになった所でゴングがなるも、実際には3分(1R)を経過しておらず、日本人選手がダウンを奪われそうになったのを救う為にゴングが鳴った。としか解釈しようがない滅茶苦茶な世界戦があったのも事実。
近年、ホームタウン(日本)でも不公平差を振り払い、公平差を求める日本のボクシングファンも増えてきた様にも思う。

日本人選手の世界戦。最悪極まりない内容ながら、判定で勝利。今までなら、内容はともかく日本人選手が世界戦で勝利した事を喜ぶのみが多数を締めていたかと思う。
だが、最近では試合後のSNS上で、あのジャッジはおかしい。あの選手(日本人選手)は負けていた。と言った内容で、ホームタウン(自国選手)の不公平差を追求する傾向が出来ている。

逆に、村田×エンダム戦のように、日本人選手が内容的に良かったが判定負け。
サッカーのtotoくじや、合法なムエタイの様であれば別だが、非合法なマフィアの賭け事が大拡げで行われている国や、情熱的で愛国心の強い国であれば、大暴動に成りかねない結果。
もし日本がそんな国であれば、大暴動になる前に、始めから村田が敗戦する様な採点にはならなかったのかも知れないが.....。






私自身、ライブ映像で観戦の川崎真琴×ヤン・シンシンのWBA地域王座決定戦。それと、熊朝忠×ペッチマニー・ゴーキャットジムのWBA傘下王座決定戦。
正直、昭和な日本のボクシング会場を観ている印象でもあった。

手数が少ない中国選手だが、有効打がヒットすると会場が大盛り上がりの歓声。ただ、その中国選手への歓声の割合を聴いても数える程度。
ペッチマニーも川崎真琴も、上記で挙げた採点基準4つを当て嵌めれば、なぜ敗戦してしまったのか。疑問しか残らないのである。







本当は、第3国(中立国)で試合を行うのが最良なのかも知れないが、第3国なら公平性を保つ事が出来るのか。と、問われても疑問である。

2013年、現WBA世界Lフライ級王者田口良一が保持していた日本Lフライ級王座にプロ4戦目で挑戦し王座獲得。続く、5戦目には立て続けにOPBF王座も獲得。
翌2014年、一度は王座を明け渡したものの、WBC世界Lフライ級王座通算7度防衛中の王者アドリアン・エルナンデスに挑戦。日本のファンの期待に応える6RTKO勝利で、プロ6戦目にして瞬く間に世界王者へと上り詰めた“モンスター”井上尚弥。

公称身長163cmの井上尚弥だが、プロ入り後のフィジカルトレーニングで筋肉量も増加。減量苦から、Lフライ級(48.97kg)リミットを作る事が困難となり、初防衛後にはあっさり返上に至っている。

2014年末、Lフライ級返上から1年も経たずで一気に階級を2階級アップ。そして、2階級目のターゲットとなった王者がWBO世界Sフライ級王者オマール・ナルバエス。
アマ時代には世界選手権2大会メダリストの実績からプロ転向。プロ転向後も、WBO世界フライ級王座16度防衛。そして、WBO世界Sフライ級も獲得し2階級制覇達成。一時、3階級制覇を目論みノニト・ドネアのWBC&WBO世界バンタム級王座に挑戦するも、途中で試合を諦め、逃げ腰のKO負けだけは逃れたいと言う試合内容で大差判定負けを喫したが、Sフライ級王座も既に11度の防衛をしていた名王者でもある。

2階級制覇が共に二桁防衛。それに加えアマ実績もある名王者。ナルバエスの巧さに翻弄される懸念も大いに考えられた上に、一気に2階級アップした井上尚弥のSフライ級(52.16kg)での適性度。その辺が焦点となったが、蓋を開ければそんな懸念など吹き飛ばす破壊力が名王者の巧さを超越し、誰もが予想し得なかった2RKO勝利で世界2階級制覇達成。

この勝利で一気に井上尚弥の名が世界に轟く要因となった事は言うまでもないかと思う。
現在迄にWBO世界Sフライ級王座5度防衛。元世界王者河野公平戦以外は常に世界1位や上位ランカーを撃破。セールスポイント(強打)が示す様に、軽量級ながら戦績も13勝(11KO)無敗。
海外メディアや海外の記者が日本に凄い選手が居るぞ。と、紹介されると、プロ転向後、海外での試合を経験していないにも関わらず、階級の壁を取り払った仮想でのボクサーランキングであるパウンドフォーパウンドでも、世界王座二桁防衛の内山高志、山中慎介らに続き選出。

