2010年02月01日14:00正弦曲線
Comments(0)この記事をクリップ!Books | 作家別 は行
正弦曲線 堀江敏幸
穂村弘さんと同じ匂いを醸しながらもスタイリッシュで緩やかで上品に仕上がった随筆集。最後まで大事に読んで一番初めに再び戻る。「優雅な袋小路−正弦曲線としての正」緩やかな振り幅が心地いいともう一度読みたい気持ちになれる。サイン・コサイン・タンジェント、巨人・大鵬・卵焼き。随筆の中の出来事をいつか自分のことのように話してしまいそうな予感も!そして、この話はどこで出会ったんだっけなと文庫化されたときにまた読み返して、おぉぅ!と驚嘆するのであった。

とてもいい言葉やエピソードがあり、図書館へ返却する前に書きとめておけばよかったなと少々後悔。返却時に惜しいなと思う本はたまにあるのですが、それって買って手元にあってもいいものだよなとは思うのですが、最近は置き場に困って、ついつい一番なのに買えずにいます。

そんな中、忘れられない堀江さんが郵便局で出会った「ハイブリッド加湿のおばさん」の話は、いつか自分が見たように誰かに話してしまいそうでなりません。このエピソードの項は、その話に至るまでがどうでもいいじゃんそんなことと思うのですが、おばさんの話が終わった後は頭から読み返したくなるほどたまらなく面白くなる不思議さがあります。「くっだらない」を読み応えのある文章化する力が穂村さんと似ているんですよね。スタイルは全く違うのにぃ〜

なにをやっても一定の振幅で収まってしまうのをふがいなく思わず、むしろその窮屈さに可能性を見いだし、夢想をゆだねてみること。正弦曲線とは、つまり、優雅な袋小路なのだ。言葉と暮らしをめぐる省察の連鎖。


コメントする

名前
URL
 
  絵文字