スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演のSF大作である。原作は、SF小説の父とも言われるH・G・ウェルズの同名小説である。突然、何もまえぶれもなく宇宙から知的生命体が地球を制服するために攻めてくる。各国の軍隊が迎撃するがビクともせず、一般市民はなすすべなく死んでいく。そんな中、別れた妻から預かっていた我が子を守るため、主人公(トム・クルーズ)が知恵と勇気の限りを尽くして逃げるのだった。親が子を命がけで守ろうとする姿に深い感銘を受ける作品である。
曰く、「史上最大規模の小さな物語だ」。そうである。ストーリー、テーマ、SFXなどは前代未聞の大スケールなのだが、描いているのは一人の父親が子供を守って逃げる話である。今回のトム・クルーズはスーパーヒーローではなく、うだつが上がらず、父親としても夫としても失格したダメ親父なのである。しかし、冷静にかつ情熱的に逃げて戦う姿は、いつものスーパーヒーロー以上にカッコいいのである。

さて、宇宙からの攻撃用ロボットは地中から湧き出てくるのだが、人類が地球に現れる前から攻撃用ロボットを“仕込んで”おいたというのだ。しかも、宇宙人は地球人の血を吸って生きている。この不気味さ、この不安感、さすがはスピルバーグである。また、このロボットはビルよりも高く、ジェット戦闘機の攻撃にも耐えるのだが、この造形が“タコ型”なのである。造形を一から考え直したと言われているが、最終的に定番の“タコ型”に落ち着いたのにはウェルズの執念みたいなものを感じる。

 
(2005.7.10)