9月9日、漸くアメリカの地で“モンスター”井上尚弥が異名を背負いベールを脱ぐ事となっている。







今回、井上尚弥6度目の防衛戦の相手となるのが、アメリカ出身のWBO世界Sフライ級7位アントニオ・ニエベス。
昨年、WBOバンタム級地域王座を獲得すると世界ランク入り。前戦となる今年3月、現WBO世界バンタム級2位にランクされるニコライ・ポタポフに僅差スプリット判定で敗戦したのが唯一の敗戦となり、戦績も17勝(9KO)1敗2分。
上記でも紹介した通り、これまで井上尚弥が世界戦で対戦してきた相手を考えれば、ニエベスの試合映像を含め問題があるように思えない相手。

近年でも、村田諒太デビュー戦の相手にOPBF王者であった柴田明雄が対戦した際、村田が圧勝となる2RTKO勝利であったが、SNS上では、柴田明雄が噛ませ犬ではないかと疑問を持つ者が居たくらいだった。しかし、柴田も巧さがあるボクサーであり、現役OPBF王者。決して弱い選手ではなく、五輪ゴールドメダリストの凄さがプロデビュー戦ながら出た試合なのかと思う。

村田諒太×柴田明雄の試合同様に、今回、井上尚弥がアメリカの地でに求められているのは、スター選手揃いの興行でも、ニエベスが噛ませ犬と思わせるくらいの圧勝劇(KO)。それが必須となってきそうである。







先日、MMA王者コナー・マクレガー戦で復帰も、ほぼ引退のメイウェザー。世界6階級制覇を達成したパッキャオも、全盛期とも言える活躍が期待出来ないのが昨今のアメリカのリング。
同じアジアのマニー・パッキャオも、スーパースター揃いの中量級だからこそ輝ける地位まで上り詰めたが、果たして、軽量級の井上尚弥がスーパースターに飢えているアメリカボクシングファンの度肝を抜く事が出来るのか。

現在、アメリカの地で活躍するKOアーティストとして挙げられるのが、無敗で世界4階級を制覇したローマン・ゴンサレス。
世界王座17連続KO防衛、WBA&WBC&IBF世界ミドル級主要3団体を統一のゲンナディ・ゴロフキン。
ニカラグア出身のローマン・ゴンサレス。カザフスタン出身のゲンナディ・ゴロフキン。彼らも、異国の地から強打を武器に知名度を上げ、パウンドフォーパウンドの上位に挙げられるほどの活躍を見せている。

現在、同階級に居る井上尚弥のライバルと目されるローマン・ゴンサレスも、ミニマム級からSフライ級まで、強打を武器に4階級制覇。パウンドフォーパウンド1位にも選出された選手である。
Sフライ級で既に、驚異的な強打も陰をひそめてきた印象のローマン・ゴンサレスとは違い、まだまだ階級を上げる事が可能な余力を残した井上尚弥には、
活躍次第では複数階級制覇とともに、あらゆるスター選手との対戦がファンのビジョンとして出てくる事は、スター選手へ上り詰める要素を兼ね備えていると言えよう。







今回のアメリカ初進出試合。井上尚弥の最大の難敵となってきそうなのが減量。
Lフライ級から減量苦で2階級アップしSフライ級に上げたのは前述の通り。WBO世界Sフライ級王座13度以上の防衛と掲げているが、既に、Sフライ級でも減量苦ではないかと囁かれている。
更に、プロ転向後、初の海外での試合。日本に居る時とは勝手(減量の食事面など)が違う事はボクシング経験者でなくとも容易に想像出来るかと思う。

プロ転向後は初海外。海外での不安要素ばかりを感じてしまっていたが、新磯高校時代には1年生の時から3年生の時まで、アジアユース、世界ユース、金メダルを獲得したインドネシア大統領杯と、毎年の様に海外で戦っていたこともあり、海外で試合をする事の免疫は出来ているのかも知れない。




“スター選手”とは、ファンの期待通りの結果を出す選手。“スーパースター選手”とは、ファンの期待以上の結果を出す選手である。

軽量級ながらKOで決着出来る強打を持ち合わせている井上尚弥。
9月9日、アメリカ・カリフォルニア州カーソンの地でWBO世界Sフライ級王座6度目の防衛戦のゴングが鳴る。














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